2010年11月25日(木)、26日(金)、山形テルサ(山形県山形市)にて、「第1回生活保護と精神障害者支援」を開催しました。ここでは、修了者の中から精神保健福祉士、行政機関職員の立場で、お二人からの報告記事を掲載します。
長谷川講師による講義1 | 講義中の会場の様子 | 演習 | 修了証書の授与 |
援護寮ひだまりの家(山形県)/経験年数3.5年 今野智美
「4日に一人、中学生以下の子が自殺している。同じく4日に一人、子どもが虐待等で親から命を奪われている。命があって暮らしがあるのか、暮らしがあるから命が保てるのか。暮らしがあるから命が保てる、そういう時代ならば我々はどう暮らしを保障していくのか。」
白梅学園大学の長谷川先生のこの問いから始まった今回の生活保護研修。参加者は精神保健福祉分野従事者と市町村生活保護ケースワーカーが半々となり、これまでの研修会には無いほど生活保護ケースワーカーの比率が多かったとのことです。「生活保護法の理念」「自立支援プログラム」「精神障害者社会的入院」「退院支援、地域生活移行支援の進め方」「法制度:生活保護、精神保健福祉法及び障害者自立支援法」「社会資源を創る」を二日間に渡って丁寧に講義いただきました。
研修会の最後のテーマは、これまでの講義内容を踏まえたグループワーク。A氏(生活保護受給中、入院中)について、私たちのグループは「こういう感じの人は実際のところ、入院継続しているよなぁ。」という本音から始まり、「援護寮にも似たような方はいたりする。入院じゃなくても地域で生活できるのでは。」「Aさんはどのような暮らしがしたいのだろう」「退院するとして複雑な家族関係への支援は?各機関がどう関わって行けるか?」と話が発展していきました。グループメンバーは病院PSW、生活保護ワーカー、教会のホームレス支援者、援護寮職員と多種多様な集まり。それぞれ立場での考え方の違いや共通点を垣間見ることができ、働いている場所が違うだけでこんなに切り口が違うのかと勉強になりました。一人の人を支援していくに当たって、様々な立場の人が集まった話し合いの場が大切であると痛感したところです。
「地元で行われる研修だから」という気持ちで参加した研修会でしたが、終わってみて本当に参加して良かったと思える有意義な研修会でした。一日目の研修後に行われた懇親会も非常にアットホームで楽しいもので、偶然にも実家がとても近い方に出会いました。こうした一期一会も研修会の醍醐味だと思います。多くの仲間を作って皆で協同し、日々仕事を行っていきたいと思いました。
上山市福祉事務所(山形県)/経験年数2年 渡邉高範
私は生活保護のケースワーカーとして、仕事をしており、今年で2年目になります。
私が担当している生活保護の業務や、精神障害者保健福祉手帳の手続き、自立支援医療(精神通院医療)に関する業務などで、精神障害者と関わる機会が多くあるため、精神障害者支援について勉強させていただきたく、このたび参加させていただきました。
今回の研修では、生活保護の基本理念から、精神保健福祉法、自立支援プログラム、精神障害者の社会復帰支援など、基本的な知識から、社会復帰支援の具体的な方法論など、幅広く学ぶことができ、大変有意義なものでした。
特に、社会的入院等の精神障害者の社会復帰については、日頃、長期入院者からの老人ホーム入所の申し込みなど、施設入所の相談を受けることも多いこともあり、今後とも、精神保健福祉士の方をはじめ各関係機関と連携していかなければならない課題であると強く感じました。
また、社会的入院者などの精神障害者について、病状はもちろん、家族関係、生活環境など、千差万別であるため、さまざまな方向性から、本人の気持ちを汲み取りながら支援を考えることの重要性を強く感じました。
研修二日目に行われた演習では、ケースワーカーだけでなく、精神保健福祉士、施設職員などと、例題にあげられた精神障害者とその家族への支援について考えるというものでした。
日頃の業務において、生活保護受給者の支援にあたりケア会議を開催したり、関係者を集めての会議に出席したりして、関係者との情報交換、ならびに支援の方向性について、話し合いをしています。関係機関と情報や課題を共有しながら、ご本人が安定した生活を営むためにどうしていくか、どんな方法があるか、関係者が集まって話し合うとさまざまな方向性が見えてきます。
今回の演習では、さまざまな関係者が集まって話し合いをすることにより、支援の幅が広がることをあらためて実感しました。
今後、今回の研修で学んだことを業務に生かしていきたいと考えています。このたびは、貴重な研修を受けさせていただきありがとうございました。