「第5回基幹研修(・)」と「第1回オムニバス研修」を丸亀市保健福祉センター(ひまわりセンター)(香川県)にて開催しました。日程は、基幹研修が2010年4月24日(土)、基幹研修が2010年4月24日(土)、25日(日)、オムニバス研修が2010年4月25日(日)でした。ここでは、それぞれの修了者から報告記事を掲載します。
基幹研修 | ||||
西谷講師による講義1 | 演習 | 全体会での各班発表 | 修了証書授与 | |
基幹研修 | ||||
島内講師による講義1 | 金子講師による講義2 | 演習 | 修了証書授与 | |
オムニバス研修 | ||||
山下講師による「地域生活支援と 精神保健福祉士の役割」 |
杉村講師による 「医療観察法と地域移行支援」 |
富島講師による「差別と貧困」 | 本田講師による 「援助職のメンタルヘルス」 |
<基幹研修>
精神保健福祉士として、より成長し続けるために
さぬき市民病院(香川県) 植村 丞彦
私は、精神科ソーシャルワーカーの頃から病院に勤務して今年で22年目を迎える。
就職4年目での初任者研修、その後、最初の実習指導者研修を受ける外、不定期ながらに全国学会に参加するなど、自分なりに意識して研修を受ける姿勢が10年前までは保たれていた。先には複数体制であった現職も所属機関における体制の変動から1人職となり業務内容も変化した。他機関・他職種とのチーム連携による業務に携わる機会が否応なく増える中で、専門職であることの意味を自分に問い掛けることでこれまでの自分を点検することになればとの思いで、基幹研修を受けることとした。
現職で従事しながら実践を通してさまざまな経験は積んできたものの、専門的理論を基にした思考が乏しい自分の弱点にどこかもどかしさを覚えながらの今であっただけに、今回の研修での講義はいろいろな意味で刺激的であり学びも多かった。職場内や県協会等での身近に参加出来る研修とは異なり、事例提供が課題として提示されているため、事前準備して臨まなければならないことは私にとって苦手な対応であったが、敢えてそれに挑んだ自分の姿勢に、今の立場に満足せず精神保健福祉士という専門職種にこだわり続けていたい!という思いが強まっていた。医療、地域などあらゆる分野の世代枠を越えた受講者とのグループワークでは、持ち寄った事例の選出から検討まで相互に意見を述べ合うことから共通理解を見出しつつ、自分の考えや思いを相手に理解してもらえるよう話すことの難しさや大変さを実感させられた。
日々の業務に追われているとただ目前の事象に対処するままにじっくり精神保健福祉士としての自分自身を見つめ直し振り返る余裕すらなかった。苦手な形態の研修を受けることに僅かな抵抗をする自分がいることにも気付かされた。そんな中で、受身的ではなく主体的に参加する態勢で臨んだ今回の研修は、自分の水準がどの位置にあるかを確認し見極める機会となった。多くの収穫があり喜びを感じられた充実した時間でもある。私のように抵抗がある方でも自信を持って、ぜひ、一人でも大勢の仲間が本研修を受けられることを願っている。自分という一人の人間が専門職として対象者にかかわり続けるうえで、自分のあり方に着目し自らを高めていきながら、精神保健福祉士である自分がより成長し続けなければならないことを再認識させられた。
<基幹研修>
味酒心療内科(愛媛県) 須賀 数磨
2010年4月24日、香川県にて開催された『第5回基幹研修』を受講しました。一日という短い時間での研修でしたが、講義や演習に参加しながら自身の振り返りを行うことができ、充実したものとなりました。
講義1「精神保健福祉士の専門性」について
関わりそのものの問いかけから始まり、倫理綱領の理解についてなど最後まで理解しやすく話して頂きました。個人的には、PSWとしての柔軟な思考の必要性と、主観性・客観性をもつ中での関わりについての話が印象に残っています。『関わっている人の為と行っていることが自分の主観のみになっているのではないか』『自分の出来ない事柄や状況を見極めて、第三者や機関へ必要に応じて繋げているか』など、日々の業務に流されるのではなく、常に自身に問いかけ続けなくてはならないと感じました。
講義2「精神保健福祉制度・政策論」について
単純な制度理解についての話ではなく、社会環境と合わせて学ぶことの必要性や法制度の現況についてなどから始まり、地域や国家単位での違いなどをいかに自分が関わる制度として理解していくかなど、広く多様な視野を持つことについての話が印象に残っています。関わりの中で知識を活かしていく為にも、毎年変わっていく制度を自分なりに理解を深めるという事の大切さを学びました。
講義3「精神保健福祉士の実践論」について
日々の実践からの話を中心にしながら、当たり前となってしまい見失いがちになる事柄やスーパービジョンの必要性についてのお話を受けました。関わりの中でマヒしがちになり、日々の業務でおろそかになっている事に対して、きちんと向き合えていなかった自分に気付かされました。客観的な視点を持つことによって自分自身の間違いを点検し、他者からの指摘によって振り返っていく、その為にも相互的な話し合いなどが必要なのだと感じました。
演習について
「精神保健福祉士の専門性とは?」にテーマを絞り、互いに意見を出しながら日頃考えている事や、自分では気付けなかった視点や考えに耳を傾けることで、自分の機関にいるだけでは得られなかった気づきを得る事が出来ました。様々な地域と機関の方が集まっていた事で、いつも以上に得るものが多かったと思います。
今回の講義や演習を通じて、これまでの振り返りを行うだけでなく、広い視点を持つ事の意味を再認識出来ました。機関の中での関わり方を意識するだけでなく、地域やそれ以上の規模に自らの視野や考えを広げていくことが今後の課題となりそうです。次の基幹研修受講までに、少しでも成長できるように取り組んでいきたいと思います。ありがとうございました。
<オムニバス研修>
就労継続支援B型事業所 たんぽぽ(香川県)/経験年数4年 香川茜
晩春の心地よい日差しが差し込む丸亀市保健福祉センターでは、「第1回オムニバス研修〜精神保健福祉士の魅力〜」が開催されました。
今回の研修では精神保健福祉士の役割だけではなく、医療観察法、被差別部落の福祉問題、援助職のメンタルヘルスといった多岐に亘る内容でした。ポイントとしては、「正確な認識」であったと思います。
研修の中で、人としてまたその中でも精神保健福祉士として、日々私はどのような関わりができているのだろうか。そして、精神保健福祉士そのもの自体、理解できていると自分自身の中で錯覚をしていないだろうかと不安を覚えました。その不安の先には、変動していく法律を捉えることができていないことや、精神保健福祉における歴史への無知等が挙げられると思います。支援者として、本人に関わることは真っ向から向き合うことが大切であると考えますが、それだけではなく、原点でもある歴史や倫理を何度も振返り、正確な認識を獲得していくことは精神保健福祉士として欠如してはならないものです。専門性とは何なのか、人の幸せとは何なのか、人と関わるとはどういうことなのか。一言では言い尽くせないほどの思いがあると思います。ですが、専門職として常に問い続け、決してはずすことのできない課題ではないでしょうか。
私の仕事は人と関わる仕事で迷いながら悩みながらの前進ですが、精神保健福祉士としての専門性を生かし、「必要な人」として機能していけるように努めたいと思います。また、法律が変動していく中でも精神保健福祉士として忘れてはならない視点を持つことや、現実に立脚した福祉・人の幸せを常に意識し、精神保健福祉士としての私自身を向上させていきたいと強く思いました。様々な面に対し「正確な認識」を獲得し、希望が持てる生活支援の展開を目指し、必要な声をあげることのできる存在になりたいと感じました。
最後になりましたが、開催事務局並びに講師の皆様におかれましては、ご多忙の中、開催準備・ご講演等感謝申し上げます。このような研修を通して、再度日々の私自身に対する確認作業を行うことができ、とても良い機会となりました。本当にありがとうございました。