2012年8月4日(土)から6日(月)の期間に、AP品川(東京都港区)にて、「第8回認定スーパーバイザー養成研修・基礎編」「第7回認定スーパーバイザー養成研修・応用編」「第6回認定スーパーバイザー更新研修」を開催しました。ここでは、修了者から各研修の報告を掲載します。
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西毛病院 心理福祉課(群馬県)/経験年数18年 佐藤 正彦
(第8回認定スーパーバイザー養成研修・基礎編)
「バイザーとバイジーの関係は、支援者−クライエント関係と一緒でしょ。」
いかに教育・指導し、上手に乗り切る方法を伝えて行けるか・・・こんな視点で後進をみていた自分に気づく衝撃的な一言でした。
自分は、大学卒後そのまま精神科病院に入職。18年の時が経ちました。1年は本当に早いものなのに、18年間の職場の状況はかなりの変化です。その分、かなり遠い過去のようにも感じます。
入職当時先輩ワーカーは4人。同期が1名でしたが、入職前の2週間研修を経ていきなり病棟担当。右も左も分らず戸惑ったものです。何か不都合あれば報告相談で乗り切り、周囲に助けられ経験値を積んでいったと思います。
しかし、その後7年ほどするといつの間にか、先輩達は退職。自分が管理者となっていました。“ひとり職場”も多い中ですから、自分は恵まれていた方だとも思います。しかし、管理方法も分からず、手探り状態で後進指導に当たるのは、後輩達に無責任のようでもありました。その結果多くの後輩が「耐えられない」「行き詰まった」など残念な形での退職。現在も離職率の高さに悩まされています。
本人の資質や意欲では片付けられない大きな課題・・・解決の糸口を見つけようとする中、この認定SVR養成研修の存在を知り、受講の必須要件となっている基幹研修Vを修了。ようやく本年受講に至りました。
「支援者−クライエント関係と同じ」最初はピンと来ませんでした。講師の方々との対話の中、改めて自らを振り返り、「上手に教える。先輩として手本を示す。」にこだわり、支持的機能(時には敢えて教えず、気付き、学ぶ手伝いをする。)をおろそかにしていたのだと気づくのでした。自分で見えなくなっている、これを気づかせる。振り返りのグループ討論とはいえ、この感覚(気づかせてもらった感)がSVなのかもと思うのでした。
「自分がSVR?」と敷居高く手の届かない存在になろうとしている無謀さ感もありつつ、一方、もっと身近に受けられる環境があれば良いなとも思います。
贅沢な講師陣、近い距離感でみっちり講義を受け、しっかり振り返りのグループ討論を行う。連日の懇親会でもよりお互いの距離が縮まりました。
今回は聴講だけ・・・という方達も来年は認定SVRに向けて改めて・・・と話される方もおりました。たくさんの方にSVに触れて欲しいです。
認定SVRとなるにはまだ折り返し地点にも来ていません。実践編そして応用編。先は長いですが、8期生10名は、自分たちでメーリングリストを作って登録をして情報共有、交換などして励ましあって今も頑張っています。全員で乗り切るぞ!!
医療法人清友会 植田病院(福岡県)・本協会研修企画運営委員長/経験年数18年 渡邉 俊一
(第8回認定スーパーバイザー養成研修・基礎編)
8月4日、妙な緊張と不思議な重圧に加え、確かな頭重感と頭痛、眩暈と吐き気に襲われながら、遂にその「山」に足を踏み入れる初日を迎えました。
数年にわたり目をそむけ、必死に逃げ続けてきたその「山」の高貴さと異様な空気感たるや、案の上想像を絶するほどのものでした。
それぞれ違う緊張感を抱えた受講者10名が揃い、「山」登りがスタートしました。
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基礎編3日間が終わりました。ほぼ無傷でした。五体無事。感謝。
8月6日、グッタリと降り立った福岡空港で1通のメール着信アリ。本研修会運営側の中心人物のおひとりからのメールでした。「なべちゃん、お疲れ様でした」で始まったこのメールを読むことで3日間の講義、演習、グループ討議が一気に想起され、あらためて勇気と自信が沸々と湧いてきました。
そのメールへの返信は、不思議なくらい素直に書けました。返信メールの内容に今回の研修会に対する感想が凝縮されているように思いましたので紹介します。
「(前略)疲れました。
感動しました。よかった。ホッとした。安心した。もっと早く受けていれば…。ただホッとしました。
…(中略)…この3日間を通し、これまでいろんな人とのかかわりによって成長させてもらっていたんだという実感が得られた、確信できたことへのよろこびを感じています。
…(中略)…怠けと怠りで理論がともなわず、自分の言葉で、表現で語ることができず、伝えられず、もどかしく、情けなく…それが自信のなさでした。辛かった。情けない。
そんなボクでも数々の機会を与えてもらい、少しづつでも自分の言葉で伝えることができるようになった…と。
うれしくてたまりません。
まだたぶん頑張れる可能性も感じています。(後略)」
・スーパービジョンは、まず「バイザー」である自分自身を振り返ることからスタートする。
・スーパービジョンの究極的目的は「バイジーの成長」であるが、バイザー自身もソーシャルワーカーとして共に成長できる可能性を秘めている。
・スーパービジョンには、ソーシャルワーカー「らしさ」という自覚と意識が重要となる。
さて、「山」登りの本番は、これからです。
まずは1年間の実践編が待ち構えているわけですが、素直に「心からスーパービジョンを楽しもう!」「自身の“真の魂のソーシャルワーカー”への進化の可能性に期待しよう!」と思っています。
この「山」は、意外にも険しさも過酷さもなく、勇気と元気、自分自身への期待と可能性、清々しさとワクワク感を与えてくれるものでした。1年後の結果はどうあれ、「受けてよかった」と思える研修会でした。講師の先生方、協会事務局の方々に感謝申し上げます。
受講資格があるみなさま、あれこれ考えずに受講されることをお勧めします。みなさん以上に恐怖を感じていた私でもそう感じることができたのですから…。研修担当という立場にもかかわらず、これまで必死に逃げ続けてきた私が言うのもなんですが、本当におススメできる研修会です。是非、ともに成長して参りましょう!!
特定非営利活動法人こころ(静岡県)/経験年数25年 菅原小夜子
(第7回認定スーパーバイザー養成研修・応用編)
2012年8月5日、認定SVR養成研修・応用編が開催され、基礎編の3日間をともに学びあった仲間と1年ぶりに再会をしました。今回の参加者は4名と少し少ない人数でしたが、講師の方々と共に、お互いの1年間のSVの実践をゆっくりと語り合い、非常に充実した1日となりました。
研修では、まず講師の方々から提出課題についての講評がありました。「あえて厳しいことをお伝えさせてもらう」という出だしの一言に緊張が走り、2回のレポート提出の後に返送されてくる“講師からのコメント”を思い出し、密かにドキドキしながら耳を傾けました。その中で、いかに講師の方々が丁寧に時間をかけ私たちのわかりにくい(?)レポートを読み解き、議論し、混乱している私たちにさまざまなメッセージを送ってくださったかを改めて感謝し、と同時に、スーパーバイザーとして実践をしていくことの重さを突き付けられたような気がしました。
その後は参加者の中から選ばれた方の実践報告、グループ討議を行いました。この1年間、ほかの仲間がどんな状況にあるのかを全く知らなかった私にとって、報告を聞きながらそれぞれから語られる言葉に、「同じところで悩んでいたんだ」「ここを大事にしていこう」とホッとしながらも、さまざまなことを気づかされました。
さらに、仲間や講師の方々とのやりとりを通して、「ゴール設定の難しさ」「スーパーバイジーの気づきへの客観性や冷静さをもつこと」「SVにおける関係性の問題」「相互評価の意味」等々、SVの実践を通してこそ理解できる、非常に濃密な内容の議論がなされたと思います。
一方、改めて感じたことは、SVにおけるスーパーバイザーとスーパーバイジーのやりとり(関係性)が、自分自身のソーシャルワーカーとしての専門性を見つめ続けるものでもあるということでした。つまり、共に成長する者同志として、常に相手を見つめながら、お互いの気づきを分かち合い、こうありたいというソーシャルワーカーとしての自分へ向かっていく、まさに協働作業であることを強く実感しました。そして、SVの中で流れる空気がとても暖かいものであることも・・・。
このような、講師の方々や仲間と過ごした至極の時間は、私にとって何ものにも変え難い宝物となりました。深く感謝申し上げます。
是非、みなさん、そんな時間を過ごしてみてはいかかがですか。
最後に、このような貴重な研修の機会を与えてくださった運営スタッフのみなさん、講師のみなさま、本当にありがとうございました。お疲れ様でした!!
盛岡観山荘病院(岩手県) 山舘 幸雄
(第6回認定スーパーバイザー更新研修)
今回のスーパーバイザー(以下、「SVR」と略す)の更新研修には、全国各地から10名の認定SVRが参加しました。5年以内の更新が義務付けられているため、今年度が更新期限の人が多かったようですが、中には昨年認定を受けたばかりの人もいました。
研修では、最初に課題レポートの発表が行われました。課題は2つで、各自が実際に行ったスーパービジョン(以下、「SV」と略す)の実践報告と都道府県協会における教育・研修への参画状況についてです。
SV実践報告では、スーパーバイジー(以下、「SVE」と略す)から個別事例の問題解決方法を求められつつも、「ソーシャルワーカーとしての成長」を支持的にサポートするというSVの基本姿勢を守って、悩みながら実践している様子が窺えました。
また、優秀で要領良く職場のミッションには応えるが、医師にPSWとしての意見が言えない、ミスを恐れチャレンジしない等の「現代若者PSW気質」にも話が及びました。しかし、それは短期間で結果が求められる現代においてはやむを得ない部分でもあり、個々のSVEの問題とばかりはいえません。若者PSWの奮起を期待しつつ、SVR自身がSVのプロセスを経て成長し、SVの実施方法を見つめ直すことが大事であると思いました。
次に都道府県協会での取り組みの状況についての発表がありました。SVの必要性は以前から言われており、都道府県協会においてもSVの定着を図ろうと考えていますが、認定SVRの絶対数も少なく、システム化できないという現状があります。
このことは午後の演習でも取り上げられました。ユニークだと思ったのは新潟県上越地区での取り組みです。毎年約10組のSVR・SVEペアをつくり個別SVを実践しているとのこと。以前からPSW間のつながりが強く、仲がよいとのことですが、SVを「難しい物」としてハードルを高くするのではなく、SVの理論・方法はともかく、皆でサポートし合おうという雰囲気を感じました。ここにSV普及・定着のヒントがあると思いました。
この他、この報告には書ききれないくらいの話が出され、あっという間に終了時間が来ました。とある参加者が「ここは同じ土俵で自由に話ができる」と笑顔で話していましたが、相互に共感できるよい時間を過ごすことができました。
最後にお忙しい中、講師をお引き受け下さった柏木先生、松永先生、司会を担当して下さった鈴木さん、事務局のみなさんに改めて感謝申し上げます。