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<2005/04/26>

障害者自立支援法案、利用者負担額を本人収入で検討する方向へ
−社会保障審議会障害者部会(第25回)−

 4月26日(火)に開催された社会保障審議会障害者部会(第25回)において、障害者自立支援法案の準備状況、心神喪失者等医療観察法の施行準備状況に関する審議ならびに心神喪失者等医療観察法下での行動制限等に関する告示案等についての諮問が行われた。

 はじめに、塩田障害保健福祉部長から、障害者自立支援法案について、26日午後1時から衆議院本会議での提案・趣旨説明が行われ、5月に衆議院、6月に参議院での審議となる見通しが述べられた。続いて、障害者自立支援法が成立した場合の施行スケジュールについて、平成18年10月までに段階的に実施し、施設・事業体系については施行後おおむね5年間で新体系に移行する案の説明(資料1)がなされた後、具体的な審議に移った。

 障害者自立支援法案に関するポイントは次の2点である。
 1つめは、これまでの国会審議(資料9)や障害関係者・団体からの意見を踏まえ、利用料の負担義務範囲について生計をひとつにする世帯全体の収入に応じた負担とする提案から、利用者本人の収入に応じた負担とする方向で検討するとした点である。ただし、負担の上限額設定については、「障害者の自立の観点から本人のみの収入で判定すべき」という意見と「社会保障制度全体の整合性の観点から、世帯全体の収入で判定すべき」等とする意見に分かれており、今後の課題とされた。

 2つめは、支給決定についてである。資料では「障害者の福祉サービスの必要性を総合的に判定するため、支給決定の各段階において、1)障害者の心身の状況(障害程度区分)、2)社会活動や介護者、居住等の状況、3)サービスの利用意向、4)訓練・就労に関する評価を把握し、支給決定を行う」としている。
 また、5月から7月の3ヶ月で、全国61市町村(各都道府県1箇所、14指定都市)において「障害程度区分判定等試行事業」を実施し、障害者等の心身の状態等に関するデータ収集、障害程度区分の開発、新制度における新支給決定手続き実施の際の課題を把握するとしている。
 障害程度区分の調査項目については、たたき台として約100項目が示されたが、精神障害者のサービスニーズを把握するために必要と考えられる「2)社会活動や介護者、居住等の状況」については、勘案事項調査項目として「地域生活、就労、日中活動、介護者、居住など」と列挙され、今後試行事業などを通して検討していくという説明に留まった。

 次の議題である心神喪失者医療観察法については、まず施行準備状況として、指定入院医療機関の確保および鑑定入院を引き受ける医療機関の確保が極めて厳しい状況であること等の報告がなされ、「必要な病床数が確保できなくても予定通り今年の7月16日までに施行するのかどうか」との委員の質問に対し、厚労省からは「省をあげて施行に向け取り組んで行きたい」とし、明確な回答はなされたかった。
 また、同法下の行動制限等については、医療観察法第92条第2項、第3項および第93条第1項において、「あらかじめ社会保障審議会の意見を聴かなければならない」との定めに基づき、現在検討されている告示(案)についての諮問が行われた。
 基本的には、精神保健福祉法(第36条および第37条)において、行動制限の内容や処遇に係る規定があり、心神喪失者医療観察法においても、その規定に準じる形で検討している内容の説明があり、具体的な審議は次回5月下旬で開催予定の同部会で行われることとなった。


<社会保障審議会障害者部会(第25回)資料>


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