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<2006/07/13>

「障害者自立支援法施行に伴う−緊急集会7.5−」要望書に関する厚生労働省との協議報告(速報版)

 
【藤木課長(左2人目)等との協議の様子】

 
課長の説明を聞く大塚常務理事(右)

 「障害者自立支援法施行に伴う−緊急集会7.5−」で採択され、厚生労働省の中谷障害保健福祉部長宛に提出した要望書に関して、本日、同部の藤木障害福祉課長等と主催・共催団体との間で要望項目に係る回答協議がありました。

 以下、協議結果をご報告いたしますが、あくまでも本協会としての報告記事になります。

 正式な協議結果の報告については、参加団体間で認識の相違がないよう、別途、共通の報告書を作成し、近日、各団体のホームページや情報誌等に掲載する予定です。

【参加団体】
 社会福祉法人全国精神障害者社会復帰施設協会、財団法人全国精神障害者家族会連合会、特定非営利活動法人全国精神障害者地域生活支援協議会、特定非営利活動法人全国精神障害者就労支援事業所連合会、社団法人日本精神保健福祉士協会、東京都精神障害者団体連合会 


要望9項目に係る回答内容


一、経過措置対象施設の運営費補助所要額を、新事業体系移行による残存率に係わりなく支払ってください。

【回答内容】
 障害者自立支援法の一大テーマとしては、立ち遅れている精神障害者制度施策の底上げということがあり、3障害一元化の整備を図った。同時にこれまでのいわゆる箱払い定員一括支払い方式からサービスの利用があったときに支払いをしていく方式に変えた。
 使ったサービスへの支払いを考えて義務経費化をしようというものであり、報酬水準は今まで精神障害者の領域での水準より上がったはず。
 旧体系のままの補助金は裁量的経費だったわけで、そういう意味からも早く新体系への移行を図って欲しいという思いがある。だから移行推進への思いをメッセージとして通知に載せたのであって、移行しないからといって25%削減しますと言ってるわけではない。
 まったく移行が進まないところでは、75%の予算措置として実際事実取ってある。通知メッセージは予算執行の分について間違って伝わった感じがする。下半期25%削るとは言っていない、予算執行については10月以降の移行の状況を見てから考える。都道府県との連携も含めて不安が大きいようであれば払拭の努力は今後もしていきたい。

[参加団体]早期に都道府県との協議に入ってほしい。通知ではどうしても25%減としか読めない。必置基準もなくなり、人的配置問題も苦労している。移行への努力の最中、今回の通知は我々の腰を退かせてしまうものになっている。


一、障害程度区分認定における調査項目を、精神障害者の障害特性に応じた内容に見直してください。

一、認定調査員の資質の向上を図る制度を創設してください。また認定調査の適正化を図るための委託費を充分に確保してください。

【回答内容】
 障害程度区分についての確認だが、あくまでも介護給付を受ける人のみ。その点では専門家の意見ももらっているが、介護給付の判定としては精神障害者が特別低く出ることはないとのお墨付きを得ている。すでに試行事業をした地域での検証では、第2次判定で3分の1が程度アップしているとあり、平均で3分の1だから精神障害者はかなり程度アップがされているものと考える。また今サービスを受けている人の96%がサービスを使えなくならないようにという算定で実施している。
 認定調査員の質の向上については、マニュアルを配布しており、都道府県で研修も行っている。その都道府県研修の講師の質ということになるが、DVDに落としたものを配布し活用可能にしてあり、障害特性についても専門分野の人を招いてしっかり保障しうるように工夫している。研修事業に関しても新規事業予算確保が難しい中、これは障害程度区分の入り口ということで、国の補助事業で平成18年度は22億円確保している。
 精神障害者の場合、一番懸念され懸案事項となっているのは、不安定性の部分だと思うが、そうしたことも踏まえて3障害の中でも情報量を多くもらうシステムにしてある。医師の意見書や特記事項への記載など。また、日本精神科病院協会や日本精神神経科診療所協会などの主張している2軸評価などの今後の使い方などを検討していければよい。不安定性の部分は当事者や家族関係者から丁寧に聞き取りをしていくことになるが、尺度化するのは困難。今は特記や医師意見書の活用となるが、このあたりはむしろ専門家の皆さんから提案してくれるといいと思う。

[参加団体]精神障害独自のツールがあればよいのだが。3障害同じものでの難しさ。今後も検証を。また当事者からの聞き取りは技量が必要。そのあたりをしっかりと対応してほしい。


一、利用の促進を図るため、利用者の負担額を見直してください。

【回答内容】
 この制度設計の基本は障害者に1割負担をお願いし、国民に9割負担してもらうもの。しかし、原則は1割負担だがキメ細やかな減額措置等の配慮をしている。例えばホームペルプサービス利用者の4割は3万円までの負担、1割になると月3,000円まで。障害者福祉予算は対17年度11%増。全体は悪くない。むしろここの問題については3年後の見直しに向けて今後の検証だと思う。

[参加団体]基本的にはサービスの対価としての負担をどう考えるか。事業者としても良質で安価なサービスの提供をどう考えていくかということ。
[厚労省]これまで良質で安価という考え方は福祉ではタブー視されてきたのでは?。しかし利用者にしてみれば1割払うのだからそれだけのバリューのあるサービスなのかという見方になるはず。点検される。医療デイケアサービスとの関連についても同様だろう。本当に必要なサービスかどうか考えていくと思う。公平感のもてなさは問題かもしれないが。いずれにしてもサービスにはコストがかかるわけで、そのコストを誰が負担するのかというテーマ。国民か利用者か2者択一しかない。国民としての納得いく線は1割だろうという提案を国がしただけで、国民の中での議論なのだと思う。


一、利用者のニーズに応じた適切な障害福祉サービスを提供するためにも、充分なマンパワーの確保がなされるよう事業報酬単価を引き上げてください。

【回答内容】
 障害者自立支援法の要は地域移行と就労支援の強調。そこで、多機能型を提案している。日額制にしたのは、利用者がサービスを選べるようにということがある。サービスを好きに組み立てやすいようにという視点。例えば施設入所の人も月曜日から金曜日は施設だが、土日はグループホームへの体験入所をするとか、曜日によって就労支援と自立訓練を組み立てるとかあると思う。使ったサービスに対して1割支払うということができるように。
 これを事業者側にも適応しているが、確かに事業者側とすれば厳しいことだろう。そこで定員管理を少し緩やかにできるように配慮してある。5%上乗せで利用者人数を登録してならせばいいことになっている。また、就労支援では精神障害者の場合は特に一般就労を希望していても失敗したときに戻れる場がないと心配で難しいこともあるが、失敗者の再チャレンジのために移行利用者が出た後、新メンバーが埋まってしまっても定員オーバーして受け入れていいことにしてある。このあたりをうまく活用して欲しい。

[参加団体]入所型日中活動と通所型日中活動との基準を区分して検討して欲しい(定員やサービス管理責任者配置などの兼ね合いで)。
[厚労省]美味しいところどりは虫がいい話。事業所の単位の括り方があるので、サービス提供のあり方と事業所単位の括り方と基準をにらみ合わせながら考えて欲しい。
[参加団体]事業所側としては、支援の量と質を落としたくない。今後のあり方を考える際の課題。
[厚労省]いろいろ新体系には魅力を盛り込んだ。巧くやれば面白い取り組みは可能と考える。それでも事業者として事業運営が成り立たないというなら困るので、様子見ながら検討、相談を。


一、就労系事業の利用者工賃を収入として認定しないでください。

【回答内容】
 6月26日の障害保健福祉主管課長会議資料で示したとおり、新たに10月から変更して、工賃控除の取扱いで、年間28.8万円残るようにした。これは支援費制度における工賃控除額と同じ。また年金収入を除き150万円以下の年間収入の者には社会福祉法人減免を適応にした。


一、精神障害者地域生活支援センターが相談支援事業・地域活動支援センターに移行できるよう、都道府県及び市町村に指導してください。

一、小規模作業所等の地域活動支援センターへの円滑な移行を図るため、その運営費基準額において現行の小規模通所授産施設運営費補助金相当額を確保できるよう、地域生活支援事業への国庫補助金を拡充してください。

【回答内容】
 平成18年度内の経過的精神障害者地域生活支援センターというのを作った。また市町村で難しい場合の都道府県での取り組みも可能とした。

[参加団体]今後各都道府県が市町村にどう働きかけていくか。どこも9月に地方議会で補正予算を組む時期。駆け込みで間に合うかどうか。
[厚労省]本来、地域生活支援事業は市町村が考えていくことで、国は関与介入すべきではないことだが、ある程度の基準等を示さないと難しかろうというので、地域活動支援センターTからV型の基準額を示している。
 しかし、あくまで基準提示であって、市町村独自で考えていいこと。ただし、地域生活支援事業というのはこれまでのように、各団体が補助金を待ちの姿勢で陳情にいくとかして付くものではない仕組みになっている。市町村と団体が一緒に考えて事業の組み立てをする方向でないと難しい仕組みにしている。
[参加団体]都道府県によっては市町村のことなので、関与しなくて良いという態度姿勢だってあり、市町村も困惑。適切な指導をして欲しい。
[厚労省]小規模作業所など、これまでは国には団体を通して補助金行政を行ってきたが、前面での関与でなく団体の後ろにいた。今度は法定内に移行していただくという意味ではその仕組みを作った。下半期で200億円の補助金を取っている。また、交付税になってからは市町村にキチンと今までの補助金分がカウントされて一階部分に算定される。その上に地域生活支援事業予算が上乗せされるのだから強化されるはずで、そこを市町村と十分に話し合っていくことが求められる。市町村の障害福祉課は味方であって、そこと巧く話し合い、財務との戦いを勝ち取らないといけないのに、見ていると障害福祉課を敵に回していることがないだろうか。
[参加団体]国はそういうが、市町村自治体によっては交付税部分を出しませんというところも現実的には多い。そこの指導を。
[厚労省]市町村の障害福祉課が財務と交渉しやすいように基準案の提示を資料で示しているわけで、国の根拠案を活用して欲しいし、交付税の仕組みがしっかりあるのだから出さないというのはおかしい。豊かな自治体は交付税として配布されていないかもしれないが、そこも計算済みでそうなっているはず。


一、共同生活介護・共同生活援助事業の利用在籍者が一時的に入院などした場合、適切な退院支援などを行うことにより3ヵ月間は事業報酬を支払ってください。

【回答内容】
 グループホーム等の居住支援の場については家賃相当分は、事業者と利用者との個人契約部分なので、考えていない。支援部分については、入院などのことも含めて膨らまして盛り込んだ算定をしている。また入院している期間は社会保障や介護保険との整合性でいうと、医療保険で費用が出ているということなので、何処の枠組みから出すかということと2重支払いとなることどう考えるかということで整理している。事業者としての厳しさを言うときに、はっきりいえば居住支援の場にいない間のケアで利用者が納得して1割払ってもいいと思えるケアのありようを提案してくれたらいい。

(文責:大塚淳子/常務理事)


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