報告

2015年度課題別研修/ストレスチェック実施者養成研修

2015年10月15日(木)、日本教育会館(東京都千代田区)にて、「ストレスチェック実施者養成研修」を開催し、174人の方が修了されました。ここでは、修了者の方からの報告記事を掲載します。


・ 職場のメンタルヘルス対策の学びを通して

 大阪市職業リハビリテーションセンター(大阪府)/PSW経験年数14年 横溝 香苗

 私は約8年、精神障がい者対象の職業訓練と訓練修了者の職場定着支援を日常業務で行っています。その中で、様々な事業所と連携することがあり、職場のメンタルヘルスに関する相談を受けることがあります。特に休職中の方の復職に関わる相談を受けるにあたって、今回のストレスチェック実施者養成研修は、とても参考となるご講義をいただけたと思っています。

 私が通常関わる方々は精神障害者保健福祉手帳を所持して、障がいを開示して働きたい、あるいは働いている方ということで、労働者のメンタルヘルスケアのカテゴリーでは、「三次予防」と位置付けられる再発予防で関わることが殆どです。しかしながら職場のメンタルヘルスの視点においては、「一次予防」である未然防止や「二次予防」の早期発見・早期治療の視点の重要性、とりわけストレスチェック制度においては一次予防を強化することを目的としている点が興味深かったです。

 ストレスチェックでは、労働者数50名以上の事業場で職業性ストレス簡易調査票等を用いて、労働者のストレス状態を図るということですが、主観的なものであり、調査票のみでは必ずしも正しく診断されるものではないとのことでした。そこで先生方は、問診のみでメンタル疾患を診断するものではないことや、ストレスチェック制度そのものは、あくまで「メンタルヘルス対策の推進」の提案であって、ストレスチェックそのものが目的でないことを何度も強調されていました。この視点がストレスチェック制度を進めるにあたってとても重要であると思いました。

 研修全体として、各先生方が現場での体験を交えながら、事例もご紹介いただき、一次予防、二次予防での関わりの事業所内でのご苦労も垣間見たように思います。特に「病気かもしれない?」場合の対応では、ご本人の見え隠れする葛藤があったり、時として医療機関ではない事業場で自殺リスクへの対応が求められることもあることを、実例を通して学びました。また療養や復職に向けて、ご本人やその上司とどう関わっているかのポイントについても先生方のそれぞれの専門性からお話いただけた点は、日常の職場定着支援で事業所との調整をする上でも非常に参考となりました。

 研修を通して、ご本人の思いを大切にしながら、関係者(上司、人事、専門職等)でどのように関わり、支えていくかという視点においては、PSWならではの専門性が生かせる場面が多々あるのではないかと思いました。その辺りをさらに具体的に掘り下げた形での研修が今後実施されることを希望したいと思います。


※障害表記は、ご寄稿のとおりに掲載しています。


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