2015年8月1日(土)から3日(月)の期間に、東京八重洲ホール(東京都中央区)にて、「第11回認定スーパーバイザー養成研修・基礎編」「第10回認定スーパーバイザー養成研修・応用編」「第9回認定スーパーバイザー更新研修」を開催しました。ここでは、修了者から各研修の報告を掲載します。
初日の自己紹介 | 演習の様子 | 演習の様子 |
医療法人松原会 ぱいんの家(石川県)/PSW経験年数13年 木谷 昌平
(第11回認定スーパーバイザー養成研修・基礎編)
「今度、認定スーパーバイザー養成研修があるから、そろそろ受講してみまっし」。今年5月に先輩から紹介があり、その時に初めてこの研修に関心を持ちました。
石川県では、数年前から柏木昭名誉会長をスーパーバイザーとしてお呼びし、10名程度のスーパーバイジーとともにグループスーパービジョンを実施していました。当時、能登での実践に苦悩している私に先輩方が誘ってくれ、参加することになりましたが、最初はなかなか発言できない私は「場違いかな‥」と思っていました。しかし、同じ事例を通して他のバイジーが「そう思って実践しているんだ」と知ることができ、みんなでグループスーパービジョンっていいものだな、と思えるようになってきたのを覚えています。
ただ、先輩からこのスーパーバイザー養成研修をすすめられた時は、自分が出ていいのだろうかと考えました。自分の立場もそうですが、内容を見て「豪華で受講生より多い講師陣」というところに一番たじろいでしまいました(笑)が、自分の置かれた状況や先輩からの後押しを受け、参加することにしました。
私は石川県の能登半島で働いています。今年で14年目、能登地区ではベテランに属し、支援に悩んだ精神保健福祉士が所属機関を問わず相談にこられます。その都度話を聴き、精神保健福祉士としてすべきことはなんなのかなど一緒に考えてきたつもりです。しかし、「今の返答でよかったのか‥」などを感じていました。経験を重ね、いずれ能登地区を引っ張っていかないといけない立場であることを痛感しながら、将来自分にできるのかと不安になり始めていました。このタイミングでこの研修があったため、「今の自分だ!」という気持ちで飛びついたわけであります。
研修は3日間みっちりでした。内容についてはもう言うことはありません、すばらしいものでした。普段は話す機会なんてない諸先輩方との意見交換という貴重な体験から、この年になってこれほど手厚く、そして自身の関心のあることに特化して学ぶ機会はないと感じました。また同じような立場で同じような悩みを持つ全国の仲間とも出会いました。意気投合して研修終了後にすぐにメーリングリストを作って連絡を取り合う仲になりました。こんなことだけは早いのです(笑)。
もちろん研修だけで終わりではなく課題もあります。しかし研修を受けたあとはこの課題が“めんどくさいこと”ではなく、“今の自分に必要なこと”だと捉えられるようになりました。課題に挑戦しながら、私自身もっと成長し、いずれは能登地区全体のスキルアップに取り組むことができればと思っています。
現場でもやもやしている中堅者の方、自身の役割を見つめなおす機会です。参加の条件はありますが、必ず自身の力になります。ぜひご検討ください。
開講式 | 演習の様子 | 演習の様子 |
特定非営利活動法人Switch(宮城県)/PSW経験年数15年 小野 彩香
(第10回認定スーパーバイザー養成研修・応用編)
27年7月、事務局からメールが来て恐る恐る開封、「合格」の文字。私はかみ締めるように一言「やっと終れる・・・。」1年間にわたる研修を振り返ると、このほっとしたため息の瞬間を思い出します。とてもしんどい研修でした。でも、その分、得られたものは大きかったと思います。
なぜ、しんどかったのか、それは、2回のレポートです。私は1回目レポートが再提出でした。至らない自分の力量の結果とはいえ、何を求められているのかわからなくなりました。基礎編の仲間や同僚、そしてスーパーバイジー(以下SVE)が助けてくれ、合計7回のスーパービジョン(以下SV)を終了し、なんとか応用編受講までたどり着きました。
応用編では、仲間の実践をはじめて知る機会でした。それを聴き、対象者は違えど、戸惑いや悩みは共通であることをしみじみ感じました。自分も含め、皆が自信なく、迷いながら進めていました。そして見えてきたことは、SVEの力を信じるということ。さらに、対象者と支援者との関係と同じであるという気づきでした。中間レポートのコメントで、恐れ多くなった講師の先生方とも、SV体験の振り返りを深く対話したことで、1人の支援者としてのあり方にたどりつきました。
SVでは、SVEと対象者との「かかわり」だけでなく、スーパーバイザー(以下SVR)とSVEの「かかわり」がもっとも重要な着目点であることも体感しました。このことは、私にはとても新鮮で、嬉しいことでした。経験年数が増え、業務も広がり、育成や教育も担う立場(年齢)となる中で、自分自身でも変わっていく部分と、変わらない部分があることがわかってきました。その変わらない部分が、本当に変わらなくて良いものなのか、それは自分のエゴではないのか、いつも自分に問いかけていたように思います。今回の研修を受けて、かかわりやこだわり、相手の力を信じることなど、自分自身が職務を全うする中で、大切にして良いのだと再確認でき、改めてPSWとして仕事をする魅力を感じました。
研修の終了にあたり、まずSVEになってくれたKさん、ありがとうございました。そして、講師の先生方、宮城県精神保健福祉士協会の岡崎会長ならびに理事、関係者の皆様、職場の上司、同僚達、家族、多くの皆様のお力により終了できたこと、心より感謝し御礼申し上げます。
会場の様子 | 演習の様子 | 閉講式 |
地域包括支援センター(杉並区)/PSW経験年数20年 尾関久子
(第9回認定スーパーバイザー更新研修)
8月1日(土)に開催された「認定スーパーバイザー更新研修」を受講して、懐かしい方々に出逢い、また元気を頂ける一時になりました。
私自身は、静岡県内で以前の退院促進支援事業に関わった事がきっかけで、第6回認定スーパーバイザー養成研修を受講しました。それまでは、「スーパービジョン」に関しての知識も薄く、自分自身がスーパーバイザーになり得るのだろうか?という思いを持ちながらの受講でした。不安も大きかったのですが、受講してみて改めて、スーパービジョンの素晴らしさと重要性を感じました。特に、一般的にスーパービジョンのイメージがあまり良い印象を持たれていないのが現状のような気がしました。(本来のスーパービジョンとは違う体験をされている方が多いのかもしれません。)
何と言っても受講後は、事業で病院周りをしている時には、なるべくPSWの想いを色々聴くようにしたり、研修の演習講師をする時には、グループワークで兎に角、参加者自身が色々話せたり、気づきが出来るような声かけを心がけるようになりました。お互いが成長できるという事が、スーパービジョンの重要な点だと思います。
バイザーとバイジーの関係は、クライエントとワーカーの関係にも似ているように感じます。クライエント自身が色々相談する中で、自分自身で答えを見つけて行く過程を共に過ごしながら、逆にワーカーも色々な気づきをして行く。正に共に成長し合える関係とも言えます。P協会自体もピアスーパービジョンの貴重な場であると改めて再認識しました。
現在は、東京都に転居して来て、スーパービジョンをきっかけに、東京精神保健福祉士協会委員会の仲間に入れて頂きました。また新しい地で、新しい関係性を作り始めています。特に私自身は、今まで自分が率先して行う事が多かったのですが、転居してからは、今までの地域での関係を大切にしながら、ソーシャルワーカーとして皆が動きやすいように環境整備を行って行く事が次世代へ繋げて行くソーシャルワークだと思いながら関わりを持っています。
今後は、東京の中でも次世代へ繋ぐスーパービジョンとして研修企画と今後の体制作りに自分の出来る事から関わらせて頂きたいと思います。