虐待事件等における入院患者意向調査ツール

公益社団法人日本精神保健福祉士協会 精神医療・権利擁護委員会 編集


■本ツールの作成にあたって

 兵庫県神戸市の「神出病院」における虐待事件が発覚して1年が経過しました。裁判は終わり、報道も少なくなったことで、事件はまるで解決したかのように人々の目に触れる機会はなくなりました。しかしその裏では、今も担当行政及び多くの関係者が、一刻も早い適切な病院の運営を目指し、日々協議を重ねておられます。特に、本協会兵庫県支部におかれましては、一般社団法人兵庫県精神保健福祉士協会と連携のもと、事件発生から絶えず協議を重ね、ソーシャルアクションを起こしてこられたことに、心より敬意を表します。

 私たち「精神医療・権利擁護委員会」でも、何か力になれることはないかと協議を重ねてまいりました。その過程の中で、私たちは大きな危機感を覚えました。一つは、被害者である入院患者さんの多くは、凄惨な虐待が起こった場所で今もなお療養生活を続けていることです。そしてもう一つは、報道や裁判の過程の中で、被害者である入院患者さんの声が全く聞こえてこないことです。

 入院患者さんたちの想いが誰にも知られず置き去りにされたまま事件を終わらせることはできない。そう考えた私たちは、入院患者さんの声に耳を傾け、虐待のあった、あるいは今もその疑いのある現場から救い出し、希望する生活が実現できるよう支援したいとの思いから、『虐待事件等における入院患者意向調査ツール』の開発に取り組みました。

 本ツールは、精神科病院で虐待事件が起こった際の「入院患者意向調査」を想定して作成しました。加えて、事件の有無にかかわらず本ツールを用いて入院患者さんの想いを確認していただくことで、虐待の予防や早期発見にも活かすことができます。また、精神科病院のみならずグループホームや入所施設等においても、応用して活用いただけるものと考えております。さらに、日々のかかわりの中で使用いただくことで、本人の想いを知り、自身の実践を振り返るツールとしても有効です。

 本ツールが本来の意味で必要とされる事態が発生しないことを祈りつつ、私たちの実践が、本人の希望に基づいた、より質の高いものとなるため広く活用されることを願っています。


■データダウンロード

インタビューガイド・ツール説明・様式ダウンロード(PDF形式:681KB)

【様式】アセスメントシート(Excel形式:22KB)

【様式】意向調査シート(word形式:28KB)


精神医療・権利擁護委員会(2020年度・2021年度)

担当副会長 水野 拓二 鷹岡病院 静岡県
担当部長 尾形 多佳士 さっぽろ香雪病院 北海道
委員長 山本 めぐみ 浅香山病院 大阪府
副委員長 増田 喜信 静岡県西部健康福祉センター 静岡県
委員 阿部 祐太 国立病院機構花巻病院 岩手県
委員 大山 和宏 えのき舎 福岡県
委員 岡安 努 やたの生活支援センター 石川県
委員 木本 達男 岡山市こころの健康センター 岡山県
委員 三溝 園子 昭和大学附属烏山病院 東京都
委員 鈴木 圭子 神奈川県精神保健福祉センター 神奈川県
委員 種田 綾乃 神奈川県立保健福祉大学 神奈川県
委員 中野 千世 地域活動支援センター櫻 和歌山県

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