要望書・見解等

2019年度


標題 精神科病院における入院患者集団虐待事件に関する声明
日付 2020年3月10日
発信者 公益社団法人日本精神保健福祉士協会 会長 柏木一惠

 神戸市西区の神出病院の看護師等6名が、統合失調症や認知症の入院患者を虐待したとして、兵庫県警に逮捕されたことが報じられた。

 精神科病院の医療関係者による患者に対する暴力等の撲滅は、現代においても全国的な課題であるとはいえ、神出病院の事件は、以下の点で特異性がある。すなわち、患者、家族等からの訴えや内部告発ではなく、また行政機関による実地指導の結果でもなく、当該加害者が別件逮捕されたことで副次的に発覚したものであり、詳らかにされた虐待事実の凶暴性や残酷さに、精神医療と福祉に携わる職能団体として強い憤りを感じずにはいられない。

 密室の中で人間としての尊厳を踏みにじられた方々の苦痛、怒り、恐怖、無念を思うとき、このような虐待が日常的に行われ、長期間にわたり看過されていた現実に対して厳正な調査による真相究明と、入院患者の権利擁護の確立に向け、神出病院には猛省に基づく抜本的改善を求めたい。また、監督権を有する神戸市に対する責任追及もされて然るべきである。

 一方、この事件を、悪質な職員個人の資質や、劣悪な一病院の体質の問題で終わらせてはならない。入院医療中心から地域生活中心へと政策転換が図られて久しいにもかかわらず、未だ入院医療に依存した精神医療や、いわゆる「精神科特例」、および強制入院における権利擁護の仕組みの不備は現存している。精神科救急や急性期病棟の重装備化も、隔離や身体拘束の増加を招いている。こうした精神医療の現状が、もっとも弱い立場におかれた入院患者に対する暴力の温床となり、また行政機関における実地指導、実地審査の形骸化や精神医療審査会などの権利擁護システムの機能不全が、悲劇を助長していると言えよう。

 このような事件の根絶に向け、精神保健福祉法の改正による権利擁護の機能強化とともに、障害者虐待防止法、高齢者虐待防止法等の対象を医療機関に拡大するよう改めて求めたい。神出病院においても、その先鞭をつけるべき精神保健福祉士が本来の機能を発揮できるよう関係者と連携して支援しなければならない。

 私たち精神保健福祉士は、精神障害者の権利擁護の実効に向けて全力で取り組むことをここに表明する。

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標題 障害福祉サービス等報酬改定に関する要望書
日付 2020年2月14日
発翰番号 JAPSW発第19-377号
発信者 公益社団法人日本精神保健福祉士協会
提出先  厚生労働省 社会・援護局 障害保健福祉部 部長 橋本泰宏 様
 
 平素より本協会事業に格別のご理解、ご協力を賜り、深く感謝申しあげます。

 さて、障害福祉サービス等に係る報酬については、2021年度改定に向けた検討の場として「障害福祉サービス等報酬改定検討チーム」が来年度早々にも設置され、本格的な議論が開始されるものと認識しております。
 この度、本協会として次期報酬改定に向けて下記のとおり要望事項を取りまとめましたので、ご高配のほどよろしくお願いいたします。

 本協会といたしましても、精神障害者の社会的復権を目指し、地域生活支援を実践するソーシャルワーク専門職団体の立場から、今後の障害福祉サービス等の充実と相まって、精神障害者もあたり前に暮らせる地域共生社会を実現するために努力していく所存です。
 
1.宿泊型自立訓練について
(1)共同生活援助サービス費と同様に、一時的に体験的な指定宿泊型自立訓練の利用が必要と認められる者に対するサービス費の新設を要望します。
【理由】利用契約を交わす前に、体験的な利用を通して利用者本人が施設に慣れる期間が必要です。また体験的な利用を通して、宿泊型自立訓練施設において予め本人の生活課題等のアセスメントが可能となり、利用目的がより明確になり地域移行するために必要な支援が評価できる効果があります。
(2)障害福祉サービス事業の設備及び運営に関する基準(以下、「設備・運営基準」という。)において宿泊型自立訓練の利用定員を改正したうえで、5~7名といった小規模での運営を可能とする宿泊型自立訓練に係る生活訓練サービス費の新設を要望します。
【理由】宿泊型自立訓練施設は、全国的に設置率が低く利用できる地域が極一部に限定されています。設置率が低い要因として、設備・運営基準において利用定員を10名以上と規定している問題があり設置が難しい状況にあります。
(3)入院時の期間において算定できる加算の新設を要望します。
【理由】重度精神障害者を受け入れている現状にあって、利用期間中に入院が必要となる場合があります。入院も大切なアセスメント期間として、医療機関と連携しながら、今後の暮らしに向けてクライシスプラン等の対応を事業所内で作成していくこともあります。入院時に空室であっても、宿泊型自立訓練が関わり続ける仕組みとして、入院期間において算定される支援加算の新設が必要です。
(4)宿泊型自立訓練を終了した利用者の地域生活定着率を評価する仕組みの新設を要望します。
【理由】訓練終了後の地域生活の定着率に事業所ごとの格差があります。その要因としては、宿泊型自立訓練の事業所の支援の質が影響しています。退所後のフォローと地域生活定着率を把握することで、更に支援の質の向上につながります。
また、地域生活支援拠点等の体制整備の目的に掲げられている、「緊急時の受入れ」「体験の機会の場の確保」などの機能は、宿泊型自立訓練施設が重要な担い先になれると考えます。

2.就労移行支援について
(1)就職後にも報酬算定回数については、1月に6回を限度として、引き続き就労移行支援事業の利用を可能になるよう要望します。
【理由】就労移行支援は、就職と同時に利用契約が切れる仕組みになっており、他のサービス利用のない場合は計画相談も終了となります。厚生労働省通知「就労移行支援事業の適正な実施について」(令和元年11月5日障障発1105第1号)によれば、勤務時間や労働時間を増やすために新たに就労移行支援の支給決定が可能となりましたが、それ以外の場合においても、就職後の特に初期には手厚いフォローアップが必要されることも多く、また就労定着支援のスムースな利用を可能にするために、就職後も途切れずにサービスを利用できることが重要です。

3.就労継続支援A型について
(1)利用者の希望に応じて長時間勤務を可能とすることを奨励するために、半数以上の利用者に社会保険が適用されている場合の評価として、「社会保険適用事業所加算」(仮称)の新設を要望します。
【理由】就労継続支援A型事業所においては、勤務時間を1日6時間以下に抑えるところが多いと認識しております。長時間勤務が促進されない理由としては、社会保険(健康保険・厚生年金保険)適応による保険料の事業主負担が大きいこと、事務負担が増えることが考えられます。基本報酬では、6時間以上勤務とそれ以下で9単位しか差がなく、促進されない要因となっているため、加算での評価を要望します。
(2)最低賃金除外をしている場合の基本報酬の減算を要望します。
【理由】平成30年度障害福祉サービス等報酬改定検証調査結果によると、平均労働時間4時間以上5時間未満の事業所が過半数を占めています。一方、最低賃金減額特例の適用者の一人当たりの1日の平均労働時間数は5.6時間(平成30年度障害福祉サービス等報酬改定検証調査結果)であり、最低賃金適用除外を行いつつ長時間勤務を可能としている事業所も見られます。就労継続支援A型の趣旨を鑑みた時に、最低賃金適用除外を受けている事業所にまで労働時間によるインセンティブが働く必要はないと考えます。

4.就労継続支援B型について
(1)事業所において短時間利用者の受け入れの継続が可能となるよう、サービス等利用計画において1月の利用回数が8回以下とされている利用者については、平均工賃月額算定の対象から除外することを要望します。
(2)ハローワークや障害者就業・生活支援センター等との連携の下で、就労継続支援B型を受けた利用者が就労移行支援に移った場合に、就労移行支援体制加算(Ⅲ)として地域連携を評価する仕組みの新設を要望します。
【理由】平均工賃月額だけが報酬単価に反映される現状では、障害福祉サービスとしての就労継続支援の質が担保されません。また、一般就労への移行を希望された時に、十分な支援を提供する人員配置がありません。就労を希望している利用者の抱え込みを防ぐためにも、就労移行支援につなげるなど地域との連携の実施を促進できるような仕組みが必要と考えます。
また、「障害者の福祉的就労・日中活動サービスの質の向上のための研究」(厚生労働科学研究:2018年度)の成果として示された「『自己点検チェックのためのガイドライン』に対応した生活介護事業所・就労継続支援B型事業所実践事例集」(2019)において、利用日数の少ない利用者および短時間利用者を受け入れている就労継続支援B型事業所が複数好事例と紹介されている一方で、工賃と報酬が連動している現状が課題として挙げられています。

5.就労定着支援について
(1)就労定着支援において夜間・休日に対応した場合の評価として、夜間休日対応加算(仮称)の新設を要望します。
【理由】就労定着支援においては利用者の勤務先企業への訪問だけでなく、利用者の勤務時間外に居宅等への訪問支援や事業所への来所による面談を行うこともあります。利用者の勤務時間によっては平日の日中ではなく、夜間・休日に対応せざるを得ないことも多いのが現状です。

6.自立生活援助について
(1)自立生活援助サービス費については、利用者が病院・施設等を退院・退所等をしてから1年以内か否かによって差が設けていますが、支援内容には大きな差異はありません。このため自立生活援助サービス費(Ⅰ)と(Ⅱ)の区分の廃止を要望します。
(2)初回加算のみでなく、支援の必要性により頻回に支援を行った場合に地域移行支援と同様に集中支援加算として評価することを要望します。
【理由】精神保健医療福祉の政策理念である「精神障害にも対応した地域包括ケアシステムの構築」の実現において、自立生活援助は有効なサービスですが、その活用が進んでいるとは言い難い状況となっています(第5期障害福祉計画等における平成31年度サービス見込量6,100人に対して783人(2019年8月分))。また、自治体により取り組みに差が生じています(実施自治体は2019年8月現在において37都道府県)。その活用が全国各地で広がるよう報酬上のインセンティブを付ける必要があります。

7.共同生活援助について
(1)日中サービス支援型共同生活援助サービス費については、利用者が日中を共同生活住居で過ごすか否かによらない一律の報酬設定を要望します。
【理由】現状において、日中サービス支援型共同生活援助サービス費は、利用者が日中を共同生活住居で過ごすか否かによって報酬単価に差をつけています。日中支援加算はありますが、日中に別事業所への通所等をする際も、職員体制は、日中支援をしている場合と同数配置している状況です。利用者の定員が決まっているなかで、報酬が安定しない状況は、事業所経営を難しくしています。またサービス費の差があることで、日中を共同生活住居内に抱え込む事業所もでてくることを懸念します。
(2)食事提供体制加算の新設を要望します。
【理由】日中サービス支援型共同生活援助は重度の障害者を対象としているため、刻み食やペースト食など利用者の状況に合わせて多様な食事提供をしています。現状において、共同生活援助は食事提供体制加算が設置されていませんが、日中サービス支援型共同生活援助の利用者は、入所施設と同様の食事提供体制加算が必要と考えます。

8.相談支援について
(1)特定相談支援事業における基本相談支援に対して報酬上の評価を要望します。
【理由】計画相談支援の前段としての基本相談支援は、サービス提供事業所への見学同行や面談における同席、利用者の住まい探し、サービス利用までの間の継続的な訪問や電話等、障害者が安心して障害福祉サービスを利用できるようにするために多くの時間を費やす支援です。指定特定相談支援事業所は、対象者が障害福祉サービスの利用が前提でない場合であっても対応が変わることがないようにするためには、基本相談支援の報酬上の評価が必要と考えます。
(2)市町村へのモニタリング実施標準期間の周知及び徹底を要望します。
【理由】前回の報酬改定においては、障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律施行規則の改正によりモニタリング実施標準期間が見直されるとともに、対象者それぞれに必要とされる時期にモニタリングを行うことが原則となっています。しかし市町村によっては一律に6月間等の対象者の個別性を考慮していない地域がいまだ存在しています。改めて国から事務処理要領等で示していただきたいと願います。
(3)相談支援事業所において、精神保健福祉士・社会福祉士等を配置した場合、福祉専門職員配置等加算の設置を要望します。
【理由】「相談支援の質の向上に向けた検討会」における議論のとりまとめ(2016年7月19日)で明示されたように、相談支援専門員はソーシャルワーカーとして活躍することが期待されています。ソーシャルワークの国家資格である精神保健福祉士または社会福祉士が相談支援専門員として配置されることで、地域におけるソーシャルワークの実践的な展開が推進されると考えます。
(4)計画相談支援給付費にも社会生活支援特別加算の設置を要望します。
【理由】医療観察法対象者や刑務所出所者等を対象とした計画相談支援を行う場合には、関係機関等との連絡調整や連携が、一般的な計画相談支援以上に必要となってくることから、訓練系・就労系サービスにおける社会生活支援特別加算と同様に、報酬上の評価が必要となります。
(5)地域移行支援の対象者を、「共同生活援助の利用者」や「リハビリテーション病院等に入院中の者」まで広げることを要望します。
【理由】「共同生活援助」や「リハビリテーション病院」からの地域移行についても住居の確保や福祉サービスの体験的な利用など、施設や精神科病院からの地域移行や地域定着支援と同様の支援を行っているものの、それに対する報酬が認められておらず、事業所の持ち出しや力量に任されている現状にあります。地域移行支援の対象者を拡大することで、指定一般支援事業所の増加や支援の質の向上に繋がると考えます。
(6)65歳以上の対象者への地域移行支援について、その支援実績に応じた評価を要望します。
【理由】精神科病院等の長期入院者の高齢化が進むなかで、65歳以上で地域移行を希望されている精神障害者の場合は、入院の長期化による課題を多く抱えていることもあり、退院し地域で生活することへの精神的な揺れや新しい環境への適応上の課題など、手厚い関わりや時間をかけた丁寧な支援が必要です。また、障害福祉サービス事業者と介護保険事業者との連携も必要となり地域移行支援員の調整力や質の高いサービスの提供が求められます。65歳以上で入院期間が1年以上となる方の地域移行支援について、報酬上評価されることで、長期入院の末に精神科病院で一生を終えることのないように地域移行支援がより多く実施されることとなります。
(7)地域移行支援における評価として遠方支援加算(仮称)の設定を要望します。
【理由】対象となる利用者が入所する施設や入院する精神科病院の多くは、利用者の入所・入院前住所地と離れ遠方に所在しています。その方たちの地域移行支援に取り組む場合には、多くの時間と交通費等の経費が必要となるため、敬遠される傾向にあります。遠方の方への地域移行支援に対しての評価をしていただくことで、これまで遠方ということを理由に支援を断られていた方へも支援の提供が可能になると考えます。
(8)措置入院患者の退院支援等の協議の場に参加した場合の報酬上の評価を要望します。
【理由】自治体(保健所)による取り組みの格差が解消され、積極的に相談支援事業所が介入することにより入院中から地域の支援者につなぐことができるよう、既存の協議の場を有効活用することへの評価が必要です。措置入院後の精神障害者がどの地域でも包括的かつ継続的な退院後支援を受けられる仕組みが必要と考えます。

9.複数の障害者福祉サービス等に共通する事項について
(1)ピアサポーターの職員配置等加算の新設を要望します。そのためには、相談支援専門員やサービス管理責任者等と同じ構造の研修実施体制によるピアサポーター研修の全国実施が必要です。また、市町村もしくは障害保健福祉圏域において自立支援協議会等にピアサポーターの協議の場を設置するように呼び掛けてください。ピアサポーターの活躍を事業所任せにはせず、地域でピアサポーターがどのように活躍しているのか、支援の質の向上のためにも協議の場の設置を要望します。
【理由】障害福祉サービス事業所等においてピアサポーターと専門職がそれぞれの強みを活かした協働の支援を行うことで、障害者の自立支援を更に促進し、共生社会の実現に寄与していけると考えます。また、事業所への職員配置等加算をすることで、ピアサポーターの雇用が促進される期待もあります。
(2)利用者への適切なかかわりを前提として、個別支援計画を適時見直し目標に向けた実践を行っている場合に、1月に1回を限度として、個別支援計画再作成実施加算(仮称)の新設を要望します。
【理由】「平成30年度障害福祉サービス等報酬改定の概要」(平成30年2月5日)においても、次期報酬改定に向けた検討課題としてサービスの質を報酬体系に反映させる手法等を検討する必要性が述べられていますが、就労支援事業では工賃額や労働時間など金銭的な数字にのみ評価が集中しており、利用者の支援についての評価がないために、サービスの質のばらつきが大きくなっています。  
具体的には、利用者への必要な働きかけや支援内容の適時見直しが行われず、個別支援計画に示された目標達成に向けたアプローチが充分に実施されないまま、利用期間が延びている例があります。定められた期間内に個別支援計画のモニタリングを実施することとされていますが、必要に応じて、適時見直しを行うなど、利用者の利益を考えた実践への評価があれば支援の質の向上にも益すると考えます。
(3)福祉サービス第三者評価を受審した事業所のうち一定以上の評定を受けた事業所について、第三者評価受審体制加算(仮称)として評価することを要望します。
【理由】事業所を評価する仕組みとしては第三者評価が有効と考えます。福祉サービス第三者評価を導入することで、サービスの質について一定の評価基準が設けられると考えます。
(4)サービス管理責任者に、精神保健福祉士・社会福祉士等を配置した場合も、福祉専門職員配置等加算の対象とすることを要望します。
【理由】職業指導員・生活支援員等に対しては福祉専門職員配置等加算がある一方で、事業所の支援の要となるサービス管理責任者には資格による加算はなく、個別支援計画の質にも事業所ごとに大きな差がみられます。
(5)訪問支援特別加算を廃止し、以下のように欠席時対応加算に類型を設けることを要望します。
 欠席時対応加算(Ⅰ) 電話による欠席時対応(10分以内)の場合
 欠席時対応加算(Ⅱ) 電話による欠席時対応(10分以上)の場合
 欠席時対応加算(Ⅲ) 訪問による欠席時対応(1時間未満)の場合
 欠席時対応加算(Ⅳ) 訪問による欠席時対応(1時間以上)の場合
※欠席時対応加算(Ⅲ)及び(Ⅳ)については、前日までの欠席回数にかかわらず算定可能とする。
【理由】現状の欠席時対応加算は、利用を予定していた日に急病等により利用を中止した場合に、「利用者又はその家族等との連絡調整その他の相談支援を行う」とされていますが、急病ではなく生活上の問題が生じて欠席をした場合に、電話対応・連絡調整に時間を要したり、即時訪問対応を必要としたりすることもあります。
しかし、欠席時対応加算では、長時間の電話対応などが評価されず、一方訪問支援特別加算は、連続して5日欠席が続いていない場合、算定できません。そのため、必要な支援が提供されにくい状況にあります。
(6)初期加算については算定回数を限定したうえで算定期間の延長を要望します。
(例)利用開始日から90日を限度として、20回まで加算を算定可能にするなど
【理由】週1~2回など利用頻度の少ない利用者であってもアセスメントに関わる支援は重要ですが、利用開始から30日間と限定されているため、利用頻度の少ない利用者については算定回数が限られてしまいます。

10.その他の事項について
(1)市町村が障害者相談支援事業を委託して実施する場合において、人口に対する相談員の配置基準を示すことを要望します。
【理由】地域の数箇所に一般的な相談支援の窓口が確保されワンストップの相談体制を整えることができるように、人口に対する委託相談の相談員の配置基準を示すことが必要と考えます。市町村の解釈が様々であり、相談支援体制の強化が個々の相談員の質の向上だけでは厳しい状況ですので、委託相談員の基準を示していただきたいと考えます。
(2)障害支援区分の認定は、申請後30日以内(介護認定と同程度)で決定するよう期間を定めることを要望します。また緊急時に区分認定が無い方を受け入れた場合は、障害支援区分の認定を申請日に遡って決定することを要望します。
【理由】障害支援区分の認定については、市町村によって決定までの期間にばらつきがあります。地域よっては申請から2か月近くかかるところも存在しています。必要な福祉サービスの速やかな利用と、公平性を担保するために期間設定が必要です。また区分認定されていない障害者を緊急時に受け入れた場合、市町村によっては「区分認定まで実費」を支払う、措置で対応、仮区分を認定し特例介護給付での対応などばらつきがありますので、全国統一の対応をお示しください。
(3)基幹相談支援センターに主任相談支援専門員の必置を定めるよう要望します。
【理由】基幹相談支援センターの大きな役割の一つとして、地域の相談支援体制の構築があります。その担い手として主任相談支援専門員を養成していただけたことで、各地域の相談支援体制の強化が期待されています。しかし、配置の義務付けがないため進まない現状があります。
(4)基幹相談支援センターの設置基準(人口・人数等)を定めるよう要望します。
【理由】介護保険法における地域包括支援センターの包括的支援事業の実施に係る基準では「第1号被保険者(65歳以上の高齢者)の数がおおむね3,000人以上6,000人未満ごとに置くべき専らその職務に従事する常勤の職員の員数として、保健師、社会福祉士及び主任介護支援専門員を最低限それぞれ各1人」と定めているように、人口に対して数名の基幹相談支援センター職員を必置とすることを定めてください。
(5)地域生活拠点事業について、さらに詳細な情報(経費や運用、緊急対応などの実績)について情報公開を要望します。
【理由】地域生活拠点の整備にあたり、すでに設置されている好事例地域の拠点事業所の情報提供をしていただいていますが、更に詳しく経費等の運用情報や緊急対応の実績などを公開していただくことで、好事例の般化が可能となり地域生活拠点の整備や事業活用が期待できます。
(6)措置入院等で入院された方が福祉サービスの申請する際は、居住地特例などの解釈に市町村ごとの違いが生じているため、福祉サービスの支給決定に時間を要することがありますので、一定のガイドラインを示すよう要望します。
【理由】措置入院等で入院された方が福祉サービスを申請する際に、行政間での調整に時間を要し、受給者証の発行が遅れ、もしくは受給者証が発行されず、福祉サービスの利用が円滑に行われていない事例も発生しています。権利擁護の視点からも是非行政間のトラブルが起こらないように居住地特例や住所不定者のとらえ方等一定のガイドラインを示してください。

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標題 新型コロナウイルス感染拡大によるいわれなき偏見と差別について(お願い)
日付 2020年2月13日
発信者 公益社団法人日本精神保健福祉士協会 会長 柏木一惠
提出先 構成員の皆さまへ

 新型コロナウイルス感染症については、日本国内においても感染の拡大が懸念される中、感染者数に注目した報道も相まって、目に見えない未知のウイルスに対しての国民の不安は日に日に強まっています。感染された方々の回復とすでに亡くなられた方々のご冥福をお祈りするとともに、一日も早く新型コロナウイルス感染症の治療法と予防法が確立されることを願います。

 新型コロナウイルス感染症の拡大とともに、全世界でアジア系の人々に対しての差別的な言動も広がっており、報道以上に深刻な状況になっていることと思料します。日本国内でもソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)を中心とした特定の国の人に対する憎悪発言の拡散、教育現場、職場や地域住民間における根拠のない虐めなど、二次被害ともいうべき事態が生じており、メンタルヘルスを含めた種々の問題が起こりつつあります。

 特定の国や地域の人々や、渡航歴のある人、感染症の疑いのある人に対する根拠のない差別的な発言、偏見、人権侵害にあたる行為に、私たち精神保健福祉士は、断固として反対の立場をとる必要があります。

 障害や疾病があるだけで差別の対象とされる人々を守ること、誰も排除しない社会の実現がソーシャルワーカーたる精神保健福祉士の使命です。今私たちにできることは、冷静に動向や実態を注視し、さまざまな分野、実践領域において支援を必要としている人に関わる意志を持ち、適切な支援に取り組むことです。

 構成員におかれては、隔離や治療を余儀なくされた人やその周辺の方々の困難や、偏見や差別の対象となった人の苦しみに寄り添えるように、ぜひこの問題に関心を払い、必要に応じた丁寧な支援を展開していただくようお願いいたします。

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標題 日本ソーシャルワーカー連盟(JFSW)は子どもの虐待を防ぎ安心して子育てができる環境を重要視し「子ども家庭福祉士(仮称)」の創設に反対します
日付 2020年1月23日
発信者 日本ソーシャルワーカー連盟(JFSW)/公益社団法人日本精神保健福祉士協会 会長 柏木一惠、公益社団法人日本社会福祉士会 会長 西島善久、公益社団法人日本医療社会福祉協会 会長 早坂由美子、特定非営利活動法人日本ソーシャルワーカー協会 会長 岡本民夫

1 現行制度の見直しと現任ソーシャルワーカーの活用を優先すべきです。

子どもの虐待防止は喫緊の課題であり早急な体制整備が必要です。子どもの命を守る現場には新たな資格の制度化を待つ余裕はありません。先ずは国の緊急対策である児童福祉司の大幅な増員に直ちに取り組み、また同時にその質の担保を図るべきです。それには既存の専門職である社会福祉士及び精神保健福祉士を活用し、子ども家庭分野の福祉・心理・法律に関するより専門的な研修を実施することにより、システムを整備していくことが有効です。

 
2 子ども虐待を社会全体の問題として捉えるソーシャルワークの視点が必要です。

子ども虐待は複雑な背景を持ち、家庭の内外に生じる様々な課題に対し適切な支援が行われなかった結果生じている現象です。虐待を親や養育者の個人的な資質に帰すのではなく、その背景にある複合的な課題への視点が必要です。そのような視点とスキルを有したソーシャルワーカーである社会福祉士及び精神保健福祉士を積極的に活用することが、現在の社会問題の中でもっとも悲惨な子ども虐待への対応として即応性があります。

 
3 子ども虐待を未然に防ぐためには、虐待をさせない環境作りが最重要課題です。

虐待させない環境を作ることは、子どもの健やかな育ちと親の成長を支援する仕組みや地域の支え合いの強化など社会全体が取り組む課題です。また児童相談所だけが虐待対応するわけではなく、地域の資源をつなげていく、地域のネットワークを強化していく連携力が求められます。これこそ地域を基盤としたソーシャルワークを展開してきた社会福祉士及び精神保健福祉士が長年培ってきた強みです。

 
日本ソーシャルワーカー連盟(JFSW)は、会員団体においてまた相互に連携し、社会福祉士及び精神保健福祉士の子ども虐待にかかる専門性の向上に努め、虐待をさせない環境作り(予防的介入)の方策を提示し、機動力をもって実現させていく所存です。

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標題 構成員を対象とした匿名による本協会宛の苦情の取り扱いについて(お願い)
日付 2019年11月7日
発信者 公益社団法人日本精神保健福祉士協会 会長 柏木一惠
提出先  構成員の皆さまへ

 日頃より本協会の活動にご参加いただき、感謝申しあげます。

 さて、この度、本協会の特定の構成員に関する処分を求める会長宛の文書が、匿名により複数回送付されました。本来、構成員に関する苦情については、以下の苦情処理規程に基づき苦情申立を受理し、倫理委員会による申立人、被申立人の双方から事実確認の調査及び審査を経て、理事会で審議することが原則です。
 
【苦情処理規程(抜粋)】
(受付要件及び受理等)
第7条 苦情申立書が、次に掲げる要件を備える場合、苦情申立を受理するものとする。
(1)被申立人を特定できること。
(2)申立人の連絡先(氏名・住所・電話番号等)が特定できること。
(3)苦情内容が明記されていること。
(4)当該事由が発生した時期が概ね特定可能であること。
 
   しかしながら以下の理由により、理事会決議を経て当該構成員及び当該構成員の所属する都道府県精神保健福祉士協会(以下「都道府県協会」という。)に聴取調査への協力を求めることといたしました。

○投書には当該構成員の実名及び職場が記されており、個人を特定できたこと。

○当該構成員の職場宛にも匿名の文書が再三送付され、当該構成員は結果として失職に至っており、本協会として構成員の権利擁護の観点から事実確認が必要と考えられたこと。

○当該構成員の所属する都道府県協会宛にも同様の匿名投書が繰り返されているが、当該都道府県協会では事実確認を行う意思がないことを確認したこと。
 
 結果として、当該構成員は調査に応じ、その供述に基づき理事会で審議し然るべき対応を行いました。ただし、複数の匿名文書による告発という形態について、投書をした方が本協会構成員である可能性は否定できず、そうせざるを得ない事情があったにせよ、理事会としては残念な思いが残りました。

 構成員各位におかれましては、今後のために「精神保健福祉士の倫理綱領」について以下を再度ご確認くださいますようお願いいたします。特に強調させていただきたいのは「批判に対する責務」です。専門職としての批判の目的は、断罪することにあるのではなく過ちから目を背けずに内省を促し、相互研鑽に生かすことです。それが正しく機能するには、自分は傷つかず安全な位置から批難するのではなく、互いに痛みも共有しながら専門職としての成長を志向する発想が必要であることをご理解いただきたいと思います。
 
【精神保健福祉士の倫理綱領(抜粋)】
倫理基準
2.専門職としての責務
(4)批判に関する責務
c 精神保健福祉士は、他の精神保健福祉士の非倫理的行動を防止し、改善するよう適切な方法をとる。
(5)連携の責務 
d 精神保健福祉士は、職業的関係や立場を認識し、いかなる事情の下でも同僚または関係者への精神的・身体的・性的いやがらせ等人格を傷つける行為をしてはならない。 

   また、都道府県協会には本協会の都道府県支部の運営を担っていただく立場から、精神保健福祉士の倫理綱領に抵触すると考えられる事案を把握した際は、遅滞なく本協会への報告、相談をしていただくよう改めて依頼する予定であることを申し添えます。
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標題 第3次犯罪被害者等基本計画の見直しに向けての意見
日付 2019年8月28日
発翰番号 JAPSW発第19-189号
発信者 公益社団法人日本精神保健福祉士協会
提出先  警察庁犯罪被害者等施策担当参事官室 御中

 平素より本協会事業に格別のご理解、ご協力を賜り、深く感謝申しあげます。

 本協会は、精神障害者の権利擁護と地域生活支援を担う専門職の全国組織です。近年では、広く国民の精神保健保持に資するために、医療、保健、そして福祉にまたがる領域で活躍する精神保健福祉士の役割の重要性が増しており、医療機関や生活支援サービス機関をはじめ、地方公共団体や学校、保護観察所や矯正施設等で活動をさせていただいております。

 さて、第3次犯罪被害者等基本計画では、「地方公共団体における専門職の活用及びこれらとの更なる連携・協力の充実・強化」の中で精神保健福祉士の活用についての記載をいただき、犯罪被害者等の理解と支援を押し進めようと本協会としても努力を重ねております。2016年には本協会に司法精神保健福祉委員会を設置して、犯罪被害者等支援に関する調査を実施しており、過去3年の間に27%もの本協会構成員が犯罪被害者等からの相談を受理しているとの結果(※)も出ております。しかしながら、犯罪被害者等への支援については、生活支援のための制度・サービスの不備に加え、専門職の位置づけが不明瞭で活用される場が極めて限定的であるために、実質的な専門的支援を行うことができていない状況です。つまり、犯罪被害者等の相談支援として、犯罪被害者等が活用できる制度・サービスのコーディネート(ケアマネジメント)やアドボケイト支援等は提供できていません。犯罪被害者支援等に国家資格であるソーシャルワーク専門職の有効な活用が頂けず、生活再建の目処が立たない犯罪被害者等が多数社会におられることを誠に遺憾に思っております。

 本協会としましては、犯罪被害者等の権利回復、精神的回復と生活再建に向けての支援体制強化促進のために、精神科医療機関、地方公共団体、その他関連機関における支援に精神保健福祉士が果たすべき役割があると強く認識しているところです。

 つきましては、第3次犯罪被害者等基本計画の見直しに向けて下記のとおり要望いたしますので、ご高配のほど何卒よろしくお願いいたします。

 
  1 重点課題における意見

第1-2-(4)「カウンセリング等心理療法の費用の負担軽減」
 犯罪被害者等のカウンセリングは重要な支援の一つである。しかしながら、精神科医療機関等に公費カウンセリング制度について周知徹底されていないため、広報啓発を都道府県警察に要請していただきたい。同時に、その対象を急性期の犯罪被害者等に限定せず、複雑性PTSDや病的悲嘆のご遺族等、中長期に生活課題を抱える犯罪被害者等にも適用できるように制度の再設計をお願いしたい。
また、犯罪被害者等は早期の具体的な社会生活再建のコーディネート支援が必要になることから、都道府県警察において、犯罪被害者等の精神症状と社会資源に精通した精神保健福祉士等を配置していただきたい。

第1-3-(2)「被害直後及び中期的な居住場所の確保」
 地方公共団体によっては条例で居住の安定のための施策を有しているが、利用実績は非常に限られている。地域格差と、制度の未周知、不適切なサービス内容によるものだと考えられる。それらの課題に対して、既存の制度活用として、生活困窮者支援制度による住居確保給付金の活用ができる。その他にも、この制度には、学習支援事業や就労準備支援事業が盛り込まれており、犯罪被害者等にとって、重要な支援となる。この制度の対象範囲を犯罪被害者等に拡大することを提案する。(すでに関連マニュアルではDV・性犯罪はその対象に含まれているが、ほとんど知られていない)

第2-1-(5)「犯罪被害者等への適切な対応に資する医学教育の促進」
 医師だけではなく、精神保健福祉士、社会福祉士、公認心理師の養成校および大学院等でのカリキュラムにおいても、犯罪被害者等に関する専門的知識・支援技術についての項目が取り入れられることを切望する。

第2-1-(9)「交通事故による重度後遺障害者に対する医療の充実等」
 訪問相談支援は、その場で的確なアセスメントを行い、様々な社会資源のコーディネートが必要になる専門性の高い業務である。二次被害を与えないためにも、訪問支援時には、福祉・保健等の専門職を派遣できる体制に改めていただきたい。

第2-1-(22)「犯罪被害者等に関する専門的知識・技能を有する専門職の養成等」
 現在、加害者支援においては、保護・矯正関連施設において、専門に配置される精神保健福祉士や社会福祉士、公認心理師(臨床心理士)が活躍している。一方、犯罪被害者等支援分野においては、専門に配置される予算措置、配置場所の提案がなかったために、専門職の養成のニーズが高まらない状況にあり、加害者支援との不均衡状態が生じている。被害者支援人材の予算不足は、被害故のひきこもりや自殺、加害への連鎖を招き、その社会的損失は大きい。ソーシャルワーカー専門職に犯罪被害者等に関する専門的知識・技術を有する専門職の養成を行うための予算措置をお願いしたい。

第4-1-(3)「地方公共団体における専門職の活用及びこれらとの更なる連携・協力の充実・強化」
 犯罪被害者等の生活問題は、保健や福祉と密接に絡んでおり、様々な社会資源を熟知しコーディネートしていく技術が必要になる。また、現在、地方公共団体に犯罪被害者等が自ら相談する事案は多くはなく、総合的対応窓口開設のみでは支援を必要としている人に支援が行き届かない状況にある。被害直後からのアウトリーチによる支援を展開していく必要があり、そのためには専門性を有した職員配置が欠かせない。地方公共団体の総合的対応窓口を、保健や福祉を担う部署に置き、精神保健福祉士、社会福祉士および保健師等の専門職を配置することを推進願いたい。

第4-1-(14)「被害者支援連絡協議会及び被害者支援地域ネットワークにおける連携の推進」
 既に各都道府県レベルで被害者支援連絡協議会が設置されているが、これは関係機関代表者会議のような位置づけとなっている。また、警察署ごとに被害者支援地域ネットワークは、警察署が中心のため、生活支援に関する機関連携の弱さが課題として挙げられる。児童福祉法に基づく、要保護児童対策地域協議会(要対協)のような情報の取扱いに関する規定も含むような地域支援協議会の設置の検討を願いたい。広範囲で遭遇する事件発生の際の引継ぎや連携などについても、機能するようなネットワーク体としての協議会が求められる。
 また、被害者支援連絡協議会及び被害者支援地域ネットワークに参加する委員に、犯罪被害者等の更なる生活再建のためには生活支援の視点が欠かせず、その専門職を入れる意義がある。また、そもそも当事者の視点なくして施策を進めることは問題である。そのため、生活、医療、裁判等多岐にわたる分野について、具体的な事案に応じた対応力の向上を図るために、各都道府県の協議会・ネットワークに、最低1名は精神保健福祉士、社会福祉士、保健師等の生活支援の専門職のいずれかが加わるよう推進していただきたい。また当事者(本人、家族、遺族)も最低1名は加わるよう推進していただきたい。

第4-1-(17)関連「指定被害者支援員へのケアマネジメント研修の実施」
 警察において、指定された警察職員が、事件発生直後から犯罪被害者等に付き添い、必要な助言、指導、情報提供等を行ったり、被害者支援連絡協議会等のネットワークを活用しつつ、部外のカウンセラー、弁護士会、関係機関又は犯罪被害者等の援助を行う民間の団体等の紹介・引継ぎを実施する「指定被害者支援要員制度」がある。この業務にケアマネジメントの手法が有効と考えられる。指定被害者支援要員のための知識等の研修にソーシャルワークの知見を活用いただき、犯罪被害者等の早期支援の充実を図っていただきたいと考える。

第4-1-(24)「検察庁の犯罪被害者等支援活動における福祉・心理関係の専門機関等との連携の充実」
 加害者対応では、入口支援として検察庁が弁護士会とともに福祉的支援(更生支援計画)を積極的に推進している。一方で、犯罪被害者等には、その生活再建のための福祉的支援は提供されていない。事件事故後半年の支援がPTSD発症リスクを予防することが知られることからも、検察庁においても被害者対応専属の福祉専門職を配置するか、あるいは、外部福祉機関(相談支援事業所等)に委託をして支援を行う体制を構築すべきである。また裁判所に登録される精神保健参与員のように、検察庁に精通福祉専門職が登録される仕組みの導入を検討いただきたい。

  2 第4次犯罪被害者等基本計画に向けての新規提案(第3次犯罪被害者等基本計画の該当項目なし項目)

(1)アドバイザー派遣事業の活用
 地方公共団体の犯罪被害者等支援に専門職を活用することが第3次基本計画で明記されましたが、その活用は進展していない。そこで、地方公共団体(都道府県)において、精神保健福祉士、社会福祉士等を、犯罪被害者支援分野で既存の社会制度やサービスのケアマネジメント等を熟知した専門家として派遣し、総合的対応窓口の体制整備および困難事例等の対応助言にあたってもらう仕組みを創設することを提案する。当該アドバイザー派遣事業は、既に精神障害者の退院促進事業等でも活用されており、地方公共団体の生活困難を有する人々への専門的支援の拡充につながっている。

(2)犯罪被害者等の生活支援のための既存制度の対象拡大
 障害者福祉分野や高齢者福祉分野では、支援の根拠となる障害者総合支援法や介護保険法によって、市区町村でケアマネージャー(相談支援専門員や介護支援専門員)がケアマネジメントを公的に実施するために方針会議を開催することが定められ、多機関連携による具体的介入のための方針会議が開催され、中長期型の支援が実施されている。犯罪被害者支援においては、多機関連携が必須であるにも関わらず、具体的介入に欠ける状況にある。計画相談等のケアマネジメントサービスや生活支援が公的に即時に提供される仕組みとして、犯罪被害者等を対象としたケアマネジメントの仕組みを新規に導入する、あるいは、障害者総合支援法もしくは介護保険法のケアマネジメントの対象拡大により支援の拡充を図ることを提案する。実際、障害者総合支援法においては、2013年に難病患者が、2014年に矯正施設の退所者にもサービスが提供され始め、生活課題や地域移行が進んでいる。とくに、犯罪被害者等においては、事件事故後早期からのホームヘルプサービス(居宅介護)や同行援護が早急に制度設計されるべきと考える。

(3)包括的被害者支援窓口の設置
 地域によって、地方公共団体のタテ割り相談窓口では機能しない市町が目立つ。少子化社会の中、直近で省庁をまたいで率先して取り組むべきことは、被害者支援全体の体制の効率化・スリム化である。地方公共団体における犯罪被害者等総合的対応窓口を「被害者等総合対応窓口」とし、市区町村の被害者事案(犯罪被害、交通事故、その他事故、子ども虐待、障害者虐待、高齢者虐待、DV、ハラスメント、火災、被災等)を総合的に取り扱う部署として再編(委託可)していただきたい。これは、現在、保健福祉分野で国が進めている地域包括ケアや地域共生社会の発想にもつながる構想であり、潜在的な被害者支援を含めて、被害者支援を充実させていくために不可欠な発想と考える。なお、その窓口には、他領域の専門職(保健福祉:精神保健福祉士/社会福祉士/保健師、法律:弁護士、心理:公認心理師)の3職種配置を必置とし、多方面からの支援が得られるようにするべきと考える。

  (※)司法精神保健福祉委員会・報告書(プレ調査結果)司法分野における精神保健福祉士の関わりについてのアンケート[第1版]2018(平成30)年3月発行
 
[PDF版はこちら(376KB)]
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標題 罪に問われた障害者に対する精神保健福祉士と弁護士の連携活動に関する要望書
日付 2019年7月1日及び4日
発翰番号 JAPSW発第19-121号の1、2
発信者 公益社団法人日本精神保健福祉士協会
提出先  法務大臣 山下貴司 様、日本司法支援センター 理事長 板東久美子 様

 平素よりお世話になっております。
 本協会は、精神障害者の権利擁護と地域生活支援を担う専門職の全国組織です。現在、本協会と密接な関係にある都道府県精神保健福祉士協会等においては、弁護士等と連携し、罪に問われた精神障害者等の障害者の支援を行っております。

 都道府県精神保健福祉士協会等と弁護士会が連携して、あるいは、地域の精神保健福祉士と弁護士が個別に連携し、精神保健福祉士が接見に同行し、アセスメントを行い、社会復帰後の支援に関する助言等を行うとともに、更生支援計画書を作成し、裁判において証言をするなどの活動を行っており、当該活動は各地に広まってきているところです。

 このような連携については障害者の権利擁護にとって非常に重要な活動であり、今後も活動が広がっていくことを願っております。

 もっとも、上記のような活動に対する費用の支出については、例えば原則10万円を上限として弁護士会を通じて費用を支出するなどの制度が作られている地域があるものの、ほとんどの地域については制度的担保がなされておらず、罪に問われた障害者の入口支援及び出口支援の多くの事案では当該者の貧困が背景にあることも関係し、無償あるいは十分な報酬を受け取らずに活動を行っている精神保健福祉士がみられるのが現状です。

 本協会としては、このような人権擁護に必要な活動を継続、普及していくためには、日本司法支援センター等において当該連携に係る費用支弁の制度を構築していただくなど、連携費用に関する制度的担保を構築するためのご理解と積極的な取組みが必要と考えております。

 したがいまして、本協会としましては、罪に問われた障害者の支援に係る弁護士との連携費用について、予算が確保され、制度的に担保されることを要望いたします。


[PDF版(法務大臣宛)はこちら(109KB)]
[PDF版(日本司法支援センター理事長宛)はこちら(140KB)]
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標題 児童虐待を早急に根絶するため児童福祉司にソーシャルワーク専門職である社会福祉士・精神保健福祉士の必置に関する要望
日付 2019年6月28日
発信者 日本社会福祉士会 会長 西島善久、日本精神保健福祉士協会 会長 柏木一惠、日本医療社会福祉協会 会長 早坂由美子、日本ソーシャルワーカー協会 会長 岡本民夫、日本ソーシャルワーク教育学校連盟 会長 白澤政和
提出先  厚生労働大臣 根本 匠 様

こちらをご覧ください。(日本ソーシャルワーカー連盟ウェブサイトへのリンク)
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標題 2020年度診療報酬改定に関する要望について
日付 2019年6月27日
発翰番号 JAPSW発第19-1151号
発信者 公益社団法人日本精神保健福祉士協会 会長 柏木一惠
提出先  厚生労働省 保険局 医療課長 森光敬子 様

 平素より本協会事業に格別のご理解、ご協力を賜り、深く感謝申しあげます。

 さて、精神保健医療福祉における新たな政策理念として「精神障害にも対応した地域包括ケアシステムの構築」が掲げられ、現在第7次医療計画及び第5期障害福祉計画においてその基盤整備とともに、多様な精神疾患等に対応できる医療連携体制の構築に向けて、各医療機関の医療機能の明確化が進められているところです。

 本協会としましては、精神障害者の地域生活への移行及び地域生活の定着のさらなる強化促進のために、圏域内における精神科医療機関内外に渡るネットワーク構築に精神保健福祉士が果たすべき役割があると強く認識しているところです。

 つきましては、2020年度の診療報酬改定に向けて以下のとおり要望いたしますので、ご高配のほど何卒よろしくお願いいたします。
 

  1.通院・在宅精神療法(I002)において、精神科を標榜する保健医療機関の外来診療部門に精神保健福祉士を1名以上配置した場合の体制に係る加算を新設してください。(10点)
 
<具体的要望内容>
 精神科を標榜する保健医療機関の外来診療部門に精神保健福祉士を1名以上配置し、入院中の患者以外の患者及びその家族に対して、必要に応じて保健所、市町村、障害福祉サービス事業所、介護保険事業所等と連携し、療養生活環境を整備するための支援体制がとられている場合において、通院・在宅精神療法の所定点数に加算できるようにしてください。

<理由>
 通院・在宅精神療法は、精神疾患を有する患者に対して、精神科を担当する医師が一定の治療計画のもとに危機介入、対人関係の改善、社会適応能力の向上を図るための指示、助言等の働きかけを継続的に行う治療方法とされています。そうした治療と併行して、精神保健福祉士が患者の抱える生活課題等に関する相談に応じ、必要な制度や資源に関する情報提供及び利活用支援、関係機関との連絡調整といった生活環境の調整を行うことで、通院・在宅精神療法はより効果が発揮されると考えます。通常は精神保健福祉士による相談支援を必要としない患者についても、外来診療部門に精神保健福祉士を配置することで、必要時に適宜生活課題等の専門的相談支援を受けられる体制を取ることは、特に他者との交流に乏しく社会的に孤立している精神疾患患者に社会参加の機会を提供することにもつながると考えます。
 また、精神障害者の職場定着や就労支援の強化に向けて実施されている「精神科医療機関とハローワークの連携モデル事業」においても外来診療部門の精神保健福祉士がその役割を担うことが可能となることで、一層の強化が見込めます。

<有効性>
 患者の支援ニーズを的確に把握し医療機関と関係機関との連携を強化していくことで、患者を中心とした支援ネットワークを形成することが可能となります。また、患者の生活上の課題等が病状に大きく影響することから、精神保健福祉士がその解決を支援することにより、患者の安定した地域生活の維持・継続に資することとなります。これらの取組みにより、診療を担当する医師の負担軽減、新規入院の予防及び退院後1年未満再入院率の低減による入院医療費抑制への効果が期待できます。

参考資料
1.精神保健福祉士の外来診療部門への配置に係る参考資料
2.外来部門に配置される精神保健福祉士の有効性に関する事例
3.【結果概要】外来患者等に対する精神保健福祉士の相談援助業務等に係るアンケート調査
4.「精神科医療機関とハローワークの連携モデル事業」の拠点ハローワークと連携先医療機関一覧


  2.「精神科訪問療養生活環境整備支援料」(仮称)を新設してください。(550点/1回)
 
<具体的要望内容>
 精神保健福祉士等が患家等に訪問し患者又はその家族等に対して、療養生活環境を整備するための支援を行った場合の「精神科訪問療養生活環境整備支援料」(仮称)を新設してください。算定可能機関は、精神科を標榜する医療機関及び精神科訪問看護療養費の基準を満たす訪問看護ステーションとし、週3回を限度に算定可能とします。
 対象は、入退院を頻回に繰り返す、家族によるサポートが難しい、障害福祉サービス等の社会サービスにつながっていない等、治療中断となるハイリスク患者に限定することが適当と考えます。また、療養生活環境の整備を目的とするため、患家への訪問に限らず、就労支援事業所等の日中活動の場への同行、他科を含む医療機関への連携目的による受診同行等を行った場合も算定することが可能とする必要があります。

<理由>
 精神科の通院・在宅等患者は、安定した地域生活を維持するために、生活上の課題等が病状に大きく影響することを防ぐ必要性が高い者が多く存在します。そのための相談及び制度活用、日中活動の場の確保や利用及び利用機関等と医療機関との連携など、生活課題と医療的ケアの関連についてのニーズを生活の場において把握し支援に結び付けるといった療養生活環境整備は、精神保健福祉士の専門性を生かした訪問支援が有効と考えます。
<有効性>
 これらの取組みにより、家族又は同居者から虐待を受けている又はその疑いがあるような状況、家族が接し方に悩んで困難を抱えている状況、生活困窮状況、経済活動に困難を抱えている状況、頻回な入退院及び通院中断のリスク、福祉・介護サービスへのアクセス困難又は利用中断、近隣との交流課題など、さまざまな生活困難課題と病状への影響などに対して、患者及び家族、関係機関支援者への適切な支援を提供可能となります。
結果として、多様な困難状況による生活破綻と派生する社会的費用支出の抑制、病状悪化及び再入院防止に資すると考えます。
 なお、精神科訪問療養生活環境整備支援料の新設により、医療機関における精神科訪問看護・指導については精神保健福祉士の撤退が予想されるため、新たな財源は必要としません。


  3.精神科退院後生活環境調整会議実施加算Ⅰ(仮称)を新設してください。(300点/1回)
 
<具体的要望内容>
 精神病棟に入院中の患者のうち、入院後7日以内の退院後支援のニーズに関するアセスメントの実施により、医療的ケアの必要性とは別に退院困難な要因を有する患者を対象として、関係機関も含めた多職種による「精神科退院後生活環境調整会議」を実施し、入院日から起算して1年以内に退院した場合に、入院中2回に限り「精神科退院後生活環境調整会議実施加算Ⅰ」(仮称)を算定できるようにしてください。
 この場合において、「精神科退院後生活環境調整会議」には精神保健及び精神障害者福祉に関する法律施行規則に定める医療保護入院者退院支援委員会及び「地方公共団体による精神障害者の退院後支援に関するガイドライン」(平成30年3月27日、障発0327第16号)に基づく退院後支援計画作成のための会議を含めることとしてください。

<理由>
 医療的ケアの必要性とは別に退院困難な要因を有する患者の退院及び地域移行支援においては、福祉サービスの利用や居住資源確保、家族関係調整など、関係機関を含めた多職種による退院後生活環境調整が欠かせません。現状において、そのような会議等の開催実施の必要性は高く、実際に実施されているものの、医療機関に対する評価がないことから、会議が有効に活用されないことが懸念されます。

<有効性>
 精神科退院後生活環境調整会議の実施が促進されることにより、地域定着における定着阻害要因が減少し、さまざまなリスク回避が可能となると考えられます。病状悪化や再入院防止につながることで医療費抑制にも資すると考えます。

<参考>
 本協会が実施した精神保健福祉士の業務実態等に関する調査(調査日2017年12月6日8:00~12月7日7:59)の集計結果によると、主な勤務先が医療機関である精神保健福祉士(n=1,804名)の業務ごとの実施者割合のうち、「会議」の実施者割合は87.5%と高く、平均実施時間は73.4分であり、そのうち1時間以上の時間を費やしている割合は42.6%であった。「会議」の内訳では、ケア会議(退院支援委員会や所属機関の内外を問わず、当事者や家族の支援の方向性等に関する会議を含む)の平均実施時間は16.2分であった。


  4.精神科退院後生活環境調整会議実施加算Ⅱ(仮称)を新設してください。(300点/1回)
 
<具体的要望内容>
 任意入院の患者に対し、入院後1年経過時及び以後2年ごとに入院(継続)の意思確認をする際に、精神保健福祉士が行政を含む関係機関と精神科退院後生活環境調整会議を実施し、実施後1年以内に退院した際に加算できるようにしてください。

<理由>
 1年以上長期在院患者のうち4割はIADL支援及び居住資源や家族関係調整等の困難の解消ができれば退院可能と言われています。また任意入院の形態であっても漫然とした入院継続の防止と退院への意欲喚起の観点から、入院後1年経過時及び以後2年ごとに入院(継続)同意を書面で確認する仕組み※が設けられていますが、形式的なものとなっている可能性が高いと認識しています。本手続きの機会を生かし、患者本人及び支援者がともに、入院長期化の意識と退院意欲の喚起や醸成につながるよう、本取組みを精神保健福祉士が行うことが必要と考えます。特に対象患者は、施設基準に精神保健福祉士の配置が設けられてない精神病棟入院基本料病棟に入院していることも多く、ソーシャルワークを担う者と出会えていないことが想定されます。既にある仕組みを有効活用できるようにすることが肝要と考えます。

<有効性>
 長期入院患者の多くが精神保健福祉手帳を持たない、地域の支援者の存在を知らないなど、権利遂行や情報アクセスができていない状況が改善されることで、当該患者の退院意欲の喚起につながることや、満足度が向上すると考えられます。


  5.精神科救急入院料(A311)及び精神科急性期治療病棟入院料(A311-2)の精神保健福祉士の配置基準を見直してください。
 
<具体的要望内容>
以下のように施設基準等の見直しを行ってください。精神科救急入院料施設基準における精神保健福祉士の配置を患者20名に対し1名とすること、及び精神科急性期治療病棟入院料施設基準における精神保健福祉士の配置を患者30名に1名としてください。

<理由>
 両病棟への入院患者の多くは、急性期症状の一定回復後に、退院及び地域生活定着に必要となる多様な生活困難課題の調整を行う期間が必要となります。入院前における地域生活や関係機関の状況の把握、家族関係調整や必要な制度活用や福祉サービス導入、居住資源調整など、時間と労力が欠かせません。適切な支援を行わないまま退院を迎えると、地域定着におけるハイリスクとなります。
 既に多くの精神科救急入院料病棟では基準以上の加配を行っている現状があり、要望するケースロードの妥当性を示す証左と考えます。

<有効性>
 現行評価を変えるものではありません。

参考資料
5.精神科救急病棟に勤務する精神保健福祉士と医療機関に勤務する精神保健福祉士全体との業務比較


  6.精神病棟入院基本料(A103)に係る精神保健福祉士配置加算の施設基準における自宅等への移行に係る要件を見直してください。
  <具体的要望内容>
 現行の精神保健福祉士配置加算の施設基準を見直し、当該保険医療機関の精神病床の全入院患者のうち、9割以上が入院日から起算して1年以内に退院することとして、これには転院及び死亡退院も含めることとしてください。

<理由>
 平成28年度精神保健福祉資料によると、2015年6月の入院患者の状況として、1年未満に退院して家庭復帰等及びグループホーム・社会復帰施設等に移行したものの割合(以下、「自宅等移行率」という。)は全国平均で73.1%でした。一方、1年以内に転院・死亡したものの割合(退院率)は14.5%であり、この割合は今後も同様に推移することが予想されます。そして、残りの12.4%がいわゆるニューロングステイとして1年を超える入院を継続することを示しています。このことからも精神病棟入院基本料算定病棟において、9割以上の自宅等移行率を達成することは極めて困難です。
 一方、第5期障害福祉計画では、精神病床における入院後1年未満退院率90%を目標値としていることから、精神保健福祉士配置加算の施設基準もこれに準じることが適当と考えます。

<有効性>
 平成29年精神保健福祉資料によると、施設基準等において平均在院日数の縛りがある10対1及び13対1を除く精神病棟入院基本料を算定する病棟の在院患者(全122,608人)のうち、在院期間が1年未満のものの割合は37.4%でした。こうした病棟に精神保健福祉士が配置され入院後1年未満退院率が高まることで、相対的に精神病床の在院患者数が減少し、医療費の抑制につながることが期待できます。


  7.入院集団精神療法(I005)及び通院集団精神療法(I006)の算定要件を見直してください。
 
<具体的要望内容>
 入院集団精神療法及び通院集団精神療法の算定要件のうち、「精神科を担当する医師及び1人以上の精神保健福祉士又は公認心理師等により構成される2人以上の者が行った場合に限り算定する。」を「精神科医又は精神科医の指示を受けた精神保健福祉士若しくは公認心理師等で構成される2人以上の者が行った場合に限り算定する。」に変更してください。

<理由>
 平成29年社会医療診療行為別統計によると2017年6月審査分の入院集団精神療法は5,182件、通院集団精神療法は2,464件であり、低調に推移しています。その要因の一つには、実施職種として精神科医が必ず入っていることが考えられます。精神科医については近年の精神障害者数の増加傾向に鑑みて、通常の個別診療とは別に集団精神療法を実施する時間を確保することは極めて困難な状況にあります。このため実施職種については、依存症集団療法に関する算定要件に準じて、精神科医以外の職種による実施を可能とすることが適当です。

<有効性>
 入院集団精神療法及び通院集団精神療法に取り組む医療機関が増えることによって、入院の長期化抑止や地域生活の安定的な継続に寄与することが期待できます。また、医師の働き方改革に向けた取組みが検討されているところであり、精神科医の負担軽減にもつながります。


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標題 大阪・拳銃強奪事件をめぐる報道のあり方について(お願い)
日付 2019年6月27日
発信者 公益社団法人日本精神保健福祉士協会
提出先  報道機関各位

 大阪府吹田市の拳銃強奪事件では、負傷された巡査の一日も早い回復をお祈り申しあげます。

  この度の事件では、一部報道機関において容疑者が精神障害者保健福祉手帳を持っていたこと、障害者雇用されていたことが報道されました。

  このことについて、精神障害者の権利擁護と社会的復権を使命とする精神保健福祉士の立場からお願いがあります。

  事件報道の直後から、私たちが日常的に支援している精神障害のある人、特に精神障害者保健福祉手帳(以下「手帳」という。)を所持する人に様々な影響が出ています。「バス乗車の際に手帳を提示して割引を受けているが、報道以来差別を受けるのではと怖くなって手帳を使えなくなった」「手帳を所持しており障害者雇用で働いているが、職場で同じような目で見られないかと不安になった」等々の声が寄せられており、支援の現場では報道の二次被害ともいうべき事態が生じています。

  全国には約100万人の精神障害者保健福祉手帳所持者がおり、障害者雇用で働く人も60万人に迫る状況になっております。

  事件と精神障害者であることとの関係が明らかになっていない段階での、報道のあり方については慎重の上にも慎重を期すべきであり、特段の配慮を求めるものです。


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標題 成年後見制度における本人情報シート作成への積極的な関与について
日付 2019年6月13日
発信者 公益社団法人日本精神保健福祉士協会
提出先  構成員の皆さま

こちらをご覧ください。
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