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<2008/08/01>

第7回「今後の精神保健医療福祉のあり方等に関する検討会」開催される

 7月31日(水)15時より、航空会館7階大ホール(東京都港区)において、標記検討会が開催されました。

 本日の検討会では、前回の論点整理に関する各構成員からの意見を踏まえ、「これまでの議論の整理と今後の検討の方向性(論点整理)(案)【前回からの修正】」(資料1)および「これまでの議論の整理と今後の検討の方向性(論点整理)(案)」(資料2)が示され、資料1を中心に、最終的な論点のとりまとめに関する議論を行いました。特に精神科病床削減を巡っては、それぞれの構成員の立場から活発に意見が出され、白熱した議論が展開されました。

 まず初めに、「(1)「精神保健医療福祉の改革ビジョン」の策定と本検討会における議論の経過」、「(2)精神保健医療福祉(主に地域生活への移行及び地域生活の支援に関するもの)の現状と評価」、「(3)今後の精神医療福祉施策の基本的考え方」、について意見が出されました。

 特に「(3)今後の精神医療福祉施策の基本的考え方」については、前回の検討会の意見を踏まえ、我が国の精神保健医療福祉施策における歴史的経緯等の記述が追加された部分に対して、国に過去の施策の責任があることを明文化する文言や精神衛生法から精神保健法に至る経緯に関する記述等、歴史的背景をより正確かつ詳細に記述すべきとの意見が出されました。また、人権に対する配慮を示す文章や、現状の国際情勢を踏まえたうえで精神医療福祉施策を進めていくという強い意志を示す文章を加えたいとの意見も出ました

 次に、「(4)地域生活への移行及び地域生活の支援に関する今後の検討の方向」について、主に相談支援体制に関する議論がなされました。「障害者自立支援法に基づく相談支援」という記述に対して、相談支援は障害者自立支援法に基づいたものに限らないとする意見と、相談支援が事業として制度的根拠位置づけを得ているのは障害者自立支援法によるものである現状から、その位置づけや機能をより強固なものにしたい、との意見が出されました。それについては、この検討会が障害者自立支援法の見直しを視野に入れたものであるということから後者の方向性での議論を進める余地があること、また、障害者自立支援法以外の相談支援体制に関しては、精神保健に関することも踏まえ、より詳しく記述をするという方向性が事務局から示されました。

 また、地域生活への移行、退院支援という点に重きが置かれている記述が多いことについて、現に地域で暮らしている精神障害者やその家族に対する相談支援体制に関する記述を求める意見や、退院時のみならず入院時からの継続した支援が重要である、との指摘も出ました。

  「(6)精神疾患に関する理解の深化(普及啓発)に関する今後の検討の方向」については、普及啓発における行政の役割について、特に地域資源の整備の途上のコンフリクト発生時などへの対応なども含め、努力規定でなく責任を明確に示す根拠となるような記述を求める声があがりました。また、精神障害者に対する理解を深めるには精神障害者が社会経済活動に参画していく体制づくりが大切であり、それについても文章で示すべき、との意見が出ました。

  最後に「(5)精神保健医療体系の再構築に関する今後の検討の方向」に対する検討が行われました。「病床削減」を明文化するか、また「必要病床数を確定する」という記述に関して、そのような方向性が望ましいのか、という点について主に議論がなされました。

  「病床削減」については、障害者自立支援法によって地域資源を整えやすくなったことから利用者がいれば地域資源は増やせるとする福祉サイドの意見に対し、地域の受け皿がない中に退院させることはできないため、削減ありきや、その数値の明文化はそうした文言の一人歩きを防げなくなるなど、とする医療サイドからの反対意見が出されました。福祉関係者からは、受け皿があれば退院可能とされる72,000人の精神障害者の退院支援がなかなか進まない現状について、そのことを反省し、今回は具体的な体制や計画、財政的根拠に基づいた施策を組み立てることが重要だとの指摘がなされました。また、障害者基本法の理念に立ち返り人権擁護の観点から考えることの必要性が示されました。それに対して、受け皿がないと退院は困難とする立場の構成員からは、在宅医療等の医療体制の整備も含め、医療と福祉が手を取り合って資源を整えながら退院を進めていくことは大切だが、受け皿があっての退院であって、まず退院ありきではない、との強硬な姿勢が示されました。また「必要病床数を確定する」という記述に関しては、そのような数字を出すことは困難とする意見と、確定することを目標に議論を進めるべきだとの反対意見が出されました。

 次回の検討会では有識者を招いてのヒアリングを行うことになりました。第8回検討会は8月21日(木)に予定されています。

※「第7回今後の精神保健医療福祉のあり方等に関する検討会」の資料はWAM‐NET等に公開され次第、リンクを貼る予定です。

傍聴記録:事務局 今井悠子


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