第54回公益社団法人日本精神保健福祉士協会全国大会・第17回日本精神保健福祉士学会学術集会大阪大会ウェブサイト

早割締切:2018年8月9日、通常締切:同年8月21日

申込フォームはこちらから

開催のごあいさつ

公益社団法人日本精神保健福祉士協会 会長 柏木 一惠 Kazue Kashiwagi

  第54回日本精神保健福祉士協会全国大会・第17回日本精神保健福祉士学会学術集会(長崎大会)を開催するにあたり、多くの皆様にご参加いただきたく、一言ご挨拶申しあげます。
 長崎県においては、日本精神保健福祉士協会の前身である日本精神医学ソーシャル・ワーカー協会設立以来、初めての大会開催となります。この2018年は実はいくつもの節目の年に当たります。まず精神保健福祉士法施行20周年、社会福祉士・介護福祉士法施行30周年、呉秀三先生の「精神病者私宅監置ノ実況」刊行100周年、クラーク勧告からも50年を迎えます。そしてこの大会は平成最後の大会であり、まさに二重、三重にも節目の 大会と言えます。
 精神医療は改革ビジョンによって入院医療中心から地域生活中心へと舵が切られてすでに15年近くが経とうとしています。社会的入院の解消や権利擁護システムの整備、地域精神保健医療福祉体制の充実がドラスティックに変化したとはとても思えませんが、この流れがさらに加速していくことは間違いなく、今後は精神保健福祉士の足場も病院内から地域生活の支援に重心を移す方向性が強化されていくでしょう。一方で格差や不寛容などが生み出す社会の様々な課題が噴出し、国民のメンタルヘルス課題も増加・多様化・複雑化の一途をたどっています。また少子高齢化、人口減少社会に対応し「地域共生社会の実現・地域包括ケアシステムの構築」が叫ばれ、どの面を切り取っても「地域」がキーワードになっていきます。精神保健福祉士にも児童、教育、司法、労働など多様な領域からの期待に加え、「精神障害にも対応した地域包括ケアシステム」の実現のために多様なネットワークの構築や地域づくり、社会的に排除されやすい人の権利擁護など、地域を基盤にしたソーシャルワークの展開が求められてくることと思います。
 協会が誕生して50有余年、2017年度本協会の構成員は1万1,300人を超え、今年度中には1万2,000人に迫る見込みです。この間、過度に精神科病院の入院機能に依存してきた精神医療と少ないマンパワーと貧弱な地域資源の中にあって、精神保健福祉士は精神障害者の社会的復権と福祉の向上を旗印に、精神障害者の地域への生還と地域生活を支えるために様々な現場で格闘してきました。また厳しい環境の中で苦悩しながら、時代や社会がどのように変容しようとも自らの存在意義は揺らぐことなく、本人主体の実践を展開してきた多くの先達や仲間の存在が協会を支えてきました。
 しかしながら、近年加速度を増す社会保障制度の劣化や雇用環境の変化、根強い優生思想や多様性を否定する不寛容な社会が、メンタルヘルス課題を持つ人の裾野を拡げ、元々社会的に脆弱な障害者や高齢者等をさらに苛酷な現実に追いやっています。この社会にどう対峙していくのか、新たなメンタルヘルス課題にどう向き合っていくのか、そのために精神保健福祉士にパラダイムシフトは必要かなど、この大きなテーマに取り組む大会で、様々に再考を試み、活発な議論が展開できることを期待しています。
 開催地の長崎は江戸時代の鎖国のもと、海外との唯一の窓口であった国際都市。異国情緒あふれるとても魅力的な街です。この地で皆さまとお目にかかれることを楽しみにしております。

歓迎のごあいさつ

全国大会・学術集会長 稗田 幸則 Yukinori Hieta

 この度、第54回公益社団法人日本精神保健福祉士協会全国大会・第17回日本精神保健福祉士学会学術集会(長崎大会)を開催するにあたり、開催地支部及び長崎県精神保健福祉士協会を代表致しまして、歓迎のご挨拶を申しあげます。
 わが国は、人口減少社会が近い未来の日本社会として現実味を帯びています。「我が事・丸ごと地域共生社会」政策のもと「地域包括ケアシステム」が導入されていく一方で、拡大する格差、社会保障制度の後退は、新たな矛盾、新たな課題を生み出す要因ともなっています。このことは精神保健福祉領域においても大きな変容を生み、我々、精神保健福祉士が社会的責務として担ってきた長期入院者の地域移行・地域定着への支援にとどまらず、新たなメンタルヘルスの課題を抱える方々へのかかわりが必須となってきています。
 様々な支援対象(貧困、様々なマイノリティ、虐待、DV、いじめ、ひきこもり、アルコール・薬物・ギャンブル依存、自死、うつ等)への理解が必要となり、活動領域も医療、保健、教育、産業、司法等に拡大しています。
 このようなことから、本大会テーマを、「メンタルヘルスソーシャルワーク実践の深化~パラダイムの再考~」としました。我々、精神保健福祉士が培ってきた専門性やパラダイムを再認識し、それらを基に、新たなメンタルヘルスソーシャルワークについて考えるという機会としたいと思います。
 前回の大阪大会より、大会日程が2日間となり、タイトな時間配分とはなりましたが、そのような中でも、皆さまに十分研鑽していただけるようシンプルかつ重厚な企画構成を考えました。プレ企画では、「育ち続ける力」「思考の言語化」「メンタルヘルス問題を抱える親と子ども」「ピアスタッフとの協働」「起業型精神保健福祉士」について企画しています。記念企画では、「これからのメンタルヘルスの課題~精神保健福祉士に期待すること~」として、アディクション、スクールソーシャルワーク、産業保健の第一人者の方々にご討議いただきます。
 2日目の分科会では日ごろの実践について相互交流を深めていただき、また、市民公開企画として、映画「夜明け前―呉秀三と無名の精神障害者の100年-」の上映と対談を予定しています。
 長崎は、江戸時代の鎖国政策の頃から異国情緒にあふれ、歴史的に多文化交流の文化が根付いている土地です。このような魅力ある長崎にお集まりいただき、本大会が全国の精神保健福祉士の交流の場となりますことを心より期待しております。