本書の作成にあたって
精神保健医療福祉の改革については、平成16年9月に厚生労働省においてとりまとめられた「精神保健医療福祉の改革ビジョン」において、「入院医療から地域生活中心へ」という基本理念に基づき、「国民意識の変革」、「精神医療体系の再編」、「地域生活支援体制の再編」、「精神保健医療福祉施策の基盤強化」という柱が掲げられました。このビジョンに基づき、障害者自立支援法の制定や累次の診療報酬改定等、精神保健医療福祉の各側面にわたる具体的な施策が展開されてきています。
精神障害者地域移行支援特別対策事業は、こうした取り組みの一環として、受け入れ条件が整えば退院可能な精神障害者に対し、円滑な地域移行を図るための支援を行うことを目的として平成20年度より開始されました。
平成15年度に創設されたモデル事業を前身とするこの事業は、地域移行推進員(従来の自立支援員)が行う個別支援に加えて、地域の体制整備の総合調整を担う地域体制整備コーディネーターを相談支援事業所等に配置し、地域自立支援協議会との連携を図ることを柱としており、平成20年度は、45都道府県において事業実施がみられています。
今後、この事業が全都道府県・全圏域において実施され、退院可能な精神障害者の地域生活への移行及び定着が促進されていくためには、事業にあたる地域移行推進員及び地域体制整備コーディネーターの人材育成が急務となっています。
このような観点から、本協会では、今年度、厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部の「平成20年度障害者保健福祉推進事業」において、地域体制整備コーディネーター向けの研修プログラムの開発及びテキスト作成を行い、3月には研修を実施しました。
本書は、研修の際に使用した研修テキストをベースとして、現場の地域体制整備コーディネーターの方の意見も踏まえながら、事業の全体像から活動にあたる際の視点まで、詳細にまとめたものです。また、都道府県の事業担当者の方が、地域において地域体制整備コーディネーターを育成するための研修を実施する際のポイントを「はじめに〜本書の使い方」に掲載しております。
本書が、地域体制整備コーディネーターの活動のご参考になるとともに、都道府県の事業担当者の方が研修を実施する際の研修テキストとしてご活用いただければ幸いです。
平成21年3月
社団法人日本精神保健福祉士協会
■一括ダウンロード用データ(/2.6MB)
精神障害者地域移行支援特別対策事業〜地域体制整備コーディネーター養成研修テキスト〜
目 次
表紙 (/330KB)
本書の作成にあたって(/430KB)
目次(/430KB)
はじめに〜本書の使い方(P1-2:/435KB)
.事業の背景の理解(P3-7:/580KB)
1.精神障害者地域移行支援特別対策事業とは
2.「社会的入院」の背景と支援の視点
.地域体制整備コーディネーターの意義と役割(P8-18:/495KB)
1.医療機関等への働きかけ
(1)実施体制づくり
(2)入院患者への働きかけ
(3)事業展開過程における働きかけ
(4)地域の課題の共有
2.個別支援に果たす役割(P19-25:/540KB)
(1)本人の思いを尊重しましょう
(2)ストレングスに気づきましょう
(3)個別支援計画の有効性を高めましょう
(4)限界は出発点です
(5)みんなで地域移行支援に取り組んでいきましょう
3.地域づくりにおける役割 〜地域自立支援協議会を活用しよう〜(P26-38:/595KB)
(1)相談支援事業
(2)個別支援会議
(3)自立支援協議会
(4)都道府県の役割
(5)地域自立支援協議会と本事業との統合
(6)個別支援から地域の課題・・・そして施策化へ
.地域体制整備コーディネーターの実施体制(P39-45:/555KB)
.精神障害者地域移行支援特別対策事業の都道府県実施調査結果(P46:/435KB)
1.調査のあらまし
(1)調査の目的
(2)調査の概要
2.集計結果(P47-60:/570KB)
(1)地域移行支援事業の実施状況
(2)地域移行支援事業実施自治体の実施状況
(3)平成20年度 地域移行支援事業実施地域及び実施主体等
(4)平成20年度 地域体制整備コーディネーターの状況(P61-86:/600KB)
(5)平成21年度 地域移行支援事業の実施予定
(6)地域移行支援事業の今後の課題
(7)地域移行支援事業に関する研修開催予定(P87-95:/495KB
(8)精神保健福祉士への期待等(P96-107:/475KB)
3.調査票(P108-112:/1.5MB)
あとがき(P113-115:/440KB)
■資料 委員会体制及び開催経過
1.委員会体制
2.委員会開催経過
奥付(/430KB)