開催のごあいさつ
公益社団法人日本精神保健福祉士協会 会長 柏木 一惠 Kazue Kashiwagi
歓迎のごあいさつ
全国大会・学術集会長 稗田 幸則 Yukinori Hieta
この度、第54回公益社団法人日本精神保健福祉士協会全国大会・第17回日本精神保健福祉士学会学術集会(長崎大会)を開催するにあたり、開催地支部及び長崎県精神保健福祉士協会を代表致しまして、歓迎のご挨拶を申しあげます。
わが国は、人口減少社会が近い未来の日本社会として現実味を帯びています。「我が事・丸ごと地域共生社会」政策のもと「地域包括ケアシステム」が導入されていく一方で、拡大する格差、社会保障制度の後退は、新たな矛盾、新たな課題を生み出す要因ともなっています。このことは精神保健福祉領域においても大きな変容を生み、我々、精神保健福祉士が社会的責務として担ってきた長期入院者の地域移行・地域定着への支援にとどまらず、新たなメンタルヘルスの課題を抱える方々へのかかわりが必須となってきています。
様々な支援対象(貧困、様々なマイノリティ、虐待、DV、いじめ、ひきこもり、アルコール・薬物・ギャンブル依存、自死、うつ等)への理解が必要となり、活動領域も医療、保健、教育、産業、司法等に拡大しています。
このようなことから、本大会テーマを、「メンタルヘルスソーシャルワーク実践の深化~パラダイムの再考~」としました。我々、精神保健福祉士が培ってきた専門性やパラダイムを再認識し、それらを基に、新たなメンタルヘルスソーシャルワークについて考えるという機会としたいと思います。
前回の大阪大会より、大会日程が2日間となり、タイトな時間配分とはなりましたが、そのような中でも、皆さまに十分研鑽していただけるようシンプルかつ重厚な企画構成を考えました。プレ企画では、「育ち続ける力」「思考の言語化」「メンタルヘルス問題を抱える親と子ども」「ピアスタッフとの協働」「起業型精神保健福祉士」について企画しています。記念企画では、「これからのメンタルヘルスの課題~精神保健福祉士に期待すること~」として、アディクション、スクールソーシャルワーク、産業保健の第一人者の方々にご討議いただきます。
2日目の分科会では日ごろの実践について相互交流を深めていただき、また、市民公開企画として、映画「夜明け前―呉秀三と無名の精神障害者の100年-」の上映と対談を予定しています。
長崎は、江戸時代の鎖国政策の頃から異国情緒にあふれ、歴史的に多文化交流の文化が根付いている土地です。このような魅力ある長崎にお集まりいただき、本大会が全国の精神保健福祉士の交流の場となりますことを心より期待しております。