2012年度に「養成研修/第5回認定成年後見人養成研修(11月29日(木)〜12月2日(日))」「課題別研修/第5回成年後見に関する研修(11月29日(木)、30日(金)」「第4回クローバー登録者継続研修(12月2日(日)・AP浜松町、12月23日(日)・福岡旭日ビル)」を開催し、養成研修24人、課題別研修16人、継続研修69人の皆さんが修了されました。ご報告いただきました記事を掲載します。
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医療法人吉田報恩会 春日療養園(宮城県)/経験年数7年 江畑 来春
4日間の研修を修了し、一番に感じたことはソーシャルワーカーである自分にこそできる後見人活動とはどういうものか、そしてどのように実践していくかというものでした。
数年前より病院業務の一環として成年後見申立支援を行ってきた中で様々な専門職後見人の方と接し、後見制度について自ら学び理解しようと努めてきました。その中でそれぞれの専門性に理解を深めると共に「自分だったらこうできるのではないか」と思うことがしばしばありました。しかし、そのような思いを抱く中でソーシャルワーカーと後見人は何か違うのか、果たして二つの役割を自分は使い分けることができるのかという疑問も同時に抱くようになりました。
今回研修に参加したきっかけは、この疑問を解決できるのではないかという思いと県内で精神保健福祉士への受任を求める声が年々大きくなってきていること、そして東日本大震災でより一層専門職後見人を必要とする案件が増えてきていることでした。悩んでいるだけでは前に進まない、実際に受任をしてみてこそ気づくことがあるのではと考え研修に参加しました。
4日間という研修期間は終わってみればアッという間で私の中では一つひとつの講義が面白く、そして研修前に抱いていた疑問を少しずつ紐解くきっかけになっていました。後見人として一人の人生に向き合い、最後まで一緒に歩んでいくということは日頃の業務では所属機関の縛り等もありできるものではありません。ソーシャルワーカーとしてのアイデンティティを持ちながら、本人の代弁者としてどの程度自分自身の力量を活かしていくと共に、後見人という立場で客観的にソーシャルワーカーを見ることで日頃の自分の業務にも活かせる部分が出てくるのではないかと研修を通して感じました。
普段病院に勤務している状況で受任をするということは大変なことなのかも知れません。しかし、1件でも受任をすることでソーシャルワーカーとしての自分の糧になることも多々あるのだと受任をされている方の話を実際に聞いて感じました。また、ソーシャルワーカーとして病院に留まるのではなく、地域社会に必要とされる専門職であるためにも自分の専門性を地域社会に還元をしていく必要があるのだと強く感じました。
同じ目線の同志と4日間、共に学び、様々な議論を交わしたことは私にとってとても大きな財産を得たと同時にこれから受任をし、自分にできることを一つずつやっていこうという意思を固めた場となりました。
成田赤十字病院(千葉県)/経験年数11年 星野 宰賢
私はこれまで成年後見に関する相談支援業務はそれほど多くはなかったため、制度についてあいまいな点も多く、家族等の相談があった時で分からない時は職場の他のSWに聞いたり、関連のホームページ等を見て調べながら対応するという状況でした。そのような状況の中で本研修に参加するきっかけとなったのは、ここ1〜2年で担当ケースで新たに成年後見制度を申請して支援するケースが数件あり、その際家族から申請書類の内容に関する相談や後見人となった弁護士とのやりとりなどがあり、こちらもきちんと制度を理解して支援をしていかなければならないと感じたことでした。そのため、成年後見に関する研修を近々どこかで受けたいと思っていたところ、本協会主催でしかも近場の開催という事と、プログラム内容を見て講師として弁護士や司法書士、家庭裁判所、社会福祉士の方々など本制度に関わるあらゆる職種の方々のお話が伺えるということですぐに申し込みました。
研修1日目は、弁護士や司法書士の方から本制度の概要から実務に携わる上で判例や事例を交えて具体的な関わり方や法的な留意点、被後見人の選挙権の問題などの今後の課題について非常に分かりやすく教えて頂きました。また、ソーシャルワーカーとして同じ立場で支援している社会福祉士の方からは、実際に社会福祉士が担当しているケースはどのようなものが多いか、支援する際ソーシャルワーカーとしての自分か後見人としての自分かというジレンマや支援に悩むような場面での実際の対応法など、私たちと同じ立場で支援している方だからこそ共感できるお話をたくさん伺えました。シンポジウムでは、法律家、ソーシャルワーカーのそれぞれの立場で支援していての思いや課題、また、実際業務を行う上で支援者として大事なことの一つとして、後見人業務にかかる経済的な面での費用や維持費などあまり表には出てこない(出しづらい?)お話などもあり、非常に有意義でした。
研修2日目は、家庭裁判所の方から実際の申し立てから審判の流れを過去のデータを踏まえつつ具体的なお話を伺うことができました。クローバーで実際に活動されている方々からは、精神保健福祉士として実際にどのように関わり支援しているのか、被後見人の権利擁護について、自己決定の尊重はもちろんのこと、利益相反行為の危うさ、また、印象に残ったキーワードとして「最善の利益」や「愚行権」がありました。研修前から伺いたかった話の一つに、クローバーの方は職場に勤務しながら並行して成年後見業務をどのように行っているのだろうと思っていたのですが、実体験を事細かく教えてくださり、非常に参考になりました。最後のグループワークでは、病院や施設、裁判所勤務の方とお話しさせていただき、事例について様々な視点での議論が行われ、また、それぞれの立場で日頃成年後見にどのように関わっているか、精神保健福祉士として後見業務を行うことについてどのように思うか、などの話題が出てもっと時間が欲しいくらいでした。
今回の2日間の研修では、様々な対場の方からのお話を一気に聞くことが出来たので、非常に有意義で刺激になったのはもちろん、私自身がまだ消化しきれていない部分がまだあるので、今後少しずつ振り返りながら業務を行っていこうと思いました。
福岡会場/受講して実感!継続研修の良さ
相談支援事業所 ふれあい(熊本県)/ 経験年数8年 八谷 由香
2011年12月北九州で開催された第4回認定成年後見人養成研修を受講し、2012年度にクローバーに登録したばかりの新人です。受任はありませんが、2012年12月23日の福岡会場での第4回クローバー登録者継続研修に参加しました。参加者は21名で以前から登録されている先輩の中に前年の養成研修で一緒だったなつかしい顔もあり、和やかな雰囲気で受講することができました。
午前中のシンポジウムでは個人での受任、病院のPSWからみた後見制度、クローバーから委託された受任、法人後見の立場の発表がありました。印象深かったのは、シンポジストの方の体験発表でした。初めて保佐人を受任した際、財産目録作成のため被保佐人の自宅を訪問したら、大量の現金が見つかり、証拠のためにそのお札を並べて写真に撮ったそうです。ところが財産目録の提出では金額を書き込むだけでいいと言われ、見つかった全額を書くか書かないか自分次第で、しようと思えば不正をすることはできるということを実感し、そのことで責任の重さを感じられたという話でした。
また、別のシンポジストの方は、私たちが受任する第3者後見は親族に恵まれない人たちの後見業務となることが多いので、面会に行くことの大切さ、身上監護の重要性について述べられ、その人に寄り添ってあげれるのが福祉職の力であり、福祉職が後見に介入する意義があるという話も心に残りました。
午後からのグループに分かれての演習では、「自己決定と本人尊重の問題」や、「後見人としての関わり方」「報酬付与について」など事例をもとに話し合いました。現在、相談支援事業所でPSWの業務をしている私にとって、ソーシャルワークと後見業務の本人へのかかわり方の違いなど再度考えさせられとても学びが深まりました。
シンポジウムや演習など、参加者の体験からの話や意見交換することは講義形式の座学よりとても実践的でわかりやすい研修となりました。また演習にたっぷりと時間をとってあることで、参加者同士が顔と名前がわかる関係となり、今後受任して悩んだり困ったりしたときに、相談したり尋ねあったりしやすい関係につながると思いました。
毎年継続研修を受けることに「大変だなあ・・・」と内心思っていましたが、実際に参加し経験されている方々との交流ができることで、振り返りも含めて学びが深まりよい機会だと実感しました。今年はアクセスの良い博多駅そばのビル内での開催でとても参加しやすかったです。今後も東京会場だけでなく福岡での更新研修が継続されることを是非お願いしたいと思います。