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<2008/07/17>

第6回「今後の精神保健医療福祉のあり方等に関する検討会」開催される〜いよいよ論点整理へ〜

 7月16日(水)15時より、厚生労働省9階省議室において、標記検討会が開催されました。
 本日の検討会では、「これまでの議論の経過等」(資料1)および「これまでの議論の整理と今後の検討の方向性(案)」(資料2)が示され、資料2を中心に議論が持たれ、論点の整理を行いました。

 資料1に関しては、記載不足事項として、小規模作業所の現状等については、是非、記載するべきであるという意見が上がりました。

 論点整理の主な枠組みとして、1)今後の精神保健医療福祉施策について、2)地域生活への移行及び地域生活の拠点について、3)精神保健医療体系の再構築について、4)精神疾患に関する理解の深化(普及啓発)についてと、基本的な考え方が据えられた全体枠と、大きな3本の柱が挙げられ、また各柱についてもそれぞれ総論と個別の論点案が提示され、検討会構成員より多くの意見が出されました。

 全体枠については、まず、基本的考え方として、入院医療中心であったこれまでの精神保健医療福祉施策に対する反省と、今後の行政の立場を明言するべき等の意見が出されました。
 また、現状を踏まえれば「入院医療中心から地域生活中心へ」という具体的な施策の基本方針はわかるが、障害者権利条約の発効などに照らして、精神障害者のみならず、全ての国民を対象として精神保健医療福祉士施策に取り組んでいくと同時に精神障害があっても当たり前に地域で暮らせる社会の実現を目指すという姿勢を文字にして示して頂きたいとの要望が出されました。そして、様々な施策を推進していくためには、市長村に対する財源措置の必要性や、マンパワーとその質の確保について課題があり、加えて、都道府県、市町村、障害福祉圏域、保健医療圏域の整理が課題であるとの発言等がありました。また、障害者自立支援法における障害程度区分の問題を論点項目としてあげるべきではないかという意見が出ました。

 「2)」の議論の中では、相談支援体制の現状と今後の課題について、多くの議論がなされました。単発、有期限事業で相談支援を行うことの限界や、相談支援事業の財源確保の必要性や義務的経費に基づく事業とすべき等の意見が出ました。また、退院促進に関しては、長期入院者を新たに生み出さないという決意を文言として示してほしいという要望が出されました。また、高齢の障害者の方の退院促進においては介護保険との連携が不可欠という意見や、地域生活へ移行するプロセスにおいてそれぞれの機関をつなぐ役割の必要性、また当事者の参加の必要性についての意見が出ました。

 「3)」に関しては、病床数削減と地域の受入れ体制について主に議論がなされました。まず、病床削減数を明らかにするための議論をこの検討会において進めたいという提案が出されました。
それに対して、地域の受入れ体制について論じてから削減目標を立てるべきという意見や、反論として、病床が減らないと退院促進は進んでいかないという意見が出され、両者は車の両輪であり、同時に検討する必要がある、との考えが示されました。
 また、医師不足に関する課題や病院における退院への取り組みの重要性に関する意見も出されました。また、病床数削減に関しては、以前削減を目標に掲げたにも関わらず、削減のための具体的方法が示されないままに来ていることへの指摘とともに、病床数が減少していない現状をどう考えるのかを総括したうえで、今後の具体的な指針を示すべき、との指摘がなされました。その観点から我が国における必要病床数を示す必要性も訴えられました。
 併せて、権利擁護に関する論点項目を立てるべきではないかという意見も出ました。

 「4)」の議論においては、まず医師、看護師、作業療法士、精神保健福祉士等、精神保健医療福祉に携わる者の認識を統一する必要性が指摘されました。また、普及啓発に関しては、「2)」「3)」の議論と密接に関わる部分であり、一体となって進めるべきとの意見が出ました。また、国民が精神疾患に関する理解を深めることで、早期対応につなげられるのではないかという点については、諸外国のように早期発見と並行して対応可能な体制を整える必要があり、復職や復学に関する取り組みの必要性が指摘されました。
 また、マスコミや精神科以外の医療機関関係者に対する普及啓発が必要であるという意見や、マスコミの協力を得ての普及啓発の可能性について意見が出されました。

  次回の検討会でも引き続き資料を元に論点整理を行い、検討の方向性を議論することとなりました。今後の検討に関する論点を固める検討会となる、第7回検討会は7月31日(木)に予定されています。

※「第6回今後の精神保健医療福祉のあり方等に関する検討会」の資料は こちら をご覧ください。

傍聴記録:事務局 今井悠子


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