報告

2010年度第6回認定スーパーバイザー養成研修などを受講して

2010年7月31日(土)から8月2日(月)の期間に、大正大学(東京都豊島区)にて、「第6回認定スーパーバイザー養成研修・基礎編」「第2回スーパービジョン研修」「第5回認定スーパーバイザー養成研修・応用編」「第4回認定スーパーバイザー更新研修」を開催しました。ここでは、修了者から各研修の報告を掲載します。

       
養成研修・基礎編 課題別研修 養成研修・応用編 更新研修

・ 養成研修・基礎編:あらためて『ソーシャルワーク』を学んで・・・

財団法人復康会 沼津中央病院(静岡県)/経験17年 澤野 文彦
(第6回認定スーパーバイザー養成研修・基礎編)

 これまで、この「認定SVR養成研修(基礎編)」を受講する機会がありましたが、「まだいいかな〜」という気持ちがあり、また、1年間自分がスーパービジョンをしなければならないという煩わしさがあり受講せずにいました。しかしいつまでも甘えてはいられない“状況”になり、覚悟を決め、そのことを前向きに捉えることにしました。これまで全てを我流に行ってきて、理論も学ばず、このまま実践していていいのか!と振り返っていた事を思い出し、「少し面倒でも受講して自分を高めよう」と思えたのです(ほんとかな〜)。

 3日間とも酷暑の中、もちろん会場には冷房が効いていましたが、講師も受講生も汗をかきながら、熱く語られ、それを熱く聞いていました。講義の後には必ず1時間程度のグループワークを行い、講義内容を整理し、意見交換、自分の状況の語らいなどがあり、講義とグループがセットになっていることがとても身になりました。また、そのグループは11名の受講生が2グループに分かれ、そのほぼ同数の講師陣がグループや演習に入って頂きました。普段では聞けない経験談や論理的な解説をして頂き、「なんと贅沢な時間なんだ!」と私を含めグループの皆様も感じていたようです。こんな機会は2度とない貴重な機会になりました。

 このような3日間でしたが、私にとって「何を学んだか」を振り返ると、この養成研修会では「ソーシャルワークとは何か」だったような気がします。日頃の忙しさに逃げながら、ソーシャルワークを意識しないでつい表面的なことばかりしてしまう自分がいました。後輩たちにも「教えなきゃ」という姿勢でいたり、業務優先でつい指示している自分がいたり、ゆっくり話を聞き受け止めるという事を忘れていると反省しました。まさに「魂」を呼び起こされた気がします。

 この研修で私が印象に残った事を整理したいと思います。

 最後にこの研修を企画・運営してくださった皆様や、講師の皆様、時間を共にした受講生の皆様に感謝したいと思います。

 受講資格のある構成員の皆様、是非早めに受講してみてください、いい時間ですよ〜。


・ 養成研修・応用編:スタッフや講師の先生方の情熱に感謝!

アルプスドミトリー(長野県)/経験年数18年 河原淳史
(第5回認定スーパーバイザー養成研修・応用編)

 2010年8月1日、昨年基礎編を共に学んだ懐かしい仲間が応用編で再び集まり、無事に再会できたことを共に喜び合いました。

 まず各講師の方より提出課題についての講評が行われました。「中間レポートのコメントに皆さん、へこんだりされたのではないでしょうか」というお言葉に「なんだぁ厳しく書かれたのは自分だけじゃないのか」とほっとしました。それと同時に、全てのレポートに全ての講師の先生方がお忙しい中、目を通して頂いたことを知り、我々をスーパーバイザーになれるようにという情熱を傾けて頂いた事に改めて感謝しました。

 午前中にスーパービジョン実践報告が行われた後、午後からグループ討論が行われました。前半は各々がそれまで行ってきたスーパービジョンについて語りました。その中で「今思うとそんなこと感じる必要はなかったのですけれど、せっかくスーパービジョンを受けて下さっているのだから、バイジーに何かお土産を持って帰ってもらわなければというプレッシャーがありました」という意見に強く頷く私。自分もそうだったなぁとしみじみ思うのでありました。

 話し合いの中で、スーパービジョンはソーシャルワーカーのアイデンティティをいかに伝えていくかがテーマだという意見が出され、なるほど簡潔であるけれど、その一言にたくさんのエッセンスが凝縮されているなぁと強く感じました。

 また、バイザーはバイジーと同じ見方でみられるような能力を持たなければならないという意見も出され、今、バイジーはこうやって物事を捉えているのだなという力がいることを認識し、改めてスーパーバイザーは一筋縄ではなれない!でもやりがいがある!と思うことができました。

 研修の最後に講師の先生から「今度は皆さんが地域でスーパーバイザーとして貢献する番ですよ」というお言葉を頂いて、「よし!これからがんばるぞ!」と気合が入ったところで研修を終えることが出来ました。

 このような貴重な研修の機会を与えてくださったスタッフの方、講師の先生方に深く感謝申し上げます。本当にありがとうございました。

 


・ 課題別研修:互いの成長を支えるPSWに

医療法人社団清泉会 布施病院 (青森県) /経験年数11年 白川 恵
(第2回スーパービジョン研修)

 スーパービジョンを意識し始めたのは、やはり後輩の育成に責任を持たなくてはならないということからでした。自己学習に自信を持てず、半ば「どうにかなるか」という思いと近いうちにきちんと勉強しなければならないと気付いていながら、目を逸らしていたというのが正直なところだと思います。これまで積極的になれなかったのは、自信のなさやどうにか出来るという傲慢さではなかったかと今は感じています。これまではどうにか誤魔化せてきたのかもしれません。PSWとしての自分・PSWとして働く仲間に何が出来るかとPSW皆の顔を思い出しながら研修に臨みました。

「スーパービジョン概論」
 スーパービジョンはスーパーバイジー(SVE)の一方的な成長の機会ではなく、スーパーバイザー(SVR)との関わりの中で相互に行われるものです。概論を学ぶことでOJTと並行して行うことの難しさを感じました。教えるというものではなく、互いに学び合う姿勢こそがスーパービジョンの特徴である事を理解しました。SVE・SVR共にPSWとして成長が促されれば、結果として利用者のよりよい幸せにつながると思います。これまでの業務を振り返り、自分は誰からどのような学びを得ただろうかと考えました。私は日々業務の中でたくさんのことを教わってきました。これまでのPSWという私をつくってきたのは、やはり利用者の力と先輩・同僚や後輩の助けが大きかったと感じています。

「ソーシャルワーカー論」
 冒頭講師は、「ソーシャルワークは社会福祉か」「ソーシャルワークとはスキルなのか」「ソーシャルワーカーとは専門職なのか」という問いを参加者に投げかけました。国家資格制度に関わる一連の動きを把握する講師の発言に、動揺・混乱しました。PSWの歴史を全てではないまでも勉強し、「本人主体」「自己決定」の概念を体験と結びつけて整理してはきたつもりです。しかし、この問いに対して自分自身の中で回答を持てない自分がいました。その問いかけをすることはこれまでなく、当然のこととして疑問を持つこともありませんでした。今後の自分はこの問いを抱えながら、PSWとして歩むのだと思います。

 人は自分の体験からしか語ることが出来ません。知識は実践が伴わないと身になりません。資格以前には、「まず実践」というPSWがたくさんいましたが、やはり自分が目指すPSW像はそこにあります。

 今回、この研修に参加して自分は一体何が出来るのか、そのためには何が必要か、どこから手をつけるか、さまざまな想像(創造)をめぐらせる経験を得ました。利用者の人生を、そしてPSWとしての自分を想像(創造)していけるように取り組んでいかなくてはならないと強く感じた研修になりました。学びを与えてもらい、感謝しています。ありがとうございました。

 


・ 更新研修:更新研修で『語り』を学ぶ

松山記念病院(愛媛県) 五郎丸岳也
(第4回認定スーパーバイザー更新研修)

 第4回認定スーパーバイザー養成研修を終了し、1年経った8月、更新研修を受けることにしました。

 動機は、機関のワーカーや自身の育ち、所属県会のスーパービジョン制度の整備や質的向上とスーパービジョンに関しては多くの課題を抱えているという状況の中で、とにかく何かひとつでも得て帰りたいという気持ちでした。

 正直、敷居の高さが最初はありました。これまでの同じ立ち位置で学んできた養成研修とは違って更新研修は大ベテランの皆さんばかりのようなイメージを持っていたからです。

 実際出てみると、私は語ることになり、普通に迎え入れられ、普通以上に私の話を受け入れてもらい、熱心に検討してもらいました。先輩方も重い荷物を道端に下ろすように自身の行き詰まりや苦労を語られました。その姿も印象深く、誰もがワーカーの道のりに汗を掻きながら、今日一日語り合うことで「元気になった」とおっしゃっていました。「語り」というキーワードが幾度となく出てきましたが、語り、語られることがどれ程の力を持っているかを改めて知ることになりました。

 内容を少し紹介しますが、1)認定スーパーバイザーとしての実践報告 2)柏木先生の講義「ソーシャルワーカーの権威性(ベテランの味)」 3)グループワーク の三本立てでした。

 柏木先生のコメントやお話は緩急備えたピッチングを見るようでとても味わい深かったです。参加者の皆さんのお話は、豪快なストレートに圧倒され、真剣勝負に一球一球歓喜しました。それはたくさんの実践の宝庫であり、示唆に富み、思いに溢れ、学びが至るところにありました。それらは、(何度も言いますが)、どこにも行きようのなかった物事が「語り」として居場所を見つけることから始まりました。語りが語りを呼び合ったことで産まれたものだと思います。

 次の更新研修に来るのは、来年かもっと先かは今の自分にはわかりません。

 ただ、せっかく得たものがあったなら、それを現場に持ち帰り、地域に持ち帰りたいものだと思います。次に語るのが次の更新研修だったということにならないように「語る」こと「語られること」を意識したいと思います。

 ちなみに前日は課題別研修「スーパービジョン研修」に出ましたが、これもとてもよかったです。地方の者にはいち交通費で欲張りに連日ワンセットで学べます。一粒で2度美味しいのです。→佐々木先生の話からキチンと応用しました・・・。


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