報告

2009年度第5回認定スーパーバイザー養成研修などを受講して

2009年8月1日(土)から3日(月)の期間に、大正大学(東京都豊島区)にて、「第5回認定スーパーバイザー養成研修・基礎編」「第1回スーパービジョン研修」「第4回認定スーパーバイザー養成研修・応用編」「第3回認定スーパーバイザー更新研修」を開催しました。ここでは、修了者から各研修の報告を掲載します。

       
養成研修基礎編・課題別研修 更新研修 養成研修応用編 養成研修基礎編・全体会

・ 養成研修・基礎編:「出会いは必然!?」認定SVR養成研修日記

生活支援センター コスモールいこま(奈良県)/経験年数18年 鈴木 知子
(第5回認定スーパーバイザー養成研修・基礎編)

8月1日(土)

 公開講座として、100名ほどの受講生が一緒に、「スーパービジョン概論」と「ソーシャルワーカー論」を学びました。今まで曖昧に行っていた職場でのスーパービジョンを整理できたことが何よりの収穫でした。

 研修後の懇親会では、「このグループ良かった〜」と叫んでおられる楽しげな集団が。聞くと、更新研修のみなさんだとか。そうか、無事にSVRになった暁には、5年以内の更新研修でまた交流を深められるのですな。みなさんの楽しげなすがすがしい表情を見て、勇気づけられました。

8月2日(日)

 「ソーシャルワーク業務論」を聞いたあと、10名の参加者が2グループにわかれて、モデル事例をもとに、ソーシャルワーカーの視点からグループ演習を行いました。私の入ったグループのメンバーは経験年数が長いという共通点こそあれ、福祉事務所のワーカーもいれば、病院のワーカー、専門学校の講師、そして私のように地域の相談支援員と経歴が様々で、積極的に発言なさる方ばかり(自分は棚に上げてます)で、話がすぐ脱線。グループには協会の役員さんや講師、認定SVRの先輩も加わり、日常業務の中では忙しくてできずにいる、深ーい話なども飛び出し、収拾がつかない状況に。少人数ならではの充実した時間でした。

 そしてこの夜も、またまた懇親会。今度は応用研修のみなさんとご一緒。うむ、1年後、基礎研修を終了したら、今日一緒だったみなさんとまた会えるということですな。

8月3日(月)

 SVRの立場からグループ演習。厳しい指摘などもあり、言いたい放題の昨日とは異なり、ちょっと厳しい雰囲気に。(個人的には「ナマ柏木(先生)」を見て感動!文字でしか触れたことのない人が、目の前で笑ったり、そして発せられる珠玉の言葉!)「スーパービジョンの課題」を聞いて、全体討論を行って、終了です。

 といっても、この日がスタート。地元に帰って、スーパービジョンの実践をレポートにせねばなりません。実は支部のない奈良県。受講前から「鈴木さんは学んだことをどこに還元するの?」という重い宿題を背負っての参加です。地元でできる実践をこつこつ行って、なにか方向が見えてくれば、と珍しく(?)前向きな私。くじけそうなときは、「初めて会った気がしない」と言われたあのグループでの深いやりとりを思い出し、また話の続きをしたいなあ、と夢見ながら、今日からの1年、がんばります。


・ 養成研修・応用編:あらたな実践のスタート・全国の仲間と共に〜

鶴見病院(大分県)/三好 陽子
(第4回認定スーパーバイザー養成研修・応用編)

 2009年8月2日、「認定スーパーバイザー養成研修・応用編」に参加しました。この研修は、昨年8月に開催された同研修の基礎編を修了した受講者が、約10ヵ月間をかけ地元でスーパービジョン実践を行い、その実践レポートを提出した後に開催されるもので、SV養成研修の最終段階といえます。応用編へは実践レポートの厳しいご指摘(を受けるであろう)への不安と、一年ぶりとなる懐かしい方々との再会の喜びという複雑な感情を抱えての参加となりました。

 基礎編が3日の研修期間を有するのに比べ応用編は1日のみで、「提出課題の講評」「実践報告」「グループ討論」と、実践の振り返りとしての意味合いの強い内容でした。7名の参加者に対し4名の講師の先生がついてくださるという内容の濃さは、基礎編と同様に大変贅沢なものでした。

 一年前、同じ講義を受け地元に戻った受講者でしたが、協力をお願いしたSVEの選出から、契約、取り上げる内容等についても、SVR自身の考えや活動する地域の特性などもあり、実践報告は各々の個性が感じられるものでした。受講者は一年間をかけて、SVを自分のものとして作り上げていったのだと理解しました。応用編では自身の実践の振り返りと共に、基礎編を受講しただけでは気付けなかった部分について実践を基に深く掘り下げ、再考できる貴重な機会でした。講師の先生方が、お互いの報告を受講者同士が共有できるよう導いてくださり、体験の幅が広がったような豊かな研修となりました。

 「認定スーパーバイザー養成研修」は、本格的なSVを受けたことの無い私には無縁のものとの思いを抱えていました。しかし今回、協会を通じて知り合うことの出来た方々とのご縁やご協力を得て、不安な思いを抱えながらも受講に至り、今回修了できたことに対して今は背中を押してくださった方、ご協力いただいた方へ深く感謝しています。

 「SVRになる=SVEを支える」と考えていた私ですが、この研修では自分自身が多くの方々に支えられPSWを続けられていることを実感しました。研修を修了したとはいえ、自信が芽生えた訳ではありませんが、その心強さを支えにSVRとしての一歩を踏み出していきたいと考えています。講師の先生、共に学んだ受講生の方々、事務局の皆様に厚くお礼申し上げます。ありがとうございました。


・ 課題別研修:自らも支えられていることに感謝しながら…

社会福祉法人慈徳院 子どもの心のケアハウス 嵐山学園(埼玉県)/経験年数5年目 上野 陽弘
(第1回スーパービジョン研修)

 私は精神科病院の精神保健福祉士(PSW)を4年間経験し、現在、情緒障害児短期治療施設の児童指導員として勤めています。いかなる職場にいようとも、PSWのアイデンティティを大切にしながら、対人援助職として利用者と出会い関わる中で、自分自身も多くの方々に支えられ、日々の業務や生活を送っていることを実感します。

 その中で、児童福祉分野においてはPSWの方と出会う機会が少なく、同じ職場の中にもPSWの仲間がいない寂しさを持ちつつも、私にとってのテーマは「PSWとしての倫理観やアプローチ」を現在の業務に生かしていくことです。今回のスーパービジョン研修への参加も、業務の中で出会う子どもたちやその親を援助するにあたり、自らの専門性をより一層育み発揮したい。そのために、スーパービジョンを受けてみたい。このような思いで参加しました。

 今回の研修においては、「スーパービジョン概論」や「ソーシャルワーカー論」の講義と共に、その間に2回にわたるグループ討論がありました。講義におきましては、いずれもPSWとしての専門性や知識、技術、倫理観を振り返ることができる内容であったと共に、これからPSWとしていかに育っていくのかということの姿勢なども深く考えさせられました。業務においては、「熱い」思いが優先してしまいがちな中で、日々の自分自身のあり様や利用者との関わりを冷静に振り返る糧を得たと痛感します。

 また、グループ討論の中では、精神科病院、総合病院、保健所、社協、知的障害者施設など、様々な領域おいてPSWとして勤務なさる方々と出会うことができました。その中では、「現在の職場の中での役割」「本研修への参加動機」「講義の内容を含めたソーシャルワーカー論」などについて意見を出し合いました。それぞれの業務の中で、PSWとしてのあり様に悩みながらも、冷静に自らの専門性を発揮している仲間の言葉に励まされ、日々の業務への勇気をいただきました。また、お互いに職場ではPSWが少数であっても、研修という機会においてPSWの仲間と集い話し合える。そのことだけでも、日々の業務の疲れが和らいでしまう居心地のよさを感じることもできました。

 その中で、「PSWの専門性を支えあい、高め合い、私たちの価値をより一層広めたい。」との意見が、私たちのグループの中では出されました。この言葉をメモに残し、スーパービジョンを「受ける側」の視点で参加しながらも、いずれはスーパーバイザーとして自らの経験や知恵などが生かせたら…と、遠い目標ではありますが湧き上がってきました。また、研修全体を通じて、「PSWとして安心して成長する」環境を、日本精神保健福祉士協会において提供していただいたことに深く感謝いたします。

 最後になりましたが、講師の先生や研修委員の皆様、また、参加者の皆様、お疲れ様でした。そして、これからもよろしくお願いします。


・ 更新研修:気づきや学びを得た1日

財団法人井之頭病院 地域連携室(東京都)/経験年数19年 松本 直樹
(第3回認定スーパーバイザー更新研修)

 8月1日(土)に認定スーパーバイザー更新研修に参加した。期限内に少なくとも1回は受講することが更新の要件になっているが、2005年に登録して以来、私は一度もこの研修を受けたことがなかった。というのも、登録して以来、これまで研修の講師を務めることがあったくらいでスーパーバイザーらしい実践ができていなかったため受講をためらっていた。昨年末からは個別に契約してスーパービジョンを実践しているが、始めて日が浅いこともあり、毎回のように「これでよかったのだろうか」と自問自答を繰り返している状態であり、スーパーバイザーを名乗るのが気恥ずかしいという思いもあった。

 しかし、時は待たず、今年度末までに受講を終えないと失効してしまうため、やむを得ず更新研修を申し込むことにした。という訳で、この研修に対して決して高いモチベーションを持って臨んだ訳ではなく、主催者や講師の方々にはとても言えないが、「気が進まないけど1日で終わるんだからとりあえず行くか〜」「研修が終わったら池袋のビックカ○ラにでも寄ってさっさと帰ろっと」と低いテンションのまま半ば義務感で懇親会に申し込むこともなく受講するに至った。

 ところが、今は更新研修に参加できてよかったと思っている。スーパービジョンの実践について、日頃、疑問に思っていることや迷いについて、演習を通じて他の参加者や講師らと共有することができ、多くの貴重な助言もいただいた。また、他の参加者の実践を聞く中で、スーパービジョンに止まらず、地区協会の組織化や現任者の育成等に関する多くのヒントが得られるなど、充実した1日になった。参加するまでは、「たった1日の研修で大したもの(気づきや学び)が得られはずはない」と高をくくっていたが、研修が終わる頃には、「こういう場があって本当に良かった」「今度は更新期限にかかわらず毎年でも参加したい」と心から思うようになっていた。研修終了後には、事前に申し込んでもいなかった懇親会に飛び入りで参加し、心と身体のリフレッシュにもなった。


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