報告

第16回基幹研修23&第11回更新研修

「第16回基幹研修(23)」と「第11回更新研修」を岩手県自治会館(岩手県)にて開催しました(開催案内)。日程は、基幹研修2が2012年8月25日(土)、基幹研修3および更新研修が2012年8月25日(土)、26日(日)でした。ここでは、それぞれの修了者から報告記事を掲載します。


<第11回更新研修>
       
演習の様子1 演習の様子2 全体会 代表者による修了証書授与

・ 「ソーシャルな視点満タン入りました!!」〜演習の内容は濃かったなぁ〜

岩手晴和病院(岩手県)/PSW経験年数8年目 藤原 隆之

 「WEB研修報告」を開催地の岩手県精神保健福祉士会の会員から、と事務局からの依頼を受けましたので、簡単に感想を述べさせていただきます。
 更新研修開催地の県士会研修理事なので当日の司会進行があるかもと言われていたので、慣れないスーツを着て会場に入りました。受付と会場設営スタッフとしての役割と聞き、まず安堵し講義に集中できました。

 講義1.精神保健福祉士の専門性3(90分)の講義では、青森県立保健大学・健康学部の長谷川真理子先生から、大学での取り組みで「連携・多職種チーム」の中で精神保健福祉士としてのアイデンティティをどう発揮するか?ということを入学時から意識できるような方針があり、他学科との合同実習等もあると伺いました。より早い段階に、ソーシャルワーカーの視点はどうやら他の職種とは違う専門性(生活モデル)があるようだと気づくきっかけになる素晴らしい取り組みだと感じました。

 講義2.精神保健福祉制度・政策論2(90分)の講義では、東北文化学園大学・医療福祉学部の森谷就慶先生から、詳細な資料の裏側にあるものを読み取り、ソーシャルアクションの展開に参画するための、ここぞという時のための準備ができているか?普段から自身の実践現場を含む市町村圏域の精神保健福祉士の課題を意識できているか?との問いかけがあり、先生自身、諦めないで・自分らしい持ち味をもったソーシャルワーカーでありたいというお話に大変共感しました。

 講義3.精神保健福祉士の実践論3(90分)の講義では、秋田県から医療法人祐愛会・加藤病院の伊藤健正先生から、前日の懇親会の酔と余韻が残る中、ご自身の実践とソーシャルワーカーとしての専門性を、病院組織の中でどのように積み上げていくかという真の実践家のお話が聞け、とても参考になりました。

 演習3(90分)・事例検討(180分)では、どのグループも更新研修の参加者ならではの情報交換・深〜い・濃〜い実践話しが出きたようで、閉講式での皆さんの「ソーシャルな視点満タン入りました!!」的な笑顔がとても印象的でした。

 最後に東日本大震災後の被災地の支援者への募金を参加者の皆様から頂きましたことに感謝申し上げます。また、研修の運営にあたられた日本精神保健福祉士協会の役員の皆様や講師の先生方にお礼を申し上げます。ありがとうございました。


<第16回基幹研修3
       
長谷川講師による講義1 伊藤講師による講義3 演習の様子1 演習の様子2

・ 基幹研修2から頂いた力

胆江広域障害者地域活動支援センター友とぴあ(岩手県) 菊地 康

 目まぐるしく変わる制度に業務を追いつかせていく事業所の波に流されて、私は一体何者なのかと自分の立ち位置を見失いかけていたところでの基幹研修3への参加でした。
 毎回基幹研修に参加することで元気をいただくことができていたので、今回も期待していました。そして実際、先生方からもう少し頑張ってみようと思える言葉・機会をたくさんいただくことができました。

 例えば講義1では、「大切にしていること」について考え、隣の受講者と伝えあう時間を作っていただきました。このとき、ベースに「利用者主体の活動を、利用者のニーズをとらえながら組み立てる」という思いを持って日々過ごせていたんだと振り返ることができ少しほっとしたことを覚えています。

 講義2では制度の資料を開くと正直「もう見たくない」と思ってしまったのですが、裏を返せばそれだけ日々制度と向き合って(にらみあって?)きたのかなと、この間実践してきたことへの自信につながりました。

 また、まとめの際に「ウエイティング:ここぞという時に動けるように」という言葉が心に響きました。今の事業所にとても必要な姿勢であるけれど、できているのかは自信がありません。けれどもこれからもこの言葉を胸に業務に向き合っていきたいと強く思いました。

 講義3では、講師の伊藤先生のお話は、実践に裏打ちされた一つ一つの言葉にとても重みがありました。その中の一つ「ふみとどまる」ことの大切さを教えていただけたことは今の自分に一番の励みとなりました。

 演習では、基幹研修2で一緒のグループだった方々とも再会することができ、かつまた新たな仲間と出会えたことは素直に嬉しかったです。
 事例検討では「権利擁護」という言葉にとらわれすぎてしまい、きちんと事例を提供して下さった方の辛さ、想いを受け止めることができていなかったことを、講師からの総評を聞いて気づかされ反省しました。これまでも、これからも目の前の言葉、事象にとらわれて真のニーズを見落とす危険があるのだと、警鐘を鳴らしていただいた思いです。

今回の研修も、「振り返り」、「気づき」の機会を与えていただきとても有意義な時間となりました。そして「また5年後に」と言って別れた仲間と胸を張って再会できるよう、もう少しここで頑張ってみようと思いながら帰ることができました。ありがとうございました。


<第16回基幹研修2
       
鈴木講師による講義1 山田講師による講義3 演習の様子 代表者による修了証書授与

・ 職場で専門性を発揮し続けるために

青森市役所 障害者支援課(青森県)/経験年数13年 笹原 まい子

 私は、8月25日、岩手県盛岡市で開催された基幹研修2を受講しました。

 講義1では、「精神保健福祉士の専門性2」ということで、鈴木先生からご自身の経験を交ながらご講義頂きました。その中でも、「クライエントの話を聞くことが権利を守ること」という言葉がとても印象に残っています。お話を聞きながら、日々の業務を振り返り、「きちんと話を聞く姿勢になっていただろうか?」「きちんと向き合えていただろうか?」と振り返りながら、忙しさを理由に、知らないうちに権利侵害をしてしまっていたのではないかとドキッとさせられることの連続でした。自分では、きちんと向き合って話を聞いていたつもりでも、相手にしてみたらどのように映っていたのか・・・など、意識しているつもりでも実際には対応の仕方に現れてしまっていたかもしれないと気付かされました。
 講義2では、森谷先生より、精神保健福祉制度の動向についてご講義頂き、障害者自立支援法の中の地域移行に関する説明等がありました。

 後半の演習では、「精神保健福祉士に必要な“ソーシャルな視点”」についてグループワークを行いました。支援の困難さやジレンマを抱えながらも、その困難さが逆にモチベーションを上げるきっかけになっているという話が出て、「クライエントのために私たちPSWには何ができるのか?」という熱い思いを抱きながら、頑張っているとグループメンバーの皆さんの話にとても刺激を受けました。

 現在、私は、行政という立場で仕事をしていますが、行政という組織の慣習に流され、専門職という立場を見失いそうになってしまうことが、これまでも何度もありました。行政の中で、専門性を発揮してこそ、専門職が配置されていることに意味があり、そのために、研修に参加して、自分の業務を振り返り、気付く機会を持つということが私にとって重要なことだと考えています。

 今回、研修に参加して、様々な職場で活躍しているPSWの方たちの話を聞くことで、とても刺激になり、皆さんからパワーをもらいました。これからも、精神保健福祉士の専門性とは何なのかを自分に問い続けながら、職場において、PSWとしての専門性が発揮できるよう、今回の研修を活かし、更なる研鑽を重ね、次回の基幹研修3につなげたいと思います。


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