その日、ワーカー室でスタッフとケースの相談をしていた。
ブーブーと鳴る携帯電話。「ん?緊急地震速報!?」と誰か言った瞬間、床が波打ち、経験したことのない揺れに襲われた。
それから・・・、患者を誘導し、食事や寝床を確保し、家に帰ると電気は付いたが水は出ず、転院患者を受け入れ、心のケアチームや相談支援専門職チームに参加し、南相馬で地元の保健師さんや日本協会の方と支援に入り、避難してきた事業所の方々に出会い、サポートセンターで住民と料理を作り、自宅を除染し、子供が生まれ、地元の専門職と研修を重ね、数年ぶりの大雪に驚き・・・。
あの日から1年11ヶ月を迎えようとしている。今もまだ走り続ける感覚は抜けない。
警察庁の発表によれば、この震災による人的被害は、死者15,879人、行方不明者2,700人、負傷者6,132人を数える。また復興庁によれば、岩手県43,300人、宮城県120,087人、福島県156,189人を含む全国321,433人が避難生活という仮の生活をしている。
避難者数はほとんど減っていないが、これは福島に限ったことではなく、宮城も岩手も同様である。避難先での馴染めなさ、支援の格差に対する住民同士の不満、これから先どこで生活をしていいか決められない現状、放射能への見えざる不安と風評被害。各地様々な形で、避難している方々の生活に影響を与えて続けている。
全国から被災地域に支援を下さっている皆さんに改めて御礼を申し上げたいと思います。本当にありがとうございます。
先日も本部会議の中で各ブロック会議の様子を伺い、それぞれの地で皆さんが思いを寄せていただいている様子をありがたく、嬉しく、心強く感じました。
そして、もう一度お願いをしたいと思います。いま出来ることを少しずつでいいので続けていってください。
買い物の時、テレビを見る時、旅行先を選ぶ時、月に1度でも良い、未だに32万人以上の方が真に安心した生活を送れずにいる事を思い出して、少しずつ行動に移していっていただけると嬉しいです。
私達福島のPSWも他の支援者達と協力しながら、生活者の側で一緒に時間を過ごす、そういうことができるように仕組みを作ることに邁進していきたいと思います。
岩手では子ども達が郷土芸能のお祭りをしたり、宮城では水産加工場が再オープンしたりと、日常の明るい話題も出てきています。福島でも今年は会津の八重桜が特に華やかになることでしょう。
各地で聞かれる明るい話題が少しでも増えるように、安心した生活を送れる人が少しでも増えるようにそのお手伝いをしていきたいと思います。一歩一歩出来るペースで歩み続けたいと思います。
社団法人日本精神保健福祉士協会 福島県支部 菅野 正彦