認知症の人への支援のあり方とその課題 〜本人主体の支援を目指した連携とは〜−第二版−


はじめに

 2012(平成24)年、公益社団法人日本精神保健福祉士協会(以下、本協会)は、「高齢精神障害者支援検討委員会」を設置し、その下部組織として「認知症班」を設置した。ここでは、認知症の人の支援にかかわる精神科医療機関と介護保険サービス事業所等の連携に焦点をあて、調査・研究に着手した。そして、2014(平成26)年に「認知症の人の支援に関する実態調査」を実施し、精神科医療機関の属性と認知症の人への支援の内容および精神保健福祉士の認知症の人への関わりの程度や内容等について明らかにした。当該調査の詳細については、報告書(第1版)「認知症の人への支援のあり方とその課題 〜本人主体の支援を目指した連携とは〜」にまとめている。
 今回、上記のアンケート調査から導き出された要素をさらに検証するため、北陸(福井県・石川県・富山県)および近畿(滋賀県・奈良県・京都府・大阪府・和歌山県・兵庫県)の9府県内の精神科医療機関およびそこに在籍する認知症の人への支援に携わる精神保健福祉士(各医療機関5名)と介護保険サービス事業所等に勤務する精神保健福祉士(本協会構成員)を対象に、聞き取り調査を実施した。
 精神保健福祉分野にかかわらず、日本の近年の福祉施策は、地域包括ケアシステムの推進や包括的な相談支援体制の構築といった、「地域を基盤とした施策」に比重が置かれるようになっている。この一連の潮流の背景には、激しい人口構造の変化を背景として、福祉課題の多様化、深刻化、潜在化が顕著となり、従来の福祉システムでは対応できなくなりつつあることを指摘することができる。当然、精神保健福祉士もこのような社会の変化と動向を見据えながら、地域の中でその専門性を発揮することが求められる。そして、今後、医療機関、地域の事業所がともに、地域の中で地域住民を巻き込んだ社会資源としての連携のあり方を再考することが、認知症の人の支援にもつながるものと考えられる。
 本報告書は、今後の連携のあり方を再考するための一つの指標となるものである。

2016・2017年度「認知症」プロジェクトチーム 野村恭代


一括ダウンロード用データ(A4判・38頁/PDF/615KB)


認知症の人への支援のあり方とその課題 〜本人主体の支援を目指した連携とは〜−第二版−
目次

はじめに

T.認知症の人の支援に関する実態調査の概要
 1.背景と目的
 2.方法

U.退院を阻害する要因
 1.精神科医療機関・精神保健福祉士
 2.介護保険事業所等・精神保健福祉士
 3.考察

V.連携を阻害する要因
 1.精神科医療機関・精神保健福祉士
 2.介護保険事業所等・精神保健福祉士
 3.考察

W.精神保健福祉士の役割と専門性
 1.精神科医療機関・精神保健福祉士
 2.考察

X.全体考察

おわりに

参考資料(インタビューガイド)
編集・執筆者


2016年度・2017年度 「認知症」プロジェクトチーム(編集・執筆者)

リーダー 柏木 一惠 (浅香山病院:大阪府) おわりに
チーム員 蔭西   操 (南加賀認知症疾患医療センター:石川県) W
木下 淳史 (堺第2地域包括支援センター:大阪府) T、V
小下 ちえ  (浅香山病院:大阪府) U、X
野村 恭代 (大阪市立大学:大阪府) はじめに

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