第64回基幹研修3

2026年3月1日(日)、オンラインにより標記研修を開催しました。ここでは、修了者からの報告記事を掲載します。


 基幹研修3を通じた実践の振り返りと専門職としての学び

横浜市役所(神奈川県)/経験年数18年 大森 史子

 基幹研修3への参加は、精神保健福祉士としての日常の実践をあらためて言語化し、自己評価を深める貴重な機会となりました。所属を越えて多様な立場の方々と役割や課題について率直に話し合えたことで、自身の実践を相対化し、日頃抱えていた疑問や迷いに新たな視点を得ることができました。こうした対話の積み重ねが、専門職としての姿勢を見つめ直すうえで大きな意味を持つと感じました。

 演習3「精神保健福祉士に必要な“ソーシャルな視点”とは?」では、地域で生活する一人の「生活者」としての視点のほか、社会資源の開拓・開発や普及啓発など、実践に直結する論点が多く提示され、精神保健福祉士の支援がさまざまなかたちで常に権利擁護と結びついていることを再確認しました。原点に立ち返るような感覚が得られたことは収穫でした。

 ピア・スーパービジョンでは主に三つの事例・テーマを通して、日々の実践で直面する倫理的・構造的な課題を深く振り返ることができました。集団支援の事例では、場の安全性を守ろうとする支援者の責任感が、時にパターナリズムとして働き、参加者の回復プロセスを阻害し得ることを再認識しました。場は支援者の専門性だけでなく、参加者全員でつくり上げるものであるという視点を取り戻すことができました。金銭管理支援の事例では、職種の専門性の違いから生じるそれぞれの「正解」や「正義」、組織の一員としての役割との葛藤を共有し、家族支援における「誰をどこまで支えるのか」という難しさをあらためて実感しました。さらに、意思決定支援については、自身の価値観や思い込みへの気づき、自身の生活歴の振り返りの大切さ、チームでの検討やスーパービジョンの活用の重要性を確認しました。「クライエントには試行錯誤し、失敗する権利がある」というグループ内参加者の言葉が特に印象に残っています。

 全体を通して、クライエントの苦悩や家族の葛藤、組織的な役割の狭間で揺れる自身の思いを言語化し、「自分だけが悩んでいるのではない」という安心感を得られました。倫理的判断の盲点や専門職としての軸を見つめ直す機会となり、明日からの実践に向けて前向きな力が湧いてくる研修でした。

 最後になりましたが、本研修を開催してくださった運営の皆さま、参加者の皆さま、本当にありがとうございました。


※ご報告いただいた方のご所属名と経験年数は、研修受講時の情報で掲載しています。