独立行政法人福祉医療機構「長寿・子育て・障害者基金」助成事業

報告

2009年度第1回生活保護と精神障害支援を受講して

2009年8月25日(火)、26日(水)、日石横浜ホール(神奈川県横浜市)にて、「第1回生活保護と精神障害者支援」を開催しました。ここでは、修了者の中から精神保健福祉士、行政機関職員の立場で、お二人からの報告記事を掲載します。

       
巻口講師による講義2 講義中の会場の様子 演習 修了証書の授与

・ 様々な領域の専門性を知ること

医療法人緑水会 横浜丘の上病院(神奈川県)/経験年数6年目 三品 仁美

 今回の研修に参加したのは生活保護の方を支援するに当たり、生活保護法を学びたい、生活保護ケースワーカーとの協働の在り方を知りたいという思いからでした。

第1日目には、生活保護の理念や最近の動向、近年導入された生活保護受給者のための自立支援プログラム、精神病院における長期入院、地域生活移行支援などの講義があり、第2日目には、生活保護法や精神保健福祉法・自立支援法の法制度、自立支援協議会の活用方法についての講義がありました。参加者には生活保護ケースワーカー、精神科領域で働くソーシャルワーカーがおり、それぞれの立場でお互いの領域が理解しやすい内容となりました。

 印象的だったのは、生活保護ケースワーカーの援助もまた「貧困」からの「自立」に向けたソーシャルワークであるということ、そのためには「貧困」をどのように捉えるのかが大事という講師の先生のお話でした。“貧困”を個人の努力が及ばない理由で陥っているものであると捉えると、その貧困に陥っている原因をアセスメントし、被保護者とともに生活力の形成・環境調整を行っていく姿はまさにソーシャルワーク、そのものです。まことに失礼ながら自分の中では生活保護ケースワーカーは“事務的な生活保護運用係”という認識があったため、同じソーシャルワーク業務を行う同志であるのかという驚きがあったのと同時に、お互いの協働について糸口が見えた気がしました。

 また、グループワークの際には、生活保護ケースワーカーをされている方たちと同じグループになり、「就労意欲がない方の支援が一番大変だ」という話を伺うことができました。しかし、その就労意欲がない方も、病院の長期入院によるホスピタリズムと同様に、自らの困難な状況になす術もなくうずくまってしまっていることがあるのではと感じ、やはりここで必要とされるのも、周囲の支援者による根気強いソーシャルワークであるのだと思いました。

 今回の研修に参加したことで、生活保護の理念や生活保護ワーカーの専門性をわかりやすく学ぶことが出来ました。彼らの専門性と、現在私がいる医療機関の精神保健福祉士としての専門性、お互いの領域を知りケースを通して協働していくことが翌日から楽しみに感じました。私たちの仕事はさまざまな領域の人々と協働していくため、それぞれの職域が持つ専門性を理解しておくことはとても重要だと感じていますが、今回の研修に参加し、今まで知らなかった職域の専門性を知りなおさら強くそれを感じました。普段関わっている領域の方々の専門性について、もっと勉強してみたいと思いました。ありがとうございました。


・ より良い支援を目指して

川崎市幸区役所保健福祉センター(神奈川県) 野末 麻理子

 2009年8月25・26日に開催された「第1回 生活保護と精神障害者支援」研修に生活保護担当の行政職員として参加させていただきました。

 精神障害を持つ生活保護受給者と日頃関わる機会が多く、精神障害者を取り巻く背景、法制度に対する理解を深めることができればと思ったのが参加のきっかけです。

 1日目・2日目の講義を通じて精神障害者支援について体系的に学び、本業である生活保護制度の理念や現状についても知識の整理をすることができました。精神保健福祉業務従事者、生活保護行政従事者どちらにも双方の制度について分かりやすく講義が組み立てられており、生活保護制度と精神障害者支援は密接につながっているということを改めて実感しました。

 特に印象に残った講義は岩上先生の「社会資源の創出方と活用法」です。先生の『サービス漬けでは再び人生の選択権を奪っていませんか?』という言葉にはハッとさせられました。地域で暮らす精神障害者の支援には医療面・福祉面・生活面と多角的なアプローチが必要であり、利用可能なサービスを活用することは多々ありますが、その中には当事者本人の要望や選択の意思がちゃんと組み込まれているのか?支援する側が主体になっていないか?と日頃の業務を振り返る一言となりました。

 また、2日目のグループワークでは架空の事例に基づいて意見交換を行ないました。私のグループではクリニックのPSWや精神科病棟の看護師、児童相談所や生活保護担当の行政機関職員など様々な立場から意見が出てきました。それぞれ意見の切り口は違っても、「その人の生活をよい方向に導きたい」という思いには変わりないということが感じられました。

 今回の研修で学んだことを活かし、実際の業務でも他職種の方々との連携を大切にし、また当事者の意思や希望に耳を傾けその人その人にあった支援を行えるよう日々励んでいけたらと思います。

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