「社会的入院の解消にむけて」精神医療委員会報告


 精神医療委員会では、2003年度・2004年度にかけて、「社会的入院者の退院促進のためにPSWは何をすべきか」をテーマに、計10回の委員会を開催した。
 協会から精神医療委員会へ与えられたテーマは、前期委員会に引き続き「社会的入院の解消」であり、そのために「医療の中でPSWはどういう役割を果たすべきか」というものであった。
 社会的入院にはさまざまな要因があり、その解消のためのアプローチも多様であるが、今回は視野を外に向けて広げるのではなく、精神医療に焦点をあて精神科病院という社会の見直しをおこなっていくこととした。
 委員会では討論の対象を滞留率が著しく上がる一年以上の長期入院者とし、このような長期社会的入院者の退院促進に向けた各委員の実践報告を受けるとともに、その実践現場を見学し実践の効果と限界について討論することで、精神医療の中でPSWが果たしている具体的役割を明確にしていこうと試みた。
 報告書はいずれも、固有の問題と一般化できる問題とに整理できるよう、地域の特徴、病院の歴史と現状、退院支援のとりくみ状況、見学会当日の意見交換、各委員のまとめ(振り返り)で構成されている。
 見学会当日の意見交換にリアルに表現されているように、各委員の置かれた状況はそれぞれ異なるが、各PSWは現場でそれなりに悪戦苦闘している。
 今日も、精神科病院に長期滞留し続ける大勢の精神障害者を前にして、私たちPSWはとうてい成果など誇れない。ここに報告するのは社会的入院の解消に向けたささやかな実践であり、高い壁を崩すがごとき精神医療の現実である。
 あの病院だからできたこと、この病院だからこうなのだと他人ごととせず、協会に所属する多くの会員とともに共有化できればうれしい。
 また、2年間委員会活動をともにした各委員からは多くの勇気をもらった。深く感謝している。
 最後に、委員会活動を報告書としてまとめるにあたり、快く了承いただいた各病院管理者の方々に厚くお礼申しあげたい。

2005年7月

精神医療委員会  
委員長 三橋良子


目次

表紙(PDF/12KB)、はじめに・もくじ(PDF/85KB)
1.社会的入院の解消に向けて〜退院へ意識を向けて〜/沼津中央病院 澤野 文彦(PDF/850KB)
2.長期入院者の退院支援への取り組み/都立松沢病院 山田恭子(PDF/810KB)
3.社会的入院の解消にむけて どこに目を/特定医療法人俊睿会 南埼玉病院 今野 正裕(PDF/890KB)
4.長期入院者退院促進のためにPSWは何をすべきか/生田病院 三橋良子・山田麻貴(PDF/1.1MB)
5.長期入院者の退院支援〜病院としてのとりくみから〜/駒木野病院 山田多希代(PDF/780KB)
委員名簿(PDF/60KB)
奥付(PDF/16KB)


精神保健福祉部 精神医療委員会

<精神保健福祉部>
木太 直人(担当副会長、財団法人聖マリアンナ会/神奈川県)
大塚 淳子(部 長、こころのクリニック石神井/東京都)

<精神医療委員会>
三橋 良子(委員長、生田病院/神奈川県)
今野 正裕(南埼玉病院/埼玉県)
小野 仁彦(船橋北病院/千葉県)
澤野 文彦(沼津中央病院/静岡県)
野地 康洋(守屋市保健福祉センター/茨城県)
菱沼 信一(宮城県立精神医療センター/宮城県)
松本すみ子(東京国際大学/埼玉県)
山口多希代(駒木野病院/東京都)
山田 恭子(松沢病院/東京都)
山田 麻貴(生田病院/神奈川県)

※役職等は2005年3月31日現在です。
本委員会は、新しい委員会体制で継続しています。


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