心神喪失者等医療観察制度における
地域処遇体制基盤構築に関する調査研究事業報告書
(平成21年度障害者保健福祉推進事業(障害者自立支援調査研究プロジェクト)

社団法人日本精神保健福祉士協会 発行


報告書作成にあたって

 「心神喪失等の状態で重大な他害行為をした者の医療及び観察等に関する法律」(以下「医療観察法」とする)は、平成15年7月16日に成立し、2年の準備期間を経て平成17年7月15 日より施行された。施行から5年目を迎え、医療観察法における最大の焦点は、法対象者の地域社会における処遇をいかに円滑に進めるかということに当てられている。

 地域社会における処遇(以下「地域処遇」とする)は、医療観察法施行時に法務省保護局と厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部の共管により定められた「地域社会における処遇ガイドライン」に基づき進められている。地域処遇の展開の前提は、保護観察所の社会復帰調整官をコーディネーターとして、指定通院医療機関、行政機関、障害福祉サービス事業者等の通常の精神保健福祉関係機関が連携を深めることにあるのだが、各都道府県の状況を見渡すと、必ずしも連携体制が円滑に行われていない地域が散見される。

 本協会は、今年度、厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部の「平成21年度障害者保健福祉推進事業(障害者自立支援調査研究プロジェクト)」として「心神喪失者等医療観察制度における地域処遇体制基盤構築に関する調査研究事業」を実施した。

 本報告書は、地域処遇の実施にあたり、各地における地域精神保健福祉システムと医療観察制度との関係性が地域処遇体制の基盤となることから、都道府県における地域処遇の実態を確認し、その推進の隘路となっている課題を明らかにすること、有効な地域処遇基盤構築の方策を導き出すために都道府県に対する基礎的調査、都道府県担当者へのヒアリング、保護観察所の社会復帰調整官に対するヒアリング、障害福祉サービス事業者等に対するヒアリングといった一連の調査を行い、それらを通じて得られた知見を中心にまとめたものである。

 本報告書が、医療観察法の理念である対象者の社会復帰の促進の一助となり、「入院中心から地域生活中心へ」という現在の精神保健医療福祉のビジョンが医療観察制度の対象者にも当然のごとく指し向けられることを願っている。

平成22年3月

社団法人日本精神保健福祉士協会


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訂正表(1頁/PDF/90KB)


心神喪失者等医療観察制度における
地域処遇体制基盤構築に関する調査研究事業 報告書
目次

目次

■第1章 はじめに
1 本調査研究事業の目的
2 本調査研究事業の実施方法

■第2章 医療観察法地域処遇の現状と課題
 第1節 地域社会における処遇の概要
 第2節 地域処遇の現状と課題

■第3章 医療観察法地域処遇体制強化事業の概要と自治体の取り組み
 第1節 医療観察法に基づく医療及び地域処遇の概要と医療観察法地域処遇体制強化事業のポイントについて
 第2節 都道府県における地域処遇の取り組み状況

■第4章 医療観察法地域処遇体制の実際〜聞き取り調査報告〜
 第1節 保護観察所・社会復帰調整官に聞く地域処遇体制の現状と課題
 第2節 障害福祉サービス事業所担当者に聞く地域処遇体制の現状と課題
 第3節 北海道道東地区のダブル・マネージャー・システムに関する聞き取り

■第5章 円滑な地域処遇の推進のために(提言)
■研修会資料
■資料


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