2017年8月4日(金)から6日(日)の期間に、大橋会館(東京都渋谷区)にて、「第13回認定スーパーバイザー養成研修・基礎編」「第12回認定スーパーバイザー養成研修・応用編」「第11回認定スーパーバイザー更新研修」を開催しました。ここでは、受講者及び修了者から各研修の報告を掲載します。
自己紹介の様子 | 全体会での発表の様子 | 修了証書(聴講)の授与 |
医療法人 東北会病院(宮城県)/経験年数15年 齊藤 健輔
(第13回認定スーパーバイザー養成研修・基礎編)
参加当初の主たる目標は、「後輩や部下への教育や指導を如何にするか」ということでした。それが3日間の研修を終えて大きく目標を修正することとなりました。
ソーシャルワーカーの教育や指導はいわゆる職人の世界のように、「技を盗め」「背中を見て育て」というような理論や根拠よりも先人の経験則や感覚的なものだという印象が強くありました。現に自分自身が教えてもらえたというより自分で切り拓いてきたという自負があるからでした。今まではそれでも良かったのです。
しかし、自分が指導や教育の立場になった時にその術がないことに困りました。理論や根拠に基づいた指導や教育をしなければという思いと同時に若いソーシャルワーカーの「ゆらぎ」に触れて、この専門職としての葛藤や苦悩にどう寄り添うことが出来るのか。振り返ると後者の方がこの研修に参加する大きな動機だったと思います。
この研修は、講義とリフレクション(振り返り)とグループワークがセットになった内容であり、都度気づきと視野の広がりを実感できる内容でした。自分のグループ演習では特にOJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング)や事例検討とスーパーバイズの違いについて多くの意見が出され、より理解を深めることが出来たと思います。
スーパーバイズとは、スーパーバイザー(以下SVR)がスーパーバイジー(以下SVE)とクラエントとのかかわりを共に振り返りSVEに焦点を当てて、かかわりを再考しながらSVE自らが気づき成長していくプロセスに寄り添うことだと学びました。今現在、自分の目標は「同じソーシャルワーカーの仲間の専門的価値と自律性をサポートし、共に成長すること」と大きな変化を遂げています。
そして、この3日間の中で自分自身の強みや課題に気づき、スーパーバイズというかかわりを通して成長していこうという動機を大きく引き出してもらえました。この研修そのものがスーパーバイズの精神を体現しているのだと思います。次の実践編に今度は自分がSVR(仮)としてSVEとの関係の中で共に作り上げていきたいです。
最後に講師の先生方、運営スタッフ、参加者のみなさま、職場の仲間、クライエント、そして自分の家族に心から感謝しています。ありがとうございました。
開講式 | 演習の様子 | 閉講式 |
未来の風せいわ病院 社会復帰支援室(岩手県)/経験年数13年 藤原 隆之
(第12回認定スーパーバイザー養成研修・応用編)
応用編に進むまでの過程は、中間査読で合格すること、再レポート、再々レポート、再々再レポート、査読者との面談や基礎編を再受講すること、基礎編を受けて更に1年間SV実践を継続し1年後の更新研修に参加し、実践報告をすること等々がある様です。
認定SVR取得の動機は、都道府県協会や職場から頼まれて認定SVRを目指す方も中にはいたかも知れないですが、多くは何らかの目標をもって自主的に参加しています。
午前中の演習1で査読結果を受けてのレポートをグループに分かれて発表し合いました。参加者が時間とお金を相当費やしてまで、認定SVRを目指してきた理由はどこにあるのかを共有しながら、改めて自分の動機を振り返ることが出来ました。
1年間のSV実践と査読を受けた後の感想として「何故そこまで自分のSV実践やレポートを、お互いに良く知らない査読者に否定されなくてはならないのか?」といったところが共通していたと思われます。
私自身、教育的で指示的なコメントに何度も心が折れました。何度も何度も査読者のコメントとSV実践を振り返り、査読者は何を伝えたかったのか?コメントにはどんな意図があるのか?皆が考え、悩んできた1年であったことがわかりました。
私は、基礎編を再受講することで、更に査読者が伝えたかったことの理解が進みました。また、休憩時に講師陣から裏話的に査読者側の苦悩も説明があり、参加者からは「査読者と面談をもっと早くお願いしたかった。紙面でのやりとりには限界があるのではないかと思った。査読に対して質問を3回まで認めて欲しい」等々の意見も出され、相互理解が深まりました。
午後の演習2では、午前中に思いのたけを吐き出せた為に、冷静な頭となりそれぞれの課題が見えてきました。私自身は、SVの目的はSVEの成長を中心にしている点。SV契約時点でのゴールのすり合わせがとても重要である点。クライエントとSVE、SVEとSVRの関係はパラレル関係と理解すること。支持的SVとは否定しないことではないこと。教育的SVでは価値や倫理を扱うこと。SVには、SVEへの徹底した配慮と責任が伴うこと等々が整理できました。
仲間と一緒に苦しみを乗り越え、自分自身にとことん向き合う経験を通し、今後のSVに活かしていく覚悟が出来ました。1年間試行的SVに協力して下さった皆様に、改めてこの場をお借りして感謝を伝えさせていただきたいと思います。
開講式 | 石川到覚講師による講義 | 修了証書の授与 |
医療法人積仁会 共同生活援助事業所ながさか(石川県)/経験年数18年 伊藤 千尋
(第11回認定スーパーバイザー更新研修)
2013年に認定スーパーバイザーとなり、2017年8月5日に初めての更新研修を受講しました。更新研修を受けるにあたり、所属する県協会平成27年度から行っているグループスーパービジョンでの実践を報告レポートとしてまとめました。レポートをまとめながら、スーパーバイザーとして実践してきたことを内省しつつ、緊張の中更新研修の当日をむかえました。
更新研修は13名の受講者がおり、研修ではまずそれぞれまとめたレポートをもとに実践報告を行いました。個別スーパービジョン、ピアスーパービジョン、グループスーパービジョンとそれぞれの実践報告があり、私の想像以上にグループスーパービジョンの実践報告も多く、報告を聞くことで参考になる点がたくさんあり、またスーパーバイザーとして同じように悩んでいることがわかり気持ちが少し楽になりました。新たな視点の発見もありとても気づきの多い時間となりました。
午後からの石川到覚先生の講義では、スーパービジョンの必要性(人材育成するために整える時代がきていること)や実習スーパービジョンから専門職スーパービジョンへの連続性について、そして同職のみならず職域を超えた地域内のソーシャルワーク人材養成を同じコミュニティづくりを目指すスーパーバイザー同士が展開することについての話があり、スーパーバイザーとしてあらためて大切な視点を確認することができました。講義の中で、スーパーバイザーとしてワーカーアイデンティティの共通語を誰にでもわかる言葉で自分がたくさん持っているかという話が印象に残り、これからの自分の課題としていきたいと感じました。また、スーパービジョンの段階的な展開として、職場内においても直接の上司にあたる人ではなくスーパーバイズが得意な人に業務として任せスーパーバイズ体制を作っていくことについての話もあり、実際私が所属するグループでもそのような仕組みづくりをしていきたいと感じました。
今回の研修で、自分自身の、ソーシャルワーカーとしてスーパーバイザーとしての実践を振り返る機会となりました。基礎編、実践編、応用編で学んだスーパーバイジーとのかかわりはソーシャルワーカー=クライエント関係を重視すること、なぜ今スーパービジョンが大切なのか何を伝承していくのかということを改めて整理することができました。これからも自己研鑽を行いながら、職場内や都道府県協会において自分にできることを行っていきたいと思っています。とても有意義で気づきの多い研修を受けることができました。ありがとうございました。