| 標題 | 「第5次犯罪被害者等基本計画(案)」に対する意見について |
| 日付 | 2025年11月26日 |
| 発信者 | 公益社団法人日本精神保健福祉士協会 |
| 提出先 | 警察庁長官官房犯罪被害者等施策推進課パブリックコメント担当 |
p16 重点課題第1 損害回復・経済的支援等への取組 第2 具体的施策 2 犯罪被害者等への経済的支援等に関する施策 (1) 経済的負担の軽減に関する施策 ウ 都道府県警察におけるカウンセリング費用の公費負担制度の充実した運用 <意見> 「トラウマに特化したケア」をこの公費負担制度の枠組みで実施していただきたい。 <意見の詳細> エビデンスのあるトラウマに特化したケア(PE、CPT、TF-CBT、EMDR)は、ほとんどそのケアを求める被害者らに提供できていない状況にある。それらのケアをできる場所が限られ、また、費用がかかるなどの理由がある。警察で認知された被害者らに、効果ある治療を警察のカウンセリング費用の公的負担制度のもと実施をしていただくことを希望する。 |
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| p16 第2 具体的施策 2 犯罪被害者等への経済的支援等に関する施策 (1) 経済的負担の軽減に関する施策 カ 都道府県等における性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センター利用者の医療費等の公費負担 <意見> 予防ワクチン代も、医療費の対象にしていただきたい。 <意見の詳細> 性犯罪・性暴力被害者が、その置かれた状況に対応して、医療費及びカウンセリング費用の公費負担制度を含め、必要な支援を受けることができるよう、各都道府県等における支援環境の整備等の推進を図っていただくことは重要なことであるが、医療費の中に、緊急避妊ピルの他、感染症を予防するワクチン代も含めていただけるようご検討いただきたい。 |
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| p20 2 犯罪被害者等への経済的支援等に関する施策 (2) 居住の安定に関する施策 <意見> 犯罪被害者等にも、災害公営住宅の入居を居住施策の一選択肢として認めていただきたい。 <意見の詳細> 公営住宅の利用率が高いとはいえない状況が全国的に続いている。ただ、住宅に困る被害者は一定数おり、引っ越し等を余儀なくされる。要因分析を行い、公営住宅が利用しやすい制度設計にしていただきたい。なお、過去の大規模災害の累計で数万戸が全国に存在し、通常の公営住宅として管理・運用されているという。収入要件のない災害公営住宅(復興公営住宅)として、犯罪被害者の居住の選択肢を広げることはできないか検討いただきたい。被災と人災のいずれの被害を被った者も公正に支援をされるべきだと考える。 |
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| p23 重点課題第2 精神的・身体的被害の回復・防止への取組 第1 現状認識と具体的施策の方向性 1 現状認識 <意見> 犯罪被害者の回復に、リハビリテーションや生活支援の視点も入れていただきたい。 <意見の詳細> 「犯罪被害者等の精神的・身体的被害の回復・防止のための施策」は重要な項目であり、カウンセリング体制の充実などが図られてきた経緯は評価されるべきものである。一方で、今後求められる被害者支援では、被害者らが平穏な生活を送ることができるためのきめ細やかな日常生活自立や就労支援や生活支援である。これを支える専門職として、社会福祉士や精神保健福祉士はじめ、作業療法士などが活用可能である。地方公共団体の補助金事業としてこれらの視点を踏まえた支援メニュー例(支援調整会議にのらない被害者のケアマネジメント、リラクゼーション、就労支援等)を提示することを検討いただきたい。 |
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| p26 第2 具体的施策 1 精神的・身体的被害からの回復に関する施策 (4) PTSD等の治療に対応できる医療機関に関する情報提供 <意見> 2024年度診療報酬改定「心理支援加算」を適用できる医療機関の情報を集約し情報提供をしていただきたい。 <意見の詳細> PTSD等の疾病の治療に対応できる医療機関を「医療情報ネット(ナビイ)」で検索することが可能であるが、実際に、「トラウマに特化した治療」ができる医療機関であるか分からない。積極的に情報集約及び情報提供に努めていただきたい。その情報を国が取りまとめる過程で、医療機関が「トラウマに特化した治療」を提供する意義を認識し、心理専門職等がトラウマに特化した治療を提供できるようトレーニングを受けていく流れが進んでいくと考える。 |
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| p28 第2 具体的施策 1 精神的・身体的被害からの回復に関する施策 (17) 自動車事故による重度後遺障害者に対する医療の充実等 <意見> 自動車事故以外の犯罪被害で重度後遺障害を負った犯罪被害者にも、独立行政法人自動車事故対策機構(ナスバ)のような手厚い支援を提供していただきたい。 <意見の詳細> 交通事故の被害者でナスバの支援が受けることのできる者と、その他事件による被害者では、その後の金銭的、人的支援は雲泥の差がある。交通事故以外の重度後遺障害を負った犯罪被害者にも、ナスバのような、訪問支援や医療入所施設、友の会(自助グループ:サポートグループ)といった支援が無料で提供されることが望まれる。 |
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| p31 第2 具体的施策 2 更なる精神的被害(二次的被害)の防止に関する施策 (5) 矯正施設、更生保護官署職員等に対する研修等の充実 <意見> 被害者担当保護司の拡充をご検討いただきたい。 <意見の詳細> 現在、被害者担当保護司は各保護観察所に配置されているものの、数は限られ、身近な担当保護司として被害者に対応してくれる体制ではない。身近な地域で犯罪被害者が被害者担当保護司のサポートを受けることが出来る体制を検討いただきたい。被害当事者らからも、保護司のような地域のサポーターがほしいとの声があがっている。保護司自体が高齢化により担い手が少ないことが上げられるが、関わってもよいと考える新たな専門職(社会福祉士、精神保健福祉士、公認心理師等)に被害者担当保護司として関与してもらうなど方法はあるのではないか。前向きにご検討をいただきたい。 |
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| p32 2 更なる精神的被害(二次的被害)の防止に関する施策 (10) 医療関係者に対する犯罪被害者等の理解促進 <意見> 精神保健福祉士等を含めた医療(主に精神科医療)に関わる専門職への理解促進を促していただきたい。 <意見の詳細> 医学生や看護学生を含む医療関係者が犯罪被害者等の心情やトラウマインフォームドケア等について理解を深めるようにしていく施策になっているが、そこに精神保健福祉士学生や公認心理師学生、作業療法士学生も入れていただきたい。 |
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| p54 重点課題第4 支援等のための体制整備への取組 第1 現状認識と具体的施策の方向性 1 現状認識 <意見> 犯罪被害者等の生活支援の観点から、「地域共生社会」の枠組みに被害者も認識いただくよう、各省庁への書き込みをご検討いただきたい。 <意見の詳細> 各地方公共団体の社会保障審議会においては、犯罪被害者はその福祉の対象と認識されず今に至っている。「『地域共生社会の在り方検討会議』中間とりまとめ」が発出されているが、その中で犯罪被害者を含めるとは明記されていない。そもそも犯罪被害者施策を扱う部署が、保健福祉以外のところにあることが多いために、福祉部局とは連携が取りづらい状況にあった。加害者側もそのような意味では扱う部署が異なっていたが、近年の再犯防止推進計画を努力義務で地方公共団体が策定しはじめた頃から、福祉が関与し生活支援や就労支援が進むようになっている。犯罪被害者支援についても、地域共生社会の一員として認識されるべく、省庁を超えて対応いただきたい。 |
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| p55 2 具体的施策の方向性 (1) 各関係機関・団体における体制の充実 ア 関係機関・団体の相談対応及び支援の充実 <意見1> 犯罪被害者等支援コーディネーターについて、都道府県に対して財政面・運用面での支援を更に行っていただきたい。 <意見1の詳細> 犯罪被害者等支援コーディネーターを配置した多機関ワンストップサービス体制の整備及び効果的な運用が図られるよう、都道府県に対して財政面・運用面での支援がなされているが、専門職は常勤配置されないと、実際には十分なコーディネーター業務はできない。また専門職(社会福祉士、精神保健福祉士)の応募促進のための雇用条件の改善も検討いただきたい。 <意見2> 被害者を支援につなげるキーパーソンとして弁護士の役割は最も重要であり、司法・福祉間の連携強化体制を作っていただきたい。 <意見2の詳細> 加害者支援の視点から、再犯防止を通じて新たな被害者の発生を防ぐため、加害者支援との現場レベルでの連携体制が必要である。現在、加害者支援の現場では、勾留中から釈放に向けて、ソーシャルワークが行われており、支援の過程で被害者支援を要するケースに直面することもある。適切な支援機関につなぐためには、加害者支援に関わるソーシャルワーカーと、被害者支援に携わる専門職との連携体制が不可欠である。とりわけ、被害者を支援につなげるキーパーソンとして弁護士の役割は最も重要であり、弁護士と福祉専門職間の連携強化を構築する必要がある。被害者支援の実効性を高めるには、支援を必要とする被害者に確実に情報と援助が届くよう、専門職の連携による早期介入の仕組みづくりが重要であり、被害者支援を安定的に提供するために、行政や医療機関をはじめとする相談機関に被害者支援に精通したソーシャルワーカーを配置する措置を講じていただきたい。 ◆要望事項 1.加害者支援の現場で認知した被害者にも支援につなげる仕組みの整備 2.ソーシャルワーカー及び弁護士を含む専門職の連携体制の強化 3.医療機関や相談支援機関において被害者支援専門知識を備えたソーシャルワーカーの配置 |
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| p56 第1 現状認識と具体的施策の方向性 2 具体的施策の方向性 (2) 関係機関・団体等の連携及び支援等の情報提供 <意見> 民間も含めた犯罪被害者支援に関わる関係者からの重層的支援の積極的活用を推奨してもらいたい。 <意見の詳細> 市区町村の総合的対応窓口においては、職員が数年で異動になり、支援コーディネート機能が十分に果たせないことがあり、その場合に、市区町村の重層的支援体制整備事業の枠組みを活用する案が「犯罪被害者等支援におけるワンストップサービス体制構築・運用の手引き」に盛り込まれた。ただ、「犯罪被害者等施策と重層的支援体制整備事業との連携について」の通知(R6.7)が発出されているが、犯罪被害者が重層的支援体制整備事業の対象として支援を行われるケースは全国的に限られている。一方、同じ司法分野でも、加害者支援については、重層的支援体制整備事業のなかで再犯防止推進に向けて、関係機関と支援会議が行われ、支援の連携が積極的に行われている地方公共団体もある。その仕組みから見えてくることは、相談を受けた窓口がそれぞれ重層的支援窓口に相談できる体制である。地方公共団体の総合的対応窓口担当者のみならず、被害者支援センターはじめ、様々な被害者支援に関与する窓口が相談して、多機関連携の枠組みで被害者支援を進めることをできることを推し進めていただきたい。 (参考)尼崎市の再犯防止推進に向けた取組イメージ https://www.moj.go.jp/content/001411366.pdf |
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| p57 第2 具体的施策 1 各関係機関・団体における体制の充実に関する施策 (1) 地方公共団体における総合的かつ計画的な犯罪被害者等支援の促進 <意見> 条例の策定も大切であるが、計画作成を推し進めていただきたい。 <意見の詳細> 特化条例策定は847か所(49%)まで増えたことは大いに評価に値するが、計画等の策定は、329か所(19%)に留まっている。法的性質として、条例は地方公共団体の法規にはなるが、指針や政策文書ではない。そのため、施策の目標や方向性、連携体制など、具体的な方向方針が盛り込めないことが多いと考えられる。結果、庁内で犯罪被害者支援をする際に、連携していく体制が築きづらかったり、講演会等の実施も出来なかったりするのではないだろうか。再犯防止推進計画を例に出すと、「福祉・就労などの地域資源への確実な接続」と「地域全体での理解促進と協力体制の構築」が進んでいる。犯罪被害者支援においても、地域福祉等との更なる連携を目指し、条例に加えて、計画策定を施策として推し進めていくべきと考える。 |
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| p58 第2 具体的施策 1 各関係機関・団体における体制の充実に関する施策 (5) 犯罪被害者等支援コーディネーターの養成及び活動への支援 <意見> 犯罪被害者等支援コーディネーターの養成の質の担保として、社会福祉士または精神保健福祉士等であることを条件にしていただきたい。 <意見の詳細> 多機関ワンストップサービスの中心となる犯罪被害者等支援コーディネーターは、犯罪被害等の心情やトラウマインフォームケアはもとより、対人援助の基本や、様々な社会資源、ケアマネジメントの技術を知り、ケースワーク及びコミュニティワークができる者が担うべきものである。その質の担保を行うため、国家試験資格(社会福祉士または精神保健福祉士等)の表記を御願いしたい。近年、犯罪被害者等支援コーディネーターを都道府県ではなく、民間支援団体に委託する例もあるなか、質の担保ができないことを大いに危惧している。 |
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| p61 重点課題第4 支援等のための体制整備への取組 第1 現状認識と具体的施策の方向性 2 具体的施策の方向性 (16) 高齢者や障害者等からの人権相談への対応の充実 <意見> 高齢者や障害者等からの人権相談への対応の充実として、法務省に加え、厚生労働省においても対策を講じていただきたい。 <意見の詳細> 「老人福祉施設や障害者支援施設等の社会福祉施設において人権相談ができるよう、当該施設内に特設の人権相談所を開設するなど、引き続き、高齢者・障害者及び高齢者・障害者と身近に接する機会の多い者からの人権相談への対応の充実に努める。【法務省】(4-20)」とあるものの、高齢者、障害者施設における虐待暴力事件が跡を絶たない現状から、法務省に加え、厚生労働省も担当省として並記し、対応をしていただきたい。 |
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| p65 第2 具体的施策 1 各関係機関・団体における体制の充実に関する施策 (23) 児童虐待の防止及び早期発見・早期対応のための体制整備等 <意見> 児童虐待の防止及び早期発見・早期対応のために配置する職種に社会福祉士、精神保健福祉士を追加していただきたい。 <意見の詳細> 「キ ~略~児童心理司、保健師、弁護士、医師、こども家庭ソーシャルワーカー等の配置を支援する。【こども家庭庁】(4-38)」となっている。資格職としての教育を受け、実際現場配置されている資格であることを踏まえた現状の追認表記として、配置する職種に社会福祉士、精神保健福祉士を追加していただきたい。 |
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| p66 第2 具体的施策 2 関係機関・団体等の連携及び支援等の情報提供に関する施策 (2) 「被害者手帳」の作成・交付及び支援経過の「カルテ化」の実施 <意見> 被害者手帳をもつことのインセンティブを高めていただきたい。 <意見の詳細> 被害者手帳を作成・交付することで、被害者らの二次被害が軽減すると考えられ大変意義ある取り組みと考えられるが、この手帳をどのように活用するかが問われていると考える。まず、警察、あるいは都道府県がその手帳を発行していただきたい。同時に、被害者手帳を持つことによるメリットをご検討いただきたい。「原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律」に基づき、被爆者健康手帳を所持している方は、国の援護制度として医療費の給付を受けることができる。同様の制度設計を期待する。せめて、特定機能病院に紹介状なしで受診した場合にかかる費用である選定療養費の自己負担金は免除されることや、精神医療は自立支援医療と同様に約1割の負担でよいとった配慮が必要ではないかと考える。 |
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| p68 第2 具体的施策 2 関係機関・団体等の連携及び支援等の情報提供に関する施策 (10) 自助グループの紹介等 <意見> 自助グループに補助や支援をする仕組みを考案いただきたい。 <意見の詳細> 赤い羽根共同募金が「被害者やその家族等への支援活動助成」を行っているが、その助成で運営できる期限が限られ、当事者・遺族等の会にとっては事務的手続きで申請のハードルが高いことも多い。しかし、自助グループの力は大きく、金銭や現物給付が被害者に十分にできないのであれば、ピア(同じ課題を持った仲間)の集まりへの補助を導入すべきではないだろうか。なお、自助グループは、セルフヘルプ的要素をもったところと、サポートグループ的要素をもったグループに分かれるが、地方公共団体においても、後者のグループの立ち上げを検討いただけるように、施策上促していくことを希望する。 |
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| p68 第2 具体的施策 2 関係機関・団体等の連携及び支援等の情報提供に関する施策 (10) 自助グループの紹介等 <意見> 警察庁のサイトに、犯罪被害者団体の一覧はあるが、グリーフの当事者団体や児童虐待等の団体についても掲載すべきではないか。他の省庁で行っているなら、その情報にリンクしていただきたい。 <意見の詳細> 犯罪被害者等として、警察庁が認めている対象の方々の自助グループの情報を掲載すべきではないか。被害者支援ネットワークでも半数ぐらいが自助グループを持っているが、それらの情報公開がなされていないところも多い。被害者のニーズとして、自助グループの情報を教えてほしいといった相談は多く寄せられてきたが、それに答えることが出来てこなかった。とりわけSNSが発展する中で、当事者同士で傷つけあう結果に終わる例もある。国として取りまとめをして、情報提供いただきたい。 |
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| p77 4 人材育成及び調査研究に関する施策 (20) 社会福祉士及び精神保健福祉士の養成における犯罪被害者等に関する教育の推進 <意見> 社会福祉士及び精神保健福祉士の養成にトラウマインフォームドケアも入れていただきたい。 <意見の詳細> 社会福祉士及び精神保健福祉士の各養成課程に係るカリキュラム等を通じて、犯罪被害者等に関する理解や犯罪被害者等支援の知識を深めることに加え、トラウマインフォームドケアの教育を推進していただきたい。 |
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| p82 重点課題第5 国民の理解の増進と配慮・協力の確保への取組 2 具体的施策の方向性 (5) 性犯罪・性暴力対策に関する教育の推進等 <意見> こどもたちに、性被害について学ぶ機会を持たせることを必須としていただきたい。包括的性教育の実施を期待する。 <意見の詳細> 「こどもたち自身が性に関して正しく理解し、適切な行動をとることができるよう、学習指導要領に基づき、こどもの発達の段階に応じて、学校教育活動全体を通じた着実な指導を実施する。」となっているが、性教育については、性被害とは何かを教育の中で学ぶ機会を持つ取り組みを明確に追記してはどうか?こどもたちがグルーミングを受けて大人から性被害を受ける事案や親(内縁も含む)から性被害を受ける事案も発生しており、こどもたちが性被害について認知できる学習する機会を作ることが必要と考える。「生命の安全教育」の活用もあるが、国際的に知られる包括的性教育の枠組みで指導をしていただきたい。 |
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| p86 重点課題第5 国民の理解の増進と配慮・協力の確保への取組 2 国民に向けた広報啓発に関する施策 (8) 被害が潜在化しやすい犯罪被害者等に対する相談体制の充実及び理解の促進 <意見> 精神障害にも対応した地域包括ケアシステム(にも包括)で、犯罪被害者が対象であることを明記していただきたい。 <意見の詳細> 被害が潜在化しやすい犯罪被害者の一定数は精神的不調をきたしておられる。精神障害にも対応した地域包括ケアシステム(にも包括)のなかで、犯罪被害者の存在について明記頂くことが重要だと考えらえる。国立精神・神経医療研究センターが主催するPTSD対策専門研修において、「にも包括」において被害者も含まれることを伝えてくださってはいるが、全国的には認識がまだまだ薄いと考えられる。 |
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| p87 2 国民に向けた広報啓発に関する施策 (12) 交通事故統計データの充実 <意見> 交通事故統計データのみならず、被害者全般の相談件数を開示すべきではないか。 <意見の詳細> 児童虐待やDVについては、警察統計のほか、児童相談所や配偶者暴力相談支援センターの相談件数が毎年発表されている。犯罪被害者支援については、警察の認知件数の数値は公表されているものの、全国的な相談件数の統計が存在しない。地方公共団体に数値を出させ、全国統計を公表していくことが、被害者支援の普及啓発につながり、潜在的被害者への救済につながると考える。 |
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| 標題 | 今後の障害者雇用施策に係る要望書 |
| 日付 | 2025年11月13日 |
| 発翰番号 | JAMHSW発第25-309号 |
| 発信者 | 公益社団法人日本精神保健福祉士協会 会長 田村綾子 |
| 提出先 | 厚生労働省 職業安定局 障害者雇用対策課長 河村のり子 様 |
平素より本協会事業に格別のご理解ご協力を賜り、また、貴課におかれましては障害者の一般就労推進に向けご尽力いただいておりますこと、深く感謝申しあげます。 さて、障害者雇用制度につきましては、2024年12月より開催されている「今後の障害者雇用促進制度の在り方に関する研究会」においても活発に議論が進められており、障害者が働く環境の整備が前進することに期待しているところです。 精神障害者の社会的復権に取り組み続けている本協会といたしましても、これまで以上に開かれた就労機会の確保や労働者としても障害者としても当たり前の権利が守られることが重要と考えます。 つきましては、本協会として、企業にとっても当事者にとってもより良い制度運用となるよう下記のとおり要望いたしますので、上記研究会及び労働政策審議会障害者雇用分科会における議論の参考としていただけますよう、ご配意のほどよろしくお願い申しあげます。 |
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| 記 | |
| 1.障害者雇用納付金制度の活用見直しについて 障害者雇用納付金制度の現状として、障害者雇用調整金の一部および報奨金の大半が就労継続支援A型事業所の運営法人に支給されていると認識しております。一方で、企業が障害者を雇用する際に活用される職場適応援助者助成金は近年増額されたものの、その支援は必ずしも十分とは言えません。また雇用率達成に課題を抱える中小企業にとっては、障害者雇用のための費用やノウハウの確保が大きな障壁となっています。 つきましては、障害者雇用納付金制度の趣旨に立ち返り、就労継続支援A型事業所の適用については公平性の観点から慎重にご議論いただき、一般企業、特に中小企業における障害者雇用がさらに促進されるような制度運用の見直しを要望いたします。 |
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| 2.いわゆる障害者雇用代行ビジネスへの対応について 障害者雇用促進法は、障害者が職業生活において自立できるよう、雇用機会の確保や職業能力の開発・向上を図ることを目的としています。しかし、いわゆる障害者雇用代行ビジネスは、実態として雇用先の企業ではなく代行事業者側が雇用管理を行うため、障害者の職業能力の向上や企業内で働くことによる社会参加の機会が限定的となり、企業が障害者雇用のノウハウを蓄積する機会を失うとともに障害者のキャリアアップや長期的な就労安定を阻害する要因となります。世界的な潮流であるノーマライゼーションやソーシャルインクルージョンといった理念とも相反するものと認識しております。 また、障害者雇用代行ビジネスの広がりは真摯に障害者雇用に取り組んでいる企業との間に不公平感が生じ、雇用率の達成が金銭で解決できるのであれば企業が自社のリソースを投じて雇用環境を整備するモチベーションが失われ、結果として障害者雇用の全体的な進展を妨げることになります。 つきましては、障害者雇用率の仕組みを濫用したビジネスモデルに対し、指導と対策を講じ、制度本来の意義である障害のない人と障害のある人が一緒に働くインクルーシブな職場づくりを基本とした制度運用を徹底することを要望いたします。 |
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| 3.事業協同組合等算定特例における就労継続支援A型事業所運営法人の取り扱いについて 現在、事業協同組合等算定特例を用いて有限責任事業組合(LLP)に就労継続支援A型事業所を組み込む形でのビジネスモデルが散見されます。これは、障害者雇用代行ビジネスと同様に、障害者雇用率の達成を目的とした売買の仕組みを助長しかねず、制度の趣旨を逸脱する可能性を孕んでいます。 よって、事業協同組合等算定特例の対象から就労継続支援A型事業所運営法人を除外することをご検討いただきたく、要望いたします。 |
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| 4.精神障害者の「重度枠」の検討について 重度の精神障害を抱える方の一般企業での就労を促進するためには、企業に対してより積極的な雇用を促すためのインセンティブが必要であると考えます。つきましては、精神障害における「重度枠」に関する検討をお願いいたします。 また、週20時間以上30時間未満の精神障害者の実雇用率の算定特例について継続を要望いたします。 |
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| 5.雇用継続期間中に障害者手帳に該当しなくなった方への継続雇用インセンティブについて 雇用開始時点で精神障害者保健福祉手帳を所持していた方が、雇用継続期間中に精神疾患が回復し、障害者手帳の交付対象から外れるケースが見られます。これは、ご本人の努力と企業の支援により精神状態が改善したという大変喜ばしい成果であります。しかしながら、現行の制度では、障害者雇用率のカウント対象から外れることとなり、企業側へのインセンティブがなくなることから、当該雇用されている方が雇用の継続について不安を抱える事態が生じております。 つきましては、在職中に障害者手帳の交付対象から外れた方々についても、ご本人の希望に応じ、安心して働き続けられるよう、何らかの対策を講じていただくことを要望いたします。 |
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| 以上 | |
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| 標題 | 大学生の薬物問題における「実名」「顔出し」報道に対する意見書 |
| 日付 | 2025年8月28日 |
| 発信者 | 依存症問題の正しい報道を求めるネットワーク ※本協会は本意見書への賛同団体 |
| 提出先 | BPO(放送倫理・番組向上機構)御中 |
[PDF版はこちら(1.12MB)] |
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| 標題 | 「民法(成年後見等関係)等の改正に関する中間試案」に関する意見書 |
| 日付 | 2025年8月25日 |
| 発翰番号 | JAMHSW発第25-209号 |
| 発信者 | 公益社団法人日本精神保健福祉士協会 会長 田村綾子 |
| 提出先 | 法務省民事局参事官室 御中 |
平素より本協会事業に格別のご理解、ご協力を賜り、深く感謝申しあげます。 本協会は、精神障害者の権利擁護の重要性に鑑み、2009年に認定成年後見人ネットワーク「クローバー」を設置し、主に精神障害者に対する成年後見人等の養成、候補者推薦等を行う認定成年後見人ネットワーク「クローバー」運営事業を実施しております。 さて、2025(令和7)年6月25日付でご依頼のありました掲題中間試案について、精神保健福祉士専門職後見人等の法定後見における経験を踏まえ、下記のとおり本協会の意見・要望を提出いたします。 つきましてはご高配のほど何卒よろしくお願い申しあげます。 |
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| 記 | |
| 私たちは、被後見人等の意思判断能力を、障害程度や精神疾患の症状の有無のみで規定はできないと考えます。地域で豊富な人間関係に支えられて暮らしている方もいれば、精神科病院に長期入院し続け、自分の意思を形成するための情報が限られている方もいらっしゃいます。被後見人等がどのような環境に暮らしてきたのかという観点を考えることが大切です。その経過から今般の中間試案で示された成年後見制度の見直しの必要性に賛同いたします。 |
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| 精神保健福祉士は、精神障害のある方の固有の状況に合わせて支援してまいりました。地道な情報提供や話し合いを続け、様々な出来事を経験する過程において、ご本人の不安は自信に変わり、主体的に行動する意欲が育まれることを知り得ております。支援者らによる関わりを通して、ご本人の意思の形成、表明、実現が変わることを重視すべきです。 |
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| 今回の民法(成年後見等関係)等の改正における「法定後見制度の枠組み、事理弁識能力の考慮の方法並びに保護開始の審判の方式及び効果」では、類型を一元化した乙1案を支持いたします。乙2案の予め類型を残す枠組みは残すべきではないと考えます。障害程度や症状で固定的に判断し、類型にあてはめる方法は無くすべきです。乙1案にあるように、ご本人の生活に必要な事項に特化して、個別に判断し、権限を付与する方が、被後見人等の自己決定を必要以上に制限することがなく、また、障害者権利条約の問題提起に応える意味でも適合していると考えます。 |
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| 「第2 法定後見の終了」の「2 法定後見に係る期間」については、家庭裁判所が法定後見を開始する際に期間を定め、更新がない限り期間満了時に法定後見が終了する乙1案を支持します。漫然と不必要な権限を有し続ける仕組みは避けるべきだと考えるためです。例えば、地域で孤立した状況におられる方には、後見人等や支援者を中心に生活の環境を整え、意思決定の機会を増やすことができます。経験を積み重ねた結果、当初必要とした代理権等が不要になる場合があると思われます。被後見人等への関わりによって生まれる変化を確かめ、既に有している権限の内容を精査し、その要否を判断することが重要と考えます。 |
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| 最後に、「第3 保護者に関する検討事項」の「2 保護者の解任(交代)等」については、申立て前にご本人の意思を聞き、選任の判断に活かすのと同じように、後見人等の交代でも解任事由の有無だけではなく、ご本人等の意思を尊重した検討が行われる仕組みが必要であると考えます。さらには、乙案の「解任事由に関して本人の利益のために」という記載部分には、本人の利益に加えて本人の意思の尊重も含める表現を加えていただきたいと思います。 |
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| 以上 | |
| [PDF版はこちら(145KB)] | |
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| 標題 | 平和社会の構築に向けたソーシャルワーカーとしての決意と呼びかけ(声明) |
| 日付 | 2025年8月15日 |
| 発信者 | 日本ソーシャルワーカー連盟(JFSW)/公益社団法人日本精神保健福祉士協会 会長 田村綾子、公益社団法人日本社会福祉士会 会長 山下 康、公益社団法人日本医療ソーシャルワーカー協会 会長 早坂由美子、特定非営利活動法人日本ソーシャルワーカー協会 会長 保良昌徳 |
https://jfsw.org/2025/08/15/4166/ |
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| 標題 | 障害年金不支給問題に関する意見 |
| 日付 | 2025年7月18日 |
| 発信者 | 公益社団法人日本精神保健福祉士協会 会長 田村綾子 |
本協会では、4月下旬の障害年金の裁定における精神障害者の不支給増加の報道を受け、2025年5月に全国の精神保健福祉士を対象とした緊急アンケート調査を実施しました。その結果、裁定について、前年度までと比較して「変わらない」との回答が約半数でしたが、一方で「判定が変わった」との回答も半数ありました。具体的には、「診断書と実際の生活状況との乖離」「就労状況のみを重視する傾向」「裁定結果に関する理由が抽象的で不支給理由が不明確」といった声が寄せられ、特に、その後、厚生労働省年金局から公表された「令和6年度の障害年金の認定状況についての調査報告書」(以下「報告書」という。)でも指摘されたように「目安より下位等級に認定され不支給となっているケース」の増加に関する意見が多数を占めていました。 この報告書では、特に精神障害の新規裁定における非該当割合の上昇や、「障害等級の目安」と実際の認定結果との乖離が拡大しているケースなどが指摘されています。これを受けて、事前確認票の運用改善、職員による等級案記載の廃止、理由付記の明確化、複数の認定医による審査の拡大、過去の不支給事案の点検と必要に応じた支給決定、認定審査委員会の透明化と福祉職等の外部委員の参画など、改善策が打ち出されたことは、本問題の可視化と改善に向けた第一歩として評価できます。 本協会としては、精神障害に関する認定が、依然として他の障害種別に比して不安定かつ主観的な判断に左右されがちであることを踏まえ、現在の申請書類では捉えきれない精神障害によって生じる個々の社会生活上の障害の実態をより反映される書式や評価基準の整備、不支給決定通知書等に同封する理由付記文書への具体的で因果関係が明確でわかりやすい記述、認定審査委員会の透明性と精神保健福祉士の参画について、今後、時宜をとらえて国に求めていきます。 なお、私たち精神保健福祉士は障害年金申請の支援等において、障害年金制度への理解はもちろんのこと、社会保険労務士への紹介だけで終わらせることなく、一連の申請手続きに必要な知識を備え、制度活用のプロセスに寄り添うことが肝要です。そのため、一層の研鑽を重ね支援の質を高める姿勢が不可欠と考えます。 引き続き、構成員の皆さまのお力添えを賜りますよう、お願い申しあげます。 [PDF版はこちら(216KB)] |
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| 標題 | 生活保護基準引き下げ訴訟に関する最高裁判決についての声明 |
| 日付 | 2025年7月9日 |
| 発信者 | 日本ソーシャルワーカー連盟(JFSW)/公益社団法人日本精神保健福祉士協会 会長 田村綾子、公益社団法人日本社会福祉士会 会長 山下 康、公益社団法人日本医療ソーシャルワーカー協会 会長 早坂由美子、特定非営利活動法人日本ソーシャルワーカー協会 会長 保良昌徳 |
https://jfsw.org/2025/07/09/4040/ |
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| 標題 | 2026(令和8)年度診療報酬改定に関する要望について |
| 日付 | 2025年5月29日 |
| 発翰番号 | JAMHSW発第25-84号 |
| 発信者 | 公益社団法人日本精神保健福祉士協会 会長 田村綾子 |
| 提出先 | 厚生労働省 保険局 医療課長 林 修一郎 様 |
平素より本協会事業に格別のご理解、ご協力を賜り、深く感謝申しあげます。 さて、2024年4月に改正精神保健福祉法が全面施行となり、医療保護入院者をはじめとする退院促進措置の強化が図られているところです。また、新たな地域医療構想に精神医療が位置づけられる予定となっており、精神障害にも対応した地域包括ケアシステム(以下「にも包括」という。)の構築の推進と相まって、地域における精神医療提供体制の改革が進められていくものと認識しております。 つきましては、2026年度の診療報酬改定に向けて以下のとおり要望いたしますので、ご高配のほど何卒よろしくお願いいたします。 |
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| 記 | |
| 1.通院・在宅精神療法(I002)の療養生活継続支援加算に係る要望事項 (1)初期集中支援として初回の算定時から起算して3月以内に限り、1月につき3回を限度として算定できるようにしてください。 <理由> 療養生活継続支援の導入初期(支援の開始から3か月程度)には、対象となる患者本人との面談や、関係機関との連絡調整、カンファレンスの実施等のために集中して取り組む場合が多く、時間や回数を要するため1月につき3回まで療養生活継続支援加算の算定が必要と考えます。 なお、より多くの医療機関が療養生活継続支援に取り組めるように、本協会において当該支援に係る研修ツールの開発を予定しております。 ※本要望事項の根拠として、実際の療養生活継続支援の事例を2025年7月末までに提出する予定です。 (2)持続性抗精神病注射薬剤の投与等により診療間隔が1月を超える患者で「包括的支援マネジメント導入基準」を1つ以上満たす者については、当該加算を月1回算定できることとしてください。 <理由> 持続性抗精神病注射薬剤を投与されている患者では、診療間隔が1か月以上空く場合があります。また診療間隔が空いている患者について、次の診察を待たずに必要に応じて精神保健福祉士等が介入することで、医療中断を防いだり、孤独・孤立を予防できたりする場合があります。その様なケースへの面接、連携が必要なため算定できるようお願いいたします。 ※本要望事項の根拠として、実際の支援事例(コメディカルによるかかわりはあるが医師の診察間隔が空くケースであって、医療中断しそうだったが、介入により中断が避けられた事例等)を2025年7月末までに提出する予定です。 |
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| 2.精神障害にも対応した地域包括ケアシステムの構築の推進に向けて、一定の要件を課したうえで、精神科医療機関の外来診療部門における精神保健福祉士の配置を評価する精神科地域連携体制充実加算を新設してください(通院精神療法の加算)。 [算定要件] ・療養生活継続支援加算に係る施設基準届出をしていること ・保険医療機関に所属する精神保健福祉士が所在する市区町村等の(自立支援)協議会や「にも包括」に資する協議の場に参画していること <理由> 「にも包括」の構築においては外来・在宅診療を担う精神科医療機関の役割が一定程度必要であり、医療機関と行政(保健所など)や地域援助事業者等との連携が十分に発揮されないと、患者に対する医療を含む包括的な支援が確保されているとは言いがたい状況にあります。現在、厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部が開催する「精神保健医療福祉の今後の施策推進に関する検討会」では、外来等での多職種による支援を求める意見が出ているところです。このような機能の重要性を理解して支援を実践している医療機関が少なからずあり、精神保健福祉士を外来診療部門に配置している医療機関に対して診療報酬で評価する必要があると考えます。 外来通院はしているものの、それ以外に外部との接触・交流機会がないなどの患者にとっては、地域内の関係機関との連携等に強みを持つ精神保健福祉士が外来診療部門にいることで、より自分らしい生活を叶えるための体制が構築され、福祉や介護など必要な支援につながりやすいというインセンティブがあります。多職種を雇用している精神科診療所医療機関においては連携が取りやすいという調査結果があり、また医師のタスクシフトにも貢献しています。 <参考文献> 大阪の精神科診療所の有志 ワーキングチーム:診療所には精神保健福祉士を必要としている人がいます.2017年3月 参考文献から読み取れる内容は、以下のとおりです。 精神保健福祉士の行う支援は通院患者の日常生活での困りごと、医師には言えない病状のこと、どこともつながりがない患者の話を聞き、受け止め、一緒に考える等をしている。数値や形にみえる物ではないが、少しずつ信頼関係をはぐくみながら、本人の望む生活を聞き取り、それらに近づくために様々な社会資源を提案、選択、利用を繰り返してゆく。 また、福祉や介護等につながりのある患者には、本人の意向に沿った連絡、相談を各機関と行い、点や線だけでなく面で支えられるように所謂連携を電話や対面等で行う。時に関係機関が集まり本人を中心としたケア会議を開催し、よりその人らしい生活を目指すために目的を一致し、より連携を深めやすくする。 これらの支援に対し、患者からは話すことで安心できる、信頼できる、前向きになれた、経済面が改善された等の意見がある。 関係機関や行政からは、窓口的な役割が明確で相談しやすい、連携がスムーズ、他のケースの話しも相談にのってくれてありがたい等の意見がある。 このように業務内容は多岐に渡り個別支援、院内連携、多職種連携、他機関連携等回数や時間で推し量れないが、精神保健福祉士が外来部門にいる・いないでは、いる方が患者にも他機関にもこれから受診をする人にも、有効性が参考文献から理解できる。 |
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| 3.精神科退院前訪問指導料(I011—2)の算定回数を一部緩和してください。 <具体的要望内容> 現行では、当該入院中3回(入院期間が6月を超えると見込まれる患者にあっては、当該入院中6回)に限り算定することとされておりますが、「住環境の整備を含め地域生活への移行に向けて重点的な支援を要する患者」「療養生活継続支援加算の『導入基準』を複数項目満たす患者」「障害者総合支援法に規定する『地域移行支援』を利用できない患者」等に対象を限定して、当該入院中6回(入院期間が6月を超えると見込まれる患者にあっては、当該入院中12回)に限り算定できることとしてください。 <理由> 長期入院者の退院阻害要因は「本人の意欲がない」「家族の受け入れ拒否」「社会資源の不足」等があげられます。長期入院等の患者に精神保健福祉士等が同行して施設見学に行ったり、単身者用のアパートをみたりすることが、本人の意欲喚起につながり必要となります。また、家族との同居が難しい場合には、単身アパート生活やグループホームの利用に向けて、精神保健福祉士等が一緒にアパートを探す、体験利用に同行する等があり、退院後の生活に必要な物品の購入、入居先の片付け等の環境整備のために、現行の規定回数以上の訪問指導を行う場合があります。また、患者の受け入れ態勢が整っていない家族との調整のために、何度も患家に通い、理解を求める場合もあります。 ※本要望事項の根拠とすべく、当協会として調査を行う予定です。退院前訪問を規定回数以上行ったことがある事例を収集し、算定回数の制限を緩和する対象者像を明らかにして、提示します。 |
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| 4.精神科地域移行実施加算(A230-02)の対象を、現行の「精神病棟における入院期間が5年を超える患者」から「1年を超える患者」としてください。 <理由> 別紙資料からは、在院期間が1年以上5年未満の患者数の2008年と2023年の比較において-11%であり、他の「5年以上10年未満」(-22.1%)、「10年以上20年未満」(-33.8%)、「20年以上」(-55.4%)より減少率が低く、この期間の退院に向けた重点的な取り組みが必要であると考えます。1年以上の長期入院者の退院促進に評価が結びつくことで、さらなる長期入院者の減少が進むと推察します。 ※地域移行実施可算を算定している医療機関は2023年で369カ所 ※別紙「2008年度と2023年度の在院期間別患者数の比較と増減率」 |
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| 5.医療機関における「地域移行支援」を実施する一般相談支援事業所との連携を診療報酬において評価してください。 <具体的要望内容> 包括的支援マネジメント導入基準に該当する項目を充てる等により、対象とする患者の状態像を明確にしたうえで、地域移行支援計画書の添付、ケア会議の議事録、療養生活継続支援加算の計画書作成等を要件として、医療機関が地域移行支援導入実施加算(仮称)を算定できることとしてください。 <理由> 地域移行支援の体制整備は各市町村で行われてきているが、地域差があり、体制整備が進んでいる所とそうでない所の差があります。また、精神科病院の入院患者のうち社会的入院であることが推察される「在院期間1年以上の任意入院者」は78,781人(R6年度630調査)となっています。この中には要介護状態の高齢患者も含まれていると考えられ、高齢者施設等への移行も順次行われているところです。一方それ以外の年齢層では、支援があれば退院できる患者も数多くいると考えられます。 現状では地域ごとの支援体制整備に差があることが、精神科病院個々の地域移行支援の導入に対する考え方に影響を与えている側面があると考えます。そのため、精神科病院に積極的に地域移行支援を利用してもらうために、一般相談支援事業所との連携を診療報酬上評価することで、地域体制整備は進み、受け入れ体制も整っていくと考えます。 |
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| 標題 | 公益社団法人日本精神保健福祉士協会設立60周年宣言 精神保健医療福祉の未来を拓く~新たな時代への誓い~ |
| 日付 | 2025年4月19日 |
| 発信者 | 公益社団法人日本精神保健福祉士協会 |
私たちは、『精神保健医療福祉の将来ビジョン』の達成に向けて、すべての精神保健福祉士とともに以下を実践することを、ここに宣言します。 1 精神障害者の「社会的復権」を実現し、すべての人の尊厳や人権が守られ「ごく当たり前の生活」を送ることができるよう、わが国の精神保健福祉の増進と精神医療の改革に寄与します 2 すべての精神保健医療福祉の現場における官民協働チームのなかにあって、「当事者主体」の視点を貫きます 3 精神保健福祉士の社会的認知度の向上に努めるとともに、その魅力や役割を広く発信し、資格取得支援や研鑽制度の充実、働きやすい環境の整備など、人材の確保に力を注ぎます 4 社会情勢や環境の変化が人びとにもたらすメンタルヘルス課題への適切な対応、及び、課題解決や伴走に必要な力を備えた精神保健福祉士を育成します 5 戦争や紛争、侵攻といった社会的危機に対して、戦後80年を迎えるわが国のソーシャルワーカーとして平和を希求し、持続可能な平和の実現に貢献します 6 一人ひとりの「想い」に寄り添い、誰もが自分らしく生きることのできる社会をともに創り、すべての人が「コノ邦ニ生キル幸セ」を実感できるような社会の実現を目指します 私たちは、新たな時代への誓いを胸に、精神保健医療福祉の未来を切り拓いていきます [PDF版はこちら(114KB)] |
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