「第2回基幹研修(・)」をタイム24にて開催しました。日程は、基幹研修が2009年4月25日(土)、基幹研修が2009年4月25日(土)、26日(日)でした。ここでは、それぞれの修了者から報告記事を掲載します。
基幹研修 | |||
会場の様子 | 西澤講師による講義1 | 全体会での各班発表 | 55人の研修認定精神保健福祉士誕生 |
基幹研修 | |||
大塚講師による講義2 | 37人の受講者 | 演習の様子 | 修了証書の授与 |
<基幹研修>
公立能登総合病院(石川県) 田辺 めぐみ
2009年4月25日と26日の両日、生涯研修制度による基幹研修を受講して、晴れて研修認定精神保健福祉士の認定書をいただくことができました。今回の研修は認定の資格を取得するために参加したのですが、それだけでなく英気を養い、熱い志を取り戻せたように思います。
基幹研修のキーワードは何といっても「ソーシャル」ではないでしょうか。所属機関のワーカーとしてだけではなく、一人ひとりとの関わりから見えてくるニーズを基に地域のニーズの把握に努め、そしてソーシャルな視点をもった精神保健福祉士として地域づくりに参画していくことの意義を再確認しました。
そして今回の研修で特に印象深かったのが、政策論の講義です。個人的に学生時代から政策論は大の苦手ですが、今回は大塚さんの熱い語りに眠気も吹っ飛び、政策の背景にある時代の流れやそこで起こった出来事、その中で生きてきた人たちの思いや働きかけが法律や制度を作り上げていることに気づかされました。講義の中で人権の問題として、2001年に発覚した精神科の病院で入院されている方が首に縄をつけられポチと呼ばれていた実話があまりにも衝撃的で、さらに当事者の方がある会議で語られた「新潟の少女監禁事件は有罪判決がでたのに、なぜ精神科病院の中で人権を侵害されていても、何十年も入院させられていても、病院関係者は罰せられないのか」という言葉が胸に突き刺さり、講義中に涙が止まらなくなりました。現在、長期に入院されている方々に対しても退院支援を行っていますが、なかなか思うように支援できず悩む毎日です。しかし改めて精一杯取り組まなければと胸が熱くなりました。
2日目の事例検討では、別のグループから、事例を報告者のものとしてではなく本人さんと共に経過を振り返りながら共同で提出し、さらに研修で得たものを本人さんにお返しして分かち合いたいとの報告がありました。事例作成に取り組む姿勢が、その報告された方と本人さんの関係性を表しているようで、とても感銘をうけました。またグループでの話合いを重ねることで研修に出会うことのできた同志の方々が、それぞれの地域や現場で、悩んだり、落ち込んだり、時には戦ったり、分かち合ったり、少し喜んだりして、同じように皆がんばっていることを知り「明日からもまたがんばるぞぉ〜」という気持ちが沸いてきました。
研修に行くには(特に遠方だとなおさら)かなり気持ちを奮起しないと行けませんが、参加してみると英気を養うことができ、明日への活力をいただく思いがします。また5年間の有効期限内に奮起して上京しようと思います。ありがとうございました。
<基幹研修>
東京大学医学部附属病院 精神神経科(東京都) 金原 明子
今回の研修では、精神保健福祉士の専門性、実践論・精神保健福祉制度・政策論についてのご講義と、グループ演習がありました。基幹研修では、理論と実践、そのポイントまで非常に丁寧に示されているテキストを頂くことができます。そのテキストを利用しながら、先生方の実例を交えたご講義を伺うことによって、日々の業務を振り返りながら、頭の中を整理することができました。グループ演習では、8名程度の小グループに別れ、各方面でご活躍されている方々と意見交換ができました。普段飲み込んでしまうような“思い”を言語化することができ、とても有意義な時間を過ごすことができました。それぞれについて印象に残ったことを書きます。
実践論・専門性ご講義
基幹研修は経験3年以上ということが参加条件として求められていますが、専門性・実践については、3年経った今だからこそ実感できることがたくさんありました。「これで良かった」と再確認できることや、「こう考えながら、実践していかないといけない」というような反省点・改善点がたくさんあることに気付きました。
政策論ご講義
政策の成立背景や国会での審議の様子を伺い、政治への参加意識の大切さを学びました。制度を学びながら、それにとらわれずに柔軟に創造力をもって対応していくことが肝要であると教わりました。これからは、障害福祉の分野に限らず、政策立案全般に興味を持ち、上手に制度を利用していきたいと思いました。
演習
普段、(精神科内では)一人でPSWとして働く私にとって、演習が一番楽しみでした。今回は学生指導をなさっている先生方や『子育て支援課』にお勤めの方などが同じグループにいらっしゃって、異なる立場からお話を伺うことができました。立場は違いますが、日頃、思い悩んでいることには共通項もあり、思いを共有することができて良かったです。また、参加者の方々が非常に勉強熱心であることが伝わり、感化されました。
今後についてですが、本研修で勉強したことを実践し、自主学習を怠らず、患者さんのために一つでもできることを多くしながら、少しでも質を高くしたいと思います。最後に、今年度中に基幹研修を終え、その先の研修に望みたいので、(遥々遠方から参加されている方も少なくなかったのもあり)新幹線で行ける範囲であれば、旅行気分も兼ねて、次の基幹研修に参加させて頂きたいと思います。様々な場所で御活躍されている皆様方と研修でお会いできることを楽しみにしています。
精神保健福祉士の質向上について検討を重ねて頂き、本研修を企画してくださった協会の方々、ありがとうございます。今後も課題別研修等が企画されることを楽しみにしています。
北海道歌志内市 太田 厚志
4月25日、生涯研修制度の創設の趣旨に賛同し、今回のプログラムに参加いたしました。
私は、老人福祉施設である養護老人ホーム楽生園に施設長として勤務しています。精神保健福祉士の資格は2002年に取得し、同年より、北海道社会福祉協議会に福祉サービス運営適正化委員会の事務局長として5年間勤務、2007年4月から現職に就任しています。
日頃は、施設の管理運営面に携わり、一方では精神保健福祉士であるというバックボーンで入所者の健康状況の把握、職員に対する管理や指導を行っております。直接的に精神科医師や看護師、精神保健関係者との接触がほとんどなく、自らの精神保健福祉士としての専門性の維持や向上のためには、今回のような機会が是非とも必要なのです。
1講目、精神保健福祉士の専門性
講義は、生涯研修制度共通テキストをベースに(1)かかわりを豊かにしていくために(2)精神保健福祉士の専門的視点、を中心として展開。バイステックの理論等をも引用され、内容豊かに学びました。
2講目、精神保健福祉政策
同テキストの「政策や制度・施策に関する年表」をベースに流れの背景や動向を学びました。政策の細密な流れに改めての驚きを認識したのです。講師のテンポの良い解説にすっかり引き込まれてしまいました。
3講目、精神保健福祉士の実践論
同テキストの(1)支援プロセスに沿って自分の実践が説明できる(2)チームワーク形成の技術B社会資源活用の技術、他を学びました。講師の落ち着いた誠実な雰囲気が、接するクライエントに大きな信頼や安心感を与えているのだろうなと感じました。
演習テーマ(1)PSWの仕事のおもしろさ、(2)PSWの「ソーシャル」について
研修参加者38名が5班に分かれての演習です。私の班は8名でしたが、それぞれの所属については、精神病院1名、大学病院1名、地域包括支援センター1名、老人福祉施設1名、就労センター1名、大学教員1名、行政関係2名とPSWの配置の広範さを強く感じました。テーマに沿ってそれぞれの現状を話し合ったのですが、(2)について、私は「ソーシャル」を「地域とのつながり」ととらえ、この3月に施設において開催した「地域住民講座」の様子についてお話いたしました。
講座の内容として、市民、入所者約100名を対象に栄養講習、精神保健講習を実施し、精神保健講習では、私が講師となり、「楽しい暮らしは心の健康から」をテーマとしたこと、講座開催にあたり、地域の社会福祉協議会、老人クラブ、民生委員、身体障害者協会、婦人会、町内会の協力を得ることができたことなどを紹介しました。
課題として感じたことは、テーマ(1)に関して、「おもしろさ」ではなく「やりがいを感じたとき」であった方がよかったのではないか。私は、PSWの仕事に関してこの7年間やりがいを感じたことはありますが、「おもしろい」と感じたことは一度もありませんでした。今後、ご検討をいただければ幸いです。