本協会は、就労継続支援A型事業所の閉鎖に伴う障害者の大量解雇等の問題が各地で発生したことを受けて、2017年12月に就労支援系の事業所に属する構成員を対象とした緊急のアンケート調査を実施しました。
このほど、分野別プロジェクト「就労支援」において、調査結果を取りまとめましたので報告いたします。
アンケートにご協力くださった構成員の皆様には誠にありがとうございました。
いただいたご意見を踏まえまして、今後も精神障害者の就労支援のあり方等について提言をしてまいります。
B型 54%
移行 22%
A型 12%
自立訓練(生活訓練) 7%
生活介護 5%
ある 50%
ない 26%
知らない 24%
1.看板の付け替えがあった 7(5%)
2.B型事業への変更 37(27%)
3.多くの利用者について最賃除外申請 18(13%)
4.その他 73(54%)
その他の内訳 72⇒
1.ある 53(26%)
2.ない 83(41%)
3.わからない 67(33%)
1.営利法人 39(70%)
2.NPO法人 10(18%)
3.社会福祉法人 7(13%)
1.思う 33(56%)
2.思わない 3(5%)
3.わからない 23(39%)
1.実施 11(21%)
2.実施なし 16(30%)
3.わからない 26(49%)
実施⇒支援策の内容
1.有(予定含む) 25(12%)
2.無 153(73%)
3.わからない 31(15%)
1.そう思う 22(11%)
2.そう思わない 126(60%)
3.どちらでもない 61(29%)
A型事業に求められている「生産活動の収入のみで利用者に最低賃金以上を支払う」という要件は、「一般就労が困難な障害者」を対象としながらも一定の生産性を保たなければならない、ということを意味する。そのためには事業の商才だけでなく、生産性の維持・向上のために利用者一人一人への指導・支援が欠かせない。しかし、生産性を追い求めるあまり、一般就労も可能であるような利用者を手放せなくなったり、本来の姿である「支援事業」としての側面が不十分になったり、という事態が各地で起こっている。自立支援給付が賃金に割り当てられることが禁じられた今、多くの事業所の運営が困難になっており、閉鎖が相次ぐ事態となっている。
アンケート結果からは、A型事業の存在意義は認めつつも、福祉サービスであるにも関わらず十分な支援が行き届かない、あるいは支援は十分でも生産性が追いつかない、という偏った事業所が多数存在していることが浮かび上がってきた。このことから、障害者総合支援法の制度設計に問題があることは明白だが、そのことに現在まで手を打ってこなかった行政の不作為が問題を大きくしたと言わざるを得ない。
現在改定が行われている障害福祉サービス報酬においては、A型事業は労働時間によって報酬単価が規定される見込みだが、利用者への必要な個別支援が適切に行われていることには評価がなく、労働時間のみが本体報酬とされている。事業所閉鎖大量解雇問題で明らかになった制度が抱える課題への本質的な解決策は講じられていない。精神障害者がニーズに基づいて安心して就労支援事業を利用できるよう、福祉サービス制度設計の問題や事業の抱える課題について注視し、次期法改正、報酬改定の際に根拠とともに提言できるよう検討を続けることが必要である。