要望書・見解等

2006年度


標  題 緊急声明 精神科病院敷地内「退院支援施設」に反対します
日  付 2007年3月24日
発 信 者 精神保健従事者団体懇談会主催 緊急シンポジウム「精神障害者の地域移行をめぐって、街で暮らすとは」シンポジウム参加者80名

  精神保健従事者団体懇談会は、2006年2月7日「障害者自立支援法における居住支援施策に関する見解」、そして2006年9月23日「精神科病院敷地内『退院支援施設』案について」を公表し、退院支援施設構想が持つ問題点を指摘してきました。

 しかし、関係諸団体の強い反対にも関わらず、政府は4月1日にこの退院支援施設の運用を開始するとの方針を変えておりません。

 私たちは、2007年3月24日、緊急シンポジウム「精神障害者の地域移行をめぐって、街で暮らすとは」を開催し、あらためてこの退院支援施設構想が精神障害者の地域移行を妨げるものであることを確認いたしました。

 今、本当に必要なのは、グループホームの増設、公営住宅の入居枠の確保、退院促進支援事業等の各種社会資源の充実であり、当事者活動、各種アドヴォカシー活動、偏見克服活動等への財政的支援策です。

 私たちは退院支援施設の運用開始を凍結することを強く要望いたします。


※この緊急声明はシンポジウムの開催中に緊急に提案されたものであるために、参加者のなかには内容を十分吟味する時間がないとのことで緊急声明作成に留保の意志を表明される方が参加者89名中9名おられました。そのために、参加者一同による声明ではなく、賛同された方のみによる声明という形をとったことを申し添えます。


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標  題 精神保健福祉士のあり方に関する検討について(お願い)
日  付 2006年12月8日
発翰番号 JAPSW発第06−138号
発 信 者 社団法人日本精神保健福祉士協会 会長 竹中秀彦
日本精神保健福祉士養成校協会 会長 谷中輝雄
提 出 先 厚生労働省 社会・援護局 障害保健福祉部長 中谷比呂樹

  向寒の候、貴職におかれましては、ますますご清祥のこととお慶び申しあげます。

 平素より精神障害者の保健福祉施策の推進にご尽力を賜り、厚くお礼を申しあげます。

 さて、1997(平成9年)年12月に「精神保健福祉士法」(以下「法」という。)が制定され、本年で9年目を迎えております。この間に社会福祉の基礎構造改革が進み、当事者の自己決定の尊重、福祉サービス利用に係る仕組みの措置から契約への転換、事業の実施責任主体の市町村への移行など、その基本的な枠組みは大きく変わってきております。

 そうした状況の下、今般の社会保障審議会福祉部会では、社会福祉士及び介護福祉士制度に関する見直しが「社会福祉士及び介護福祉士法」の改正も視野に入れて検討されております。このことに関しては、同じく福祉人材としての専門職の立場にある精神保健福祉士の職能及び養成をあずかる団体として、私どもも多大な関心を寄せているところです。

 つきましては、同じ時代状況の変化の只中にあるとの認識の下、資格制度及び養成教育の見直しを含めた精神保健福祉士のあり方に関しても、下記の点から、貴省において検討の場を設けていただけますよう、何卒よろしくお願い申しあげます。


1.新たな時代における専門性や役割の検証の必要性
 今般の障害者自立支援法の施行や自殺対策基本法の成立、改正介護保険法及び改正障害者雇用促進法の施行など、社会福祉を含む社会保障の政策動向における大きな変化は、社会福祉専門職の専門性や役割について大きな変化を求められるものと認識しております。新たな専門性や役割等について検証し、求められる精神保健福祉士像を整理する必要があると考えられます。

2.業務及び対象規程に関する見直しの必要性
 法制定時と現在とでは、いじめやDV、虐待などによるPTSD等の増加、また多額の債務を抱えて家庭崩壊に至る場面も少なくないギャンブル依存症や薬物・アルコール依存症を含む嗜癖問題、うつ病罹患による休職・退職者の増加、認知症高齢者の増加、8年間に及んで3万人を超えた自殺者の問題など、精神疾患及び精神障害を取り巻く生活状況は、刻一刻と変化している社会状況そのものを如実に反映しつつ、問題としての深刻さは一層多岐にわたりかつ複雑化しております。今、まさに、これらの実態に対応しうる改善や支援のための諸対策が、重要かつ緊急なものとして求められております。
 法第1条(目的)にも掲げられた「精神保健の向上」を考えると、時代状況に即応した業務の見直しや国民ニーズに応えうる対象領域の拡大も視野に入れた検討の必要があると考えられます。

3.障害特性に応じた専門職の配置の検討
 障害者自立支援法により、身体・知的・精神の3障害を総合的に支援することの体制整備が各自治体に求められ、また社会福祉施設体系も大きく新事業体系に移行します。こうした状況下においては、各市町村に精神障害者の支援にあたる専門職の配置推進が求められます。「精神保健及び精神障害者福祉に関する法律」の改正により、精神保健福祉相談員を置くことができることが規定されましたが、他業務との兼務ではなく精神保健福祉士を活用し、専従の精神保健相談員を配置するような政策等も合わせて考えていくことも求められます。

4.養成教育及び資格取得後の研修制度の検討
 精神保健福祉士が担うべき社会的な役割が拡大する状況の下、精神保健福祉士の高い専門性を担保できるような養成教育及び資格取得後の研修制度のあり方を検討する必要が生じております。特に、社会福祉士制度の見直しが貴省において行われている最中でもあり、養成教育及び国家試験の制度では、精神保健福祉士と社会福祉士の養成や試験において、共通する科目があることから、その整合性も含めた検討を進める必要があると考えます。


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標  題 障害者自立支援法の運用上の改善を求める要望について(お願い)
日  付 2006年11月30日
発翰番号 JAPSW発第06−134号
発 信 者 社団法人日本精神保健福祉士協会 会長 竹中秀彦
提 出 先 1)厚生労働大臣 柳澤伯夫 2)衆議院 厚生労働委員会(委員長、理事、委員) 3)参議院 厚生労働委員会(委員長、理事、委員) 4)厚生労働省 社会・援護局 障害保健福祉部長 中谷比呂樹

 平素より障害保健福祉施策の推進にご尽力を賜り、厚くお礼申しあげます。

 さて、本年10月から本格施行となりました障害者自立支援法(以下「自立支援法」という。)は、「障害者施策における3障害一元化」、「利用者本意のサービス体系の再編」、「就労支援の抜本的強化」、「安定的な財源の確保」を柱として、「障害者が安心して暮らせる社会」と「もっと障害者が働ける社会」という方向を目指して、障害者基本法の基本的理念に則ることを目的に据えてつくられた法律です。

 地域生活上の困難を多く抱えた精神障害者の支援に携わる者としては、自立支援法の理念に期待を込めて、精神障害を持ちながら地域で暮らす当事者の願いを実現するために詳細な枠組みの提示を待ちました。

 しかしながら、自立支援法に導入された利用料に関する原則1割の費用負担やサービス報酬単価及び支払い方法をめぐり、サービスを利用する立場と提供する立場の双方が厳しい関係にならざるを得ない実態が徐々に明らかになってまいりました。すでに障害者及び関係団体が行った調査等でも明らかなように、サービス利用の中断や抑制傾向が浮き彫りになっております。

 先般、貴省においては「障害者自立支援法の実施状況について」としたデータを公表されましたが、その信憑性、妥当性については各方面から疑義が示されております。すでにサービスを利用していた方に関する影響の実態は、今後新規にサービスを利用して地域での自立生活を夢描いていた障害者にも深刻な影響を及ぼしているはずですが、その数値的な把握は調査ではなかなか掴み難く、潜在的な影響は計り知れないものがあると受け止めております。政省令の告示や通知等も大変遅く、準備期間も十分にない中での自立支援法施行となっており、障害当事者と家族の生活実態や支援にあたる現場の実情は、大きな混乱のみならず後退の様相さえ見せております。

 また、各自治体での取り組みにおいて利用料に関する減額等の措置が図られるといった歓迎すべき状況が散見される中、現段階における結果として、当初目指した地域格差是正を目的にしていたはずの自立支援法施行の状況下は、同じサービスを利用するのに利用料が地域によって異なるといった新たなる格差を生じさせております。

 地域における自立生活を望む多くの障害者とその家族及び関係者の間では、生活支援どころか、むしろ生活水準そのものを後退させ社会参加の障壁となりかねない自立支援法のありようについて見直しを求める声や動きは日増しに高まっております。

 つきましては、自立支援法が真に障害者の自立を支援し、共生社会の実現を果たしうる法として機能するよう、運用に関わる下記の点について、障害者及び関係団体との協議のもとに改善を図っていただきますようにお願いする次第です。


1.利用料負担について
 1)障害者の利用料原則1割負担に関し、月額負担上限額基準を障害者の所得状況や生活実態に照らして軽減すること。
 2)障害福祉サービス及び自立支援医療の利用者負担の上限額設定に関する所得認定にあたっては、障害者の自立の観点から、生計を一にする世帯の所得ではなく、障害者本人の所得のみにすること。
 3)就労支援に関する事業は、障害者の雇用制度の整備が遅れている中で、「働く」ことを目的とし、社会参加や豊かな社会関係づくりにも重要な役割機能を果たしている場であることから、利用料の徴収をしないこと。

2.小規模作業所について
  小規模作業所の多くは、精神障害者の社会参加や日中活動の場として、歴史的に大きな役割を果たしてきた。その実績に鑑み、小規模作業所が新事業体系への移行を希望する際には、スムーズな移行に配慮すること。また新事業体系に移行できない小規模作業所に対しては、地域の社会資源や利用者の状況を精査した上で救済的な措置を講じること。

3.事業・施設報酬の単価について
  新事業体系に円滑に移行する過程で、現行サービスの水準を低下させないよう、報酬単価を利用する者の負担にならないように抜本的に見直すこと。

4.サービス提供職員の配置について
  3障害一元化を謳う中、各事業の実施体制は障害種別を指定した事業が多い現状において、それぞれの障害支援の特性に応じた専門職の配置基準を設定すること。具体的には精神障害者や精神保健に問題を抱えた者(ソーシャルワークを必要とする者)の利用する事業所には精神保健福祉士の配置および任用を基準に盛り込むよう各自治体に通知すること。

5.国会での自立支援法案審議における付帯決議について
  障害者の所得保障に関する検討をはじめ、予算確保を含めて速やかに対処すること。

6.障害者自立支援法施行後における費用負担について
  自立支援法施行後、各自治体の負担基準軽減措置等により、一部の利用者は自己負担が軽減されている。これは法制定理由の一つであった「各自治体における福祉サービスを提供する体制の大きな格差解消」に逆行して格差が生じる事態であり、このことは自立支援法による費用負担のあり方やサービスの報酬単価や支払い方法に問題の根源があると考える。国は、都道府県及び市町村事業である地域生活支援事業をあわせて、こうした現況に関する実態調査を早急に実施し、格差による障害者の不利益を是正する方向で、低負担措置に合わせた策を講じること。


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標  題 市区町村、精神保健福祉センター及び保健所等への精神保健福祉士の配置に係る要望について
日  付 2006年9月29日
発翰番号 JAPSW発第06−108号
発 信 者 社団法人日本精神保健福祉士協会 会長 竹中秀彦
提 出 先 都道府県・市区町村 障害保健福祉主管部(局)長

 平素より精神障害者の保健福祉施策の推進にご尽力を賜り、厚くお礼申しあげます。

 さて、障害者自立支援法の10月1日施行分の実施を目前にして、各市区町村等では障害程度区分認定をはじめ障害福祉サービスの実施に向けた準備作業が急ピッチで進められているところです。

 さらに、今日的課題である認知症、止まることのない児童虐待問題、中高年者の自殺問題、度重なる災害等によってもたらされるPTSD、若年層に広がるひきこもり等を含む国民のメンタルヘルスの諸問題もまた、全国の市区町村において深刻な問題として看過できない現状にあります。

 ご承知のとおり、市区町村による精神保健福祉施策の実施は地域保健法の成立に端を発しますが、しばらくは都道府県が中心となった施策展開が続き、ようやく2002年より精神保健及び精神障害者福祉に関する法律(以下「精神保健福祉法」という。)に基づく在宅精神障害者への福祉サービスの提供が市区町村を主体として実施されるようになったところです。

 このため、市区町村には精神障害者の保健福祉に関する専門的な知識を有する職員が配置されているところは未だごく少数です。また、市区町村に対して専門的な技術的援助を提供すべき立場にある都道府県の精神保健福祉センター及び保健所においてもなお、研修を終えた保健師が兼務することが多い等その専門性と資質において責務を果たしうる精神保健福祉相談員が配置されているところは少ないのが実情です。

 つきましては、障害者自立支援法の成立に伴い改正された精神保健福祉法において、精神保健福祉相談員を新たに市町村にも置くことができることとなったことと相俟って、障害者自立支援法の理念実現及び国民のメンタルヘルス対策の向上に貢献しうる手立てとして、下記のとおり要望いたします。


1.市区町村、精神保健福祉センター及び保健所における精神保健福祉相談を担当する者としての精神保健福祉相談員等には専従の精神保健福祉士を配置するよう促進してください。

2.上記1の配置がなされるまでの間、現任の市区町村の精神保健福祉相談員等の資質向上を目的とした研修を本協会に委託してください。

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標  題 精神科病院敷地内「退院支援施設」案について
日  付 2006年9月23日
発 信 者 精神保健従事者団体懇談会 代表幹事 伊藤哲寛・香山明美・樋田精一
提 出 先 厚生労働省 障害保健福祉部

 当懇談会は、2006年2月7日「障害者自立支援法における居住支援施策に関する見解」(別添資料参照)を社会保障審議会障害者部会宛に提出し、居住支援サービスのあり方、特に精神科病院等の敷地内の居住支援サービスのあり方について慎重に検討されるよう要望しました。

 しかし、このたび障害者自立支援法の本格施行を目前して、厚生労働省はあらたに精神科病院敷地内に「退院支援施設」を設置する案を明らかにしました。

 当懇談会では本年9月23日に開催した第115回定例会におきまして、この精神科病院敷地内「退院支援施設」案について検討した結果、以下のような結論に達しましたので、ここに表明いたします。


精神科病院敷地内に「退院支援施設」を設置する案は、当懇談会がすでに表明した以下の見解に反するものであり反対します。

 (1)障害者自立支援法に位置づけられる新規の居住支援サービスについては、病院敷地外に設置すること。

 (2)居住の場にふさわしい小人数の規模とすること

 精神障害者の社会的入院の解消を急ぐあまり、これらの施設によってその解消を図ることは容認できません。精神障害者の社会的入院の解消は、時間をかけてでも、精神障害者の地域内生活に対する支援施策を充実させることによって図るべきであります。当然、障害福祉計画の中にこれら施設による退院が含まれることも容認できません。また、これらの施設によって障害者自立支援法にかかる財源が費消されることについても私たちは強い危惧を抱きます。
以上
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標  題 地域精神医療・ケアの危機回避の緊急要望
日  付 2006年9月15日
発 信 者 社団法人日本精神科病院協会、社団法人日本精神神経科診療所協会、社会福祉法人全国精神障害者社会復帰施設協会、社団法人日本精神保健福祉士協会、社団法人日本作業療法士協会、財団法人 全国精神障害者家族会連合会
提 出 先 各位

 平成18年度診療報酬改定の経過措置となっている「看護師比率40%」および「夜勤看護の看護職員2名」について、日本精神科病院協会の調査によれば約1割の精神科病院においてこの基準を満たすことが不可能であるとしている。これは地域事情や国・公立病院の大量募集等により、病院の自助努力によっても達成が困難な状況である。またこうした病院の多くが精神科救急輪番病院や措置指定病院として地域医療を担ってきている。このまま経過措置が途切れれば、経営を維持するために特別入院基本料として更に看護職員を少なくした体制にするか、廃院に追い込まれることさえ考えられる。特別入院基本料になった場合には、精神科救急輪番病院や措置指定病院を担うことは不可能になる。現在精神科医療においても地域ケアが推進される中で、それを支える精神科救急体制は欠かすことのできないものである。地域によっては精神科病院の3割近くがこうした危機的状況にあり、病院精神医療のみの問題でなく地域医療・地域ケアの崩壊につながるものである。

 このため、こうした危機を回避する為、経過措置の延長を含め何らかの対策を緊急に講じることを強く要望するものである。

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標  題 「障害者自立支援法に係る省令・告示で定める事項等」に関する意見
日  付 2006年9月15日
発翰番号 JAPSW発第06−103号
発 信 者 社団法人日本精神保健福祉士協会 会長 竹中秀彦
提 出 先 厚生労働省 社会・援護局 障害保健福祉部 企画課長 藤木則夫

 平素より障害保健福祉施策の推進にご尽力を賜り、厚くお礼申しあげます。

 さて、本協会では、8月24日付「『障害者自立支援法に係る省令・告示で定める事項等』に関する意見募集について」(案件番号495060088)につきまして、下記の通りご意見いたしますので、ご高配を賜りますよう、何卒よろしくお願い申しあげます。


【意見事項1】
  別紙6「障害者自立支援法に基づく指定障害福祉サービス等の報酬に関する事項」の「4(2)精神障害者退院支援施設加算について」について

[意 見]
 今回の提示案では、別紙5−6にあるように自立訓練(生活訓練)事業における「宿泊訓練型」(仮称)が新設されました。障害者の自立した地域生活の定着や地域移行にむけた支援においては、買い物、掃除、洗濯、自炊など家事等のIADLの向上をめざし、日中のみならず夜間も含んだ見守りをはじめとする生活支援が必要と考えます。「宿泊訓練型」(仮称)の新設については、現行の生活訓練施設等の機能を継承できる移行事業形態として、現段階においては適切な案であると受け止めています。
 一方、3月の障害保健福祉関係主管課長会議より提示された「退院支援施設加算」については、その設定目的と役割機能に政策的疑問を感じざるを得ず、病棟転換を可能とする退院支援施設の設置については受け入れがたいものがあります。

[理 由]
 1)社会保障審議会では、地域移行型ホームについては重要な課題を含むものとして審議手続きがとられました。しかし、当該案件に関しては、地域移行型ホームと同等の課題がありながら、審議手続きがとられないままに提案されています。加算措置としての記載で報酬基準上の扱いの形を取った提案からはじまりましたが、実際には病棟転換等の施設設置に関する内容であるという認識をもちます。そのような重要提案が審議手続きを経ないままになされていることに疑問を感じざるを得ません。

 2)対象規定にも疑問があります。対象として、1年程度入院していた者、および入退院を繰り返していた退院患者とされていますが、そうであればすでに地域に帰来先がある人々が想定されます。すでに退院している患者に対して、大集団による生活の拠点を設置してまで、改めて「退院支援」をしなければいけない根拠が不明です。

 3)病床削減策は、受け皿となる地域生活支援のための資源(以下「地域内資源」という。)の整備との連動が求められます。病院敷地内にある施設に住まう人を地域市民や国民は“退院者”とはみなさず、差別偏見の解消への路は遠のき、地域内資源の整備促進の妨げにもなると考えられます。地域内資源不足の即座の解消が困難とはいえ、病院敷地内において病床を転換して地域内資源とする方向性は、従来の政策の誤りを継続延長するものであり認めがたいものがあります。

 4)退院促進が進まない地域において退院促進支援を阻害している要因の実態調査を行い、データに基づいた対策の検討を望みます。


【意見事項2】
  別紙3「地域活動支援センターに関する基準について」及び別紙4「福祉ホームに関する基準について」の「従業者の配置」に関して

[意 見]
  従業員の要件として「精神保健福祉士、社会福祉士、その他同等以上と認める者」を規定してください。

[理 由]
  利用者に対して適切な支援を行ううえで、従業員には支援者としての資質と専門性の担保が必要です。


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標  題 市町村、精神保健福祉センター及び保健所等への精神保健福祉士の配置に係る要望について
日  付 2006年9月11日
発翰番号 JAPSW発第06−100号
発 信 者 社団法人日本精神保健福祉士協会 会長 竹中秀彦
提 出 先 厚生労働省 社会・援護局 障害保健福祉部 精神・障害保健課長 新村和哉

 平素より精神障害者の保健福祉施策の推進にご尽力を賜り、厚くお礼申しあげます。

 さて、障害者自立支援法の10月1日施行分の実施を目前にして、各市町村等では障害程度区分認定をはじめ障害福祉サービスの実施に向けた準備作業が急ピッチで進められているところです。

 さらに、今日的課題である認知症、止まることのない児童虐待問題、中高年者の自殺問題、度重なる災害等によってもたらされるPTSD、若年層に広がるひきこもり等を含む国民のメンタルヘルスの諸問題もまた、全国の市町村において深刻な問題として看過できない現状にあります。

 ご承知のとおり、市町村による精神保健福祉施策の実施は地域保健法の成立に端を発しますが、しばらくは都道府県が中心となった施策展開が続き、ようやく2002年より精神保健及び精神障害者福祉に関する法律(以下「精神保健福祉法」という。)に基づく在宅精神障害者への福祉サービスの提供が市町村を主体として実施されるようになったところです。

 このため、市町村には精神障害者の保健福祉に関する専門的な知識を有する職員が配置されているところは未だごく少数です。また、市町村に対して専門的な技術的援助を提供すべき立場にある都道府県の精神保健福祉センター及び保健所においてもなお、研修を終えた保健師が兼務することが多い等その専門性と資質において責務を果たしうる精神保健福祉相談員が配置されているところは少ないのが実情です。

 つきましては、障害者自立支援法の成立に伴い改正された精神保健福祉法において、精神保健福祉相談員を新たに市町村にも置くことができることとなったことと相俟って、障害者自立支援法の理念実現及び国民のメンタルヘルス対策の向上に貢献しうる手立てとして、下記のとおり要望いたします。


1.市町村、精神保健福祉センター及び保健所における精神保健福祉相談を担当する者としての精神保健福祉相談員等には専従の精神保健福祉士を配置するよう促進してください。

2.上記1の配置がなされるまでの間、現任の市町村の精神保健福祉相談員等の資質向上を目的とした研修を本協会に委託してください。

3.上記1、2に際して、国は必要な予算措置を講じてください。

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標  題 生活保護行政における自立支援プログラムの実施における精神保健福祉士の活用について(ご提案)
日  付 2006年8月31日
発翰番号 JAPSW発第06−94号
発 信 者 社団法人日本精神保健福祉士協会 会長 竹中秀彦
提 出 先 厚生労働省 社会・援護局 保護課長 福本浩樹

 残夏の候、貴職におかれましては、ますますご清祥のこととお慶び申しあげます。

 平素は格別のご高配を賜り、厚くお礼申しあげます。

 さて、今般の生活保護行政における重要課題は、当該制度の適正運営と被保護者の自立支援にあることは、本協会も承知いたしております。とりわけ、精神障害者の社会復帰および社会参加の支援を担う専門職の立場からは、被保護者に精神障害者が占める割合が少なくないことについて重大な関心を寄せているところです。

 つきましては、甚だ僭越ではありますが、憲法第25条の理念が精神障害者の生活にも十分に反映されることを願い、本協会として被保護者の自立支援プログラムの実施について、下記のとおりご提案いたしますので、ご高配の程、よろしくお願い申しあげます。


[提 案]
 1.長期入院を続ける精神科病院入院中の生活保護受給者の退院および地域生活継続を推進するため、全国の福祉事務所において、精神障害者支援の専門家である精神保健福祉士を活用することが大きな効果を生むと考えます。

 2.精神保健福祉士の活用にあたっては、その資質の担保として、必要な知識・技術等の習得を目的として、本協会が「自立支援プログラム退院促進支援者研修」(仮称)<資料1>を実施します。


[背 景]
 本来あってはならないはずの社会的入院者を含む長期入院患者の解消は、障害者施策において重要な位置づけがなされ、新障害者プランにおいてもその方向性が示されているところです。

 生活保護行政においても、社会的入院者を含む長期入院患者の問題は、自立を本旨とする生活保護法の目的からして看過されるものではありません。このためできるだけ多くの長期入院患者が退院し、安定した地域生活を送るための自立支援プログラムの実行が求められます。

 しかし、生活保護受給者が増加している現状において、多くの事例を抱える福祉事務所のケースワーカーは日々の業務に追われ、長期入院患者の退院促進にまで丁寧に関与する時間的余裕もなく、また精神障害者の福祉的支援に関する専門性の乏しさから退院促進プログラム策定と実行にまで至らない自治体が多いことは予測するに難くありません。


[根 拠]
 本協会は、その前身である日本精神医学ソーシャル・ワーカー協会として1964(昭和39)年の発足時から、精神科病院において長期入院患者の退院促進と社会復帰施設等における自立支援について関わる精神科領域のソーシャルワーカーの職能団体として活動してきました。そのため、経験豊かな人材を多く抱え、2003(平成15)年に始まった精神障害者退院促進支援事業においても、各地で事業の中核を担う人材の多くを本協会の構成員が担っております。また協会の設置した委員会において、退院促進支援に関する実証的研究も進めております。

 一方、福祉事務所において活用される精神保健福祉士は、できうる限り当該地域内の状況を知る者であることが望ましいと考えます。その点では、各都道府県単位で精神保健福祉士協会があり、その地域の特色や資源に精通した経験豊富な人材を抱えております。現在、いくつかの自治体において、すでに生活保護行政の現場に精神保健福祉士が配置され、精神障害者への直接支援やケースワーカーのコンサルテーションなどを行い、実績をあげています。

 以上の点から、精神障害者の退院促進に必要かつ十分な知識と技術を有する専門職として、自立支援プログラムにおける精神障害者の退院促進支援、退院後の地域生活継続支援には、精神保健福祉士を活用することが有効であると考えます。


[人材養成]
 全国の福祉事務所に雇用もしくは福祉事務所から業務委託される精神保健福祉士に対し、必要な知識、技術等の習得を目的として本協会が新たに「自立支援プログラム退院促進支援者研修(仮称)」を開発、実施します。この研修によって、精神障害者の退院促進についての諸問題の理解と具体的な支援方法を体系的に身につけ、ノーマライゼーション理念を生かしたプログラム作りを実践に基づいた理論から学ぶことができます。

 なお、本研修において、本協会構成員はもとより、受講を希望する非構成員の精神保健福祉士および福祉事務所のケースワーカー、査察指導員などの受講も可能とします。


[自立支援プログラム実践の重点課題]
 自立支援プログラム実践にあたっては、長期入院を余儀なくされた結果生じる長期入院患者の社会適応技術の低下や喪失を考慮して、次の内容に重点を置くものと考えます。

 1.生活保護受給者(支援対象者)に対して
  1)精神障害に関する知識をふまえたうえで、個別性を重視した専門的援助技術(支援)による支援
  2)退院後の安定した生活の継続のための支援
  3)上記1、2を可能とする地域ネットワークの構築

 2.福祉事務所(行政)の実施体制において
  1)その地域の特性を生かし、行政のポテンシャルを十分活用する
  2)事業の推進とともに担当ケースワーカーの知識・技術などの向上を促す
  3)他機関との連携


[期待できる効果]
 1.生活保護法の本来の目的である、生活保護受給者の自立の促進

 2.退院促進による生活保護費(医療扶助費)の適正化

 3.長期入院者の地域生活移行による公的サービスのトータルコストの抑制

 4.福祉事務所と他関係機関(病院、社会復帰施設、市民ボランティア、当事者団体等)とのソーシャル・サポート・ネットワークの構築

 5.ケースワーカーに対する精神障害者支援のコンサルテーション


<資料1>
「自立支援プログラム退院促進支援者研修(仮称)」概要

- 科      目 講  義  内  容 摘 要
長期入院の要因−社会的入院に焦点を当てて− 長期入院者の起こる原因と実態を理解し、社会的入院の問題点を知る。 1単位
法制度(自立支援法、国民年金法、生活保護法など) 関連法規の理解と活用のしかたについて、問題の全体像を見ながら把握する。 1単位
生活保護法とソーシャルワーク 生活保護の歴史から現状までを概観し、その意味するものをソーシャルワークの視点から理解する。 1単位
ケア会議の持ち方 ケア担当者への呼びかけ方から、本人不在とならないケアプランの建て方までを事例を通して理解する。 1単位
地域生活継続支援(アウトリーチ) 精神障害者が地域で生活を継続するための支援に欠かせないアウトリーチの方法について、実例をもとに学ぶ。 1単位
地域ネットワーキング フォーマル・インフォーマルな社会資源を有機的にネットワーキングする方法を学ぶ。 1単位
社会資源の創出法と活用法 地域のニーズに応じ、地域に合った社会資源を作り出すための視点・方法について学ぶ。 1単位
ピアサポート、セルフヘルプ ピアサポート、セルフヘルプとは何か、その効果と将来性について学ぶ。 1単位

<資料2>退院促進支援事業実施状況アンケート調査の結果(本協会精神医療委員会) 略
<資料3>本協会関係資料一式 略
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標  題 精神障害者保健福祉手帳への写真貼付に関する意見
日  付 2006年8月30日
発翰番号 JAPSW発第06−93号
発 信 者 社団法人日本精神保健福祉士協会 会長 竹中秀彦
提 出 先 厚生労働省 社会・援護局 障害保健福祉部 精神・障害保健課

 平素より障害保健福祉施策の推進にご尽力を賜り、厚くお礼申しあげます。

  さて、本協会では、7月31日付「精神保健及び精神障害者福祉に関する法律施行規則の一部改正に係るパブリックコメントの募集について」(案件番号495060060)につきまして、下記の通りご意見いたしますので、ご高配を賜りますよう、何卒よろしくお願い申しあげます。


1.身体障害者福祉手帳や療育手帳と同等のサービスが受けられる保障を示すこと。

<理由>
今回の制度改正の趣旨に鑑み、全国の精神障害者に対して、精神障害者保健福祉手帳(以下「手帳」という。)への写真貼付により、身体障害者福祉手帳や療育手帳に係るサービスと同様のサービスが確実に受けられる保障を示すことが肝要です。


2.精神障害者に対する差別・偏見を解消する施策を拡充すること。

<理由>
現行の手帳制度が導入される際、一部の精神障害者間においては、手帳への写真貼付に反対意見がありましたが、背景に国民間における精神障害者に対する差別・偏見が根強く存在しているからと考えます。
今回の制度改正と併せて、未だ存在する精神障害者に対する差別・偏見を解消する施策の拡充が必要です。


3.制度改正には時間をかけた丁寧な議論を行うこと。

<理由>
現行の手帳制度の導入時には、精神障害者をはじめとした関係者間において、時間をかけた議論がなされ、その際にも、写真貼付は論点のひとつでした。今回の改正は、障害者自立支援法の施行により障害保健福祉施策が急速に転換する只中であるので、時間をかけた丁寧な議論を経たうえでの改正となることを求めます。

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標  題 構成員が関与したグループホーム運営補助金不正受給に関する本協会の見解
日  付 2006年7月8日
発 信 者 社団法人日本精神保健福祉士協会 会長 竹中秀彦

 本年4月15日付の読売新聞大阪版において、大阪市にあるNPO法人がグループホームの運営補助金に関して不正受給を行っていた旨の報道があった。引責辞任したと記されたNPO法人前理事長兼施設職員は不正受給発覚前、本協会の構成員であった(4月下旬に退会手続きを申請し3月末の退会扱いとなっている)。

 そこで、本協会では4月24日の臨時理事会において、調査委員会を設置し、倫理上の観点から何故そのようなことが生じたのか、また今後同様のことが生じないように教訓とすべきことは何かを明らかにする目的で事実関係の調査を進めることとした。調査委員は、まず5月2日に大阪市へ赴き、当該元構成員A氏からの事情聴取と弁明を聞く機会を持った。また5月27日には、補助金支出側の行政主管部署(大阪市健康福祉局障害福祉課)への聞き取り調査も行っている。

 今回の件によって、改めて精神保健福祉士に課せられた責任の重さと置かれている立場の危うさを痛感し、当協会構成員が二度とこのような行為に及ぶことのないよう、調査委員会の報告をもとに以下に本協会の見解を示すものである。


1.当該構成員A氏の不正行為への関与について
 調査の結果、当該元構成員A氏の問題認識の甘さ、行政の補助金に関する支給システムの構造的な問題などが明らかになった。またそれらを生んだ要因が精神保健福祉制度の整備の不十分さに由来することも垣間見えた。しかし、どのような事情によろうとも、不正行為を行うことは断じてあってはならないことであり、今回の行為は当協会倫理綱領に抵触しており、本来ならば除名処分相当の行為である。構成員によるこのような行為を防げなかったことは当協会として大変遺憾であり、当該施設利用者、関係者および市民に対してお詫びするとともに、今後このような不正行為が起きないよう、さらなる構成員の倫理意識向上を図っていく所存である。

2.精神保健福祉士に課された責任と健全な施設運営への取り組み
 精神保健福祉士は地域の各種生活支援施設において運営を預かる責任ある立場に身を置くことが多々ある。利用者との信頼関係の上にその立場の任を預かっていることをしっかりと自覚し、施設、組織、事業に関する健全な運営のための諸システムを施設内外に持つ必要がある。そのために、施設の運営を行う職員の各種業務が透明性をもって、適切に監査される体制をもつこと、また可能な限りその地域における他機関等と連携をとることによって、各施設の機能が最大限に発揮できるような取り組みを実施すべきである。それによって、内部での課題がすべての職員で共有でき、また施設の側の理論に偏ったサービスの提供でなく、利用する側や地域のニーズに即したサービスの展開が期待できる。その際、精神保健福祉士に課された責任は明確にしつつ、一人に責任が集中しないよう、また過度の責任がかからないよう配慮される必要がある。

3.構成員の倫理性の向上
 今回の件を教訓にするため、構成員ひとり一人の倫理に対する意識の強化を行う必要がある。業務指針に倫理綱領の理解や意識化が盛り込まれるよう検討を行い、各種研修等のプログラム構成においても、倫理性の向上をできる限り盛り込む方向で実施する。
 仕事をしている上で常に倫理上の問題に陥る危険性はつきまとっている。そのことを構成員個々が認識し、危険を察知できること、問題を抱え込まないこと等、職場におけるシステムづくりも含め、精神保健福祉士として備えるべき資質のひとつに担保していけるよう協会として取り組んでいく。

4.構成員が倫理上の問題に関与した際に対応するシステム
 今回、当該元構成員については、理事会において急遽調査委員会を設置し、事実関係を把握すべく迅速な対応を行った。しかし、構成員が倫理上の問題に抵触する事態が発生し、それが報道または告発等で明らかになった際、協会として対処する具体的な対応方法と規則が十分でなく、退会手続き等における制度の不備も明らかになった。本協会は、6月の総会で承認を得て発足することになった倫理委員会にて、このような案件の対応とそのためのシステムづくりを進めていく方針である。

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標  題 障害者自立支援法施行に伴う−緊急集会7.5−要望書
日  付 2006年7月5日
発 信 者 社会福祉法人全国精神障害者社会復帰施設協会、財団法人全国精神障害者家族会連合会、特定非営利活動法人全国精神障害者地域生活支援協議会、特定非営利活動法人全国精神障害者就労支援事業所連合会、社団法人日本精神保健福祉士協会、社団法人日本精神科病院協会、社団法人日本精神科看護技術協会、特定非営利活動法人全国精神障害者団体連合会、東京都精神障害者団体連合会
提 出 先 厚生労働省 社会・援護局 障害保健福祉部長 中谷比呂樹


 時下益々ご清祥のこととお慶び申し上げます。

 さて、いよいよこの秋から障害者自立支援法の障害福祉サービスに関する事項の本格施行が開始されます。

 しかしながら、障害程度区分認定の在り方、利用者に係る応益負担や就労収入による負担割合などは、サービスの公平な選択権を阻害するだけではなく、サービスの利用を控えさせる結果となるのは明らかであります。また、事業者が利用者に適切なサービスを提供するには、マンパワーの質と量が必要であり、これに配慮した事業報酬単価の在り方が必要であります。さらに、地域生活支援センターの所管変更により、事業の移行が的確に行われ、支援センターの役割の後退がない配慮が必要であります。

 また、平成18年度における社会復帰施設運営費国庫補助の取り扱いは利用者へのサービスの質を低下させ、適切な施設運営を困難にし、移行そのものに支障を来すものです。

 これらのことから精神障害者が地域において生活の基盤を確保できるよう、下記の事項を要望します。


一、経過措置対象施設の運営費補助所要額を、新事業体系移行による残存率に係わりなく支払ってください。

一、障害程度区分認定における調査項目を、精神障害者の障害特性に応じた内容に見直してください。

一、認定調査員の資質の向上を図る制度を創設してください。また認定調査の適正化を図るための委託費を充分に確保してください。

一、利用の促進を図るため、利用者の負担額を見直してください。

一、利用者のニーズに応じた適切な障害福祉サービスを提供するためにも、充分なマンパワーの確保がなされるよう事業報酬単価を引き上げてください。

一、就労系事業の利用者工賃を収入として認定しないでください。

一、精神障害者地域生活支援センターが相談支援事業・地域活動支援センターに移行できるよう、都道府県及び市町村に指導してください。

一、小規模作業所等の地域活動支援センターへの円滑な移行を図るため、その運営費基準額において現行の小規模通所授産施設運営費補助金相当額を確保できるよう、地域生活支援事業への国庫補助金を拡充してください。

一、共同生活介護・共同生活援助事業の利用在籍者が一時的に入院などした場合、適切な退院支援などを行うことにより3ヵ月間は事業報酬を支払ってください。

以 上
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標  題 精神障害者社会復帰施設等運営費 平成18年度国庫補助所要額についての要望書
日  付 2006年6月30日
発 信 者 社会福祉法人全国精神障害者社会復帰施設協会 理事長 新保祐元、社団法人日本精神科病院協会 会長 鮫島 健、特定非営利活動法人全国精神障害者地域生活支援協議会 代表 大友 勝、社団法人日本精神科看護技術協会 会長 田中隆志、社団法人日本精神保健福祉士協会 会長 竹中秀彦、財団法人全国精神障害者家族会連合会 理事長 小松正泰
提 出 先 厚生労働省 社会・援護局 障害保健福祉部長 中谷比呂樹


 貴職におかれましては、障害保健福祉に係る諸施策の充実にご尽力いただき、心から感謝申し上げます。

 さて、障害者施策全体の基礎構造を根底から再考すべく「障害者自立支援法」が今春から施行され、新たな試行と共にさまざまな課題も見え隠れしてきています。精神障害者を取り巻く施策も、この新法の施行により、これまで予算措置不足や他障害者施策との制度上の格差が課題とされてきましたが、僅かながらでも光明が差し始めるのではないかと、私たちも期待をもってきたところです。

 しかしながら、平成18年6月14日付け貴下「障害福祉課通所サービス係」名で各都道府県等障害保健福祉主管課宛に出された事務連絡「平成18年度精神障害者社会復帰施設等運営費の国庫補助について」の内容に、大変驚きと戸惑いを感じております。

 これまで、今秋から移行が始まる通所事業等については、5年間の移行猶予期間が認められ、この期間を十分に活用しながらより適切に移行を進められることが各地においても話し合われてきました。特に、施策の充実が遅れてきた精神障害者社会復帰事業においては、そのサービスの質・量共に大きな格差が生じており、地域間や障害間の基本的な調整と十分なる計画性等の準備を経なければ、折角新たなサービス体系に移行をしたとしても、期待される成果が得られないとの判断がされてきています。 

 そんな中で出された今回の通知は、機械的な新制度移行の推進と予算確保不足を臭わせ、新法施行の初年度で暗中模索ながらも現場で精神障害者の地域生活を支えている私たちの、ただ不安を煽ることにしか繋がりません。

 そこで、私たちは次の点について十分なる検討をいただき、現在の事業が確実に維持され、今後適切に新体系への移行が推進されるような予算措置と制度運営となることを切に要望いたします。


1. 新体系への5年間の移行期間については当初計画どおり従前事業の維持をしてください

 1)5年間の移行期間を十分に活用し、より適切な移行が実現できるよう、現在の事業を維持してください

 2)移行推進に向けた条件緩和等の運用についても、民間団体等との十分なる意見交換をお願いします


2. 新体系での義務的経費と従前事業の裁量的経費の予算確保につい再度明示ください

 1)新体系移行後と従前事業の継続のいずれにおいても、予算確保がされていることをさらにご周知ください

 2)新体系移行の努力目標と現実の予算措置について、混乱が生ずるような文書の発行は慎重にしてください

以 上
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