開催挨拶
開催のごあいさつ
公益社団法人 日本精神保健福祉士協会会長
田村 綾子氏
AYAKO TAMURA
第56回公益社団法人日本精神保健福祉士協会全国大会・第20回日本精神保健福祉士学会学術集会は、1965年の第1回日本精神医学ソーシャル・ワーカー協会全国大会以来、初めてのオンライン開催となりました。ICTの進化による現代の新方式として肯定的に受けとめることは難しいですが、2020年度の延期を経て2年越しで準備してくださっている北海道の運営委員会のみなさまに対する敬意とともに開催の挨拶を申しあげます。
北海道での全国大会は、「精神障害者の社会的復権と福祉のための専門的・社会的活動を進める」ことを当時のPSW及び協会活動の基本方針として「札幌宣言」を発した1982年、精神保健福祉士法制定により日本精神医学ソーシャル・ワーカー協会としての最後の大会となった1999年に次いで3回目となります。
さて、精神保健福祉士法が制定された当初は、PSWの一部を国家資格化したものが精神保健福祉士であるとしつつ、わたしたちは法制度内に留まることなく本人の自己決定の尊重を原理に据えて実践を重ねてきました。国家資格化から10年目の第44回全国大会では、佐々木敏明先生が精神保健福祉士の職域拡大によるアイデンティティ拡散への危機感に触れておられましたが、その後も精神疾患患者数やメンタルヘルス課題の増大を受け、精神保健福祉士の職場職域は多様化しています。2021年度には法規定を超えた役割への期待にも応じるべく養成カリキュラムが改正されました。各精神保健福祉士の職場特性によってクライエントの人物像や生活課題をはじめ、その業務も一段と多岐に渡っています。
さらに、新型コロナウイルス感染症の感染拡大と長期化は、仕事や家庭環境の変化に伴う失望や貧困、暴力や対立を生み、目に見える生活のみならず人々のこころにも大きな影響を与えています。また、ポストコロナの新様式が定着しつつある現在は、対面や対話を避ける傾向や、そばに寄り添い膝を突き合わせることへの抵抗感が強まっていると考えられます。SNS等に頼ったコミュニケーションは、送り手・受け手双方の意図や思い込みも加わり、情報の偏りや自己流の解釈によるすれ違いをもたらしているかもしれません。
本協会では、全国で働く精神保健福祉士が共通理念を掲げ、実践知の集積に基づく相互研鑽やソーシャルアクションに向けて連帯するうえで、毎年1回の全国大会に参集し闊達な議論を交わすこと、懇親することを大事にしてきました。その意味では、今回のオンライン開催は新たな挑戦といえるでしょう。奇しくも北海道の運営委員会が掲げた大会テーマは「創造と挑戦」です。
自らの実践を振り返り他者の実践に学び、新たな視点や技術を切り拓くことは、過去の全国大会において脈々と受け継がれてきたあり方です。今回、一同に会することはできなくとも、運営委員会の思いとして同時双方向形式によるリアルタイムのプログラム配信が用意されています。全国的な一体感を高め、拠って立つ理念を共有する仲間が全国で邁進している姿に触れ、参集できないからこそ、なおさら専門職としての揺らがぬ根幹を再確認する機会として、ぜひとも今大会をご活用ください。運営にあたる一般社団法人北海道精神保健福祉士協会及び本協会北海道支部のみなさまとともに、全国からのご参加を心よりお待ちしております。
歓迎のごあいさつ
第56回全国大会・第20回学術集会 全国大会・学術集会長
佐々木 寛
HIROSHI SASAKI
第56回公益社団法人日本精神保健福祉士協会全国大会・第20回日本精神保健福祉士学会学術集会が北海道札幌市で開催されます。本来であれば2020年9月に開催予定でありましたが、すでに2021年度開催が決まっておりました群馬県支部はじめ、みなさまにご理解・ご協力いただき1年延期となり、今年度北海道開催の運びとなりました。
何とか北海道の地で22年ぶり3回目の大会を盛大に盛り上げ、精神保健福祉士のあらたな出会いの場となるべく全力で準備してまいりました。しかしながら新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響は昨今も勢いを振るい、残念ながら北海道大会はこのたび、本協会初のオンライン開催となりました。現地会場での開催とウェブ配信の併用の大会からオンライン開催の全国大会となることに、お迎えする気持ちでおりました北海道の仲間は少々残念な気持ちもあります。しかし、オンライン開催の全国大会を前向きにとらえて、不安な気持ちを抱いておられ現地会場での参加に躊躇されていた構成員のみなさまに、声を大きく安心して参加できるオンライン開催になったことをお伝えして、感染予防に身構えず気楽に楽しんで学びあえる全国大会になるよう、急な変更ではありますが限られた時間の中、全力でお出迎えする気持ちであります。
安心参加を背景に今回のテーマである「多様性社会の創造と挑戦~伴に生きる精神保健福祉士~」を多くのみなさまのご協力のもと、オンライン開催の方法で可能な限り準備させていただきますので是非、ご参加のほどお願い申しあげます。
最後になりますが、北海道大会が本協会初のオンライン開催として盛大に終了したのちは1日でも早く安寧な社会状況がもどり、次年度の群馬大会では多くの皆さまと参集でも交流ができる全国大会で直接お会いできることを願いながら、今回は北海道の地でみなさまの参加を心からお待ちしております。
ご参加申し込みのほどよろしくお願いいたします。