公益社団法人日本精神保健福祉士協会
認定成年後見人ネットワーク「クローバー」行動規範

2013年9月7日制定

1.前文
 クローバー登録者が行う成年後見実務は、精神保健福祉士の倫理綱領及びソーシャルワーカーの倫理綱領を遵守し、クライエントの自己決定の尊重を前提とする。
 クローバーの取り組みは、精神障害者の権利擁護の観点から、いかなる方法を講じても、クライエントが単独で意思決定することが困難な場合に、倫理綱領が示す「クライエントの利益を守るため最大限の努力」と位置づける。

2.行動規範
1)目的
 行動規範は、クローバー登録者が、成年後見制度を通じた権利擁護の実践と、成年後見制度の限界や課題を探究するための責務を明示した、基本的な行動の指針とする。
2)ソーシャルワークの準用
 クローバー登録者は、権利擁護のためにソーシャルワークの専門性を生かし、高い倫理観を持って、成年後見実務に従事する。
3)責任
 クローバー登録者は、クライエントにとっての「最善の利益(ベスト・インタレスト)」を追求し、自らの行動について最終的な責任を負う。その過程では、精神保健福祉士として培った知識・技術・価値を念頭におき、クライエントの意思決定支援を第一とし、代理行為は必要最低限の範囲とする。
4)行動
 クローバー登録者は、権利擁護の担い手として家庭裁判所から任命されただけでなく、社会的要請から成年後見人として責務を負うことを自覚し、常に正直、誠実に判断し行動する。
5)法令遵守
 クローバー登録者は、関係法規を遵守すると共に、自らに与えられた法的権限の範囲内で成年後見実務に従事する。
6)利益相反の回避
 クローバー登録者は、利益相反にならないよう常にクライエントおよび自らの状況を把握し、利益相反の可能性がある場合は、管轄監督所である家庭裁判所、およびクローバーに報告・相談する。
7)課題抽出
 クローバー登録者は、成年後見実務を通して得た知見をもとに、成年後見制度の課題抽出や、問題点の整理に努める。
8)普及啓発
 クローバー登録者は、成年後見制度を始めとする権利擁護のための知識・技術・価値の普及啓発に努める。
9)自己研鑽
 クローバー登録者は、自らの知識・技術・価値の維持向上に努める。

*行動規範にいう「クライエント」は、成年後見制度における「成年被後見人」、「被保佐人」、「被補助人」、任意後見制度の「契約者」をすべて含むものとする。

附則
1 この行動規範は、2013年9月7日から施行する。
2 この行動規範の施行により、社団法人日本精神保健福祉士協会認定成年後見人ネットワーク「クローバー」行動規範(2013年2月10日制定)の準用を終了する。

附則(2020年11月22日改正)
1 この行動規範は2020年11月22日から施行する。