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<2005/08/12>

「『障害者自立支援法案』改善運動の中間まとめと新たな展開をめざす緊急フォーラム」に参加して−事務局報告−

 本協会も加盟する日本障害者協議会(JD)主催による「『障害者自立支援法案』改善運動の中間まとめと新たな展開をめざす緊急フォーラム」(フォーラム)が、8月10日(水)(13時〜16時30分)、日本消防会館ニッショーホール(東京都港区)にて開催された。


○12:30 既に多くの方が受付を済ませ、会場内に入れるのを“今か今か”と待っている。

○12:40 会場内に入る許可が出ると同時に、「少しでもよい席を・・・」と待っていた方々は会場内へと・・・。この時点で6割方席が埋まる。

○13:30 フォーラムスタート。勝又和夫氏(JD代表/社団法人ゼンコロ)よる主催者挨拶。740席の会場内がほぼ満席になる。車椅子の方も多く参加されている。聴覚障害の方たちの席もステージに向かって左側前方に用意されており、多くの方が参加されている (ロビーに第2会場が特設されたとか・・・)。

○13:10 藤井克徳氏(JD常務理事/きょうされん)による基調報告「運動の《あしあと》と今後の課題」始まる。「障害者自立支援法案の廃案をどう評価するか」 「障害者自立支援法案に関する経緯」 「障害者運動との関連」 「未来に向けて」 「JDならびに加盟団体に何が求められているのか」 等について、とても分かりやすく、なおかつ熱く、語る藤井氏。40分という短い時間ながら、内容の濃い、熱い時間だった。

○13:50 5名のシンポジストが、それぞれの立場からの意見を語った。竹田氏からは「国際化の中で日本はどうあるか?を考え政策を作っているにもかかわらず、なぜ障害者福祉についてはそうではないのか?」「地域の実情に合った(地域特性を活かした)政策を考える必要性」、高井氏からは「大阪の状況−集会を通して見えてきたもの−」について、水谷氏からは「医療費について」、中村氏からは「“発達障害者支援法”との関連から」、太田氏からは「JD理事会を代表して」と様々な視点から障害者福祉施策について語られた。2名の指定発言の後、フロアから発言の時間となるが、希望される方が多く、予定時間をオーバーしながらも、全員が納得いくまで話すことができなかった状況であった。

【シンポジウム】※敬称略
 <テーマ>当事者主体の新たな障害者政策の展開に向けて>
 <シンポジスト>
  ◇地方を代表して
     竹田 保(ポップ障害者地域生活支援センター代表理事/北海道)
     高井博之(「障害者自立支援法を考える大阪の集い」実行委員会/大阪府)
  ◇団体を代表して(難病・患者関連団体、発達障害関連団体)
     水谷幸司(全国心臓病の子どもを守る会事務局次長)
     中村文子(日本自閉症協会東京支部長)
  ◇JD理事会を代表して 
     太田修平(JD企画委員会委員長/障害者の生活と権利を守る全国連絡協議会代表)
 <コーディネーター>
     佐藤久夫(JD政策委員会委員長/日本社会事業大学教授)
     石渡和実(JD政策委員会副委員長/東洋英和女学院大学教授)

○16:25 アピール採択

○16:35 東川悦子氏(JD副代表/日本脳外傷友の会)より閉会挨拶。本日の参加者は“850名”と発表される。


 障害者自立支援法案が廃案となったとはいえ、今秋(選挙後)の臨時国会で再提出される可能性は否めない状況の今だからこそ、もう一度私たちができることをきちんと整理していくことが必要だと実感している。

 昨年10月のグランドデザイン案提示以降、全国各地で集会等が数多く開催され、国会において審議がスタートした後は全国各地から衆議院厚生労働委員会等の傍聴および要請活動に多くの方が参加されてきた。何日も泊りがけで参加される方も多くいた。疲れ果てた身体で傍聴に参加されている方も多くいた。金銭的にも苦しい中、「自分たちの生活は自分で守る!」と、財布の中身をやり繰りしながら参加されている姿に自分の今までのかかわりについて振り返ると共に、胸が熱くなったのは私だけだろうか?

 今ここから新たな第1歩が始まっている。今回の活動を通して障害種別を越えた連帯感が全国で深まってきている今だからこそ、“誰もが安心して生活できる社会(街)”を実現するため、一人一人のニーズや生活実態に即した施策を自分たちの手で作りあげていくチャンスだと思う。

 障害があるないに関わらず、生活者として共に手をつなぎ、活動していくことをこれからも続けていきたいと思う。

(文責:事務局 和田)


ア ピ ー ル

 8月8日、郵政法案の参議院本会議での否決による衆議院解散に伴って、「障害者自立支援法案」が廃案となりました。私たち日本障害者協議会(以下、JD)は、この法案の真髄である応益(定率)負担制度の問題を中心に、全国の障害当事者や家族、関係者の声を束ねながら、一貫して「慎重審議を、徹底審議を」を求めてきました。

 今回の廃案という事態をどうとらえるのかということですが、衆議院解散に至るまで法案採決がなされなかったことに、先ずは重要な意味を見い出すことができるのではないでしょうか。

 そもそも厚生労働省(以下、厚労省)は、6月19日までの国会会期中に成立させることを想定していました。「私たちのことを決めるのに、私たち抜きで決めないで」「拙速に採決しないでください」「応益(定率)負担は納得できません」、こうした訴えは、市民の共感を得、全国的なひろがりを見せたのです。JDを含む障害団体の存在と運動は、これからの障害者政策づくりのあり方にも、少なからず影響していくものと考えます。

 さて私たちは、わが国の障害者政策について、全体的かつ早急な改革が必要であると考えます。また2年連続の予算不足等にみられる支援費制度の「破綻」は、厚労省による障害者施策関連予算の見積もりの誤りに原因していることを再三にわたって指摘してきました。とくに、今年度の支援費予算は10ヵ月分のみの計上で、残り2ヵ月分の支援費予算をいかに埋め合わせるか、加えて来年度予算をいかに確保するか、これらが喫緊の課題となっています。当面の混乱を回避し、また予算の積算を正確に行うよう、厚労省の誠実かつ責任ある対応を切望します。

 なお、障害者施策に関わる費用負担の基本的な考え方についてですが、私たちは、収入に応じた支払額が定められる「応能負担制度」が妥当であると考えます。収入の認定に際しては、あくまで障害当事者のみの収入とすべきで、「家族丸抱え」の政策思想からの脱却が求められます。また、働く場での利用料負担も容認できません。

 JDは、改めて「障害関連8団体」など、関係団体との連携と協調を模索し、厚労省や国会(各政党)などとの調整や意見交換を重視しながら、とくに下記の諸点の実現に向けて尽力していく所存です。引き続き、市民の皆さんのご理解とご支援を心から呼びかけます。

1.今年度計上されていない2ヵ月分の必要な支援費予算、並びに来年度予算の確保に向け、政府・厚生労働省は全力をあげてください。

2.すべての障害を包括した「総合的な障害者福祉法」を早急に制定してください。

3.障害の重い人びとを中心とした、本格的な所得保障制度を確立してください。

4.社会参加と地域生活支援を目的とした基盤整備に関する時限立法を制定し、働く場や住まい、人による支えなどの社会資源の飛躍的な拡充を図ってください。

5.立法作業を含む障害者政策の策定あるいはその遂行にあたっては、「当事者参画」を実質的なものとしてください。とくに、審議会のあり方については、根本的な見直しが必要です。

2005年8月10日

「障害者自立支援法案」改善運動の中間まとめと新たな展開をめざす緊急フォーラム
参 加 者 一 同


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