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<2009/07/17>

木村真理子理事、IFSWアジア太平洋地域の一般理事に選出 

 本協会を含むソーシャルワーカー4団体で構成する社会福祉専門職団体協議会(社専協)が加盟する国際ソーシャルワーカー連盟(IFSW)において、2009年5月、本協会の木村真理子理事がアジア太平洋地域の一般理事に選出されました。
 そこで、理事就任にあたって、木村理事からのコメントをご紹介します。


 ■IFSWのアジア太平洋地域一般理事への選出と地域の課題

IFSW一般理事 木村 真理子

 ほんのふた月前の5月、私はIFSW(International Federation of Social Workers, 国際ソーシャルワーカー連盟)アジア太平洋地域の一般理事に選出されました。任期は2008〜2010年です。この地域会長であった香港代表ジャスティナ・レウンが辞意表明し、一般理事シンガポールのジョン・アンが会長に立候補したため、空席をめぐって行われた選挙でした。立候補のためには、国の組織から推薦を受け、IFSW役員を希望する質問項目に対する意見を書いて履歴書とともに送る必要がありました。日本は、4団体が社専協(日本ソーシャルワーカー協会、日本社会福祉士会、日本医療社会事業協会、日本精神保健福祉士協会)を構成しています。

 これまで、主として国内に向けてIFSW関係者を招聘したセミナーの開催やソーシャルワーカーの認知度を向上させる活動を主としてきました。今後社専協は、アジア太平洋地域諸国のIFSWへの加盟促進や、地域のソーシャルワークの課題への取り組み、地域に属する国々のネットワーク化に向けての活動が加わることになります。

 IFSWは1年おきに地域会議と世界会議を開催します。2009年11月ニュージーランドのオークランドで、アジア・太平洋ソーシャルワーク会議、2010年6月香港世界会議を合同開催することが決まっています。これらの会議はIASSW(国際社会福祉教育学校連盟)との共催(香港はICSW:国際社会福祉協議会も共催)で開催されます。グローバル化を意識して、ソーシャルワークの技術、倫理、定義、職業上の水準などの国際標準化などが課題です。

 IFSWヨーロッパはノルウェー、スウェーデン、デンマークなどの福祉国家、そして専門職・労働組合の強固な財源がソーシャルワークの国際組織活動(IFSWヨーロッパ地域)などにも導入され、地域での協議を進め、地域協約に基づいて課題解決の政策研究や実践を進めており、これらが、IFSW全体の政策としていかされるような提言も行ってゆこうとしています。アジア太平洋地域は小国や大国、広大な地理的状況で、経済状態も異なる国々を包含しており、活動財源などが確保できておらず困難な状況です。地域の共通課題にどのようにかかわるか、一方で、地域の特色といえる文化などを西洋とは異なる立場でソーシャルワークに生かしながらどのように取り組むかなどの課題に対して効果的なコミュニケーションと関係づくりの課題を抱えています。

 日本がIFSWアジア太平洋地域の代表者を選出したことは、国際的文脈からみれば、地域でまとまった活動を行うことや発展途上の国々でのソーシャルワーク活動の促進などに期待が寄せられることになると思います。

 6月12日から14日までスイスのルツェルンで開催された理事会では、アジア太平洋地域会長と会談し、経済的制約の多いアジア太平洋地域プロジェクトを通じてネットワーク化を図るための仕事を日本に求められました。日本から理事を選出することの意味は、アジア太平洋地域への日本の積極的な関与を意味しています。また、アジア太平洋地域のソーシャルワーク組織との連携の課題に向けた活動であるとも言えます。7月19日に開催される「多文化ソーシャルワークセミナー」の翌日にこのセミナーのために来日するニュージーランド、オーストラリア、マレーシアの講師を囲んで、社専協国際委員はインフォーマルなネットワーク会議を持ちます。アジア太平洋地域のニーズとネットワーク戦略を作る動きが始まろうとしています。


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