報告

「課題別研修/第4回成年後見に関する研修」「認定成年後見人養成研修−第4回養成研修・第3回クローバー登録者継続研修」を受講して

 2011年12月1日(木)から4日(日)までの4日間の期間で、北九州市立商工貿易会館 シティプラザ(福岡県北九州市)にて、「課題別研修/第4回成年後見に関する研修」「養成研修/第4回認定成年後見人養成研修」「第3回クローバー登録者継続研修(シティプラザ及びAP品川の2会場開催)」を開催し、課題別研修14人、養成研修18人、継続研修46人の皆さんが修了されました。ここでは、各研修の様子につきまして、それぞれの修了者の方からの報告記事を掲載します。

         
養成・課題別研修・開講式 養成・課題別研修・演習 課題別研修・修了証書授与 養成研修・会場の様子 養成研修・講義10の安部講師
         
養成研修・継続研修・会場の様子 養成研修・継続研修シンポジウム 養成・修了証書授与 継続研修(東京)シンポジウム 更新研修(東京)・修了証書授与

・ 養成研修/長かったが、充実した4日間

医療法人卯の会 新垣病院(沖縄県)/経験年数13年 笹木 徳人

 12月1日(木)〜4日(日)の4日間、福岡県北九州市にて「第4回認定成年後見人養成研修」が行われました。
 私は、実際に2009年より後見人としての活動を行っていましたが、専門的な知識があるわけでもく、仲間のPSWからアドバイスを得ている状況でした。
 昨年もこの養成研修を受講しようと思ったのですが、基幹研修Vをクリアしておらず、受講要件を満たさなかったので、断念した経緯があったので、「今年は」と思い基幹研修Vを終え、今回の研修に念願叶って受講することがました。

 最初は「4日間もあるんだぁ」とため息ばかりでありましたが、演習で共に語り合った仲間の皆様のおかげで、「4日間もあるんだぁ」から「4日間しかないんだぁ」の気持ちに変わったことが、自分の中で「この研修を受講して本当に良かった」という思いにつながりました。

 研修は基礎的な講義から専門的な講義まで濃密な研修であり、後見人として活動していることについて再確認することや、「そうだったんだ」と新しく学んだことも多く、かなり充実した内容なので、是非まだ受講していない先輩や後輩にも参加を勧めたいと思います。
 そして、何といっても夜の研修(とあえて書きます。お酒の席です)も充実しており、そのお陰もありまして仲間の皆様との距離もぐっと縮まった気がしました。

 今後の認定成年後見人ネットワーククローバー登録者に義務付けられている更新研修についてですが、離島県である沖縄では、毎年の更新研修のために本土へ渡航するのは、かなりの負担になるので、更新研修の参加については少なくとも隔年で開催して頂けないかと思います。
 この研修を開催して頂きました社団法人日本精神保健福祉士協会並びに今村クローバー運営委員長、スタッフの皆様にお礼申し上げます。
 是非、来年の熊本大会で再会したいと思います。ありがとうございました。


・ 課題別研修/成年後見に関する研修を振り返って

ILPお茶の水医療福祉専門学校(福岡県)/経験年数8年 笠 修彰

 仕事柄、日頃の授業の中で成年後見制度についてふれる機会もあり、制度自体についての話はできる?ものの、その具体的な運用についてはいまひとつ理解できていないと感じていました。その一方で、精神保健福祉士として精神障害者の権利擁護についてじっくり考える機会がほしいと思っていた私は、「第4回成年後見に関する研修」が地元福岡で開催されることを知り、これは絶好の機会だと思い今回の研修に参加しました。

 当日研修会場に到着すると、そこには北は北海道から南は沖縄までとまさに全国各地から課題別研修と養成研修に参加されていて、参加者の方々の成年後見制度に対する意識の高さに圧倒されると同時に、研修への期待も膨らみました。

 講義では、精神保健福祉士をはじめ社会福祉士、弁護士、家庭裁判所の調査官と成年後見制度に携わるさまざまな職種の方から、それぞれの体験事例を踏まえた具体的なお話をお聞きすることができました。そして、これらの講義を通して、精神保健福祉士と成年後見人との立場の違いや利益相反、医療行為に対する同意権の問題、死後事務処理の問題など多くの問いが有り、その都度「精神保健福祉士として成年後見活動へ携わっていく視点や役割とは?」をじっくりと考える機会になったと思います。また、精神保健福祉士の講師の方々から「精神保健福祉士は外野から制度の批判をするのではなく、実際にその実務に関わりながら、制度の不備修正への活動を行うことが大切ではないか」とのお話をお聞きし、精神保健福祉士の制度改革へ向けたインサイダー的な役割の重要性を再認識するとともに、私たちの立ち居地をあらためて確認することができました。

 研修2日目の演習「成年後見人の倫理に関する事例検討」は、利益相反や医療行為への同意等、講義で学んだことを事例に基づきグループで検討するというものでした。成年後見活動に携わる精神保健福祉士は、精神保健福祉士としての立場性と成年後見人としての立場性をもつことになります。その立場性の違いから生じるジレンマのなかでいかにクライエントの権利を擁護していくのか、深く考えさせられる貴重な時間となりました。

 さて、こうしてあらためて研修を振り返ってみると、成年後見制度についての学びを深めることができただけでなく、精神保健福祉士の専門性を再確認できたとても充実した2日間だったと実感しています。このような有意義な研修を与えてくださったスタッフの皆さま、講師の皆さまに心から感謝いたします。また、同じ時間と空間を共有し、ともに学び考えた(お酒を飲んだ)参加者の皆さま、本当にありがとうございました。またお会いできる日を楽しみにしております!


・ クローバー登録者継続研修

東京会場/「第3回クローバー登録者継続研修」を受講して

鶴が丘ガーデンホスピタル(東京都) 畔上幹夫

 12月4日(日)、クローバー登録者継続研修が東京都港区の研修会場で行われました。参加者はおおよそ30名程度で和やかに行われました。今回は東京と福岡の2か所で同時開催されたことで、東京会場には前回に比べ参加者が少なくゆったりとした雰囲気で研修を受けることができました。

 今回の研修は、3部構成になっていて、最初はシンポジウムでした。「成年後見人としての実践〜理想と現実のギャップを踏まえた私の思いから〜」と題して3名の演者から後見人受任の経過や現在の思い、実践にあたって心がけていることなどをお話して頂きました。受任件数や経験の違いはあるものの、大変貴重なお話が聞けてとても参考になりました。次は講義で「リスクマネジメント」についてでした。講師は社団法人日本社会福祉士会 権利擁護センターぱあとなあの古畑英雄先生で豊富な経験と実践からリスクマネジメントの重要性をお話して頂きました。私たち一人ひとり、常に意識して後見業務にあたらなければならないと強く思いました。昼休みを挟んで午後からは演習でした。「事例研究3事例」を各グループで話し合いました。岩崎香先生の快適な司会進行でグループからの発表も交えながら、和気藹藹と話すことができました。

 継続研修はクローバー登録者に課せられた年1回の研修です。受任して後見業務を実際に行っていると大変孤独です。こうやって年一回でも研修が義務付けられていると、顔の見える関係ができ安心します。内容としてはリスクマネジメントの重要性を再認識したこと、受講研修等で理解していたつもりでも実際の後見業務にはさまざまなことが起こりうるので常に意識しておかなければならないと思いました。また、演習事例で取り上げられた災害時の対応についても、被後見人等からお預かりしている関係書類や貴重品等についても、災害時に備えて二重三重のチェックが必要であることも考えさせられました。

 今回は前回に比べ受任された方も多くなり、具体的な話が多かったと思います。今後も受任される方は増えていくものと思われます。事例検討などより具体的な話がしたしという声もありました。顔の見える関係と研修の積み重ねはこれからも是非提供して頂きたいと思います。


福岡会場/実践者から学んだそれぞれの生き方

 

社会福祉法人清風会 相談支援事業所 清風会つぼみ(広島県)/経験年数15年 橋本 万寿美

 2008年の第1回認定成年後見人養成研修に参加しようと思ったきっかけは、現在の職場である3障害の大規模法人の相談事業の業務の中で「後見制度を利用してはどうか」と思われる相談が増えてきたことからです。知識が少ないままでは制度の紹介もできないことから、相談業務の知識の向上と、できればやってみようかなという安易な気持ちで東京研修を受講しました。4日間というハードな研修を終えて残ったものは「私にはそんな大変なことはできない。それに現在相談を受けている多くの人が所属法人に絡んでおり、利益相反になる可能性が高い」という残念な思いでした。そのためクローバーへの登録はぎりぎりまで迷いました。しかし、せっかくだからもったいないという気持ちと、受任依頼は来ないに違いないという確信で登録をしてしまいました。受任をされている講師陣(私より年下ばかり)は、立派な方で立派な話ばかりです。後見人は法律に明るく、事務能力が高い人にしかできないと思いました。

 ところが3回目の継続研修を受講してみると(北九州市なので日帰りができ助かりました)、同期の受講者2名が受任をして演台に座っておられるのです。「依頼の電話は突然やてくる」から始まり、約1年の後見人としての苦労や、工夫を非常に現実的に話して下さいました。所属法人への理解の取り方から、家族の理解、大きな災害の後ということもあり、自分の命と同じく被後見人の預かり物も守らなければならないことなど、具体的で自分の立場と照らし合わせることができました。そして受任された方が「受任後1カ月くらいはバタバタするが、平穏な時期も長く受任して得るものが多い」と言われたことに少なからず心を動かされました。

 後見制度に対しては「選挙権や代理権の問題」など、精神保健福祉士の視点からはあまりいい感情はないというのも事実です。しかし、兄弟も子どももいない自分にとって、配偶者も亡くなり一人になった時、自分の意思で安全な安心な生活を選ぶことができるかという不安が常にあります。第3回クローバー登録者継続研修を受講してまだ迷いはありますが、後見人受任に少しだけ前向きになれました。


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