復興支援本部情報

節目の時に思いを新たに…

 町を呑み込み、多くの命を奪い、暮らしを破壊し、多くのひとを悲痛のどん底に陥れた“あの日”から3年が経過しました。原発事故で見通しのない避難生活を続ける人々の上にも、いまだ仮設住宅での生活を余儀なくされている人々の上にも、多くの産業が甚大な被害を受け、そのため失業や休職で厳しい生活にさらされている人々の上にも、癒すことのできない心の傷を負って日々を生きている人々の上にも、ひとしく月日は流れました。けれども時の刻みは人それぞれであり、もう3年と思う人もあれば、まだ3年と感じる人もいるでしょう。復興が加速化している地域もあれば、いまなお荒涼とした地域もあります。厳しい冬に春の萌しを感じとることができる人もいれば、希望を持つことすら封印している人もおられるでしょう。私たちはどれだけその地に思いを馳せ、その地で生きる人の気持ちに寄り添うことができているでしょうか?多忙な日常や次々起こる様々な災害によって、東北で起こった大きな悲劇が風化しつつあると思うのは私の杞憂にすぎないでしょうか?

 “あの日”からちょうど3ヵ月たった2011年6月、和歌山大会でわたしたちは東日本大震災復興支援宣言をいたしました。今その一節を思い出します。『精神障害者はもとより精神保健福祉士の支援を必要とする人々は今後さらに増えていくでしょう。彼らを支援するため奔走する現地の仲間を継続的に支える仕組みが必要になってきます。組織基盤の強化やソーシャルアクション、他団体との連携など組織的な取組が期待されてきます。今こそ精神保健福祉士の底力を見せましょう。その力と思いを東北の地に、東北の仲間に届けましょう。つながる力を具現化しましょう。日本精神保健福祉士協会と構成員はその総力を結集して、被災地の人々の全人的復権をめざし、現地で戦う仲間と共に忍耐強く苦難を乗り越えていくことをここに宣言します』

 振り返って協会として、この宣言どおりに力を尽くしたのか、思いを被災地に届けることができたのか、限られた資源の中で、個別支援はもとより地域の再生に奮闘する支援者を支援するという復興支援本部の意義を全うすることができているのか、真摯に問わなければならないと思います。その検証の中から日本精神保健福祉士協会が担わなければならない責務を確認し、新たな課題に向かって挑戦していかなければと、この節目の時に思いを新たにしています。

公益社団法人日本精神保健福祉士協会東日本大震災復興支援本部長 柏木一惠


トップ復興支援本部復興支援本部情報