2016年8月5日(金)から6日(日)の期間に、大橋会館(東京都渋谷区)にて、「第12回認定スーパーバイザー養成研修・基礎編」「第11回認定スーパーバイザー養成研修・応用編」「第10回認定スーパーバイザー更新研修」を開催しました。ここでは、受講者及び修了者から各研修の報告を掲載します。
開講式 | 演習の様子 | 修了証書の授与 |
医療法人社団翠会八幡厚生病院 サポートやはた相談支援センター(福岡県)/経験年数16年 三重野 芳美
(第12回認定スーパーバイザー養成研修・基礎編)
「あなたはPSWですか?今後もPSWで在り続けたいと思いますか?」講師の問いかけが、研修を終えた今でも響いています。
13年勤務した病院から、地域に出てきて3年。サッカーで言うと日々アウェーでの試合、ボールも丸かったり四角かったりすることに驚き、ゴールの位置や形、時にはルールも違う試合で、利用者さんと一緒に泣いたり笑ったり・・・総じてにぎやかに過ごしながらも、「このままでいいんかな・・・」と漠然とした不安を抱えていました。
2010年の実習指導者講習会が自分にとって大きな転機となったことを思い出し、「SVを受けて自分を振り返りたい」と県支部の先輩に相談すると、意外にも、このSVR養成研修の受講を勧められました。最初は、「ええっ、まさか・・・」と思いましたが、実際に受講を終えてみると、先輩の意図は全く「意外」ではなかったんだ、と気づきました。
講義から演習の濃厚な時間、講師の皆さんの和やかな雰囲気の中で、グループメンバーの切れのある発言になるほど、とうなずきながら、「私も、自分の言葉で語りたい!」と思いました。安心して語る中で、見つけたのは、漠然とした不安の正体が、ソーシャルワークのツールとしての自分自身の自信のなさ、「軸」の不確かさによるものだということでした。
私にとって、この講習は専門性を確認し、拠り所となる「軸」を安定させ、ツールが周囲にも自分にも安全に機能できるよう、点検し研ぎなおす作業となりました。ジレンマを抱いている自分を認め、そこに向き合う勇気をもらった、というべきでしょうか。それは一人でできることではなく、語る相手を通して言葉にする「大きな力」を借りて、一緒に前に進んで行くイメージかな・・・と感じました。
このように、多くの講師陣やグループのメンバーたちからSVを受け、自分を振りかえり気づきを共に分かち合う貴重な時間を持てたことを感謝しています。これから一年間、仮免許SVRとしてSVEと出会うことになるのですが、どんな気づきを一緒に見つけることができるのか、わくわくしているところです。そこから良い循環が途切れることなく続いていくことができれば・・・と。
この研修で「安心して語る」経験を通し、その間、私を育ててくれた利用者さんや、先輩方がすぐそばにいるような心強さを感じました。この場を借りて、お礼申し上げます。
そして、日々頑張っているんだけど、何かもやもやしている方、認定SVRなんて敷居が高いと思ってらっしゃる方、まずは一緒に、メンテナンスして元気になりましょう。お待ちしています。
未来の風せいわ病院(岩手県)/経験年数12年 藤原隆之
(第12回認定スーパーバイザー養成研修・基礎編)
現在、岩手県内には日本精神保健福祉士協会の認定SVRは1名のみの状況です。(岩手県支部会員数約150名)数年前、支部研修会で柏木昭先生を講師にお招きして以来、SVについてもっと身近で受けられることへのニーズがあると感じました。また、理事会では、県内でもSVが受けやすい環境を作って行きたいと相談してきました。
昨年、職場の人事で相談室からデイケアの配属となり、総勢28名の多職種チームの管理を任されるようになりました。日々、職場内のOJT・多職種とのコンサルテーションを行ってきましたが、SVについて学び、きちんと区別し使い分けられるようになりたいと考え、今回受講をしました。受講要件の一つに認定SVRから事前に1時間以上の面談をする必要があった為、盛岡観山荘病院の相談室長の山舘さんにお願いし、契約書を交わしSVを受けました。「SVRは自分の価値観をおしつけるのではなく、SVEの目線で、SVEが自らの実践を振り返られるように支持的にサポートし、相互の学びの機会とする」と確認できました。
養成研修の中でSVとは「ソーシャルワークを実践する専門職同士での契約に基づき、一定程度の経験を有する先輩ソーシャルワーカーが、新人ソーシャルワーカー等の、現場での学びを手伝うプロセス」と定義されます。また、SVRとSVEの「かかわり」であり、SVEによる自己自身の点検をSVRが支援する力動的過程である(柏木昭)ことや、SVRも自分のソーシャルワーカーとしての知識や技術を自覚し、SVを通して学ぶ機会になる(対馬節子)と学びました。
3日間の研修の構成は、講義、講義のリフレクションシート作成、グループワークという流れでした。講義で学んだことを、自分の言葉でリフレクションシートを作成しながら理解を深化させる作業がとても難しく、この繰り返しと、講師が入ってのグループワークでの確認作業で徐々に整理がつくように構成されていました。私のグループでは石川到覚先生、今井博康先生、田村綾子先生、佐々木敏明先生から様々な角度から、受講生の言葉としてSVの理解を深められるような質問、投げかけがあり、本当に貴重な体験を受けることができました。
全国の認定SVRを目指す仲間と、1年間のレポート作成を乗り切り、来年の応用研修会での再会を懇親会で約束しました。最後に講師の先生方、事務局の依田さん、ありがとうございました。
開講式 | 演習の様子 | 閉講式 |
医療法人松原会 七尾松原病院(石川県)/PSW経験年数14年 木谷 昌平
(第11回認定スーパーバイザー養成研修・応用編)
「自分にスーパーバイザーが務まるのか‥」。そう思いながら基礎編を受講したのが去年の8月。その1年後に今回の応用編は行われました。
去年の基礎編でスーパービジョン(以下「SV」)に関する基礎を学んだ後、石川県に戻り、石川県精神保健福祉士会の協力の元、スーパーバイザー(以下「SVE」)を公募しました。応募してくれたSVEとSV契約を行い、1年をかけて個別SVを試行的に実施し、その結果をレポートにまとめ提出しました。そのため、去年の基礎編は冒頭にも書いたようにスーパーバイザー(以下「SVR」)になることに対して不安だらけのまま受講していましたが、今年の応用編は実践編も踏まえて参加したので、「実際にSVをやってみたぞ!けど僕のSVってどうだったんでしょうか…?」という感じで受講していました。SVをやってみて少し自信がついたような、さらに迷走したというか…、結局は不安だらけなこと(笑)に変わりはありませんが、基礎編と応用編では心構えも違う中での受講でした。
1年ぶりに会う仲間との再会も自分にとっては楽しみなことでした。基礎編終了後すぐにメーリングリストを作り随時連絡を取り合ってはいたのですが、実際に会場で会い、やってきた課題に対して「私はこういう風に取り組んだよ」「ここがしんどかった」などの話で盛り上がりました。個々のSVの内容を「その悩み、わかるわかる」と全員で共有していたのもこのグループならではの一体感だったと思います。皆には力をもらいました。
応用編自体は1日で行われ、内容も演習が中心でした。試行的に実施したSVの感想を全員で報告し合った時、目標設定の曖昧さ、教育的に教える場ではない、初回にSVEの気持ちを時間をかけて確認することなど、全員に共通して振り返ることは沢山ありました。またSVRが自分の気持ちを自分の言葉で伝える難しさも感じ、SVRが自身の言葉を編み出す努力を普段からしていかないとSVEには伝わらない、SVRも普段の実践場面で日頃からトレーニングをすることが必要であることを再確認しました。SVEにわかる言葉で伝えていかないと、ですね。「SVは、その場でやり取りをすることに意味があり、「今、ここで」を大事に」と最後に言われたことが印象的でした。
最後になりますが、この研修のために講師や運営をなさった方々、地元の協会の皆さま、このような機会を設けていただけたこと心から感謝します。応用編を終えたことにほっとするのではなく、今回の学んだことを忘れず地元に返していきたいと思います。
開講式 | 佐々木敏明先生による講義 | 修了証書の授与 |
公益財団法人仁和会 ももの里病院/経験年数21年 木野内留美
(第10回認定スーパーバイザー更新研修)
2013年に認定スーパーバイザーを取得し、初めての更新研修を2016年8月6日に受けさせていただきました。更新研修を受ける為のレポート作成時には、認定を取る為に四苦八苦しながらレポートを書いた事を思い出しました。その苦しさがあったので更新研修会場では大変緊張して座っていました。
更新研修の受講者は19名もおられ、思ったよりたくさんの参加者に驚きました。受講者が多かったこともあり、実践報告からグループに分かれました。少人数になり、話しやすい雰囲気も作って頂いたおかげで私の緊張もずいぶんほどけたように感じました。実践報告では先輩の認定スーパーバイザーが話されることに自分のスーパービジョンを振り返る事ができました。自分のどのような所が足りないのか、工夫するところはどこなのかを気づかせていただきました。今後のスーパービジョンに生かそうと必死に話を聴きましたし、私自身のつたない話も受容的に聞いていただきました。また、心新たにスーパービジョンをしてみようという意欲を持つことが出来ました。
佐々木先生の講義も非常に分かりやすく、感銘を受ける所が多かったです。その中でも「感受性を磨く」と「ソーシャルワーカーのあるべき論を押し付けない」との言葉が心に響きました。クライエントの個別性を重視することは言われていますが、ソーシャルワーカーも個性があってよいとの言葉は目からうろこが落ちるような思いがしました。また、実習生や新人などのスーパーバイジーだけでなくスーパーバイザーである自分自身も感受性を磨き続けなければいけないことも再認識する事ができました。感受性を磨くとは知識を増やすことだけではなく、いろんな人との関わりや研修会などでの出会いで培われる様に思います。その為には、今後もこのような研修に参加し続けることが本当に大事であると思いました。
今回の研修でスーパービジョンだけでなくソーシャルワーカーとしての自分を振り返ることができたと強く感じています。認定を取る時にもたくさんの人の協力をいただきましたが今回の更新研修も多くの方に支えられて無事に研修できたと感謝しています。同じ時期に認定スーパーバイザーになった仲間との再会も果たせました。暑い東京で更に熱い研修に参加できた充実感と満足感を得ることができました。本当にありがとうございました。