厚生労働省「令和元年度依存症民間団体支援事業」(補助金事業)

「アルコール健康障害・薬物依存症・いわゆるギャンブル等依存からの回復のための社会資源等の地域偏在にも対応しうる地域ネットワーク構築にむけたソーシャルワーク人材の養成」研修(2020年3月)

公益社団法人日本精神保健福祉士協会 依存症及び関連問題対策委員会 編集


報告書作成にあたって

 依存症は一人の健康障害や疾病にとどまりません。アルコール健康障害・薬物依存症・いわゆるギャンブル等依存は、貧困や労働問題、司法課題、自死問題等々の多様な社会問題のそこかしこに絡んで、生活困難の原因や結果と深く結びついています。
 アルコール健康障害対策基本法制定から6年が経ちました。第1期アルコール健康障害対策推進基本計画策定を受けるかたちで、全国の各都道府県における相談拠点や専門医療機関の選定等々が進行する今日ではありますが、ソーシャルワーカーの眼差しであらためて俯瞰し、つぶさに検証を進めると、克服すべき課題が未だ多いことに気づかされます。

 本協会は、依存症及び関連問題にかかわるソーシャルワーカーの人材養成と配置は、我が国のどの地域にあっても等しくあるべきとの観点に立ち、組織的な取り組みを行ってまいりました。その一環として、平成30年度に引き続き令和元年度もまた、厚生労働省・依存症民間団体支援事業を活用し、「『アルコール健康障害・薬物依存症・いわゆるギャンブル等依存からの回復のための社会資源等の地域偏在にも対応しうる地域ネットワーク構築にむけたソーシャルワーク人材の養成』研修」を実施しました。
 あわせて、依存症及び関連問題へのかかわりで有効なソーシャルワーク・アプローチは、複雑に絡み合ったさまざまな社会問題の解決の糸口を探る場面でもまた汎用できる有効な手立てとなるとの認識に基づき、「ソーシャルワーカー関係団体による意見交換会」を実施しました。
 一般社団法人日本アルコール関連問題ソーシャルワーカー協会、公益社団法人日本医療社会福祉協会、公益社団法人日本社会福祉士会、特定非営利活動法人日本ソーシャルワーカー協会、そして本協会が一堂に会した場面は、依存症及び関連問題ソーシャルワーク支援の標準化を展望するとともに、住民一人ひとりとソーシャルワーカーとがともに創る「地域共生社会」の実現に寄与する、持続性ある連携と豊かな協働につながる一歩を刻むものとなりました。

 最後になりましたが、本事業の取り組みに際しまして、インタビュー調査にご協力いただいた構成員の皆様、本協会からの呼びかけを快諾しご参集いただいた関係団体を代表する皆様に対しまして、心からの感謝を申しあげます。
 また、令和元年度依存症民間団体支援事業の実施において、格別のご配慮を賜りました厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長、社会・援護局障害保健福祉部精神・障害保健課依存症対策推進室の各位には、心からの御礼を申しあげます。

令和2(2020)年3月
公益社団法人 日本精神保健福祉士協会


■報告書

一括ダウンロード(PDF/7MB)

分割ダウンロード

内容 PDF サイズ

報告書作成にあたって  (小関清之)

第1部 令和元年度依存症民間団体支援事業

「『アルコール健康障害・薬物依存症・いわゆるギャンブル等依存からの回復のための社会資源等の地域偏在にも対応しうる地域ネットワーク構築にむけたソーシャルワーク人材の養成』研修」の概要 (小関清之)

1.本事業の目的と取り組み
2.事業の実施体制

表紙~P8 1.6MB

第2部 インタビュー調査

1.インタビュー調査の概要
2. 東北地方E地域に対するインタビュー調査報告 (加藤雅江、齊藤健輔)
3. 九州地方F県に対するインタビュー調査報告 (岡村真紀、佐古惠利子、稗田幸則)

P9~19 500MB

第3部 事例検討型シンポジウム及びグループワークによる研修

1. 事例検討型シンポジウム及びグループワークによる研修の概要
2. 講義「暮らしと依存症 〜みる・みえる・かかわるための基礎知識と技法」(山本由紀)
3. 事例検討型シンポジウム「確かなリカバリー支援と地域特性を生かしたネットワークのために」解説及び資料

1)東北という地域特性のなかで出来ること~東北地方C町と東北地方E地域の取組みを通して~(齊藤健輔)
2)関西地方B地域における地域ネットワークづくり(佐古惠利子)
3)関東地方A地域における支援 事例を通じて私の暮らす地域でできる支援について考える(神田知正)
4)総合病院のPSWにできること(加藤雅江)
5)九州地方F地域におけるネットワークの現状と実践~飲酒運転事故がもたらしたネットワークの形成~(稗田幸則)
6)事例提供者から(山本由紀)
7)シンポジウム総括(山本由紀)

4.研修アンケートまとめ (池戸悦子)

P21~71 5.2MB

第4部 依存症及び関連問題にかかわるソーシャルワーカー関係団体による意見交換会(小関清之、佐古惠利子)

1.依存症及び関連問題にかかわるソーシャルワーカー関係団体による意見交換会の概要
2.第1回依存症及び関連問題にかかわるソーシャルワーカー関係団体による意見交換会報告
3.第2回依存症及び関連問題にかかわるソーシャルワーカー関係団体による意見交換会報告

P73~80 420KB

第5部 おわりに~事業のまとめと提言~ (稗田幸則)

第6部 資料

資料1. ICD-10 DSM-5 2つの診断基準
資料2. 行動の変化を望まない人へ面接―動機づけ面接のエッセンス
資料3. ファミリー・ベースト・サービス ソリューションフォーカストアプローチ
資料4. 援助を求めないクライエントへのアプローチ:向社会的アプローチ
資料5. インタビュー調査の実施にあたって
資料6. 事例検討型シンポジウム及びグループワークによる研修 グループワークシート
資料7. 事例検討型シンポジウム及びグループワークによる研修 アンケート

P81~奥付 1.1MB

■事例検討型シンポジウム及びグループワークによる研修

【開催日時・会場】
<宮城会場>2020年1月12日(日)10:25~17:00
 TKPガーデンシティPREMIUM仙台東口 ホール10B(10階)

<福岡会場>2020年2月2日(日)10:25~17:00
 TKPカンファレンスシティ博多 TKPホール(1階)

【プログラム】(敬称略)

時間 所要時間 内容
10:00 25分 受付開始
10:25-10:30 5分 開講式・オリエンテーション
10:30-12:00 90分 講義「暮らしと依存症 ~みる・みえる・かかわるための基礎知識と技法」
講師:山本 由紀(上智社会福祉専門学校)
12:00-12:30 30分 グループワーク(1)

総合司会:
 [宮城会場]齊藤 健輔(東北会病院)
 [福岡会場]岡村 真紀(高嶺病院)
12:30-13:30 60分 休憩
13:30-16:00 150分 事例検討型シンポジウム「確かなリカバリー支援と地域特性を生かしたネットワークのために」

座長:山本 由紀(上智社会福祉専門学校)
シンポジスト:齊藤 健輔(東北会病院)
       佐古惠利子(リカバリハウスいちご)
       神田 知正(井之頭病院)
       加藤 雅江(杏林大学医学部付属病院)
       稗田 幸則(西脇病院)
回復者から支援者へのメッセージ:
 [宮城会場]吉田 光基(宮城県断酒会)
 [福岡会場]AAメンバー
16:00-17:00 60分 グループワーク(2)

司会進行等:池戸 悦子(桶狭間病院藤田こころケアセンター)
17:00 終了

依存症及び関連問題対策委員会(2018年度・2019年度)

担当副会長  田村 綾子  聖学院大学 埼玉県
担当理事  加藤 雅江 杏林大学医学部付属病院 東京都
委員長  小関 清之 秋野病院 山形県
副委員長 稗田 幸則 西脇病院 長崎県
委員  齊藤 健輔 東北会病院 宮城県
  山本 由紀 上智社会福祉専門学校 東京都
  引土 絵未 国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所 東京都
  神田 知正 井之頭病院 東京都
  池戸 悦子 桶狭間病院 藤田こころケアセンター 愛知県
  佐古 惠利子 リカバリハウス いちご 大阪府
  岡村 真紀 高嶺病院 山口県

△報告書等のページに戻る