「第6回基幹研修(・)」と「第2回オムニバス研修」をときわ会館(埼玉県)にて開催しました。日程は、基幹研修が2010年6月19日(土)、基幹研修が2010年6月19日(土)、20日(日)、オムニバス研修が2010年6月20日(日)でした。ここでは、それぞれの修了者から報告記事を掲載します。
<基幹研修> | ||||
齋藤講師による講義2 | 相川講師による講義3 | 全体会での各班発表 | 修了証書授与 |
専門職としての立ち位置を見つめ直す
青木病院(東京都)/経験年数4年 福島ひとみ
2010年6月19日・20日基幹研修を受講しました。
1日目の精神保健福祉士の専門性の講義では、援助関係について触れられていました。中でも印象的だったのは、循環的な関係です。目標に向かって時に立ち止まり後退しながらも一緒に螺旋状態の道を歩んでいく形、その過程(2人の轍)がとても大事であるというお話でした。日々の業務を振り返ると、先の見通しが立つようになることで、いつの間にかクライエントと歩みを共にせず、歩むどころか自分だけエレベーターで1人先回りをしているようなことがあるのではないかとドキッとしました。自分の関わりのあり方を見つめ直し、これからに生かしていきたいと思います。
政策論の講義では、地域に不足している資源にただ「なくて困る」と言っているだけではなく、どうしたらニーズを充足する資源を創出することができるだろう、どうしたら使いやすい資源になるのだろうという考え方を持つこと、行動すること、というお話にまたドキっとしてしまいました。資源を創出すること、利便性をあげることは大きな課題だけに、どうすることもできないと諦めの気持ちでいた自分に気づかされました。容易なことではありませんが、PSWとして自分ができることを探し、行動していきたいと思いました。
2日目の事例検討では、講義を終えて事例を見直してみると事例への視点が少しだけ変わったように感じました。また、違う職場で働く先輩方の視点や考えを知ることで、まだまだ自分に足りない部分を知り、とても刺激を受けました。
今回の研修は、私にとっては少し背伸びをした内容のものでしたが、今まで力みすぎていた肩の力が抜けて、明日からまたがんばろう!!という気持ちが湧いてきました。ありがとうございました。
<基幹研修> | ||||
西澤講師による講義1 | 会場の様子 | 演習 | 修了証書授与 |
医療法人 正和会 日野病院(神奈川県)/眞島 恵
精神保健福祉士の「専門性」「実践論」「制度・政策論」そして「演習」の4本柱で構成された「基幹研修」。どの講義もとても興味深く参加させていただきました。
講義1の「専門性」で印象深かったのは、「先行したモデル的な実践を検証し、その中での生み出された方法・技術を共有化することが大切」とのお話です。これまでの優れた実践の中から、自分たちが何を軸にしたから結果こうなったのか。知識・技術・価値からだけではではなく、専門性を考えていく取り組みが必要という内容を聴き、時間のかかる検証となると思いますが、今後の課題として何かしら答えが導き出される日を楽しみにしています。また、自分の中で不鮮明なPSWの専門性というものが、西澤先生の言葉になって耳に残っていく講義は、日々の自分達の実践に知識の枝葉がついていくような満足感がありました。
次の「実践論」は、まさに実践に即したエッセンスをまとめたような講義。「自分は具体的に何をする人なのか」もう一度、私自身も考えてみようと思います。
「制度・政策論」は、資源や制度が整いつつある世代の私からは少し縁遠い学問という感じがしていたのですが、「資源や制度はあればいいというものではなく、本当に使えるものにしなくてはいけない」というお話を聴き、今一度社会を意識し、今ある資源、制度を考えていく必要性を感じました。そして最後の「演習」では「ソーシャルな視点」について議論。漠然とした「ソーシャル、社会」という事柄を言葉にする難しさに頭を悩ませました。
これらの学びを自分がどの程度吸収できたかは別としても、この濃密な研修は「精神保健福祉士の質を担保する」という目的に適った、実りある研修だったと思います。
以前私は都内の共同作業所で働いていました。作業所ではメンバーの力もあり、また共に働くスタッフもPSWばかりという中で、PSWとしての倫理や価値観が優先された考え方やかかわりがしやすかったと思います。
今は精神科病院で働くようになり、他職種の中で病院スタッフとしての「医療優先」という価値観に取り込まれつつあり、利用者主体、自己決定という価値観が優先しづらいことが少なからずあります。そんな時、自分は何なのか、PSWとして何にこだわって仕事をしていくのかを忘れないためにも、同資格者の中で学びあい、話し合う今回の「基幹研修」はPSWとしての自分を振り返る良いきっかけになりました。
<オムニバス研修> | ||||
柏木講師による「「かかわり」とは」 | 白石講師・鈴木講師による 「障害者に必要な制度・サービスとは」 |
山中講師による 「援助職のメンタルヘルス」 |
修了証書授与 |
医療法人社団 清泉会 布施病院 (青森県) 精神保健福祉士 三浦良介
「〜精神保健福祉士の魅力〜」今回の研修の、とても素敵なサブタイトルです。参加を決めてからもあらためて「精神保健福祉士の魅力って何?」ということを考えていました。答えはおそらく、いろいろありますが・・・
前日に行われた基幹研修U、懇親会と、今回のオムニバス研修に参加し、参加者、講師の先生方、研修スタッフの皆様を含め、様々な方と触れ合うことができました。エネルギッシュに、熱い心で実践を積み重ねてきた方々は、まさに「魅力的な精神保健福祉士」と感じました。自分もそこに近づけるよう、精進したいと思います。
講義の内容ですが、まず、日本におけるソーシャルワーカーの草分け的存在である、柏木昭先生の実践を生の声で聞くことができたことが貴重な体験となりました。先生の講義は、「『かかわり』とは〜ソーシャルワーカーの基本を考える〜」というものでしたが、柏木先生の実践においても、私たちと同じものが基礎になっているのだということを感じることができました。
「障害者に必要な制度・サービスとは〜手帳制度のありかたを考える過程で見えてきたこと〜」の講義では、手帳制度のあり方を考える事を通して、様々な論点に触れる事ができました。一つの制度についても、多様な角度から深く掘り下げて考える必要性を感じました。
「援助職のメンタルヘルス〜明日からの生き生きとした実践に向けて10のステップ〜」の講義では、印象に深く残っている言葉があります。クライエントのためなら食事の時間も削るのに、同僚が涙していてもあなたは訪問看護に行ってしまうのでは?との問いかけでした。この言葉には、会場からため息も漏れていました。援助者が抱いた「苦しみ」をどう手当てするかということについては、自分自身あまり向き合ってきていないことに気付き、共感する人も多かったようです。
日々の業務に追われ、気づけば自分の手の届く範囲のことしか見えなくなり、「精神保健福祉士の魅力」を見失っていたこともあったように思います。今回の研修で実践を振り返り、自分は、精神保健福祉士は何をする人か?ということにも立ち戻り考える機会になりました。これから、学んだこと、感じたことを実践し、そして伝えて行きたいと思います。自分にとって貴重な時間となりました。ありがとうございました。