2016年度に実施した「生涯研修制度・基幹研修T・U「講師講習会」につきまして、2016年9月10日(土)に名古屋笹島会議室(愛知県)、2017年2月4日(土)に東京文具共和会館(東京都)にて開催しました。ここでは、各修了者から報告記事を掲載します。
講義を行う齊藤講師 | 演習の様子 | 全体会 |
西毛病院(群馬県)/経験年数23年目 佐藤 正彦
後進の精神保健福祉士達に様々な関わりから生まれる「やりがい・生きがい・幸福感」をいかに伝えて行けるのか。そんな思いが時に浮かびます。日々の職場内での語りやスーパーバイズによって気づくこともあるでしょうが、研修によって気づかされることは多いのではないでしょうか。
私は県支部からの依頼で「実践論T」の講師を何度か担当させてもらっています。今回の講師講習会への参加は、今後また講師の機会をいただけることを望みつつ、伝える工夫を一つでも多く学ぶ目的で参加しました。しかしながら、いざ講習会に参加してみると自分自身の精神保健福祉士としてあるべき姿の気づきの場でもあったのだと思います。講義の一つ一つはもちろんのこと、隣に居合わせた方との語り、グループワークでのそれぞれの思いの共有、講習会後の情報交換会としっかりと良い影響、心に留めておきたいキーワードをたくさん貰いました。
『知識・技術だけに留めず“価値”を有するか。価値を持たないと実践力ではなく実務力でしかなくなる。』価値とは何か。精神保健福祉士としてのアイデンティティであり、何を大切にしているかによる。自らの専門的実践は理論的根拠をもって説明できるだろうか。実践を通じて常に振り返えることは、自らを高めて行く力を身に付ける源でもある。これら講師陣からいただいた言葉は私自身に取り込んで行き、後進達に引き継いでゆきたい言葉です。
生涯研修制度はステップアップしてゆく場、自己研鑽を積むチャンスです。時間やお金をかけても参加すべき場だと思います。きっと参加して良かったと思えるはずです。「精神保健福祉士は“人の生き方に影響する責任ある仕事”をしている“覚悟”という形での専門性を持っている。」講義の中で出た言葉です。単に求められている結果を出すだけで終わらせれば単純です。仕事と割り切ってしまえば楽かもしれません。しかしそのような感じ方では、使われている、動かされていると感じ疲弊してゆくのではないでしょうか。精神保健福祉士として何を感じ、捉えて行けるか。気づきは研修を参加することでたくさん見つかるはずだと思います。今後も多くの精神保健福祉士が研修に参加されることを願いつつ、自分自身もたくさんの研修に参加してゆきたいと思います。
開講式 | 演習の様子 | 全体会 |
相談支援事業所ふらっと(岐阜県)/経験年数10年 太田隆康
「講師研修会」と言われると、私のようにまだまだ経験不足の人間が参加することはふさわしくないのでは、と思いながら今回は参加させていただきました。研修というと「知識」「技術」を学ぶ、というイメージを抱きがちですが、基幹研修は新しい知識を身につけるのではなく、実践の中で「精神保健福祉士」である自分を問い直す作業だということを感じました。基幹研修T・Uの中で研修参加者に伝えていくことを確認している中で、改めて専門職としての研鑽を積んでいくことの意義について考えられた気がします。
私たちがいる地域では、ここ数年様々な領域の自主的な集まりや勉強会が開かれるようになりました。従来の福祉職とは違うベースの方々から、様々な領域での「支援」や「福祉」が語られ、(精神保健福祉士以外も含めた)支援者による学び合いに参加している中で、正直違和感を抱きつつもありました。
いくつかの講義の中で「価値に根差した実践」との言葉がありました。知識や技術は葉や実であり、日常的な仕事の姿勢を裏打ちする「価値」は根であり幹である。よい実りを得るためには価値がしっかりしたものであることが重要と。その言葉を改めて振り返った時、今の私が地域で感じていた違和感は、「価値」が共通認識化されないまま知識や技術ばかり論じられることに対する違和感であることを気づきました。地域で多職種との連携を進めていくにあたり、精神保健福祉士のアイデンティティを見つめられていない状態で連携をしていっても、自分たちの進むべき方向・学ぶべき方向が拡散していくだけなのだと。本研修の中で改めて精神保健福祉士の自己研鑽について考えていった時に、ただ単に知識・技術を身に着けることだけでなく、「価値」を見つめ、「価値に根差した実践」が非常に重要である、ということを感じました。
私のいる地域では、残念ながら現状「有資格者が協会に加入する」ということを広めている段階でしかありません。「協会に入っているのは当たり前」だけでなく「自己研鑽をすることが当たり前」という雰囲気を作れるよう、地域の精神保健福祉士で考え合っていくことも大事であることも感じました。
すべては、私たちのクライアントに対する責務として。