報告

生涯研修制度・基幹研修「講師講習会」(2013年度)に参加して

 2013年8月4日(日)、東京八重洲ホール(東京都千代田区)にて、下記のプログラムにより、生涯研修制度・基幹研修「講師講習会」を開催しました。当日は、41都道府県精神保健福祉士協会から70名の方々が修了されました。ここでは、修了者の中から静岡県の構成員からの報告記事を掲載します。

●プログラム
09:50 開講式
10:00 総論(30分)
 講師:田村綾子(本協会研修センター長/聖学院大学人間福祉学部准教授)
10:30 各論(各30分)
1)日本精神保健福祉士協会の役割と課題
 講師:荒田寛(本協会相談役/龍谷大学社会学部地域福祉学科教授)
11:00 2)精神保健福祉士の実践論
講師:川口真知子(公益財団法人井之頭病院)
11:30 休憩(10分)
11:40 3)精神保健福祉士の専門性
講師:佐々木敏明(北海道医療大学客員教授)
12:10 4)精神保健福祉制度・政策論
講師:齊藤晋治
(本協会研修企画運営委員/健康科学大学健康科学部福祉心理学科准教授)
12:40 昼食(60分)
13:40 研修の企画の仕方(30分)
講師:岩尾貴(研修センター担当役員/石川県健康福祉部障害保健福祉課)
14:10 演習(140分)
 担当:岩尾貴(前掲)
 実践紹介(基幹研修Tの課題/都道府県協会)
基幹研修Tモニタリング結果紹介
16:30 閉講式(-16:40)

       
会場の様子 各論を話す荒田講師 演習の様子 代表者による修了証書授与

・ “つなぎの世代” 〜受け取り伝えていくために〜

鷹岡病院(静岡県)/経験15年 山口 雅弘

 私は現任者講習を受けた最後の世代であり、国家資格化前から働いていたPSW世代の先輩たちと、大学で資格を取得してくる精神保健福祉士世代の後輩たちの間に挟まれた、“つなぎの世代”、“狭間の世代”と自分自身を位置付けています。
 そんな私にとって先輩たちの思いや魂を自分自身がどう受け取っていくのか、それらをどう後輩たちにつないでいくのか、という2点は常に大きな課題となっています。

 今回の研修に参加する機会をいただき、そうした自分の課題に改めて向き合うことができました。
 講義を通して、歴史から学ぶことの意義や自分たちの立ち位置・専門性について改めて確認しました。そして資格や研修制度・認定といった形ではなく、そこに込められた思いやそこに至るまでの歩みを知ることの意味や重みを肌で感じることができました。まず自分自身がそういった歴史や思いを感じていくことが“つなぎの世代”の役目だと改めて確認することができました。

 今回の研修で私が一番印象に残ったのは、多くの講義で専門性について熱く語っていらっしゃる講師の先生の「いつも迷いながら講義をしている」という言葉でした。何度も先生の講義や講演・語りを聞いた経験のある私からすると先生は雲の上の存在であり、すべてを悟っていらっしゃるような人、という印象を持っていました。しかし先生は“押し付けられた知識”ではなく参加者自身の“自分の気付き”を大切にしており、参加者の気付きを促す言葉かけを心掛け、どんな言葉で伝えるのかいつも悩んでいる、とお話されていました。

 その言葉を聞いて大きな衝撃を受け、自分の思いや知識ばかりを伝えようとしてしまっていた自分自身を深く反省し、伝えることの難しさと奥深さについて改めて考えることができました。これまでは自分たちが受け取り伝えていくことしか考えていませんでしたが、いくら自分たちが受け取って伝えてもその先につながっていかなければ意味はなく、自分たちが伝えた、という自己満足に終わってしまうのだろうと思います。その先につないでいってもらうためには、押し付けるのではなく丁寧に“手渡していく”、伝える側の努力が大切だと気が付くことができました。

 これからも多くのものを受け取り、それを伝えていく機会があると思います。どのように受け取りどのように伝えていくのか、常に考え続け悩み続けていきたいと思います。


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