報告

第18回基幹研修23&第15回更新研修

「第18回基幹研修(23)」と「第15回更新研修」を名古屋国際会議場(愛知県)にて開催しました(開催案内)。日程は、基幹研修2が2012年11月23日(金)、基幹研修3および更新研修が2012年11月23日(金)、24日(土)でした。ここでは、まず、基幹研修23の修了者から報告記事を掲載します。


<第18回基幹研修3
       
大谷講師による講義1 西銘講師による講義3 演習の様子1 代演習の様子2

・ 言語化の大切さを実感した研修でした

特定医療法人共和会 共和病院 (愛知県)/経験年数5年 丹羽 弘菜

 自分自身の振り返りのため、また今後支援に活かすため、基幹研修3に参加しました。

 講義1は、ソーシャルワークを行う上で、精神保健福祉士としての専門性とは何かを改めて考えるきっかけとなりました。支援を行う場合、対象者を取り巻く環境がどういう状況か、しっかりアセスメントをし、その環境に働きかけることが大切であり、場合によっては新しい環境への働きかけ、開拓が必要になる場合もあります。そういった時にこそ精神保健福祉士としての専門性が活かされるのだということを改めて実感しました。精神保健福祉士としての知識、技術、価値が不可欠であり、知識、技術は更新されるものであり、価値は再確認する必要があるものだという話を聞き、今回のような研修を受講し続けることが、とても重要で意味のあることだと思いました。

 講義2の制度・政策論では、様々な動きがある中、医療保護入院の保護者制度の見直しが気になりました。本人の権利擁護や保護者の負担などから、保護者同意を要件としない手続きが考えられていますが、では誰が入院の判断を行うのかという時に医療従事者の責任や判断が求められる結果になるのではないかという不安が否めません。ましてや精神保健福祉士が少しでもその判断に関わるようなことがあってはならないと思いますし、精神保健福祉士の立場を明確にしておく必要があると感じました。

 講義3では、実践論ということで、沖縄県精神保健福祉士協会の活動やスーパーバイザーとしての実践の話がありました。スーパービジョンの話では、専門家としての自立をめざすことを念頭に置き、解決策を考えるのではないことを心得ておかなければならないとのことでした。バイジーの気持ちの変化を捉え、過程に寄り添い成長を促すことが大切だとわかりました。

 演習3では精神保健福祉士の専門性とは何かというテーマで話し合いました。話し合いの中で、自分たちは精神保健福祉士として、他職種のスタッフに「私たちの専門性はこうだ」ということを言葉で表すことができているか?私たちが行う業務の中で様々なジレンマを抱えながら実践をしているのではないかという話があがり、共感できることが多く、それぞれ所属や経験年数等は違うにしても、精神保健福祉士としての価値観は同じであるということが再認識できる機会となりました。

 今回の研修で一番印象深かったことは、大谷先生や西銘先生の話でもあった、自分たちの行っていること、考えていることを言語化することが大切であるということです。日々の実践の中で私たちは自然と精神保健福祉士としての専門性を活かしたソーシャルワークを行っていると思いますが、それを言語化し、伝えることがどれだけできているか思い返した時、自分はなかなかできていないのではないかと考えさせられました。日々の実践の中で時に、立ち止まって自分の行っていることは精神保健福祉士として専門性を活かした支援ができているのかを考えたり、研修などを通し、振り返ることが大切だと思いました。


<第18回基幹研修2
       
木下講師による講義1 演習の様子1 演習の様子2 代表者による修了証書授与

・ 研修からいただいたお土産もの

NPO法人人・モノ・支援センター(奈良県)/経験年数19年目 上島 知恵

 2012年11月23日に名古屋国際会議場で開催された第18回基幹研修2に奈良県から参加しました。基幹研修Tを受講して、数年ぶりに日程があう研修が見つかり早朝電車を乗り継ぎ名古屋会場に向かいました。職場は、主に精神障害をもつ人が通う就労継続支援B型事業所の運営や障害をもつ人、一人一人の思いに寄り添い必要なモノなどを一緒に考え、事業化する活動をしているNPO法人です。研修当日も、職場では仲間は働いていましたが、久しぶりの遠出に心は旅行気分でした。会場には時間の余裕を持って到着したつもりでしたが、既に席に座っている受講者の人数に旅行気分も瞬時に消えてしまいました。

 基幹研修2は、精神保健福祉制度の歴史的変遷、今日の精神保健福祉をとりまく現状についての解説や問題提起、精神保健福祉士の専門性、専門的視点、ソーシャルネットワークの必要性を講師の先生方の実践を通した厚い講義でした。先生方の講義には「そうそう」と私自身の経験を振り返り、頷く場面も少なくはありませんでした。その中で特に印象強く残っている言葉があります。生涯研修制度共通テキスト第1巻U−1かかわりを豊かにしていくためにP36にも記載されていますが、『自分を道具とするのだから、自分についてよく知っておくことが重要』『どうして私はそう考えたのか』という言葉です。何気なく使っている言葉、しかしながら、無意識に相手により言葉遣いを変えたり、言葉を選んでいたりする自分があります。「そう、どうして私はそうしているのか。」この気づきは大変重要です。そこには、私の心の中の何かが動いているのです。このことは、言葉だけに限ったことではありません。態度、表情、私から発信する全てのものに言えます。

 日々、一日一日を作業所で過ごしていても、何年もPSWとして業務をしていても、専門性やその視点、それを担う私たち自身への振り返りのない日々は、実践と呼ぶには相当しないものではないかと感じました。旅行気分でスタートした研修参加でしたが、私自身のPSWとして歩んだ年月を振り返るよい機会となりました。また、これからも続くであろうPSWとしての道に歩みを進める力をいただくことができました。とても大切なお土産を手にして、奈良への帰路につきました。講師の先生方、研修をご担当いただいた皆さまありがとうございました。


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