<2009/04/08>
「障害者自立支援法等の一部を改正する法律案」として上程された「精神保健及び精神障害者の福祉に関する法律」の改正案について若干の解説を付して紹介する。
なお、「平成21年度障害福祉サービス報酬改定Q&A」と「精神保健福祉士法改正」を含む障害者自立支援法等改正法案に関しては、こちらを参照されたい。
第19条の4第3項(指定医の職務の追加)指定医は、その勤務する医療施設の業務に支障がある場合その他やむを得ない理由がある場合を除き、前項各号に掲げる職務を行うよう都道府県知事から求めがあつた場合には、これに応じなければならない。 |
(解説)⇒都道府県の精神化救急医療体制整備を法定化するに当たって、公務員としての職務を遂行する指定医の確保が課題であるため、新設されたと考えられる。 |
第19条の11(精神科救急医療の確保)都道府県は、精神障害の救急医療が適切かつ効率的に提供されるように、夜間又は休日において精神障害の医療を必要とする精神障害者又はその家族等からの相談に応ずること、精神障害の救急医療を提供する医療施設相互間の連携を確保することその他の地域の実情に応じた体制の整備を図るよう努めるものとする。第2項 |
(解説)⇒2008(平成20)年度から、まがりなりにもようやく全都道府県に精神科救急医療体制が敷かれたことから法定化されたものと考えられる。 |
第47条(相談指導等の修正)5 市町村、精神保健福祉センター及び保健所は、精神保健及び精神障害者の福祉に関し、精神障害者及びその家族等からの相談に応じ、又はこれらの者へ指導を行うに当たっては、相互に、及び福祉事務所(社会福祉法(昭和二十六年法律第四十五号)に定める福祉に関する事務所をいう。)その他の関係行政機関と密接な連携を図るよう努めなければならない。 |
(解説)⇒センターと保健所の連携を促進するために「精神保健に関する相談」が追加(下線部分)されたと考えられる(連携が図られていない実態があるから?)。 |
第50条 精神障害者社会適応訓練事業の削除 |
(解説)⇒社会適応訓練事業は、障害者自立支援法上の地域生活支援事業に移行するとのこと。障害者自立支援法第77条第3項(市町村事業)または第78条第2項(都道府県事業)の「障害者等が有する能力及び適性に応じ、自立した日常生活又は社会生活を営むために必要な事業」が該当する箇所と考えられるが、現時点では都道府県事業とするか市町村事業とするかはまだ決まっていないらしい。 |
第4条(精神障害者の社会復帰、自立及び社会参加への配慮の修正)医療施設の設置者は、その施設を運営するに当たっては、精神障害者の社会復帰の促進及び自立と社会経済活動への参加の促進を図るため、当該施設において医療を受ける精神障害者が、自立支援法第五条第一項に規定する障害福祉サービスに係る事業(以下「障害福祉サービス事業」という。)、同条第十七項に規定する一般相談支援事業(以下「一般相談支援事業」という。)その他の精神障害者の福祉に関する事業に係るサービスを円滑に利用することができるように配慮し、必要に応じ、これらの事業を行う者と連携を図るとともに、地域に即した創意と工夫を行い、及び地域住民等の理解と協力を得るように努めなければならない。 |
(解説)⇒下線部分(※)が追加された。精神障害者の地域移行等を円滑に進めるためか。
※下線部分は次の通り「自立支援法第五条第一項に規定する障害福祉サービスに係る事業(以下「障害福祉サービス事業」という。)、同条第十七項に規定する一般相談支援事業(以下「一般相談支援事業」という。)その他の精神障害者の福祉に関する事業に係るサービスを円滑に利用することができるように配慮し、必要に応じ、これらの事業を行う者と連携を図るとともに、」 |
第38条(相談、援助等の修正)精神科病院その他の精神障害の医療を提供する施設の管理者は、当該施設において医療を受ける精神障害者の社会復帰を図るため、当該施設の医師、看護師その他の医療従事者による有機的な連携の確保に配慮しつつ、その者の相談に応じ、必要に応じて一般相談支援事業を行う者と連携を図りながら、その者に必要な援助を行い、及びその保護者との連絡調整を行うよう努めなければならない。 |
(解説)⇒精神保健福祉士法制定以前には精神保健福祉士(PSW)の相談援助の根拠とされていた条文。医療機関内のチーム医療と地域の一般相談支援事業者との連携の確保が追加された。 |