2015年度に養成研修/第10回認定成年後見人養成研修(2015年11月26日(木)〜29日(日))、課題別研修/第10回成年後見に関する研修(11月26日(木)、27日(金))をLMJ東京研修センター(東京都文京区)にて開催しました。ここでは参加者からいただいた感想を掲載します。
冨永講師による講義1 | 課題別研修の演習の様子 | 課題別研修:代表者による修了証書授与 |
養成研修・演習2を進行する毛塚委員 | 養成研修・会場の様子 | 養成研修・演習発表の様子 |
医療法人 社団温故会 直方中村病院(福岡県)/経験年数6年 吉永 幸司
私は医療機関に所属する傍ら、2009年1月より法人後見受任団体で非常勤福祉職として身上監護活動に取り組んでいます。当団体は事務局(福祉職)を主軸に非常勤法律職と非常勤福祉職で構成され、1事案に対して他職種連携での対応を行っています。そうした中、ある時期からクライエントの“自己決定”について思い悩むようになっていました。「○○したい」「△△したくない」という思いをどこまで本人の利益と判断し尊重していくべきなのか。活動をはじめ間もなく7年目を迎えようとしている中で、これまでの自身の振り返りとスキルアップ、また自己決定についての理解を深める機会にしたいとの思いで研修に参加することを決意しました。
4日間の研修では、基礎から実践に至るまでの多彩な講義と演習の組み合わせで充実した内容でした。どれも大変有意義だったのですが、中でも、日頃から民法に触れる機会が少ない私にとっては、親族法や相続法などの講義はとても新鮮で興味深いものでした。また多くの講師からは、後見人の“裁量の広さ”と“権限の大きさ”について共通して言及され、その責任の重さも改めて実感することが出来ました。また演習での議論はとても有意義で興味深いものでした。中でもソーシャルワークの視点(連携、ネットワーク構築、マネジメント)と後見人の視点(本人主体)の違いを再確認出来たことは、いつの間にか両者を混同していた私にとって目から鱗でした。
最後になりますが、精神保健福祉士と成年後見制度については賛否両論の末、クローバー発足に繋がったとの話がありました。この研修を終え、私自身は後見人の仕事に対し、率直に魅力を感じることができました。クライエントの自己決定や権利の制限に疑問を感じる方もいらっしゃると思います。しかし私たちの専門性、また社会的な要請を考えても、精神保健福祉士こそが適任であり意義のある役割だと感じています。また、これまでの自身の実践と重ねてみても、所属機関に縛られないことやソーシャルワークの実践が生かせることについてもやりがいを感じています。これからもクライエントと共に“悩み”“ゆらぎ”そして“ベストインタレスト”を追求する支援を行っていきたいと思います。今回、研修に尽力して頂きましたクローバー委員の皆様、この様な機会を頂きありがとうございました。
東京医科歯科大学医学部付属病院(東京都)/経験年数12年 児島 明香
約11年働いた精神科病院を離れて大学病院勤務になり、精神科のソーシャルワーカーは自分ひとり。なんとなく、ソーシャルワーカーとしての自分のアイデンティティをどう考えていこうか・・・ともやもやし、久しぶりにソーシャルワーカー向けの研修に出ようかなあ、と思っていたところ、目に留まったのが、今回の成年後見に関する研修でした。現在の実務ではあまり関わることがない制度で、今後成年後見人として登録するつもりもなく、成年後見制度についてよく知らないので、「ただ勉強してみたい」という思いだけで今回の研修に参加しました。
1日目は、「成年後見制度の概要」「成年後見人の基礎知識@」と、弁護士の方から法律的な視点からの成年後見制度の説明がありました。特に、成年後見制度についての知識が深くない私にとっては、最初に制度としての体系的に確認ができたのはとても理解がしやすかったです。
1日目の最後には、「成年後見制度による権利擁護」ということで、さまざまな事例を通しての講義がありました。講師の司法書士の方は、実際に成年後見人としての実務をされている方で、事例の中から、その方の思いがとても伝わる講義で印象的でした。その方が大切にしてきたこと、一番大切なことは人格の尊重であり、とにかく本人を大切に思うことだということを話されており、今まで、精神保健福祉士として自分が心がけてきたことと重なる部分が多く、そうやって成年後見人として関わっていらっしゃる話を聞くことが、今の私にはとても励みになりました。
2日目は、1日目と同じように制度の知識と、倫理についての講義があり、最後にグループでの事例検討がありました。私たちのグループでは、3つの事例について話し合いました。事例を見ていく中で、今までの経験からソーシャルワーカーとして気になる点、自分だったらこう関わるだろうと思う点はたくさん出てきましたが、例えば、一つの事例で話題になった「身上配慮義務と意思尊重義務のバランスについて」など、いちソーシャルワーカーとして利用者の方と関わるときによく直面する部分でもあるため、成年後見人としての立場になると、役割や関わり方がどう変わっていくのか?というところが少し気になった点でした。今思うと、その点は後見人を経験されている精神保健福祉士の方に聞いてみたかったところです。ソーシャルワーカーが成年後見人を担うことについて、この研修をきっかけに、今後もう少し考えてみたいテーマだと思いました。