第31回基幹研修U

2018年9月30日、全国家電会館(東京都)を会場に標記研修を開催しました。ここでは、修了者からの報告記事を掲載します。

第31回基幹研修U

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山北講師による講義3 会場の様子 演習の様子

 権利擁護と専門性

藤沢病院(神奈川県)/経験年数4年 小野 滋

 勤務先の精神科病院において退院支援を始めとした相談業務に従事しています。私は民間企業での経験が現職よりはるかに長く、支援の基盤は良くも悪くも過去の経験に由来しているところがありました。病院外の社会生活について多くを知っていることは良いことであると思う反面、効率重視や目的の為に手段を選ばないことの是非に葛藤を感じており、この度の基幹研修IIの受講に至っています。

 本研修の中で重要と感じたことは、クライエントの権利擁護に関する講義でした。私達、精神保健福祉士(以下、PSW)は、クライエントの最善な選択肢に影響する情報を他職種に比較して多く持っています。しかし、その情報の全てを提供しているかについては甚だ疑問に感じます。クライエントの希望は聞いていたとしても、自己判断で、このサービスは必要ではないと解釈し、適切な情報提供をしていないのではないかと考えていました。日々の実践の中では、権利擁護と権利侵害の境界線が明確な場面もありますが、はっきりしない場合や、クライエントのためにという自己判断、更には無自覚な場合もあるのだと、気づきをいただいたように思います。無自覚にならないように日々の実践の振り返りの場を創る必要性を感じました。

 研修全体を通して、専門性という言葉がキーワードとして挙げられていたように思いました。医療機関では他職種との間で相対的な専門性を感じる場面は多く有ります。例えば、PSWは退院をクライエントの通過点と視ますが、医療職はゴールとすることも多いのではないでしょうか。この視点の違いを絶対的な専門性と言えるのか否か、未だ自信はありませんが、本研修を通して、もっと突き詰めても良いのではないかと示唆をいただきました。

 研修当日は台風の接近が予想されており、関東地方の鉄道各社において、安全な運行の実施が困難として「計画運休」という過去に例のない対応策を打ち出す中、事務局の皆様には研修終了時間を早めていただく等、ご配慮いただいたことに感謝申し上げます。

 同時に、研修企画運営委員の皆様の動きを拝見しながら、新たな事態に直面したとき、日々刻々と変化する社会情勢にソーシャルワーカーとして何をなすべきか、何ができるのかを考えるきっかけにもなりました。


※ご報告いただいた方のご所属名と経験年数は、研修受講時の情報で掲載しています。