報告

第17回基幹研修23&第14回更新研修

「第17回基幹研修(23)」と「第14回更新研修」を松山東雲女子大学(愛媛県)にて開催しました(開催案内)。日程は、基幹研修2が2012年10月20日(土)、基幹研修3および更新研修が2012年10月20日(土)、21日(日)でした。ここでは、それぞれの修了者から報告記事を掲載します。


<第14回更新研修>
       
全体会の様子 全体会での発表1 全体会での発表2 代表者による修了証書授与

・ 日頃の関わりを振り返る機会に

内子町障害者地域活動支援センターかいと(愛媛県)/経験年数9年 菊地 健

 2012年10月20日、21日松山で行われた第14回更新研修に参加しました。まず、思っていた以上に県外の方が多く、東北や沖縄など全国各地から参加されていたことに驚きました。

 講義1.精神保健福祉士の専門性3や講義3.精神保健福祉士の実践論3では、講師の先生の実践を交えて、知識、価値、技術等についてわかりやすく話をしていただき、アセスメントの重要性、ゆらぐこと・悩むことの大切さ、自分の専門性や役割を意識することの必要性などを学ぶことができました。講義2.精神保健福祉制度・政策論2では、私人としてではなく、PSWとして制度や政策をどう見るか?ということが印象に残っており、制度、政策の動向について、背景的な面も考えながら、権利擁護などの視点からみていくことの重要性について学ぶことができました。法律の改正など変化についていくことが精一杯で、深く考えられていないなぁと反省させられました。個別の関わりに必要な価値や技術から社会に働きかけていく視点まで、ものすごく濃い内容の講義で、あっという間に時間が過ぎたように感じました。

 演習では、地域や経験年数もさまざまで、病院や保護観察所などさまざまな機関に所属する方とのグループでしたが、専門性について話し合い、それぞれの機関の役割や業務内容の違い、所属の中での立場によっても求められることが違うことを考えさせられ、また、他職種との関係、他機関との連携、地域資源についてなど、抱えている悩みもさまざまと感じましたが、共感できる部分が多く、PSWとして本人に寄り添いながら、一緒に考えていく姿勢というのは変わらないということを再認識できました。
 事例検討でも、1人の方の事例を取り上げ、講義や演習で学んだ内容も踏まえ、関わりの視点や技術、連携等について話し合い、深めていくことができました。意見交換の中で、皆さんの実践や、熱い思いを聞く事ができ、誰のため、何のためにPSWが存在しているのか、改めて考え直す時間になったと思います。

 これまで日々の業務に流されて、自分の関わりについて、必要性は感じていながらも、立ち止まって振り返ることがあまりできていなかったように思います。今回の研修では、事前に事例をまとめることも含めて、今の自分の関わりについてじっくりと向き合うことができました。また、研修や懇親会で他県の方とも交流ができ、充実した研修になりました。
 これからも自分の関わりを振り返りながら、悩みながら、5年後の再会や新たな出会いを楽しみに、研鑽に努め、成長していきたいと思います。


<第17回基幹研修3
       
阪田講師による講義1 法野講師による講義3 演習の様子1 代表者による修了証書授与

・ ソーシャルな視点を獲得していきたい

愛媛生協病院(愛媛県)/経験年数6年 宮崎 由香

 2010年に基幹研修2を終了してから二年。ついに地元愛媛で基幹研修3を受けられる機会がやってきましたので、迷わず参加申し込みを行いました。

 会場に到着すると受講者がずらりと教室の後までおられましたが、基幹研修3の受講者は6名で、残りの数十名は更新研修の方だということが分かりました。その中にはたくさんの愛媛県の大先輩方がおられ、緊張するなあ、と思いながら研修が始まりました。

 一日目の講義1.では阪田憲二郎先生より精神保健福祉士の専門性についてお話がありました。その中で改めて自分自身を振り返ったのはアセスメントのお話でした。アセスメントが精神保健福祉士の仕事でいかに大切であるか、ということや、アセスメントのポイントを聞く中で、人や物の影響、どのようなシステムがこの問題に関与しているのかなど、広い視野で関われていないことがあると気付かされました。

 講義2.では金子努先生より精神保健福祉制度・政策論についてお話がありました。金子先生のお話は基幹研修2でも聞かせていただく機会があり、その時に、介護保険は社会保険で障害福祉は社会保険ではないことについて疑問を抱くきっかけができました。今回のお話の中では、特に2012年2月の社会保障・税一体改革大綱の中で、社会保障の意義・理念が変質していることに危うさを感じました。恤救規則から始まり、段々と社会保障が拡充されてきた中で、自助、共助、それがダメならやっと公助、というように社会保障の内容が変質してしまったことは、大変怖いことだと感じ、今まで以上に必要な人のもとへ支援が行き届かなくなることを危惧しています。

 二日目の講義3.では法野美和氏より精神保健福祉士の実践論についてのお話がありました。愛媛県の精神保健福祉士会の中で一緒に活動をさせていただく機会の多い先輩が、普段の実践の中で考えておられることを聞く良い機会となりました。中でもクライエントのニーズに沿った関わりの中で、自分が解決しようとしていないか、解決するのはクライエントである、というお話で我が身を振り返ることができました。また、地域のアセスメントのお話の中で、ないものは作っていくという姿勢の必要性を感じることができました。

 演習と事例検討ではほとんどが同年代というグループの中で意見交換をすることができ、明日からの業務への英気を養うことができました。事例検討では、自身の実践の個別事例を一般化し、理論化して考察する、SWの専門性に照らして再考する、という過程を通して制度についての疑問を感じることもできました。

 今回の研修を通して、普段のクライエントとの個別の関わりの中から、その問題が社会とどのような繋がりの中で起こっているのかを改めて考えていきたいと思いました。二日間にわたる研修でしたが、参加できてよかったと思います。


<第17回基幹研修2
       
会場の様子 金子講師による講義2 演習の様子 代表者による修了証書授与

・ 基幹研修Uで元気を頂きました!

医療法人仁生会 細木ユニティ病院(高知県)/経験年数4年 松浦 満

 10月20日、愛媛県で開催された基幹研修2に参加しました。「日々の業務を振り返ること、精神保健福祉士としての専門性の再確認」が受講動機です。

 講義1では「精神保健福祉士の専門性2」について上田先生から講義頂きました。そのなかで、自己決定や援助関係のあり方、ご本人さんの権利を守るということについて、考えさせられました。病院のなかでは、権利擁護と言いながらも、漫然と患者さんの権利を侵害していることが多々あります。感性を鋭くしてそれら1つひとつを検証していかなければいけないと思いました。

 講義2の「制度・政策論」については、私の苦手な分野ですが金子先生の熱弁に引っ張られ「あっ」と言う間の90分でした。支援者が制度を知らないことによって不利益を被らないようにしなければならないこと、また現在の法律がどういった経緯でできたのか歴史を知ることの大切さや今後の動向に関心を持ち続けることの大切さを学びました。障害者団体から言われたという「それで、あなたたちPSWは何をしてくれるのですか?」という言葉を真摯に受け止めていかなければいけないと思いました。

 講義3の「精神保健福祉士の実践論2」では漫然と業務をこなすのではなく、自分自身の支援に対する振り返りが大切であることを学びました。

 グループワークでは、ソーシャルな視点を含めた専門性について、意見交換をしました。そのなかでは私自身が病院勤務という閉鎖的な環境の中で、忘れてしまっていたことを再確認させられました。ご本人さんに対して、社会人としてあたりまえのことをしてもらう、世間一般の常識を伝えていく、できていない部分はきちんとできていない、ダメであると話していくということです。病院の中では、つい失敗させない、本人を否定しないということを行っています。本人さんを囲っていくのではなく失敗した時、どう支援していくかということが私たちの仕事であると、気付かされました。医師、看護職が強いなかで、人として持っている当たり前の権利を奪うことがないように、専門職として働きかけていかないといけないと思いました。同じ病院勤務のワーカーとは、他職種と格闘していることや悩みの共有ができ、「自分だけじゃないんだ」と心強くもあり、また地域で頑張っているワーカーからは病院の中では気付かない視点を教えていただきました。PSWとして、日々奮闘している他ワーカーに力をもらい有意義な研修となりました。


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