本協会は、2004年6月の法人設立以来、精神保健福祉士の資質の向上と精神保健福祉士に関する普及啓発等を大きな事業の柱として、この間さまざまな課題に取り組んできた。その多くは、前身である日本精神医学ソーシャル・ワーカー協会及び日本精神保健福祉士協会(任意団体)の時代に培われた専門職倫理や組織活動における基本方針を礎として展開してきたものであった。「社団法人日本精神保健福祉士協会倫理綱領」についても、任意団体当時の1988年に制定され2003年に最終改訂された倫理綱領を、社団法人化の後にあらためて採択したものである。
一方業務指針については、1989年に「精神科ソーシャルワーカー業務指針」が採択され、長年にわたり本協会構成員に親しまれてきた。しかしながら、採択当時と現在とでは、精神保健福祉領域のソーシャルワーカーを取り巻く社会状況が大きく変化してきており、精神保健福祉士の活動領域や求められる役割も拡がりを見せている。
このため、本協会は新しい業務指針を策定すべく、「精神保健福祉士業務指針」提案委員会による「精神保健福祉士業務分類及び業務指針作成に関する報告書」(2008年3月)を受けて、2009年6月に「精神保健福祉士業務指針」作成委員会を設置し、この度ようやく「精神保健福祉士業務指針及び業務分類第1版」の素案が取りまとめられた。
このたび、第7回通常総会(2010年6月4日)において「精神保健福祉士業務指針及び業務分類第1版」が採択された。これは、作成委員会による素案を理事会において一部修正したうえで提案したものである。なお、「精神保健福祉士業務指針」提案委員会報告書においては、「各分野における業務指針」として教育機関、産業精神保健、認知症高齢者支援の業務指針も示されていたものの、作成委員会においてその内容を十分に吟味できなかったこともあり、広がりつつある他の分野も含めて、第2版以降の今後の改訂作業に委ねることとした。
2010年6月
社団法人日本精神保健福祉士協会
■一括ダウンロード用データ(A4判・82頁//2MB)
■分割データ(表紙-P22/1MB、P23-P44/310MB、P45-P66/300MB、P67-P82/350MB)
本業務指針及び業務分類の策定にあたって
はじめに
第1部 精神保健福祉士の基盤と業務指針の位置
1.精神保健福祉士をめぐる社会状況
(1)精神保健福祉をめぐる状況
(2)ソーシャルワーカーを取り巻く社会状況
(3)本協会における業務指針策定経過
(4)ソーシャルワーカーの業務指針をめぐる動向
2.精神保健福祉士の視点及び特性
3.精神保健福祉士としての理念
4.業務指針の目的
5.業務指針の位置づけ
第2部 精神保健福祉士の機能及び業務分類
1.精神保健福祉士実践に関する分類基準
(1)精神保健福祉士の業務特性に関する整理
2.精神保健福祉士の機能及び業務分類
A.対象
B.主要な課題
C.主要な機能、提供されるサービス
D.具体的な方法
E.機能及び業務
第3部 精神保健福祉士の各分野における業務指針
1.精神保健福祉士が活動する分野
2.用語の解説と定義
3.各分野の業務指針
(1)地域生活支援における業務指針
(2)医療機関における業務指針
(3)行政機関における業務指針
第4部 業務指針の検討経過と今後の課題
1.本指針の全体構成と活用の仕方
2.提案委員会:「業務指針」作成の手順
3.今後の課題
(1)本指針が盛り込めなかった今後の課題
4.用語の整理及び概念規定
おわりに
参考文献一覧