養成研修:第14回認定成年後見人養成研修(4日間・後半2日間)
課題別研修:第17回成年後見に関する研修

2020年1月23日(木)から26日(日)の期間で、LMJ東京研修センター(東京都)を会場に標記研修を開催しました。ここでは、修了者からの報告記事を掲載します。

第14回認定成年後見人養成研修(2020年度1月23日(木)〜26日(日))

          
亀井講師による講義1  演習2 シンポジウム  代表者による証書授与 

やわらかな身上監護…認定成年後見人養成研修を受講して

東京都支部/経験年数15年 若林 朝子

 暖冬と言われ、さほどの寒さが感じられない1月下旬、水道橋で電車を降り研修センターに足を運びました。個人的に成年後見制度の知識習得の必要性を日々感じて受講の申し込みをしましたが、北海道から沖縄県まで全国各地から受講者が集まっていることに、まず驚かされたものです。急速に進む高齢化や発達障害者に対する支援ニーズなどの世相を色濃く反映して、法的な支援ニーズが全国各地で高まっているのを感じました。

 全4日間の研修は、制度概要から倫理、実務、リスクマネジメント、クローバーの紹介まで、内容が極めて多岐にわたっており、実務を経験したことのない自分にはかなり重厚なボリュームでした。それでも、2日目からは講義の最後に必ずグループワークが設定されており、ケーススタディや意見交換を通じて、後見制度の活用のしどころや介入のポイントなどを理解出来たように思います。受講者の年齢層や志望動機は本当に人それぞれでしたが、6〜7名のグループですぐに打ち解け、実務経験者から体験談を聞くことが出来たり、各地の実情を伺ったりすることが出来たのも大きな収穫だったように思います。

 研修も最終盤の4日目午前に企画された「シンポジウム」で、女性の話者の話が強く印象に残っています。B型事業所の施設長として極めて多忙な日々を送るシンポジストの方が、後見を受諾するまでの葛藤のプロセスや、重要なキーワードの一つである「意思決定支援」を重視するプロセスについてお話しされました。意思決定支援…言葉にすれば簡単なようで難しいものです。本人の立場に立って、という基本は何も後見制度に限りません。しかし、後見を行う者に委ねられる権限が非常に大きいからこそ、本人の意思決定のプロセスに近しく寄り添うことが本当に重要であると感じました。弁護士とともに複数体制で後見を行い、本人の身上監護に尽力しているシンポジストの方の、やわらかな姿勢に励まされた思いがしました。

 4日間の研修はエネルギーを要しましたが、後見制度の隅々まで知識を得ることが出来、また各地に同業の知己を得ることが出来て、大変有意義でした。弁護士、司法書士など、成年後見の担い手となる専門職種がいくつもある中で、我々精神保健福祉士が受任することの意義や重みについても考えさせられる機会になったように思います。この研修を受講出来る門戸がますます広がることを願っております。


[お詫び]2020年2月21日〜25日の間に掲載していた上記報告は、若林さまの原稿ではありませんでした。
掲載ミスがあり、誠に申し訳ございません。正しい原稿に修正いたしましたので、ご報告申しあげます。






第14回認定成年後見人養成研修(後半2日/2020年度1月25日(土)、26日(日))

PSWとして『最善』の身上監護を見つけだす難しさ

愛知県支部/横井睦子(グループホーム勤務1年) 横井 睦子

 1月に東京で行われた認定成年後見人養成研修(後半2日間)の演習で、私達のグループ構成は医療関係4名、それ以外での活動2名でした。

 グループディスカッションでは、それぞれの思いは間違いなく当事者の為という気持ちなのですが、意見が大きく分かれ、なかなか支援の方法が決まりませんでした。

 病院という環境の中で日々患者さんの緊迫した状況に接することが多いPSWが持つ「ものさし」と、地域で治療後、障害を持ちながら自分らしい生き方を始めようとしている人々と関わるPSWの「ものさし」は、おかれた環境や経験等により支援に対する視点に少し違いがあると感じました。

 つまりPSWとしての私の「ものさし」は私のものでしかなく、自分の「ものさし」で答えを出してしまうとそれは自分にとっての正解になってしまいます。

 病院での治療により見違える様に回復する患者さんに接している場合、入院により当事者の苦痛をより早く取り除くことが出来ると考えることも当たり前です。また地域で暮らす当事者の支援活動をしているPSWが本人の望む暮らしをと考えることも当たり前です。

 合理的・理想的な支援は幾つもある答えのひとつではありますが、最も『最善の答え』を出す「ものさし」は当事者が持つ「ものさし」です。私達PSWは合理的・理想的な「ものさし」を持ちながら、当事者の「ものさし」に最も近い『最善の答え』を探し出す為に力を尽くすことが出来る専門職だと思っています。

 今回の演習で人それぞれの「ものさし」の存在を改めて実感できました。だからこそ自分の持つ答えで済ませずに、当事者の持つ『最善の答え』に近づく為に、地域の持つ力を十分に発揮できるシステムを作り出すこともPSWの仕事のひとつではないかと思っています。その為に少しでも役に立つ活動・行動は何か暗中模索の日々です。

 最後に認定成年後見人養成研修を受講したことで、PSWとして考えること、感じなければいけないこと、たくさんのことを考えさせて頂き本当に充実した2日間を過ごすことが出来ました。

第17回成年後見に関する研修(2020年度1月23日(木)、24日(金))

第17回成年後見に関する研修を受講して

江別市役所(北海道)/経験年数6年 田口 縁

 成年後見制度は、私が家庭相談を受ける中で関わったことのないものでした。しかし、最近成年後見制度の利用が可能なのか考える場面がありました。これまで私が知っている成年後見制度は、「判断能力が不充分な人を支援し、保護する制度」という程度の知識でしかありませんでした。この相談を切っ掛けに、成年後見制度をどの様に利用し、対応していくのかを詳しく学ばなければと思い研修の参加を決めました。

 私のイメージする成年後見制度は、難しい司法制度で分かりにくいものと決めつけ、少し敬遠しておりました。ところが、研修の講義では身近な事例を交え、解かり易い内容でホッとしました。講義の中で、成年後見人の難しさについて、「正解が無い問いに直面すること」「成年後見人の裁量で、本人の意思を尊重していくこと」は難しいことだと話されていました。また、身近な支援をする中で『たすけて貰い、また、他者を受け入れる力も大切』であり、この受援力を身に付けることも重要と理解しました。支援する側の講話から、成年後見人としての柔軟で真摯な姿勢が問われる仕事だと実感しました。

 一度、成年後見が開始されると後見人は、本人の回復や死亡に至るまで役割が続くことを知り、その責任の重さと被後見人への誠実な対応こそが大切なことと痛感しました。研修を通じて、成年後見人を精神保健福祉士の立場とソーシャルワーカーの視点で関わり支援する意味を認識し、成年後見人としての倫理や意義を改めて学ぶことが出来ました。クローバーに登録している諸先輩の講義は、成年後見人を受任する場合の心得について、私なりに理解することが出来ました。

 2日間の研修を受講し、成年後見制度は司法分野に傾倒したイメージから、福祉分野であるソーシャルワークと共に重要な部分を担っている事を実感しました。グループワークを含め、関係各方面の方と意見交換ができ、大変有意義な研修でした。
 運営委員会の皆様、講師の皆様本当にありがとうございました。


※ご報告いただいた方のご所属名と経験年数は、研修受講時の情報で掲載しています。