新着情報

<2003/10/09>

第1回心の健康問題の正しい理解のための普及啓発検討会・第1回精神障害者の地域生活支援の在り方に関する検討会が開催されました

 10月8日(水)、経済産業省別館(東京都千代田区)にて、「第1回心の健康問題の正しい理解のための普及啓発検討会」(以下「普及啓発検討会」)及び「第1回精神障害者の地域生活支援の在り方に関する検討会」(以下「地域生活支援検討会」)が開催されました。

 この検討会は、昨年12月の社会保障審議会障害者部会精神障害分会報告書(「今後の精神保健福祉施策について」)において示された「入院医療中心から地域生活中心へ」の方向を推進するため、本年5月に出された「精神保健福祉の改革に向けた今後の対策の方向」(精神保健福祉対策本部中間報告)で「重点施策」として優先的に取り組むこととなった、1)普及啓発、2)精神医療改革、3)地域生活の支援、における課題に対応するために設けられたものです(「第1回精神病床等に関する検討会」は9月9日に開催)。

■第1回心の健康問題の正しい理解のための普及啓発検討会

 午前に開催された普及啓発検討会は、1)精神疾患及び精神障害者に対する正しい理解の普及・啓発のための指針策定、2)具体的な普及・啓発方策、の2つを検討課題として、今年度末には指針・方策を策定することになっています。

 議事に先立ち、座長選出が行われ、高橋清久氏(国立精神・神経センター名誉総長、精神・神経科学振興財団理事長)が選出、副座長には高橋座長から広田和子氏(精神医療サバイバー)が指名されました。

 議事は参考人(2人)からの意見聴取を中心に進められ、はじめに白石弘巳氏(東京都精神医学総合研究所精神保健医療システム研究系)より、「精神疾患に対する国民の認識−厚生労働科学研究班の調査結果より」について説明がありました。この調査は、東京都世田谷区と高知県高知市の市民430人と精神衛生会会員510人を対象に、精神疾患患者との出会いの有無や精神疾患に関する認識等について行ったアンケート調査になり、今回は市民と専門家の間に精神保健に関する認識の違いや「精神障害者が何をするか分からず怖い」という認識に関連する認識や行動について報告がありました。

 次に、伊藤順一郎氏(国立精神・神経センター精神保健研究所社会復帰相談部)より、「精神疾患・精神障害とは何か−概念・治療・リハビリテーション」をテーマに、精神疾患の理解の仕方やその一例としての「統合失調症」、また、精神疾患の治療・障害に対する対策等について説明がありました。

 参考人からの説明後、構成員からは、犯罪における通院歴報道の問題点を指摘する意見や、犯罪率と精神障害に関する資料や「精神障害者は恐い」とする背景と欧米の実状に関する資料、この間の国・地方自治体の取り組みの効果に関する資料を求める意見が出されました。また、検討会の進め方としてターゲットを絞った取りまとめの必要性等の意見も出されました。

 なお、次回は当事者からの報告が予定されています。

配布資料

・第1回心の健康問題の正しい理解のための普及啓発検討会次第及び席次、資料一覧(会員ページ「精神保健福祉情報」に掲載)
・資料1:心の健康問題の正しい理解のための普及啓発検討会構成員名簿(会員ページ「精神保健福祉情報」に掲載)
・資料2:心の健康問題の正しい理解のための普及啓発検討会構成員要綱(会員ページ「精神保健福祉情報」に掲載)
・資料3:社会保障審議会障害者部会精神障害分会報告書 ※省略
・資料4:精神保健福祉対策本部中間報告 ※省略
・資料5:精神保健福祉の普及啓発に関する国・地方公共団体の取組みについて(会員ページ「精神保健福祉情報」に掲載)

<白石参考人 資料>
・資料6:精神疾患に対する国民の認識−厚生労働科学研究班の調査結果より−(会員ページ「精神保健福祉情報」に掲載)
・資料7:精神障害(者)に対する国民各層の意識調査(平成13年度厚生科学研究費補助金(障害保健福祉総合研究事業)分担研究報告書)(会員ページ「精神保健福祉情報」に掲載)
・資料8:精神障害(者)に対する国民各層の意識調査(平成14年度厚生科学研究費補助金(障害保健福祉総合研究事業)分担研究報告書)(会員ページ「精神保健福祉情報」に掲載)

<伊藤参考人 資料>
・資料9:精神疾患・精神障害とは何か(会員ページ「精神保健福祉情報」に掲載)
・参考図書 じょうずな対処・今日から明日へ〜病気・くすり・くらし〜 ※構成員のみ配布 



■第1回精神障害者の地域生活支援の在り方に関する検討会

 地域生活支援検討会は、同日午後に開催されました。当検討会では、1)精神障害者に対する地域生活支援の現状について、2)必要なサービスの種類・量について、3)今後必要となる取り組みについて、を検討課題に、来年度まで議論が続けられます。また、必要に応じて「精神病床等に関する検討会」や身体・知的障害分野での「障害者(児)の地域生活支援の在り方に関する検討会」との合同開催、テーマ毎に小委員会を設置することが報告されています。

 座長には普及啓発検討会と同じく高橋清久氏が推薦・承認され、座長補佐として板山賢治氏(社会福祉法人浴風会理事長)が高橋座長から指名されました。

 事務局より、精神疾患による受療者数や入院患者の推移、在院期間と退院可能人数、また、社会復帰施設等の実施状況や利用者・退所者の状況等の報告を受けた後、構成員からの意見聴取が行われました。

 各構成員からは「現在の予算配分では72,000人の社会的入院者を地域に出していく意思が感じられない」「社会復帰施設体系の見直しの検討も必要」「既存の補助金による社会復帰施設の整備では限界」「グループホームや小規模作業所など、現在のメニューは制度疲労している」「関係方面のコーディネートが不十分」「介護保険制度との比較検討が必要」「利用者本位のケアマネジメントの手法が必要」「当事者がシステムの中に参画できる財政的支援が必要」等々の多様な意見が出されました。

 次回には1)意見を踏まえて論点整理をすること、2)この間出された各種報告書等の説明を行うこと、の2点を確認し、閉会しました。

配布資料

・第1回精神障害者の地域生活支援の在り方に関する検討会(次第・席次)(会員ページ「精神保健福祉情報」に掲載)
・資料1:構成員名簿(会員ページ「精神保健福祉情報」に掲載)
・資料2:開催要綱(会員ページ「精神保健福祉情報」に掲載)
・資料3:精神保健福祉の現状等について(会員ページ「精神保健福祉情報」に掲載)
・参考資料1:社会保障審議会障害者部会精神障害分会報告書 ※省略
・参考資料2:精神保健福祉対策本部中間報告 ※省略
・参考資料3:「障害者(児)の地域生活支援の在り方に関する検討会」開催要綱について(会員ページ「精神保健福祉情報」に掲載)
・参考資料4:「精神病床等に関する検討会」開催要綱 ※省略
・参考資料5:精神障害者社会復帰施設・在宅福祉施設等の概要(会員ページ「精神保健福祉情報」に掲載)


△前のページへもどる