お知らせ

<2013/09/20>

【傍聴レポート】第4回精神障害者に対する医療の提供を確保するための指針等に関する検討会

日程:2013年9月19日(木)9:30〜12:00   場所:厚生労働省専用第18会議室

【検討概要】

第4回の検討会は、事務局から指針案の叩き台について説明がなされた後、構成員からの意見・質疑が行われた。出された意見の内容は下記のとおり
次回は指針案のとりまとめが行われる予定。


【所感】

 指針案自体が網羅的な内容となっていることもあり、構成員の意見が錯綜していた。指針については、策定後にいかに具体の計画等に反映する仕組みを作るかが重要であると改めて感じた。

(文責:常務理事 木太直人)


良質かつ適切な精神障害者に対する医療の提供を確保するための指針案(叩き台)
検討会構成員の意見

強調文字が構成員の意見であり、傍聴に入った木太がまとめたものです。

(全体的な方向性)

(広田)自立と社会経済活動への参加の後に、「社会貢献」をいれてほしい。

(広田)「偏見を払拭し」は遅れている。一番偏見があるのは当事者、家族、関係者。取ったほうがよい。
(三上)指針が対象とする精神障害者は多様であり、てんかんなど未だに偏見が強いのも事実。

(河崎)財源を確保することを明記すべき。それがなければ施策が進まないことは構成員として一致しているはず。

[全体を通して]

(澤田)数値目標や期限の定めがないが。指針策定後、具体的にどうなるのか心もとない。検討会自体が無駄になってしまうのではと危惧。具体的な計画を策定したほしい。
→(事務局)数値目標は、障害福祉計画や医療計画で具体化すべきものであり、指針との役割分担が必要と考えている。
(岩上)指針の推進体制がない。国の役割が明記されていない。指針で目指すことを誰がモニタリングするのか。重度かつ慢性に関しても対象が定まったときに具体的にどうするのかといったことを明記すべき。
(伊澤)精神障害者、精神疾患患者などばらつきがある。整理が必要。
(中島)精神病床数、平均在院日数を国際的な水準にすることを追加すべき。
(柏木)指針策定後の検証の仕組みを入れてほしい。
(中坂)「良質かつ適正な」ということが分かりづらい。全体の方向性が地域完結型の流れにある中で、指針は医療完結型になっている。当事者の生活者としての視点が欠落しているという印象。疾患を抱えながらも生活をし続けるということが大切。全体として主語が曖昧。
(千葉)具体的な方向性を打ち出すと総花的にならざるを得ない。
(広田)予防を入れてほしい。
(伊藤)進捗管理は必要。一般医療との整合性を図る必要がある。

第一 精神病床の機能分化に関する事項
一 基本的な方向性

(長野)「最大限有効に活用」に違和感。次の項目に入れたほうがよい。
  「機能分化は、地域の実情に合わせて可能な方策を検討する」と入れてほしい。
(平田)地域の実情を入れるとどうにでもできてしまうので、「地域の特性を活かし」といったポジティブな表現のほうがよい。

(佐藤)「結果として、精神病床は減少する」は主体性のない表現。もっと力強い表現にしてほしい。
(中島)一般病床と療養病床については、医療機関が病床機能に関する情報を都道府県に報告する制度の創設が検討されている。機能分化という以上、精神病床も同じように病床機能報告制度を作るべき。
(千葉)報告制度は大病院は病棟機能を明確に出せるが、小病院では多機能型病棟にならざるを得ず、難しさがある。
1年以上の入院を作らない仕組みが重要。受け皿がなければ進まない。地域の受入れ整備を指針に入れてほしい。
(三上)一般病床と療養病床については、「高度急性期」「急性期」「回復期」「慢性期」の4区分にする方向性。また社保審介護保険部会では要介護3以上を特養ホームの対象とする方針になっているが、認知症等要介護度が低く出る人の問題について、老健局と連携しておく必要がある。
(河崎)地域基盤をどのようにするということがあったうえで、同時並行的に機能分化をしていくべき。ここは、「結果として減少する」でよいと思う。
(伊澤)病床削減の強い意思表示をしてほしい。

二 入院医療から地域生活への移行の推進

(柏木)早期の退院支援は外来支援とセットで考えるべき。急性期の段階からかかわることを明記すべき。
(広田)福祉の人を医療の人が信用できないと現場では言っている。病院や地域の支援者がそれぞれの役割分担を明確にすれば、連携は必要ないのではないか。
(佐藤)相談支援専門員の前に「病院外の」と入れるべき。
(広田)本人不在の意見。相談支援専門員はいらない。
(岩上)相談支援員の質の問題は別途検討の場を設けてほしい。厚労省の中でも精神は精神科医療の問題という風潮がある。指針の中に福祉の必要性も入れておくべき。
(良田)家族の立場から。入院も退院も誰に相談していいか分からない。病院のワーカーや地域の支援者のことも知らない。打ち出しを強くしてほしい。
 家族・当事者の生活が想像されていないのではないか。病状が悪いまま退院ということもある。どうやって生活するのか、より良い退院をする支援を考えてほしい。再発防止、入院者減につながる家族も含んだ全体的な支援としてほしい。

(平田)退院後のフォローについて、「精神障害者に対する入院医療」は「精神障害者に対する危機介入」とすべき。
→(事務局)この部分は、精神病床の機能分化に関する事項なので、「入院医療」としている。

(伊藤)退院後のクライシスプランを本人を交えて考えていくなどは盛り込めるのではないか。

三 急性期の患者に対して医療を提供するための機能

(中坂)「当該機能の確保のため」という表現が不鮮明。具体的に書いてほうがよい(四、六も共通)。

四 入院期間が1年未満の患者に対して医療を提供するための機能

(伊澤)「可能な限り」は取るべき。

五 重度かつ慢性の患者に対して医療を提供するための機能

(岩上)重度かつ慢性の定義が定まったときに具体的にどうするのかといったことを明記すべき。

六 重度かつ慢性の患者以外の入院期間が1年を超える長期在院者に対して医療を提供するための機能

七 認知症患者に対して医療を提供するための機能

(田邉)退院については、地域・家庭に退院することを明記したほうがよい。死亡退院もあるので。
(柏木)大都市部では現実的には病院から施設への移行を考えざるを得ないが、低所得の人の受け入れ先は特養しかなく、入所待機で入院が長期化する傾向にある。その間にADL等が低下してしまう。認知症病棟の看護体制も急性期並みに配置していく必要がある。認知症の計画ときちんとリンクしていかないと、病院にだけ出せ出せと言っても進まない。
(河崎)受け皿がない現状で、入院時に2カ月しか入れませんよと伝えることは果たしてどうなのか。
(吉川)現場では、療養環境の問題も大きい。急性期病棟に認知症の人を受け入れて転倒、行動制限を受けていることなど。「適切な療養環境」を入れるべき。

八 身体疾患を合併する精神障害者に対して医療を提供するための機能

第二 精神障害者の居宅等における保健医療サービス及び福祉サービスの提供に関する事項
一 基本的な方向性

二 居宅における医療サービスの在り方
1 アウトリーチ(多職種チームによる訪問支援)

(長野)各職種がどこに置かれているかを明記しないと絵に描いた餅になってしまう。
(長谷川)等ではなく作業療法士を明記してほしい。

2 訪問看護

三 外来・デイケア等の通院患者に対する医療の在り方

(田川)回転ドア防止の受け皿として地域の外来精神科医療が有効。外来医療においてはコメディカルスタッフの配置や訪問看護が重要。
(田邉)危機介入の医療に関して強調があるべき。
短期間のショートステイを外来医療の枠組みで入れてほしい。(長野)外来医療体制について。現状はコメディカル配置の財源なくドクターフィーを切り分けている。相談体制加算など

四 精神科救急医療体制の整備
1 24時間365日対応できる医療体制の確保

(河崎)都道府県の前に「国及び」を入れるべき。

2 身体疾患を合併する精神疾患患者の受入体制の確保

(田川)協議会の開催は賛成。

3 評価指標の導入

五 一般医療機関との連携

(伊豫)うつ病については、双極性の場合抗うつ剤が自殺念慮を惹起する場合もあるのできちんと分けておくべき。

六 保健サービス及び福祉サービスの提供

(田邉)訪問支援は精神保健福祉センターの通常業務に位置づけられていないので、体制整備に入れるべき
(城所)精神保健福祉センター等の等を明らかにしておくべき。市町村の位置づけを入れておくべき。

→(事務局)市町村を想定している。
(田邉)センターが担っている具体的な対応を入れてほしい。人員が少ない中でやっている現実がある。

(伊澤)就労支援ではなく日中活動系の支援としたほうがよい。
(田川)就労支援の課題はいかに働き続けること。実際にクリニックのPSWがかかわっている。

(伊澤)居住の場の充実をもっと前に持っていくなど強調した表現にしてほしい。

(山本)情報共有は大切だが、情報の出し方に関しては個人情報保護等の配慮が必要。

第三 精神障害者に対する医療の提供にあたっての医師、看護師その他の医療従事者と精神保健福祉士その他の精神障害者の保健福祉に関する専門的知識を有する者との連携に関する事項
一 基本的な方向性

(三上)多職種連携に対する報酬評価は一般医療と同じようにする必要がある。
(近森)他職種による退院支援はチーム医療の結果。精神科の診療報酬を見るとチーム医療の評価が限定的。若い統合失調症モデルになっている。現状は精神疾患である前に人間であり、お年寄りでありという人が多い中、評価が現実に合っていない。薬学的管理、栄養管理、リハビリテーション、ソーシャルワーカーの働きの4点を反映した診療報酬にしていくべき。

二 入院患者に対する医療における多職種連携の在り方

三 地域で生活する患者に対する医療における多職種連携の在り方

(田川)外来精神医療も入れるべき。

四 人材の養成と確保

(澤田)「精神科での経験」とは何を指すのか具体的にしてほしい。
(伊豫)「精神科での経験」は、「精神科研修を積む」としてほしい。

第四 その他良質かつ適切な精神障害者に対する医療の提供の確保に関する重要事項
一 関係行政機関の役割

(岩上)推進体制を作ることを明記すべき。エンジンは都道府県なのでその役割と市町村の役割を明記すべき。
(佐藤)市町村の役割を明記すべき。当事者意識の低い市町村の職員もいる。

1 保健所等

(田邉)早期に適切な治療につなげるためには、体制整備が必要。疾病否認をしているような人への対応が現状では弱い。
(柏木)保健所やセンターの保健師や相談員の配置を推進することを明記すべき。

(山本)移送制度は救急と別の役割。移送の整備を謳うべき。

2 精神保健福祉センター

3 精神医療審査会

(長谷川)患者の権利擁護を入れるべき。

 「専門的かつ独立的な」については、審査会の現状評価がないが、そのことを前進させる表現にして ほしい。
二 人権に配慮した精神医療の提供

(澤田)「最小の範囲」や「可能な限り」も具体性がない。
(田邉)代弁者のことを入れておかなくてよいのか。
(長谷川)人権の配慮には「最大限の」をつけてほしい。また行動の制限が何を指すのか明確にすべき。

三 多様な精神疾患・患者像への医療の提供
1 自殺・うつ病等

(田邉)自死遺族相談支援を入れるべき。

(澤田)うつ病専用の病棟にしてほしい。入院してかえって悪化することもある。

2 依存症

3 児童精神

4 摂食障害

5 てんかん

6 高次脳機能障害

7 その他の必要な医療
(1)災害医療

(田邉)大規模災害の中長期の支援体制を入れるべき。

(2)心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者に対する医療

四 精神医療の標準化

(田川)認知行動療法は、医師の目を通さなくてもよい現状に危機感を持っている。

五 精神疾患に関する知識の普及啓発

六 精神医療に関する研究の推進

七 他の指針等との関係の整理

(伊藤)健康日本21などほかの計画との関係性も必要。


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