2011年8月6日(土)から8日(月)の期間に、日本福祉大学(愛知県名古屋市)にて、「第7回認定スーパーバイザー養成研修・基礎編」「第6回認定スーパーバイザー養成研修・応用編」「第5回認定スーパーバイザー更新研修」を開催しました。ここでは、修了者から各研修の報告を掲載します。
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名古屋医専(愛知県)/経験年数31年 宮沢 和志
(第7回認定スーパーバイザー養成研修・基礎編)
8月6日から8日まで、名古屋市内で表記の研修会が行われました。昨年、基幹研修Vを受講したその勢いで今回の研修に申し込みをしました。
今回の参加者は8名で、講師陣も同数でした。まさに少数精鋭です。プログラムは一つの講義が終了するたびごとにグループに分かれて討論を行うという形式がとられ、講義内容を確認し、さらに討論を通じて深め展開させるのがグループ討論のねらいです。
講義1「スーパービジョン概論」(今井博康氏)では、スーパービジョンとは、支え合い、支持し、励まし合いながら共に歩むこと、そしてプロセスを丁寧に歩むことがバイザー・バイジーともに大切であると教えてくださいました。
講義2「ソーシャルワーカー論」(荒田寛氏)では、多くの事例を用いながら、ソーシャルワーカーは生活者の視点に立脚したものでなければならないことを何度も確認する必要があることを力説されていました。
講義3「ソーシャルワーク業務論」(田村綾子氏)においては、多領域のわたり、目に見えない、言い表せないソーシャルワーク業務をどのように視点化するのか、さらには利用者からの評価をいかに明確化していくのか等、いくつかの課題が提示されました。
講義4・5は「スーパービジョン演習」で、事例を用いてのグループ内徹底討論が展開されました。
講義6「スーパービジョンの課題」(佐々木敏明氏)は3日目午後の最後の講義であり、スーパービジョンの機能や方法、プロセスについて学び、その中では一緒に考えながら共に成長してゆくことが大切であると力説されていました。
グループ討論は3日間の中でも半分以上を占め、かなり長い時間行われ、知らない人の中では緊張しました。その際、私のグループには柏木昭名誉会長が入ってくださり、ぽつりぽつりとつぶやいてくださるのです。しかし、そのつぶやきのことばがどれも的を得ていて、納得させられてしまうのでした。「あのつぶやきは何だろう」「この心地よさは何だろう」というのが、今の私の印象です。一度このことで柏木氏にスーパーバイズを受けてみようか、と思うほどでした。
その他にもグループ討論で私のわがままな意見を集約しながら司会をしてくださった廣江氏、優しく見守ってくださった松永氏、難解な質問をくださった石川氏、そして協会事務局の方々に感謝申し上げます。
社会福祉法人みどりの樹 相談支援事業所ぽるた(静岡県)/経験年数16年 尾関 久子
(第6回認定スーパーバイザー養成研修・応用編)
ある程度経験を積んでくると、ついつい自分のやり方が正しいと錯覚に陥り易くなります。そして、人の話が聞けなくなってくる?これは私だけの課題なのかもしれませんが、自分のやり方で良いのかどうか?時として不安になり、何か言われるのは嫌だけれど、スーパーバイズしてほしいという思いになります。そんな中、スーパービジョンに興味を持ち、2年前の夏に公開講座(課題別研修/第2回スーパービジョン研修)を聞きました。そして、私たち専門職には必要なモノだと強く感じました。
相談支援の仕事をする中で、精神科病院からの退院(地域移行)に関わることが多く、病院のPSWの方々と接する機会が増える中、私の知らない病院という組織の中で、いろいろ苦労されている現状にぶつかりました。
その中で、これからを担っていく若いPSWの方々が、何とか元気に仕事を続けられるように・・・そのためには、私たちのような年配組みが、人材育成を考えていかねばならない・・・と感じるようになり、1年前の養成研修(基礎編)を受講しました。最初は、自分がスーパーバイザーになれるのだろうか?という大きな不安を抱きながらの受講でした。しかし、3日間の基礎研修を受けて見て、何とか自分にもできるかもしれないという思いに変化していきました。その大きなきっかけは、講師陣の迎える姿勢でした。幾つになっても学びがあるのだという大先輩の謙虚な姿は、とても印象的でした。そして、私もそうありたいと思うようになりました。
そして、先日の養成研修(応用編)を迎えることができたのは、そんな講師の方々の支えが有ったからだと思います。また、全国で同じように取り組んで来た仲間に1年ぶりに会い、お互いの想いを伝えあえたことも、貴重な経験となりました。もちろん、毎月付き合ってくれたバイジ―には感謝しています。
途中のレポートには、講師からの厳しいコメントを頂きましたが、その中での自分の気付きがあり、それが温かく感じるのもスーパービジョンの良い所なのだと思いました。また、この手法は、次へつなげていく役割を負ってしまったと応用編を終了して感じました。
だから、ある程度経験を積まれたら、是非、チャレンジしてみたら良いと思います。一応、こんな私でも終了することができました。そして、また新たなスタートに着いた気分です。時として、バイザーとバイジ―は交代することも有るのだと思います。色んな“気づき”を通して・・・
守山荘病院(愛知県)/経験年数31年 久保 修
(第5回認定スーパーバイザー更新研修)
さる、8月6日(土)、日本福祉大学名古屋キャンパス南館において「第5回認定スーパーバイザー更新研修」が開催されました。当日のカリキュラムは午前に「実践報告」、講評及び講義「ソーシャルワーカーの権威性」(講師:柏木昭/聖学院大学総合研究所スーパービジョンセンター顧問)、午後に演習、全体会、閉講式そして懇親会で終了しました。
認定スーパーバイザー更新研修の出席者は5名でしたが、事前に提出していた課題レポートを各自報告するところから開始されました。私の課題レポートでは、スーパーバイジー(Sve)が中堅PSWであったこと、その機能が管理運営的機能及び評価的機能を中心的に指導した、という点に特徴があったと言えます。また、スーパーバイザー(Svr:私)は職場の上司的立場であったため、OJTに陥らないよう配慮してSvr、Sveが共に成長したと考えました。同法人内には17人のPSWが居り、中堅PSWのスーパービジョンを実施したことが、他のPSWにどのように受け止められたのか機会を設けて意見や感想を聞きたいと思ったことをまとめたレポートでした。
柏木先生の講義では、柏木先生自身がソーシャルワーカーへ目覚めていく過程からケースワークを究めてきた今日までの話をされました。その中でスーパービジョンとOJTとの違い、ソーシャルワークとケアマネジメントとの違い等に触れられました。そこにはソーシャルワークにおける相互主体的な関係(主体的自律的自己)があり、クライエントの自己決定の尊重とワーカーの自己覚知が存在すること、そしてワーカーの権威性(倫理性)がベテランの味として出てくるものである、と結ばれていました。
全体会では、課題レポートの中で報告された「グループスーパービジョンを県協会の事業として開催した」テーマを中心に活発な討論がなされました。1)グループをスーパービジョンとして契約をしたこと、2)対象者のPSWキャリア差をどの程度許容するか、3)事例を扱ってスーパービジョンすることの困難さ、4)グループ力動性の困難さなどが話題提供され、一つずつ丁寧に討論がなされました。認定スーパーバイザー更新研修ということもあり、討論では発言者の内容もさることながら発言することの保障が十分成されていて、批判めいた意見が出なかったのは流石であると感心させられました。
懇親会では、「認定スーパーバイザー養成研修」参加者、「認定スーパーバイザー更新研修」参加者及び各講師、事務局との合同で開催されました。本協会の中央で活躍されている諸先輩精神保健福祉士との情報交換は、またひと味違った交流の場となりお互いに実りあるものとなりました。
最後に、スーパービジョンはSvrがSveを指導するものと考えがちですが、Svrの日常実践の振り返りやまとめをする機会ではないかと思いつつ帰路についた次第です。