「第20回基幹研修(・)」と「第19回更新研修」を福島県青少年会館(福島県)にて開催しました(開催案内)。日程は、基幹研修が2013年9月21日(土)、基幹研修および更新研修が2013年9月21日(土)、22日(日)でした。ここでは、まず、基幹研修・の修了者から報告記事を掲載します。
<第19回更新研修・第20回基幹研修> | |||
藤原講師による講義1 | 会場の様子 | 森谷講師による講義2 | |
演習の様子 | 更新研修代表者の修了証書授与 | 基幹研修代表者の修了証書授与 |
二本松会上山病院(山形県)/経験年数9年 仲島 佐智子
(第19回更新研修修了者)
9月21日22日、福島県で行われた第19回更新研修に参加しました。東北の方が中心になるかなぁと思いましたが、北海道や和歌山県など遠方からの参加者も多くて驚きました。
講義では、何気なく行っている日頃の業務について、改めて精神保健福祉士の視点・存在価値・寄り添いについて点検する機会となりました。演習では、様々な場所で活躍している方と一緒に、一つの事例について深めあい、その中で改めて自己決定について考えることとなりました。一言に自己決定といっても、安心して選べる環境、どんな心理状態にあるか、柔軟な選択肢を提示できているか、揺れているご本人に寄り添えているか、決定後の保障ができているかなど、ご本人の立場に立ちつつ全体をみる力が必要であることを再認識しました。そして、まだまだ自分にはソーシャルアクションの力が弱いことにも気づくきっかけになりました。
更新研修ということで、ベテランの先輩方と一緒に講義・演習をすることとなり、精神保健福祉士としての基本・視点が、個性の色をつけながらより強化されていることに驚きました。スーパービジョン、後輩の人材育成などは、まだま自分にはできないことではありますが、精神保健福祉士である自分がなぜこの仕事をするのか、動機付け、意味づけを確認しながら、根拠ある実践をしていきたいと思います。
そして5年後、講師の先生がおっしゃったように、精神保健福祉士の道具である自分をメンテナンスにきたいと思います。
最後に、私は、震災後の福島に初めて来ました。隣県でありながら、何ができたかもわかりませんが、これからもあの時のことを忘れず、関心を持って行きたいと思います。講師の先生方、研修企画運営委員の皆さま、お疲れ様でした。
一般財団法人 新田目病院(福島県)/経験年数17年 水野 英一
(第20回基幹研修V修了者)
演習の始めに行われるグループ内での自己紹介では、参加動機を述べるようになっていますが、私自身この質問にどう答えてよいのか毎回戸惑います。「(研修)認定精神保健福祉士の名称が得たいから。」というのが一番の理由であり、それ以上は深く考えていなかったことを痛感させられるからです。
私が参加したグループでは「精神保健福祉士としての業務を再考できる機会だと思った。」「今の職場は他職種の中で勤務しているため、精神保健福祉士としての迷いや悩みを共有できず抱え込んでしまうので、それを打破したい。」「普段は精神保健福祉領域から離れた仕事をしているが、専門職としての物差しを忘れないようにしたい。」等の理由が挙げられました。
毎回研修に出ると参加者が精神保健福祉士としてスキルアップを図ろうとする姿勢が感じられ、それに私自身が良い刺激を受け、この刺激を得るために今後も受講したいと思えるので、今後参加して動機を述べる際は、迷わずこの思いを伝えられるようにしたいものだと反省します。
今回の演習でも同じ専門職としての目線、他所属である故の第三者的目線での意見は参考になるだけではなく、同じ思いを共有できて気持ちが前向きになりました。
初日の講義は専門職として見る目を日々磨いていく必要があるということに尽きる内容でした。専門性の講義では、自分の遂行する業務がクライエントの支援になっているかをアセスメントする必要があることやスキルアップを図るために日々研鑽を積む必要があること、政策論では個々の事象をとらえる力や社会的排除の問題をとらえる力を涵養していく必要があることを再確認できました。講師の藤原先生と森谷先生は共に大学で教えている立場ということで、ロールプレイを交えた講義内容はとても有意義でした。
二日目の実践論ではアドボカシーのあるべき姿、スーパービジョンの進め方等、講師であった西銘先生ご自身の実体験や現在実践している方法を踏まえた講義を頂きました。スーパービジョンを業務査定にしないことの難しさについては、その後演習での休憩時に、グループ内で議論になる程参考になりました。
最後に、今回の参加動機について「福島で開催されるから参加した。」という意見も懇親会時も含め数多く頂きました。他県からお越し頂いた参加者の皆様、本当にありがとうございました。
<第20回基幹研修> | |||
山田講師による講義1 | 鈴木講師による講義3 | 演習の様子 | 代表者による修了証書授与 |
福島県立矢吹病院(福島県)/経験年数10年 根本 信幸
(第20回基幹研修U修了者)
研修当日の福島は、気持ちが晴々するような晴天にめぐまれました。現在の職場に転職して1年が過ぎ、心の片隅にしっくりこない感覚を抱きつつ充実感に満ち溢れている毎日とは程遠く。何かが足りない感覚がありどうしたらいいか。そう思っていた時期にこの研修を知り、地元福島で開催されることもあって参加には迷わず即答でした。
今回の講義では共通テキストが新しくなり、コンパクトかつ内容も濃くなっているように感じました。山田講師、森谷講師、鈴木講師からの話は、それぞれの経験談を織り交ぜての講義であったため「んだんだ」と首を縦に振り共感することが多く講義を受けていました。講義の中で得たことを感じたこと、印象に残ったこと、思い出したことを挙げてみたいと思います。
一つは、「私はどうしてそう考えたのか」という問いです。この問いにハッとしました。日々の業務に追われ忙しさに感けて何かが抜け落ちている感覚があり、「自己覚知」が薄れていたことに気づかされました。業務に追われる毎日の中でいかに振り返るか。「自分自身を道具とする我々」は常に自分自身についてよく知っておくこと、「自分はどうしてそう考えた」について常に問う姿勢を意識する大切さを理解しました。
もう一つは、青森県津軽の方言で「気持ちいい」「居心地がいい」という意味である「あずましい」という言葉でした。4年間を青森で過ごし津軽弁は馴染み深く、同級生でもある山田講師にも久しぶりに顔を合わせたので懐かしく思いました。「あずましい=居心地のよい」を誰もが求めている。その人がその人らしくいられる場所、生活をクライエントと同じ目線に立ち共に考え、共に求めていくかかわり、「協働」の大切さ、実践を改めて気付くことができました。
研修を終えて心が少し晴々とした気持ちをかみしめながら、ふと「PSWは常に修業だ」という言葉を思い出しました。これは、当時出来の悪かった私に大学の恩師が授けた言葉です。我々はかかわりを通してクライエントとの関係を築き援助関係によって仕事が成立します。自分自身を道具とするため常に振り返りをしながら磨きをかけていく必要があるのだと再認識し、今後も研鑽し実践に活かしたいと思います。
最後に、東日本大震災後から全国の方々から暖かいご支援や励ましの言葉をたくさんいただいたことは、心強く前向きになる事が出来ました。また今回福島での研修を企画運営していただいた日本協会の方々、来県した会員の皆様にお礼を申し上げます。ありがとうございました。